[3013] すごいぞ、iPad用ペン!

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《楽し過ぎる衝動買いと無駄遣い》

■ネタを訪ねて三万歩[74]
 怪しい雑貨店のほうが落ち着くDNA
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[251]
 すごいぞ、iPad用ペン!
 吉井 宏

■デジアナ逆十字固め...[115]
 球体関節人形と盆栽と
 上原ゼンジ


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■ネタを訪ねて三万歩[74]
怪しい雑貨店のほうが落ち着くDNA

海津ヨシノリ
< https://bn.dgcr.com/archives/20110223140300.html
>
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iPhoneを購入したことで、「手書きの手帳はついに引退ですか?」という質問をいただきました。もし今後iPadも常時ネット接続できる環境になったとしても、手書きの手帳は使い続けると思います。少なくとも今はそう感じています。

万年筆と紙が創り出す絶妙の関係(誇張しすぎだってば)というか、きれいに書けてしまうデジタルノート類ではイメージが膨らまないのでダメなのです。いい加減とか気まぐれという感覚、あるいは動きはデジタルではまだまだ無理ですからね。でも、その最後の砦も案外と時間の問題だったりして。

とにかく、意味もなく無駄な悪戯書きという、今のコンピュータには理解できない動作が私は大好きです。もっとも、持ち歩く小道具類が増えてしまっていることもあり、手書きのノートにこだわっていられるのも今のうちかもしれませんね。重いのは嫌です。

ところで、どうやらソフトバンク以外からもiPhoneが発売されそうな雲行きになってきましたね。もう少し待っていればと、少しだけ後悔してしまいました。もちろん実際はどうなのか分かりませんけど。どちらにしても人それぞれ小道具には妙なこだわりをもっているものです。

こだわりといえば、過去にワコムの方へタブレットで筆記具の音を再現するモードを付けて欲しいとお願いしたことがありました。もちろん可能性はないと思いますが、言うだけ言ってみようと、Painterで鉛筆を選べば、そんな音がスピーカーから流れてくるオプションが欲しいです......と。こうなると、かなり精神的に癒されるような気がするのですが、考えすぎでしょうか。

とにかく、道具にこだわることが結果的に作品に繋がっていくわけです。性能よりも、存在感や触感のような部分がとても重要ではないでしょうか。使いやすいことがそのまま気持ちよいとは限らないからです。自分自身の一部でもある道具に対して、何のこだわりも愛着もない人は偽者かもしれませんね。もちろん、道具としては機能しなくても癒すということで、創作活動を二次的に助けるモノもあります(多分)。そばにあるだけで落ち着き和むという癒し系グッズです。

私は、学生の頃から怪しい雑貨類が大好きでかなり色々な店に通い詰めていましたが、最初にして最後(多分)に正社員として勤めていた会社では、運が良いことに輸入雑貨店も経営しており、一部の商品のデザインにも関わっていましたので、休みの時は市場調査みたいなことも自発的に行っていました。

そんな当時は、もっぱら横浜元町界隈や【渋谷から原宿にかけての明治通り沿い(これ以降「明治通り沿い」と記す)】を徘徊しまくるのが日課のようになっていまし。もっとも、実際には裏道に入った方が、かなりマニアックで怪しいお店が目白押しだったからです。

そんなわけで、ロス疑惑の三浦和義が経営していたフルハムロードのアヒルのスタンドを私は持っています。かなりマニアックかも。ただし、直接買ったわけではありません。色々な偶然が重なって手に入ったというわけです。だいたい事件が発生して随分経過してから「あっ、あれと同じモノ持っていた」と気が付いたくらいのいい加減さ。

とにかく衝動買いや無駄遣い(視点により意味が違ってくる)は楽しいです。そもそも人間が生活していること......そのこと自体が大いなる無駄の無限ループですからね。もちろん、購入するか否かは別として、怪しい雰囲気を楽しむのもショッピングの一部だと思っています。

