[2995] PENを携え、京都へ

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《ゴキブリがたくさん出そうだから絶対に嫌》

■デジアナ逆十字固め...[114]
 PENを携え、京都へ
 上原ゼンジ

■ショート・ストーリーのKUNI[92]
 残業
 ヤマシタクニコ

■買物王子の家づくり[02]
 物件を見るたび気持ちがアセる
 石原 強



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■デジアナ逆十字固め...[114]
PENを携え、京都へ

上原ゼンジ
< https://bn.dgcr.com/archives/20110127140300.html
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昨年の暮れに京都に撮影に行ってきた。京都は物心がついた頃にいた場所で、小学2年の時に開催された大阪万博の年まで住んでいた。父親の仕事の関係で引越しが多く、生まれてから中学の2年までで7回の引越しを経験した。だから「ふるさとはどちらですか?」なんていうことを聞かれてもちょっと困るのだが、五十路を迎えんとする今、懐かしく思い起こされるのは、京都山科の田舎の風景だ。

デジタルカメラマガジンの「PENと歩くふるさと。」という企画で「ふるさとの写真を撮ってきてください」と言われた時に「行きたい!」と思ったのは、その京都だ。万博の年からだから、もう40年も行っていない。最近は大阪に行く機会が増えてきていたので、休眠していた関西細胞が再び活動を始めていた。そして、ちょうど京都への想いが募っていたところだったのだ。

ただ、関西に対してはちょっと複雑な思いもある。それは京都弁を捨てて東京者になってしまったからだ。まだ言葉のどこかに関西のイントネーションが残っているらしいのだが、ちゃんとした京都弁で喋る自信はない。関西のお笑いと粉もんを愛しているが、ちょっと負い目があるのだ。

京都で住んでいたのは、山科の御陵(みささぎ)という所。滋賀県大津と京都の間に位置し、琵琶湖から京都に水を引くための人工的な水路である疎水が流れている。そして私はその疎水のすぐそばに住んでいた。御陵というのは、天智天皇のお墓のことで、砂利が敷き詰められた参道が続く神聖な場所だ。私はその神聖な場所を毎日横切って小学校に通っていた。

当時は路面電車が御陵の住人の交通手段だったが、それが今は地下鉄に変わっていた。路面電車が消えたことは情報として知ってはいたが、目の当たりにするとがっかりだ。ふだんは何も感じない地下鉄の駅に、何か寒々しいものを感じた。

脈絡なく思い出したが、ロバのパン屋というのもあったなあ。パン屋さんがロバに馬車を牽かせてやってくるんだけど、馬車には木の引き出しがあり、その引き出しを開けると中に蒸しパンが入っているのだ。ロバパンのテーマソングが流れると小銭を握りしめて買いに走った思い出がある。でも、今ネットで検索して調べてみたら、あればロバではなく、ポニーだったらしい。ずうっとロバだと信じてたのに......。

●既視感と違和感

様変わりしてしまった御陵駅の周辺には、懐かしさ中枢を刺激するものは何もなかったが、「ごりょうさん」(近所の人達は天智天皇陵のことをこう呼んでいた)にはさすがに見覚えがあった。ただ子供の頃の印象とはかなり違っていた。まず、どこまでも続くかのように思えた参道はかなり短く、全体にコンパクトに感じた。そして大きな問題は厳かな感じが薄れていたこと。

参道に敷いてあった砂利はアスファルトになり、参道の脇の木はかなり伐採されていた。私のイメージでは鬱蒼とした林のせいで辺りは薄暗く、ちょっと怖いような場所だった。たぶん結界の役割を果たしていたと思うのだが、その木を切ってしまったせいで、結界が崩れてしまった。せめて宮内庁が管理している場所は聖域として残しておいて欲しいものだ。

私が暮らしていた保険会社の社宅は当時のまま残っていたのだが、ここもイメージと違ってかなりコンパクトだった。まあ、当時と比べて身長は1.5倍ぐらいになっているわけだから、あの頃の世界が小さく見えても当たり前のことだ。もし、チェ・ホンマンの視線に立ったら、世の中は大分変わって見えるはずだ。かつて住んでいた場所に対し、経験したことがないぐらいの違和感を感じたのだが、これは40年という歳月のせいなんだろうな。たまに来ていたら、どんどん記憶を修正していたことだろう。

