[3034]"ノスタル爺"と午前十時の映画祭

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《こういうのが好きな今の自分にビックリしたなあ》

■ネタを訪ねて三万歩[75]
 "ノスタル爺"と午前十時の映画祭
 海津ヨシノリ

■武&山根の展覧会レビュー
 文化は遺伝子に刻まれているのか?
 ──【暁斎・暁翠の描く能・狂言の世界─幽玄と笑い─】展を観て
 武 盾一郎&山根康弘



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■ネタを訪ねて三万歩[75]
"ノスタル爺"と午前十時の映画祭

海津ヨシノリ
< https://bn.dgcr.com/archives/20110420140200.html
>
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東日本大震災により被災されたみなさんに、心よりお見舞い申し上げます。私のもっとも好きな戦国武将である、陸奥仙台藩の初代藩主伊達藤次郎政宗の名言に「これは壮年にならなければできぬこと」というものがあります。「何歳だから出来ない」ではなく、「今だから出来ること」があるという切り替えの気持ちが、今すべての日本人に一番必要な時かもしれません。仲間を信じ、仲間と語らい、仲間と進んでください。

苦しいときは身内からの言葉より、友の言葉に勇気づけられることが多いのではないでしょうか。友、とりわけ旧友とは本当に不思議な存在ですね。そんな旧友と飲み交わす際によく出る話題が70年代、80年代への"ノスタル爺"。誰しも青春時代を美化してしまうのは仕方のないことと、承知の上で大いに盛り上がるわけです。

ところが最近、高校生や大学生といった若い人達と類似した話題になることが多々あり、そこで愕然としたのが若い世代もライブで経験していなかった70年代、80年代への"ノスタル爺"状態が案外強いこと。

彼ら曰く、音楽なら「今の音楽は作り込みすぎる」なのだそうです。映画にしても「CGを使い過ぎている」というのですから、思わず苦笑い。私の周りだけかもしれませんが、「アートの安売り」や「中身はテクニックだけ」に若い人達が冷静であることに少し安堵してしまいました。

考えてみれば「有名」あるいは「定番」だから優れているわけでもなく、物心ついた頃から思っている以上にメディアにまんまと振り回されていたような気がしてなりません。

具体的な製品名は避けますが、私自身がこっそり愛用している製品のサイトPRコーナーでの著名ユーザーのコメントは、読んだ瞬間に「絶対に愛用はしていないな」とか、「過去に競合他社製品使っていたことをメーカーは知っているの?」などツッコミの枚挙にいとまがありません。

どうでもいいことに目くじら立てている私が滑稽なだけで、皆さんにとってそんなことはガッテン承知之助(しょうちのすけ)なのかもしれませんね。もっとも、この表現そのものを理解できる方の方が少数派になっていましたね。

さて、世の中には時代が変わっても普遍的に人を感動させる作品があります。しかし、一生の間に聞くことのできる楽曲数、あるいは見ることができる映画の本数は限られており、人それぞれです。だからこそ、何かのシーンでスイッチが入ってしまうような作品に出会ったときの感動は、永遠の宝になりますね。

実は、若い人が名作に触れる機会が意外とないことを痛感していました。もちろん、強制することではありませんし、大きなお世話なのですが、個人的には学生さん達にぜひ見て欲しい作品があります。そして、そんな作品を見てくれた学生さん達の多くは、大興奮して感想を話しに来てくれます。それがとても心地よいのです。いいものは普遍的だ(と信じたい)。

そんな中で、東宝の粋な企画としてニュープリントで名画を鑑賞できるという「午前十時の映画祭」がうれしくて、実際に静かなブームになっていることを学生さん達にPRしています。学生500円ですからね。