ところが、今の明治通り沿いはお洒落すぎて面白くありません。なんだか無駄に意味ありげなデザイン書籍や豪華美術書のような「いかにも感」で、どうにも馴染めません。やっぱり、どことなく雑貨は怪しくなくては。とは言っても、そんな店はほとんど消滅してしまっているので、まったく立ち寄らなくなってしまいました。何かきっかけがないと、こんな場合はズルズルと時間ばかりが経過してしまいますからね。そんな状況にあって、明治通り沿い再訪の唯一の望みは宮下公園のNIKE公園化(最終的にNIKEの名称は無くなった?)だったのですが、どうなっちゃったのでしょうね。

まっ、もちろん明治通り沿いにまったく行かないわけではありませんが、目的が雑貨ではなくて打合せだったりするので、カウントには入れていません。ちなみに竹下通りやその奥まで行くと、文化屋雑貨店やThe World Connectionなど、昔ながらの怪しく楽しいお店は健在です。もちろんこれらのお店には時々出没しています。というより、デザイン・フェスタ・ギャラリーのついで的な出没なのですが、このギャラリーで勢い付けると怪しい雑貨店は更に面白くなります。

・文化屋雑貨店
< http://www.bunkaya.co.jp
>

・The World Connection
< http://the-world-connection.com
>

・デザイン・フェスタ・ギャラリー
< http://www.designfestagallery.com
>

話を戻すと、雑貨類販売の店が好きな私は今のところFrancfranc、Village Vanguard、Archimedes Spiralあたりを定期的に徘徊しています。ただし、怪しい雑貨店という意味ではVillage Vanguardだけですね。何か怪しいモノを見ていないと落ち着きません......というより、スイッチが入らないDNAなのかもしれません。考えてみれば、私が子供の頃のお店はみんな怪しかったですからね。もっともルール無用の某国の怪しさに比べたら屁みたいなものでしたけど。

・Francfranc(自由が丘、蒲田、二子玉川)
< http://www.francfranc.com/
>

・Village Vanguard(自由が丘、池袋)
< http://www.village-v.co.jp/
>

・Archimedes Spiral(玉川高島屋)
< http://www.archimedesspiral.com/
>

さて、そんなわけで日々細かいモノを買いまくっている私が最近はまっているのがレゴのストームトルーパー。なかなか手に入りにくくなっているので、余計に愛おしく感じちゃいます。既にいくつかの製品を購入しては童心に返っています。
< http://kaizu-blog.blogspot.com/search/label/Storm%20trooper
>

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[時をかける少女]by いきものがかり in 2010(日本)

松任谷由実の名曲を"いきものがかり"が歌うとは思いませんでしたが、とてもいい感じで違和感はなく、原田知世バージョンより気に入っています。というか、むしろこれがオリジナルではないかとさえ感じてしまいました。アップテンポだからかもしれません。実は映画のエンドロールに流れる同じ"いきものがかり"の『ノスタルジア』の歌詞も絶品です。特に最後の「本当の気持ちは 胸にしまう ふたりの明日が消える前に」がいいですね。映画とアルバムは曲順が逆ですが、私はアルバムの順番で聞くのが好きです。映画の結末を知っているからかもしれません。

[時をかける少女]by 谷口正晃 in 2010(日本)

"時をかける少女"といえば原田知世が主演した1983年版を私も当然見ています。しかし、仲里依紗が声優を担当した2006年のアニメ版が好きで、同じ仲里依紗が主演している本作も気になっていました。そして遂に見ることができました。

さて、当初は芳山和子の役は安田成美ではなくて原田知世にやって欲しかったと思っていましたが、見終わってみれば作品的にこれで正解だと思いました。ストーリ的には突っ込みどころもありますし、設定、脚本が甘いのは誰の目にも明らかです。でも、芳山あかり役の仲里依紗と溝呂木涼太役の中尾明慶の自然体で素直な演技がとても気持ちが良かったです。