その他、強い既視感を覚えたのは、家の周りを囲っていた金網。別になんていうことのない金網なんだけど、よくこの金網を登ったから記憶していたようだ。「わあ、この金網覚えてるー」ということで一応写真撮ってきたんだけど、読者にはよく分からないだろうからボツにした。私がいくら懐かしがっても、金網に共感は得られないだろう。

個人的な郷愁が他者と共有できるのかは良く分からない。でもふだん写真を撮っているなかにも、たぶん郷愁のようなものを感じてシャッターを切っていることも多いのだと思う。それは今回の京都行で感じた。旅写真を撮る人は多いから、あえてそこに参入する気はなかったんだけど、新たなテーマとして、もう少し突き詰めてみたいと思わされたのだった。

●PEN Liteで撮影

撮影には、オリンパスのPEN Lite E-PL1とE-PL2だけを持っていった。普通泊まりがけでじっくり撮ろうという場合は一眼レフを持っていくので、マイクロフォーサーズ機だけで勝負というのは新鮮な体験だった。何が新鮮だったかと言えば、まずその重さ。一眼レフだったら交換レンズも含めて、かなりの重量になってしまうから、気分的にもまるで違う。

一番始めにファインダーなしで液晶画面オンリーのカメラが登場した時には、「そんなもんで写真が撮れるか!」と思ったけど、もう大分慣れた。ピントはファインダーで確実に合わせたいし、カメラを構えた時の不安定な格好が嫌だったけど、ピントは合うし、ブレもしない。オールマイティーとは言わないけど、シャッター半押しのフォーカスロックで何の問題もない。

となってくると、液晶のメリットというのも出てくる。画面を拡大して細部の確認をしたり、実際よりも明るく表示させることもできる。カメラに顔をくっつける必要がないから、アングルの自由度は上がる。写真を撮ってる感が薄れるので、コソッと撮りたい時に向いている。これだったら写真を撮っていて不審に思われることもないだろう、って本人が思ってるだけかもしれないけど。

自分自身、一眼レフじゃなきゃダメ、という意識がどこかにあったんだけど、マイクロフォーサーズ機での撮影はすごく楽しかった。身軽で余計なことを考えずに撮影できる分だけ撮影に集中できるし、素直な写真が撮れるような気がする。またPENクンを持ってどこかに行ってみたいものだ。

◇デジタルカメラマガジン2月号
京都の写真はデジタルカメラマガジンの最新号に掲載して貰った。2ページ、4点ですが、後ろの方のページに載っているので、ぜひ御覧ください。寺社仏閣は一切写っていない、「どこが京都やねん」という写真です。

◇PENで万華鏡写真
PEN Liteで万華鏡写真を撮影。パンケーキレンズ(M.ZUIKO DIGITAL 17mm)はレンズ径が小さいから、万華鏡写真に向いてる。フォーカスもオートなので、すごく楽。
< http://bit.ly/fOYulK
>

【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
・上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
・Soratama - 宙玉レンズの専門サイト
< http://www.soratama.org/
>
・Twitter
< http://twitter.com/Zenji_Uehara
>

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■ショート・ストーリーのKUNI[92]
残業

ヤマシタクニコ
< https://bn.dgcr.com/archives/20110127140200.html
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おれはたったひとりで残業していた。なんだかむなしいので缶ビールを開けて飲み出した。そしたらますますむなしくなってきたので、友人知人片っ端に電話しまくった。友人知人といっても、かつての同僚とか昔いっしょに働いていたやつとか、仕事仲間だったやつ。ああ、どれもいっしょじゃないか。

「おい、今からこっち来ないか。会社で残業してんだけど。だれもいないんだ。缶ビールとするめくらいならあるし」
「いやー、けっこうっすよ」
「ビール飲むと腹下すんでー」
「するめ食べると口くさくなるでしょ」
「すいません、これから子供を風呂に入れるんで」

「明日、始発の新幹線で出張なんです」
「ネコが出産中で...」
「明日の宴会で隠し芸やるんで、いま練習中なんです。え? エグザイルのダンスです。やっとフルメンバーがそろったんで。今日しか時間ないし。すいません、まじ時間なくて」