実は、仲間内でも大いに盛り上がっており、赤の50本と青の50本からそれぞれ5本ずつお薦めを出し合うことがゲームになっています。誰と誰が被っているみたいなところで、趣味が合う、合わないとお祭り騒ぎ。また、誰もがシビアに選択を始めてしまうので、合計10作品をピックアップするまでにかなりの時間がかかってしまいます。ほとんど決まらないに近い状態、と言ったほうが正確かもしれません。

そりゃそうですよね。各50本はベスト100そのものですから。学生さん達からのリクエストに答える際のバイブルになっています。とにかく、理屈やウンチクをひけらかす偽物の映画好き(なんちゃって評論家)が周りにいない(近づけない)こともあって、映画の話になるととても気持ちがよくなります。忘れられないワンシーンとセットになっている当時の自分は、永遠に変わらない思い出ですからね。その頃の恋人を思い出してはにかむ......とか。

ということで、悩み抜いて選んだ私のベスト5は、赤の50本(スタンド・バイ・ミー、戦場にかける橋、大脱走、ミクロの決死圏、ワイルドバンチ)、青の50本(がんばれベアーズ、荒野の七人、ダーティー・ハリー、真夜中のカーボーイ、夜の大走査線)となりました。今回は、結果として全部DVDまたはVHSで持っているものばかり。結局、気に入っていたからソフトを手に入れていたわけですね。

・午前十時の映画祭
< http://asa10.eiga.com/2011/all.html
>

しかし、多くの作品はVHSが出る遙か昔の作品ばかり。当然ながら、映画館に出かけなくては鑑賞することができなかった時代の不便さが、今となっては新鮮に思えてしまいます。ただし、この「午前十時の映画祭」で少しだけ不満なのはリストアップされた作品に制作年度のバラツキが多いこと。出来れば本当に50年代編、60年代編という具合に分けてくれると最高だと勝手に願っています。ところで、そんな「午前十時の映画祭」が大人気にもかかわらず危機を迎えているのだとか。

現在の映画館はシネマコンプレックス形式が一般的で、新作上映が中心となっており、朝10時の一回だけの上映でも嫌な顔をする劇場がかなりあるそうです。また、オリジナルフィルムから新たにプリントを焼くための予算が重くのしかかり、配給会社は企画を認めつつも協力はしてくれず、映画演劇文化協会が公益事業としてお金を出す形で現実化しており、継続を危ぶむ声が出ているようです。それと、いつまでフィルム作品が上映できるのかという問題も迫っているようです。

とにかく、ただでさえ映画館離れが加速しているので、現場は必死なのかもしれません。私自身も基本的に映画館はマナーの悪い客に遭遇することを敬遠し、ほとんど出かけていないことを反省してしまいますが、やっぱり映画館はちょっと嫌です。そうなると、言っていることに矛盾が出てしまいますね。申し訳ないです。とにかく、レンタルでもかまわないので「午前十時の映画祭」に触れてみてください。

ところで日本映画も昔は案外と良かったのですよ......ね。ということで、勝手に50年代、60年代に絞った「午前十時の邦画祭」を選び、そのなかからベスト10を選択してみました。かなりの独断と偏見ですが、(七人の侍、用心棒、隠し砦の三悪人、ビルマの竪琴、大魔神、天国と地獄、二十四の瞳、生きる、陸軍中野学校、座頭市物語)という結果になりました。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[Black Panther]by 鷹虎 in 2006(日本)

映画音楽、アニメ、CMといった分野で活躍しているTAKATORAの作品。ただし、鷹虎とは作曲家である亀山耕一郎、出口雅生の二人のユニットで、固定メンバーは持たず、曲のコンセプトによりさまざまなミュージシャンを起用という独特のスタイルをとっています。そのため、この曲を誰が歌っているのか分かりませんが、透き通った声と心落ち着くメロディーでとても癒やされます。

[ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡〜]by 佐藤信介 in 2009(日本)