ストーリは予測できるラストでしたが、不覚にも涙腺は爆発してしまいました。切な過ぎます。とにかく二度見ることをお薦めします。この世界観が好きなのは、70年代が私にとって特別だからかもしれません。時々思い出す70年代の風景が、画面の中にさりげなく広がっているのが懐かしくもあり不思議でした。

だからリアリティのない会話や行動、チープすぎるCG表現には目をつぶることにしました。ちなみに冒頭近くで芳山親子がボートに乗っているシーンは散歩コースの洗足池公園だったのでちょっとびっくり。可能なら若かりし頃の父にさりげなく会ってみたいものです。

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■アップルストア銀座でのハンズオンセッション 第4回
2011年3月21日(月)18:30〜20:00
Hands on a Macとしての画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.55』
Photoshop CS5によるレタッチ技法に関するハンズオンセミナーを行います。
なお、偶数月に行われる従来通りのセッションと異なり、奇数月のハンズオンセッションは予約が必要となります。なお、予約などに関してはAppleに一任しておりますのでご了承下さい。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪し
いお菓子研究家
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com
>
< http://kaizu-blog.blogspot.com
>
< http://web.me.com/kaizu
>

どさくさに紛れてApple Logic Studioと小型の鍵盤を買ってしまいました。あるミュージシャンと知り合ったことも影響していますが、普段しないことをやるのは楽しいですね。というか、最近はストレス発散的に買い物三昧しています。とは言っても、無理のない範囲で三昧しているというのは少々おこがましいかもしれませんが、まっ、雰囲気を感じて下さい。

さて、そのミュージシャン(本人からの希望で名前は伏せます)を気に入ってしまったのは「いかにも」という立ち居振る舞いではなく、専門知識のない者に対しても丁寧に接してくれる姿勢。本物はいつの時代も低姿勢で真摯なのですよね。

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■グラフィック薄氷大魔王[251]
すごいぞ、iPad用ペン!

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20110223140200.html
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iPad用では現時点で最高! な2本のペンを使ってみました。

プリンストンテクノロジーのTouch Pen。すごいです! 描きやすい! 今までpogo Sketch/Stylusがベストと思ってたけど、これはその100倍描きやすい。なにしろ筆圧をほとんど加えなくても描ける。従来のペンはある程度押しつけないと描けないのですが、Touch Penでは画面に触れるだけで描けるんですよ〜。これは大違い。昨年夏の発売だったようですが、pogoがiPod用タッチペンの限界かと思い込んでいたため、ノーチェックでした。

・Touch Pen
< http://www.princeton.co.jp/product/digitalaudio/piptp2.html
>

Pogoペンみたいな導電スポンジではなく、先端は中空の小さなゴム球。弱い筆圧でも凹んで平らになり、タッチがオンになる面積を確保しやすいらしい。画面上の滑りもよくていい感じ。導電スポンジのペンでは、強く押しつけると滑りが悪くなり、だからといって筆圧を軽くすると反応しなかったんです。

その後、同じく評判がいいらしいパワーサポートのSmart Penも購入。書き味はプリンストンTouch Penと同じくらい描きやすい。Smart Penの先端のゴム球の中には芯というか突起があって、球が完全につぶれてしまうのを防いでるようですけど、それがないプリンストンのと書き味にほとんど差はないです。甲乙付けがたい!