だれも相手してくれない。そっけない。まあ、そりゃあいろいろ事情もあるだろうし、すぐに来れないかもしれないけど話し相手くらいしてくれてもいいじゃないか。いかにもさっさと電話を切りたそうにしなくても。おれは絶望した。やっぱりそうか。こんなときに相手になってくれるのはコダマしかいないか。おれはコダマに電話した。

「はい、もしもし」
「おれだよ、おれ。いまさ、ひとりで残業してるんだ」
「え、こんな時間に。そうなんだ。たいへんだなあ」

「うん、たいへんだよ。なんだかもう、むなしいんだ。今から来ないか? 缶ビールと、つまみはするめくらいしかないけど。色気も何にもないけど、だれに気兼ねすることもないし。飲もうぜ」
「うーん、都合がつけばすぐにでも行きたいところだけど、あいにく野暮用で」
「そうかあ、残念だなあ」
「でも元気そうだ」
「元気なもんかい。もう年だし」
「仕事はうまくいってんの?」

「よく聞いてくれた。やっぱりコダマだ。まったくもう、まいったよ。何がイノベーションだ何がIT革命だソリューションだ。まったくね、なんというか、とんでもないよ。むちゃくちゃだよ」

おれはついつい愚痴をこぼしてしまう。相手が聞いてくれそうだと思うと、人間、いくらでも不平不満を口にしてしまうのだ。

「なんか問題があるんだ」
「うん。金がいくらでもあるところはいいけど、うちの会社なんか金もないし知名度もない貧乏会社だから、まともな人間が来てくれない。来てもすぐにやめてしまう。だからロボットを使うんだけどね」
「へー。時代だなあ」
「ところが、そのロボットも新品は高いのでリサイクルショップで買った中古なんだ。ロボットの中古はありあまってるから安いんだよね。だけど、やっぱり中古は使いにくい」
「というと」

「受付係が辞めたので接客ロボットを置いたんだけど、元はコンビニで使われていたロボットなもんで。すぐに『あたためますか』とか『おはしかスプーンかどちらになさいますか』と聞くんだ」
「わはは」

「その前のは役所の窓口ロボットだったやつの払い下げでね。無愛想なうえにいちいちたらいまわしにしようとして、それができないからしょっちゅうフリーズしてた。設定を変えればいいんだけど、どうやったらいいのかわからない。おれ、メカに弱いし。経理を担当してるのもロボットだがこれは元々はさぬきうどんの店でうどんをこねていた。そこへ無理矢理経理ソフトを入れた」
「無茶だろ」

「いや、くわしいことは知らないが、リサイクルショップの店員にうどんこね機能と経理機能は親和性が高いんですよと言われて」
「うそだよ」
「やっぱりうそか。実際1時間に1回はうどんをこねさせないとミスが多くなる。うどん粉の費用もばかにならないし、たいへんだ。でもうどんはむちゃくちゃうまい」
「よかったじゃないか」

「総合事務ロボットも入れた。これは最初から総合事務ロボットだったんだけどバージョンが古い。安かったけど...安かったけどそろばんと毛筆の宛名書きが得意なロボットってどうなんだ」
「わはは」
「で、おれって肩書きは部長なんだけど、課長も係長も辞めて、後任もいないままなんだ。部下はいきなりロボットっていう。もう雑用が多くてとてもこなせないから、責任転嫁のための課長ロボットを購入しようかと思ってるんだけど、どう思う? そんなに機能はいらないんだ。謝ってくれるとか詫びを入れてくれるとか」
「いっしょだよ」
「ほとんど単機能だから新品でも安いかも」
「おまえもたいへんだな。同情するよ」

「そんなふうに言ってくれるのはおまえだけだ。おれ、最近自分でも思うけどもう疲れはててぼろぼろだよ。いっそのことうどんこねロボットと二人でうどん屋始めようかと思ったりするんだ。うどんこねてる最中に帳簿つけ出したりするかもしれないけど、そんな体にしたのはおれだし。ふびんじゃないか。よう子って言うんだけど...」
「女なんだ」
「なんか突拍子もないこと言ってるかな、おれ」
「そんなことないさ。男の夢、男のロマンじゃないか。応援するよ」
「ほんとかい」
「ああ、おまえはもう十分がんばった。ここらで好きなことをしてもいいさ」