誰でも子どものころに大切にしていたはずなのに、いつの間にか「ほったらかし」にされてしまったオモチャや絵本といった宝物たち。「ホッタラケの島」は、そんな「ほったらかし」にされてしまった宝物を集めて作られた不思議な「ホッタラケの島」に迷い込んでしまった女子高生「はるか(遥)」の冒険物語です。主人公「はるか」を綾瀬はるかが担当しているのですが、演技力はさすがですね。ホッタラケの島の住人であるテオと、亡くなった母親の手鏡を探し出す中で、自分がなくしてしまった人形「コットン」との再開シーンは感動的です。そして「人が最後にほったらけにするもの、それは思い出」というテオのせりふは誰もが忘れてはならない金言だと思います。少しだけ号泣(私だけ?)してしまいますが、お薦めです。

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■アップルストア銀座でのハンズオンセッション 第4回
2011年5月16日(月)18:30〜20:00 Apple Store Ginza
Hands on a Macとしての画像処理セッション

『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.56』Photoshop CS5によるレタッチ技法に関するハンズオンセミナーを行います。なお、偶数月に行われる従来通りのセッションと異なり、奇数月のハンズオンセッションは予約が必要となります。なお、予約などはAppleに一任しておりますのでご了承下さい。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com
>
< http://kaizu-blog.blogspot.com
>
< http://web.me.com/kaizu
>

15年ぐらい前に購入した、FUJIX PICTOGRAPHY 3000という100kgを超えるプリンタの消耗品が2010年5月で終了してしまったので、持っている意味が本当になくなってしまいました。引き取り手などいるはずもありません。そもそも使わなくなって8年ほど「ホッタラケ」にしていた私が悪いのです。

とにかく、仕事部屋は3Fで、運び出すためには部屋半分の引っ越しをしないと無理な状態。だからといって、永遠に部屋に置いておくこともできないので、部屋の中で時間を掛けて分解後に処分することにしました。工具類は本格的なモノを色々と持っているので困りません。

それに、このプリンタはインク類は一切必要とせず、特殊なガスなども含まれていないので、危険要素はまったくないので分解することにしたわけです。大人の事情で廃棄できない機械類を分解処理したことが何度もあり、分解そのものは得意分野です。ただし、今まではほとんどがプラスチックの塊でしたので、今回はある意味で初体験。

結果として3日(都合10時間)かけて、すべてのパーツを完全に分解することに成功しました。つまり、元に戻そうと思えばできるような状態で分解。ネジだけで大型のマグカップ一杯ほどになりました。プラスチック類は大田区の規定に従い、小さくカットして可燃ゴミとして出しました。問題は残りの90kgほどの金属類。これらは配線関係とともに、近所の鉄屑屋さんへ車で運んで引き取ってもらいました。

4月11日、予想よりも早くAdove CS5.5がリリースされましたが、年末に予定通りCS6が出るとすればアップデートは躊躇しますね......と青ざめました。ところが、今後はメジャーアップデートを2年ごとにすると公式発表も同時に行われました。しかし、それは単なる言葉のアヤでしかないですね。

だって、2年ごとの間に今回のようにX.5というマイナーアップデートがあるとしたら、実質アップデート間隔は1年ということです。表現を変えただけですね。そして、そもそもサイトを見た限りでは、CS5での新機能をCS5.5の新機能と記載している部分があり、違いがイマイチ良くわからないのも「困った」に拍車かけますね......。

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■武&山根の展覧会レビュー
文化は遺伝子に刻まれているのか?
──【暁斎・暁翠の描く能・狂言の世界─幽玄と笑い─】展を観て

武 盾一郎&山根康弘
< https://bn.dgcr.com/archives/20110420140100.html
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山:こんばんはー!

武:おはこんばんちは! んちゃ!