・Smart Pen
< http://www.pawasapo.co.jp/products/ipad/pbj90.php
>

Smart PenはTouch Penにくらべると、ちょっと軽いです。しばらく使ってみたところ、僕的にはどちらかといえばペン自体に重みがあってゴム球の弾力が強いTouch Penのほうが微妙な差で好みかも。Smart Penは弾力が弱い分、中の芯で支える感じ。どちらにしても、今迄で最高のiPad用タッチペンだと思います。

で、今まではどうせちゃんと描けないんだし〜、ってことで気にするまでに至らなかった「iPad上の手の置き場所問題」が、ちゃんと描けるもんだから気になっちゃう。どうしても画面に手を置きたい場合は、段ボール等の厚紙を敷くしかないです。Penultimageという手書きメモアプリでは、画面についた掌部分のタッチを無視してくれる機能がある。この機能を他のアプリも採用してほしい。

あと、iPad自体の処理速度のためか、どのアプリもけっこう描画速度が遅いことにも気づく。素早く画数の多い漢字を描くのが快適とは言えない。間もなく登場と噂の第二世代iPadではどうかな?

しかし、このくらいiPadで描けるってことになると、ドローイングはもとより手書き文字メモも普通に可能だし、絵コンテくらいiPadでイケそうかも。本来、ペンがこの程度には使えないと、iPadのアプリや性能がもったいない。ようやく、iPodが本来の魅力が開花するかも。

WACOMのタッチ&ペンのユニットを採用してくれないとiPadを見捨てるかもしれないぞ、とか言ってましたが、この新しいペンのおかげで、撤回します。もちろんWACOMユニットを採用してくれれば、シャープペンで書くような繊細なこともできるようになるし手の置き場の問題もなくなるので、これからも採用の方向に検討していただけるようAppleにおねがい!

ところで、Griffinのスタイラスってのを見つけたけど、これはプリンストンのTouch Penと形が同じだ。OEM? あるいは逆? と思ったら、スリーエムも売ってるようです。Smart Penに「3M」ってロゴが入ってるから何かと思ったら、この種のペンはスリーエムが本家らしい。

・Griffin Stylus
< http://www.griffintechnology.com/products/stylus
>
・3M Smart Pen
< http://3msmartpen.com/
>

たぶん、OZAKIというメーカーのiStrokeというペンも同じような先端ゴム球を使ってるのかな? 姉妹製品に似たものが日本のメーカーから出てたりするので、周辺機器メーカー同士色々回し合いしてる模様。探せば他にもありそう。

・iStroke
< http://www.ozaki.us/en/2010/ip016_istrokel/
>

こないだアップルストア銀座でカードで買い物したら、iPhoneにpogoペンでサインさせられた。書きにくかった。Touch PenかSmart Penに変えてほしい。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

急展開の件、どんどん後回しになってすいません。もったいぶってるようですが、たいしたことじゃないですので、期待しないで〜。っていうか、昨日、また面白いものを見つけちゃったので、次回も先送りにしちゃうかも。

・iPhone/iPadアプリ「REAL STEELPAN」販売中
REAL STEELPAN < http://bit.ly/9aC0XV
>

・「ヤンス!ガンス!」DVD発売中
amazonのDVD詳細 < http://amzn.to/bsTAcb
>

・「ヤンス!ガンス!」オンエア情報 MUSIC ON! TV、TVK(テレビ神奈川)、Gyao、music.jp、Wiiシアターの間でも配信中。同じくMUSIC ON! TVの番組「George's Garage(GGTV)」のオープニングをヤンス!ガンス!のコラボで制作。
< http://www.m-on.jp/blog/ggtv/2010/10/101002-4.html
>

・「毎月1日は映画サービスデー」CMに「ヤンス!ガンス!」登場中

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■デジアナ逆十字固め...[115]
球体関節人形と盆栽と

上原ゼンジ
< https://bn.dgcr.com/archives/20110223140100.html
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私がWEB上で運営しているギャラリー「bitgallery」に、新たなコンテンツが加わった。GrowHairさんの「Dollfriends」と増田茂さんの「盆栽宇宙」だ。GrowHairさんはデジクリ読者ならご存知、デジクリに執筆している「あの」GrowHairさんです。

以前大阪に行った時にデジクリデスクの濱村さんをはじめ、関西在住のデジクリ執筆陣の方々と小宴を催したことがある。その時、GrowHairさんの話題になった途端、失笑、いや妙な雰囲気、じゃなくて場が和んだというか、まあなんというか、秘密を共有する者の連帯感というか、そういうものが生まれた。