「ああ、なんだかうれしいよ。涙が出てくるよ。なあ、こっち来ないか。缶ビールとするめしかないけどさ。一杯やろうぜ。あ、うどんもあるし。気兼ねしなくていいよ。なんせロボットたちは椅子に座ったまま目を開けたまま全部スイッチ切ってるから、不気味なほどに静かだし」
「すぐにでも行きたいけどあいにく野暮用で」
「残念だなあ。次は絶対だぞ」
「ああ。約束するよ」
「また電話するよ。じゃあな」

おれは電話を切った。少しだけ元気が出てきて、もう少し残業を続けることにした。コダマはほんとにいいやつだ。ロボットの中でも。よくできている。もっとも、ここまでするのも相当苦労したんだ。中古のぐち聞きロボットをおれ用にカスタマイズするのに...。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
http://midtan.net/

http://yamashitakuniko.posterous.com/


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■買物王子の家づくり[02]
物件を見るたび気持ちがアセる

石原 強
< https://bn.dgcr.com/archives/20110127140100.html
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一戸建てにすると決めたので、とにかく物件があるのか見てみたい。そんな話をしたら、友人から近所の不動産屋さんを紹介してもらった。早速、お店に出向いて、検討しているエリア、欲しい間取り、おおよその予算などを相談しました。条件にあう物件を探してみるということで、その日は終了。後日、連絡をもらって、候補の物件を見に行くことになりました。

●家を見てみなければ始まらない

最初に見に行った物件は、最寄りの初台駅の隣、幡ヶ谷駅から10分くらいの場所。駅前から長い商店街を歩いて、ちょうどお店が途切れて住宅街に入ったあたりです。すぐ近くに公園もあって、息子を遊ばせることもできそうだ。コンビニも近いから便利。周辺環境はまずまずです。

家は東向きの3階建て。1階に寝室と、バス・洗面の水回り、2階は対面型のキッチンとリビング、3階に2部屋がある3LDKの間取り。といっても建築中で、完成は2ヶ月後。まだ屋根と柱が建っているだけの骨組み状態です。図面と照らし合わせてみるものの、いまいちピンとこない。

次も、すぐ近くに建てている同じような間取りの家。こちらは完成間近で、中に入って見られます。玄関が窮屈なのと、階段が狭いのが気になるけど、そもそも土地が狭いし仕方ないのかな。さっきの家との違いは屋上があること。ちょっと憧れていたんだ屋上。上がると眺めがよくて気持ちいい。

このあたりは人気エリアだから、どちらもすぐに売れちゃうよ。どちらかというなら、特に先の物件は完成前に売れちゃうかもしれない。と不動産屋さんは言う。といっても図面だけだし、本当に良いのかわからない。それに最も高い買い物なんだから、もっといろいろ見ないと決められそうにない。

後日、先の家が完成してオープンハウスをやっていると連絡が来た。少なくとも建築中には決まらなかったということ。でも良く聞いてみると、申し込みはあったけど、ローンが通らずにキャンセルになったらしい。

今度は、家族4人で見に行くことにした。出来上がってみると印象もまったく違います。3階の2部屋にはロフトがついている。カケルは、ロフトに架かったハシゴをなんども上ったり下りたり楽しそうだ。ちょっとした隠れ家みたいで、子供部屋にしたらカケルもワタルも喜ぶに違いない。

価格も少し下がったので、僕は悪くないかなと思ったけど、妻は、階段が狭くて暗い、トイレも掃除が面倒だから2つもいらない、と言う。しかも「なんか嫌な感じがする」と言い出す始末。

おいおい、僕には見えないなにかがいるのか? 南側の細い道が昔川だったみたいで、今は暗渠として道路になっていると説明したら、きっとそのせいだということになった。家の下を川が流れているのは風水的にも良くないんだからと、その後は「暗渠」がタブーになったのでした。

●だったら別の物件も見てみよう。

そこにいた営業マンに、家を検討していることを伝えると、この近所でほかにも物件があると言う。いくつか見せてもらった中から2件ほどピックアップすると、すぐに案内するので見に行きましょうということになった。