山:ほう、、しょっぱなからなかなかつまらないじゃないですか。

武:中学1年の時に好きだった女子がアラレちゃんに似てたもんでね。

山:関係ないやないか。


武:あの頃の気持ち、あの身悶えする甘酸っぱい感傷を、いつでも胸に呼び醒ませるようにキープしてるのさ。これも訓練なのだな。

山:ああ。ないものねだりっちゅうことか。

武:そうだなw まあセンチメンタルな。けど思い出して自分で自分に憑依できるよ。

山:してどうすんねん。

武:制作するんですよ。


山:ほー。まあそんなことはどうでもええねんけど。

武:どうでもいいって! そうそう、昨日は呑んだなあ! 西川口!

山:呑みましたねー! ってそんなに呑んだんかな。記憶がないので。

武:帰路をまるで覚えてない。起きたら家だった。びっくらしたわ。ポテチとワンカップがあるw そしてツイートもしてる。もう自分が怖いわ。

山:僕もどうやら帰りにコンビニで酒を買ったらしいけど、手は付けてなかったぞ。


武:俺、呑みかけ。今呑んでる。

山:二軒目の立ち飲み屋の途中までは覚えてるねんけど。

武:俺もw 1軒目の24時間居酒屋で焼酎ボトル空けてるもんなw

山:なんか悪さしてへんかったかな。

武:俺もすんげえ不安。西川口の街の雰囲気がまた男の血をかき立てるからな。


●西川口駅から歩いて行く河鍋暁斎記念美術館


山:さて、本題です。本日は初めての場所ですね。前から気にはなっていたが行ってなかった、河鍋暁斎記念美術館です!

「暁斎・暁翠の描く能・狂言の世界─幽玄と笑い─」展
< http://www.ac.auone-net.jp/%7Eganka/top_page.htm
>

河鍋暁斎(かわなべきょうさい、1831年5月18日〈天保2年4月7日〉─1889年〈明治22年〉4月26日)は幕末から明治にかけて活躍した絵師である。歌川国芳に入門後、狩野派に再入門、その後独立。酒乱だったり政治批判で捕まったりしてます。えーと、なんでしょう、全く困った人ですねー。


武:いやあ、結論から申しますと良かったなー。絵っていいなあ。幕末〜明治という時代もいいよなあ。江戸時代ってフィクションとして認識してるんよね、俺。で、明治から「日本が始まる」というか。そういう江戸と明治の断絶が史観としてあるんですよ。


山:フィクションなんか。

武:江戸時代より遡るとメルヘンになっちゃうのよ。だけど河鍋暁斎のように江戸から明治にかけて仕事してた人も当然いるわけで。

山:そりゃそうやなw 僕の好きな月岡芳年とほぼ同世代ですね。

武:けっこう、意識してたりしそうだよね。

山:二人とも国芳門下生か。

武:そうそう。すんげえライバルだったんじゃないかな?

山:どうなんやろね。意識はしてそうやな。


武:暁翠は暁斎の娘。館長さんの祖母にあたる人なんですよね。やべえ! 暁翠って女子美だ!

山:何がやばいのか解らんが。。。タイトルにもある通り、この方の絵も展示されてました。

武:浮世絵って江戸時代のメルヘンチックな世界なのに、館長の祖母というリアリティに最初ちょっとビックリしました。暁翠は浮世絵師かというとちょっと微妙ですが。


山:言うても100年ちょっと前の話やからね。それほど昔でもないやんか。江戸時代。

武:そうなんだけど、とても遠く感じるよね。

山:まあ実際には知らんしな。

武:俺の遺伝子にこういう江戸は刻まれてるだろうか?


山:あ、なんかすごくいいレビュー見つけた。
< http://wedge.ismedia.jp/articles/-/310
>
  もうこれでええかw お疲れさまでした!


武:おい! 一応それっぽいこと俺たちも言っとこうよ。

山:赤瀬川原平が書いてるんやし、もうええやんw

武:赤瀬川原平なのか!