それはまあ単純にGrowHairさんが発表しているセルフポートレイトのせいだ。40代後半のオッサンのセーラー服姿。違和感有り過ぎで逆に似合ってしまっているという恐ろしさ。「セーラー服を着ることは簡単だが、着こなすことは難しい。それが日本で唯一できているのはGrowHairだけだ」とは誰も言ってませんが、まあ大変な存在感です。

・GrowHairさんのプロフィールページ
< http://bitgallery.info/GrowHair.html
>

GrowHairさんとはお会いしたことはなかったんだけど、写真に魅力を感じて「bitgallery」への参加をお願いした。作品としては、コスプレイヤーを撮った写真などもあるけど、今回は人形を撮影した写真をテーマに構成することにした。

元々私自身は特に人形好きというわけではない。ただ、うちに「ハンス・ベルメール写真集」(リブロポート刊/1984年)なんていうのもあるぐらいだから嫌いではない。っていうか、ハンス・ベルメールは好きか(笑)。でも、ただハンス・ベルメールが好きというだけで、特に人形の展覧会に足を運ぶということもなく過ごしてきた。

そして、今回GrowHairさんのWEB写真集を編集するにあたり、いろんな人形作家の作品を見せて貰ったけど、四半世紀の間に日本の球体関節人形シーンはかなり充実したものになっていたんですね。知りませんでした。素晴らしい。これほどのものがWEBで簡単に見られるなんて。ぜひ御覧ください。

・bitgallery
http://bitgallery.info/


●なぜか羽賀研二?

「盆栽宇宙」の増田茂さんは、娘の友達のお父さんだ。娘から友達のお父さんがカメラマンだということを聞き、最初は本当かどうか訝しんでいた。すると今度はその友達のお母さんが、うちのカミさんと昔会ったことがあるという情報がもたらされた。うちは地元の人間ではないので、その情報に対しても懐疑的だった。

ただ、カミさんは何か思い当たるふしがあったらしく、「じゃあ、そのお母さんに、昔、羽賀研二にナンパされたことがあるかどうか聞いてみてごらん」と、娘に託した。するとビンゴで、昔、仕事でお世話になった人だったということが発覚。その後は子供同士の仲が良かったこともあり、家族ぐるみでお付き合いさせていただくことになった。

増田さんは広告やエディトリアルの世界をベースとして活動するフォトグラファーだが、見せていただいた「盆栽・美の極意」山本順三著(講談社インターナショナル刊)の写真が素晴らしく、「bitgallery」への参加をお願いした。

どこが良かったかと言うと、撮影者が主張していないところ。まあ、盆栽が主役だから当たり前なんだけど、写真作品となると、撮影者の主張が出てしまうことがままある。それを淡々と撮り、盆栽の良さを引き出しているところがいいと思った。ライティングもすごく自然だ。これは技術とセンスがなければ、こうはならない。素晴らしき盆栽の世界をご堪能ください。

・The Space of Bonsai 盆栽宇宙
< http://bitgallery.info/book/bonsai/
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●自分にとっての禁じ手

人の写真をセレクトしたり、順番を考えるというのは面白い。撮影者の思い入れなど関係なく、冷徹に判断することができるからだ。だから、自分の写真をセレクトする場合でも、客観的に判断できることが重要だと思う。撮影する時に苦労したとかいうことは見る側にとっては関係ない。それが自分自身に対してできるかどうか?