クルマに乗って連れて行かれたのは、草が生えてるだけの更地。家は影も形もない。これから建てるから自由にできますよ。と、その場で参考の間取りのプランを見せられた。なんだか猫がたくさん集まっていると思ったら、横は魚屋さん。魚の匂いに誘われて集まっているのだろう。妻曰く、ゴキブリがたくさん出そうだから絶対に嫌。

気を取り直してもう一件、こちらは、なんと古い大きな家が建っている。まだ未公開の物件なのだそうだ。これから家を壊して更地になるまでに1ヶ月以上かかるらしい。それでも、4区画に分割した中で2区画は既に売れてしまっているというからスゴイ。売られる土地がどのあたりなのかすら、はっきりわからない。

図面上は13坪の角地。2方の片側の道路は暗渠。クルマは入れないので、公園っぽいベンチが置いてある。たまたまかもしれないけど、浮浪者が座っていて、なんだか殺伐とした雰囲気。しかも道路を隔てて高いマンションが建っているせいもあり、なんだか暗い感じがする。妻の印象は一戸建てで大丈夫なの? 暗くて寒いんじゃない? という懸念が払拭できず、やっぱりマンションの方が...というスタートでした。

●自分の足をつかって探す

今まで電柱に張ってあるチラシなんて、自分には関係ないと気に留めたことがなかった。しかし、新築物件のチラシがあると手に取ってみるようになった。それが思ったよりもたくさんあるのだ。もしかしたら掘り出しものがあるのではなかろうかと、気になってしまいます。詳細は示されず、担当者の連絡先が書いてあるというパターンです。

本町6丁目の物件は、チラシの粗い地図をたよりに、iPhoneのマップで近くまで来ているはずなのだけど、なかなか見つからない。同じ道を何度か行き来したら、細い曲がり角を見落としていたことが判明。

道を入ると坂があって、その途中にアパートが建っており、3区画に分割して販売されるらしい。前面の道路も狭くて、クルマも入れそうにない。周囲の建物が密集しているのがいまいちだし、駅からもちょっと遠いので、そのままスルーしました。

電話番号しか書いていないものは、ちょっと胡散臭いと思い避けていました。しかし、住所が「西新宿」と書いてあるのがどうしても気になったので、思い切って電話をしてみました。女性の受付対応は事務的ですが、思いのほかきちんとしていました。希望の時間を伝えると、営業マンから連絡があり、最寄り西新宿五丁目の駅前で待ち合わせすることになりました。

行ってみると、ちょうどカケルの保育園友達が住んでいる近所。大きなお屋敷があってまだ住人がいるようです。だからまだ情報が出せないので、チラシで近所の人だけに知らせているとのこと。敷地は3分割する予定だという、しかし、前面の道路も狭いし、土地が狭い割に価格も高いのでこれはちょっとないだろうなあという印象。

●中古物件も見てみる

リフォームすればいいのではないかと、中古も探してみた。なんてったって、価格が安いのは魅力です。その家が気に入らないと言っても、大きくリフォームをして自分好みに変えてしまえばいい。

西新宿8丁目から徒歩3分の物件。駐車場はなく1階に2部屋+部屋として使っている納戸、2階にリビング、3階に2部屋という4LDK+sという物件。子供が3人で夫婦と親と同居の6人家族だから、部屋数が多いのはうなずける。内も外も築15年にしてはキズや汚れがあって、生活感が滲み出ています。ここならカケルの生まれた大学病院が近くにあって安心だなと思ったけれど、周りの雰囲気が好きになれず見送り。

恵比寿から10分くらいの場所、住所は渋谷区東。こんなところに住宅地があったんだ、というのがまず最初の印象。家は築30年の木造で、かなりぼろぼろ。元の住人は退職後にずっと一人暮らしをしていたおばあさん。最近病院で亡くなって、相続した息子が売りに出したのだそうです。2階建てで2LDKの間取りは、今住んでいるマンションとほぼ同じ。これでは引っ越しをする意味がない。いざ建て替えようにも、土地が11坪では、これ以上大きな家は建てられそうにもない。便利な場所なのが惜しいけど見送りです。