山:そうみたい。

武:赤瀬川原平でいいわw エスタブリッシュメントなレビューはこちらを参照して下さい。


●まるで知らない能狂言


山:で、今回の展示は能・狂言画を集めた展示でした。

武:そうですね。解説文があるのですが、それをじっくりこらえて読みますると能と狂言がほんのり分かってきて、そうなると俄然面白くなるんですよ。展示の流れはこれ。

江戸時代に能が武家の式楽(公儀の儀式に用いる音楽や舞踏)となって以後、能の正式な曲組は、「五番立」となりました。能の曲目は、初番目物(脇能)・二番目物(修羅物)・三番目物(鬘物)・四番目物(雑物)・五番目物(切物)という五つの曲籍に区別されており、一度の公演では、まず「翁」(式三番)という儀式的な曲を上演し、その後は、五つの曲籍から一番ずつ選曲していって五曲上演しました。狂言は、初番目以後、能と能の間に配置して、四番上演されたのです。

式三番(「翁」)→初番目物(脇能)→狂言(脇狂言)→二番目物(修羅物)→狂言→三番目物(鬘物)→狂言→四番目物(雑物)→狂言→五番目物(切能)

今回の展覧会では、皆様にも「五番立」の曲組で能狂言の作品を楽しんでいただきたく、曲順に並べた能画の間に狂言画を挟むように展示しました。往古の舞台と同じく、緊張感漂う幽玄な能画の合間に可笑しみや笑いのあふれる狂言画でひと息入れながらお楽しみ下さい。
< http://www.ac.auone-net.jp/%7Eganka/tenji_genzai.htm
>


山:確かに絵だけ観てても、ほんとにうまいし見とれるんですが、能狂言がわかるとさらにおもしろいんやろね。

武:そうだろうなあ。10年前に観たらここまで面白いとは思わなかっただろうなあ。こういうのが好きな今の自分にビックリしたなあ。


山:僕は能狂言はほとんど知らないけど、暁斎の絵はそもそも好きやったんで、やっぱりええなあ、という感じでした。

武:筆づかいがね、いいんだよなあ、ホント。娘さんの暁翠も丁寧で上手な絵なんだけど、やっぱり違うんだよ。躍動感っての? あんな風に描けたら楽しいだろうなあ。


山:実際に描くスピードもかなり早かったみたいやね。

武:酔っぱらって描いてるのもありましたが、それもいいんだよね。リズム感かなあ。日本画系ってさ「絵が止まっちゃってる感」ってあるじゃないですか。それがないんだよね暁斎。


山:暁斎が浮世絵を取り入れたりしてるからなんかな。

武:それはあるよね。映像的なんだろうね、浮世絵って。

山:劇画と言うかね。


●なぜ好きになる?


武:そうね。こういうの好きになるとは思わなかった。歳なのか、それとも遺伝子なのか。浮世絵って「日本なのに知らないもの」としての興味はあったけど、絵そのものが好みだったか? というとそういう自覚はなかったんですよ。けど「実は好きだった」のだろうか?とか、いろいろ考えてしまった。

山:何を一人でぶつぶつ言ってんねんw


武:誰か説明してくれ! この感覚を! もどかしい! うーんと、浮世絵のメタファーは好きだったけど、絵面が本当に好きだったかと言うと、そうでもなかった。20代。そういう自己認識だった。けど、今は好きなんですよ! これはそもそも好きだったことを発見したのか? 好みが変わってこういうのが好きになったのか? 歳のせいで保守化したせいなのか?遺伝子がそうさせるのか? そもそも保守化ってなんだ? とか、いろいろ考えてしまうのです。


山:暁斎美術館には浮世絵は展示されてなかったけどな。

武:ああそうか。あれは何画になるんだ? ざっくりと日本画か? 幕末明治画か?

山:日本画になるんやろけど。なんやろねえ、例えば武さんは「浮世絵」というジャンルにはさほど興味はなかったけど、独特の筆致には反応はしてたんじゃないんですか。ただ武さんの場合、自分では描けない、と思ってたんやろうから、あまり気にはしなかった、とか。僕は中学ぐらいのときよく模写してたからな。好きやったんで。

武:暁斎の模写?