私は撮影をする場合に人の作品というのは、あまり撮りたいと思わない。たとえば建築物というのは、人が作った物で自分の作品ではない。だから被写体としては、いまいち食指が動かない。同様に芝居の写真なんかも撮りたいと思わない。演出家や演者のものだと思うからだ。ただ、これはあくまで自分に対しての禁じ手であり、建築物や芝居を撮ったものは写真ではない、などという気はない。

で、何を撮っているかというと、路傍の草花などを撮っているわけだけど、これは誰が作ったものでもないので、自分的にはオーケーなわけだ。ただ、誰もがきれいだと思うようなものよりは、自分で美しさなり何なりを見出したものの方が価値はある。

今回の人形と盆栽はそれぞれ作者がいる。つまり、私の被写体としてはアウトなわけだけど、ここに写された人形や盆栽を目の前にしたら撮りたくなるだろうな。そんな魅力のある被写体だと思う。人形の写真、盆栽の写真は、その作者のものか写真家のものか。写真自体が感じる写真だったらどうでもいいことなんだけど、まあ撮る側としてはそんなことも考えてしまうわけです。

◇電塾勉強会
このたび電塾の運営委員に加えていただきました。そのデビュー戦として勉強会で話をさせて貰います。持ち時間が75分なので、けっこういろんなネタを披露できると思います。
< http://www.denjuku.gr.jp/index.htm
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【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com < http://twitter.com/Zenji_Uehara
>
・上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
・Soratama - 宙玉レンズの専門サイト
< http://www.soratama.org/
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■編集後記(2/23)

・『コマーシャル・フォト』3月号の特集は「THE NUDE 2011」である。それはもちろん結構だが、「2010 CM BEST10」特集にも興味津々。もう何10年も続いている毎年恒例の企画だ。消費者ではなく「クリエイターが選ぶ」というのがミソで、いわば業界内の誉め合いみたいなものだが、ここで選ばれるのはクリエイター冥利に尽きると言っていい。1位・大和ハウス工業(ダイワマン)、2位・サッポロ黒ラベル(大人エレベーター)、3位・かっぱ寿司(宇宙人)、4位・JR東日本(MY FIRST AOMORI)、5位・NTT docomo(ひとりと、ひとつ。Walk with you)と続く。ちょっと感動的なのが3つ。おもしろいのが2つ。プロに選ばれるだけあって、さすがによくできたCM揃いだ。6位以下はそれほど気にしなかったCMばかりで、20位以内に最近おかしくなってきたソフトバンクが入っていないのがよかった。一方で、渡辺謙がケータイそのものというdocomoのCM、うまいなあ。5作品なかでも、予想を裏切るシュールな展開の企業CM・大和ハウスのダイワマンと、チープさ満開のかっぱ寿司のシリーズが大好きで、流れていると必ず見入ってしまう。何度見てもおもしろい。この2作品、たぶん海外ではまったく評価されないと思うけど、かつてCMがものすごく元気だった時代の雰囲気を感じてうれしくなる。ダイワマン、今回で大団円みたいだったが、今後どうなるのか。ぜひ続けてほしい。宇宙人も。(柴田)
< http://www.genkosha.co.jp/cp/
>
コマーシャル・フォト
< http://www.daiwahouse.co.jp/daiwaman/index.asp
>
大和ハウス工業CM
< http://www.kappa-create.co.jp/menu/cm.shtml
>
かっぱ寿司CM

・ニュージーランド地震。一人でも多くの方が助かりますように。/リビア空爆......。/仲里依紗、好き〜。チョコのCMで、仲より両脇の方が可愛いという人がいるが、きれい・可愛いだけじゃダメなのよ〜。両脇さんたちがクローズアップされ、演技しているのを見たら意識変わるかもしれないが。多部未華子や蒼井優も好き〜。吉瀬美智子も好き。宝塚出身者はひいきして見てしまうので割愛。/絵コンテがiPadで? うぉー。ぶ、物欲が〜。/抵抗はあるものの、GrowHairさんだから許されるセーラー服姿。あの人柄は得よね〜。毒(本人談)にも筋通ってるし。/かっぱ寿司のCM好き〜! JR東日本のCMって大阪でやってないよね?/あかんほんとネタない〜。(hammer.mule)