幡ヶ谷から駅5分の便利な場所にある物件。駐車場にはベンツが置いてある。外出中の住人は、どうやら芸能人らしい。1階に1部屋、2階リビング、3階2部屋の3LDK。豪邸なわけではないけど、一人暮らしと考えれば贅沢です。1階の部屋は洋服があふれているし、3階の部屋は楽器やらゴルフクラブやら趣味のものでいっぱいでした。名前を聞いたら、数年前に噂になった女優もここに泊まりにきたのかなどと、あらぬ妄想が膨らんできます。

家は、まあまあキレイでした。特にキッチンなんか使われた形跡もないので、帰って寝るだけだったのかもしれません。日当りも悪くない。でも、窓から見える風景はマンションばかりで気が滅入りそうです。

千駄ヶ谷に物件が出たとの連絡。築20年ですが、なんせ場所がいい。とりあえず住んで将来建て替えてもいい。見に行く約束をしたのに、前日になって断りの電話。訳を聞いたら「白アリ」が出ていたことが判明したとのこと。いつ傾くかわからない家は危ない。

ほかにもいくつか家をみてまわったけれど、どれもピンとこない。やっぱりエリアが狭すぎるのか? 贅沢を言い過ぎなのか? いくつ見に行ったとしても、希望が叶う家なんてないんじゃないか? と悩み焦り始めたのでした。

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
twitter < http://twitter.com/244ishi
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blogを、リニューアルしようと思って、久しぶりにMTにログインしようとしたら、管理画面に入れない、この際、WPに入れ替えてみようと考えていたから、すねていじわるしているのだろうか、、さて、どうしたものか。

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■編集後記(1/27)

・4月から小学5、6年生で英語が完全必修化される。25年度からは高校英語の授業が英語で行われる。いつの間にか、英語教育が恐るべき危険なことになっていた。産経のオピニオン欄で「英語教育必修化」について、推進派の吉田研作上智大教授と、反対派の鳥飼玖美子立教大教授が論じていた。吉田氏は「実際に英語でコミュニケーションを行い、何かをやり遂げるという成功体験を味わわせたい。経験をたくさん持たせることで、もっと外国語を使ってコミュニケーションしたいという気持ちを育てることが一番の目的だ」と言う。そんなことが一番の目的なのか。観念的で全然説得力がない。小学校で英語に親しむ機会は必要だが、必修にするほどのことではない。一方、鳥飼氏は「必要ない。小学校の間はしっかりと日本語で話す力をつける時期。幼いころに中途半端に英語を教えることで、むしろ英語嫌いになる子供が増える可能性があり、早期の英語教育は逆効果。(略)小学校での英語教育の義務化は前倒しで中学生になる前から英語嫌いの子供を増やしてしまう危険性がある」と主張している。まさしくその通り。小学校で身に付けるべきなのは、日本語の正しい読み書きと論理的に話せる会話力である。中学校の英語の先生にとっては「いかに夏休みまでに英語嫌いにさせないか」が課題だった。義務化すれば、小学校から英語嫌いが激増するに決まっている。間違った英語教育改革のせいで、将来の日本人は英語ばかりか日本語まで貧弱になるだろう。中国の陰謀かね。(柴田)

・奥様の意見さすがだ。/サッカー、アジア杯の準決勝は面白かったみたいだな。見たかった。さすがに音声だけってわけにはいかず。/大阪マラソンのコース発表。近所を走るのでワクワク。まぁ、大阪国際女子マラソンも近くを走るのだが。当選確率の低そうなこのマラソン。チャレンジラン(8.8km)に申し込んでみようかな。家人はフルに出ろとうるさい。この日曜日にハーフを走って物足りないと言っていた。今は会社までの14kmを自転車通勤しているが、出場前にはランニングで出勤したことも。といっても、猫ひろしのタイムに遠く及ばないアマチュアランナー。身体を鍛えるために走っているらしいが。いくらすすめられても、いきなりフルマラソンは、膝を一度やった人間としては怖いわ〜。でもゴールが市庁舎なんて面白くないわ〜。(hammer.mule)
< http://www.osaka-marathon.com/2011/
>
大阪マラソン2011
< http://ja.wikipedia.org/w/index.php?oldid=35940406
>
アラフィフだと思ってた......
< http://www.osaka-marathon.com/2011/charity/
>
第三希望までってどういうことなのだ。