山:いや、浮世絵の。

武:大首絵?

山:大体そうやな。

武:へえ! 俺は小学生の時、藤子不二雄と手塚治虫の模写だなw クラスメイトに描いたりしてたな。ブラックジャックw


山:そう言えば漫画もかいてたな、、ということは結局のところ、身近にそういうものがあったからってことなんか。いや、浮世絵なんてどこにあったんやろ?

武:俺ん家にはなかったなあ。

山:うちにもなかったと思うねんけど、どこで見てたんやろ。漫画はまああるよな。

武:ユトリロの画集があったのは覚えてるが、子どもの俺はなんの食いつきもなかったな。あとサザエさん全巻あったな、いじわるばあさんとか長谷川町子は揃ってたw


山:だいたいね、お能みたことありますか?

武:ないですねえ。テレビでなんかの場面を観たくらい。

山:ちゃんと観る機会ってほとんどないよなあ。

武:行くきっかけがつかめない。

山:じゃあ次のレビューはお能でw


武:どこでやってるんだ? そしていくらくらいかかるんだ?

山:< http://www.nohkyogen.jp/event/kanto/index.html
>

武:1万円かあ。アーティストはタダにしてくれ!

山:安いのもあるぞ。へー、結構やってるんやな。

武:江戸から明治の能狂言の位置付けって現代のそれとは違うよね、きっと。

山:江戸幕府に保護されてますから。

武:見る側の位置付けよ。今に例えるとどんな感じだったのかなあ。


山:ミュージカル観に行く感じとか。

武:ミュージカルなんてそうそう観に行かないじゃん。

山:行く人は行くんとちゃうの? じゃないとあんなにやらへんやろ。

武:劇団四季は2回ほど観たけど。おばちゃんたちがいっぱいいたよ。

山:観てるやんw 歌舞伎も同じやろ。

武:庶民はミュージカルなんてしょっちゅう観に行かないだろ。

山:能だってそうやろ。ただ寺や神社とかでやる薪能とかもあるから、結構観てたんか? 調神社にだって神楽殿あるしな。どうなんやろ。


武:能狂言がすこぶる高尚なのかと思ったりもするけど、解説文章を読むと、ストーリーは案外と俗っぽいのよね。神様と関係してる感じが高尚っぽく感じちゃうんだろうけど、昔からしたら神々も俗っぽいわけだからなあ。

山:悲劇と喜劇、ということなんかな。能は幽霊ですね。

武:ああ、幽霊か。そんなに悲劇はないような気がする。。荒唐無稽な感じなのはあるよね。


山:うーん、、これはちゃんと観たり調べたりしないと何もわからんw

武:そうね。ではお能を観に行くとしますか。いざ篠原演芸場へ!
< http://0481.jp/c/shinoharaengeijou/
>

山:それは大衆演劇やないか!

【河鍋暁斎記念美術館】
< http://www.ac.auone-net.jp/%7Eganka/top_page.htm
>
開館時間:10:00〜16:00(16:00まで入館可能です)
休館日:毎週木曜日(祝祭日は開館)/毎月26日〜末日・年末年始
入館料:一般300円、学生200円、小学生以下100円

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/制作配信再開】
take.junichiro@gmail.com
twitter < http://twitter.com/Take_J
>
Take Junichiro Art works
< http://take-junichiro.tumblr.com/
>
制作配信してます:Ustream
< http://www.ustream.tv/channel/Take-Junichiro-live-drawing
>
制作日誌:武盾一郎のはてな
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/
>

【山根康弘(やまね やすひろ)/温泉行きたい】
yamane@swamp-publication.com
SWAMP-PUBLICATION
< http://swamp-publication.com/
>

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■編集後記(4/20)

・「やっぱりチェルノブイリ級」というナンセンスと思える大騒ぎのなか、唯一"煽らない"週刊ポストが検証する「福島第一原発 考えうる『最悪のシナリオ』」を読む。それによれば、全体状況として安全度が少しずつ増しているようだ。メルトダウンの可能性は低い。いま起き得る「爆発」は「水素爆発」であるが、可能性は低い。起きたとしても格納容器に損傷を与える破壊力はない。「水蒸気爆発」の危険はほとんどない。ただ、大事故の原因となった電源問題は解決していない。最悪のシナリオとは、何か月も先まで放射性物質が漏れ続け周辺を汚染することであり、「福島がチェルノブイリになる」とか「原子炉が大爆発して東京も大量被曝する」といったことはない。それはデマや煽りの類である。と聞くと少し安心するが、「あなたは生きのびられるか」「現実は想像を超える」なんて"煽り系"週刊誌記事のタイトル見ただけでまた不安が...。原発反対派や煽り派ほど"原発は危険であってほしい"と願っている、との見方もある。やはり、政府や東電が正確な情報を出さないから、不安や疑念が強まり煽りが蔓延するのだ。だから正しい知識と冷静な判断を、なんて言われてもなあ。何が正しいかよくわからない。ところで、今回の事故は何の心配もない、原発敷地内の放射線レベルであっても何の問題はない、と極端にお気楽な"医学的科学的真実"を力説する稲恭宏博士のYouTube見ると元気が出るけど...。むしろ広瀬隆が南大隅町で2010年3月7日に行なった講演「放射能のゴミを考える」は、見ておいたほうがいい。「危険な話」だけど。(柴田)
<
>
放射能のゴミを考える-01

・たかじんの委員会で、放射能は体に良い、という話があったなぁ。統計まで出してた。DNAを破壊するほどの量でなければという前提だった。が、まだ放射能漏れは止まっていないわけで、油断はできないし、何かあった時に泣くのは自分だから、警戒し続けるよ。/実は地震後に、「原発は安全」前提の原稿を依頼され、一度は断った。自分が安全と思っていないのに書けません、読者に責任とれません、と。なのでそもそも原子力や原発、放射能ってどういうもので、個人でできる安全対策ってどうなんだろうというテーマになった。個人的にも放射能の知識が欲しかったせいでもある。3,000文字ほどの記事なのに、調査にどれだけの日数をかけただろう。関連するテレビを見、サイトを探す。報道は日々アップデートされるので、原稿が出来ても提出はぎりぎりにした。後だし情報ばかりでいらついたさ。原子核、原発と原子力爆弾、チェルノブイリとの違いから、放射線や放射性物質、単位、被曝経路と予防方法、悪影響や対処期間など。基本知識を学び、対処しようという内容。セシウムによるガン治療について書かれた医療機関サイトをいくつか見つけたんだけど、いつの間にかセシウムについては消されているところもあったなぁ。あ、東京電力の原子力を学ぶページがなくなってる! 経済産業省や文部科学省ページもなくなってるわ。閉鎖コメントもなく、Not Foundか。googleにキャッシュは残ってる。文部科学省はNot Foundになっているが、位置が変わっただけのようだ。(hammer.mule)
< http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/922.html
>
中略のところで、裏付けになる統計グラフが提示されたりしたのだが
< http://www.tepco.co.jp/life/index-j.html
>
学ぶ・知る・楽しむ(東京電力)
< http://www.tepco.co.jp/nu/index-j.html
>
原子力(東京電力)
< http://www.enecho.meti.go.jp/genshi-az/
>
子供向け「なるほど!原子力 A to Z(経済産業省)」
< http://www.enecho.meti.go.jp/
>  バナーは残ってる
< http://www.atomin.go.jp/atomin/high_sch/reference/atomic/
>
「あとみん 原子力・エネルギー教育支援情報提供サイト」は、
< http://www.atomin.go.jp/reference/
>
原子力のインデックスページがなくなっただけか
< https://bn.dgcr.com/archives/20110419140100.html
>
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