[3141] サルーデニャでMANGA講演&ワークショップ

投稿:  著者:


《グローバル化でイタリアに封建社会が出現》

■買物王子の家づくり[16]
 上棟に感動もひとしお
 石原 強

■ショート・ストーリーのKUNI[105]
 アンナ
 やましたくにこ

■ローマでMANGA[45]
 サルーデニャでMANGA講演&ワークショップ
 midori



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■買物王子の家づくり[16]
上棟に感動もひとしお

石原 強
< https://bn.dgcr.com/archives/20111027140300.html
>
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ついに上棟しました。

基礎工事も終わって、いよいよ家づくり最大のイベント「上棟」です。家の柱や梁を組み立てて、屋根の一番上の部材である棟木が取り付けます。この段階で家の形が見えるようになります。待ちに待った瞬間です。

●土台敷き

最初は土台敷きです。基礎コンクリートの上に土台を敷きます。ここに柱を建てていくので、家を支える大事な部分なのです。現場には、プレカットされた材木が積まれて作業が始まっていました。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/01 >

プレカットとは、「継ぎ手」「仕口」などと呼ばれる接合部分の加工を工場で行うことです。以前は大工さんが現場で行っていた作業です。材木には図面にあわせて設置場所や差し込む柱を示す印がついてます。「いろは」の印に日本らしさを感じます。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/02 >

現場では、図面で指定された位置に土台を設置していきます。作業は2人で行っていました。基礎の上に気密パッキン材を敷いて、防腐・防蟻剤を塗布した土台を載せていきます。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/03 >

翌日に完成していました。この日は作業がお休みですが、上棟に備えて材木が搬入されました。山のように積まれた材木は、雨に濡れないようにブルーシートで覆われています。ここにある木材を組み上げると家ができるのかと期待が高まります。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/04 >

●ついに上棟

翌日からは、いよいよ上棟です。土台の上に柱を立て、次に柱と柱を梁でつないでいく作業です。午前中に見に行ったときには、作業は始まっていて既に一階の柱が立っていました。

家の外周部の構造材である「胴差し」を組み立てているところでした。太い材木を柱の上に持ち上げて、大きな木槌でテンポよく打ち込んでいきます。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/05 >

一階の外周が終わったところで、ちょうど休憩になったので、差し入れを渡しながら、職人さんに声をかけてみた。「これから、どんな風に進む予定ですか?」と聞くと、「今日は二階までかなあ、クレーンが入れば一日で終わるんだけど、一本ずつ手で上げないといけないから時間がかかるんだよ」

続いて床を支えるための構造材である床梁(ゆかばり)の取りつける作業にかかりました。南側から、一本ずつ二人がかりで梁の両側を木槌で打ち込んでいきます。仕事があるので一日目の見学はここまでです。後ろ髪引かれる思いがしました。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/06 >

二日目は、10月後半なのに晴天で26度と暑い日でした。昨日聞いたとおり、二階まで組み上がっていました。三階の柱と梁を一本ずつ二階に持ち上げています。重い柱をロープを使って持ち上げています。これをさらに三階まで上げるのは、確かに大変そうです。汗だくで作業していいただいて本当にありがたいです。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/07 >

三階を建てる前に、二階のゆがみを修正します。水準器を見ながら、柱につないだロープを引いて、正確に水平垂に直します。直出します。終わったところは、ゆがまないように仮設の筋交いを打ち付けて固定します。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/08 >

同時に三階の柱と建てるために、三階の床を張ったり、梁のボルトの締め付けをしています。高い所の作業ですが、きびきびと作業をしています。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/09 >

三階を建てる前に休憩。職人さんに「柱が多いですね、きっと丈夫な家になりますよ」とお墨付きをもらった。三階建てで構造計算もしているけれど、現場で働いている人が見ても大丈夫というのは安心感あります。今日もまた仕事なので、完成する所は見られないのが残念。

翌日は三階まで完成していました。屋根の部分には短い柱が並んでいて、城壁みたいにも見える。こうして立ち上がると感動もひとしおです。家の骨格である軸組はとてもきれいです。家の周りをまわったり、南側の道路から見下ろしたりしながら感想は、自分の家ながら「どこから見てもいいなあ」いくら見ていても飽きません。
< http://dgcr.com/kiji/20111027/10 >

●隣を見てびっくり

現場に行った時、ふと気になって隣の家を見ると壁の色が「黒」でした。絶対被らないと思っていたのでびっくりしました。しかも仕上げも、うちが選んだのと似たストライプ状の窯業系サイディングです。先を越された感じがしてちょっと悔しい。でも黒い家が二軒並ぶのなんて稀だから、隣との関係も含めて、どんな風に見えるのか楽しみになりました。

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
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上棟の日は天気がよくてとても気持ちよい日でした。雨が降ると作業ができなくなってしまうので、毎日、天気予報をチェックしています。この調子で完成までスムーズに進むことを祈ってます。

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■ショート・ストーリーのKUNI[105]
アンナ

やましたくにこ
< https://bn.dgcr.com/archives/20111027140200.html
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午前の仕事を終えたマイケルは工場の中庭をイアンと散歩していた。太陽がおだやかに地表を温めている。

「今月の仕事はきつかったなあ」
「うん。欠員が出たからね」
「スタッフの配置はもっと計画性をもってやってもらいたいもんだ。こっちは言われるままなんだから」
「まったくだね」

そのとき青空からひゅーっとボールが飛んできて、彼らの脳天めがけて落ち...そうになったのをマイケルがキャッチした。イアンはちっと舌打ちした。
「どこのどいつだよ。あぶないなあ」

すると彼らのいる土地より一段低くなっていて、フェンスで隔てられたグラウンドから女がこちらを見ているのに気づいた。くりっとした目が魅力的だ。マイケルがボールを示し「君の?」と聞くと女の口から奇妙な音声がもれた。
「ぷぷぷぷーとぅるるるっぷー」

午後にはもう、マイケルは恋する男になっていた。イアンはすぐにそれを察知した。
「あんなのが好みか?」
「うん」
マイケルは仕事の間もずっと、思い出してはにこにこしていた。

彼女は次の日もグラウンドにいた。仲間たちとボールを投げたり受け取ったりという単純なゲームをしていた。「ぷぷ、ぴー」「ららららったり」「るるらりりり!」と言う意味不明な声が飛び交っていた。どうみてもあまりおもしろそうなゲームではなかった。

マイケルは頃合いをみはからって彼女のそばに近づき、話しかけた。
「名前はなんていうの?」
「ぷぷ、ぷぷ、ぴー」
「その髪飾り、似合ってるね」
「とぅららったら、とぅりーら?!」
「きみの顔を見ているとなんだか楽しいんだ。はじめてだ、こんなの」
「たばた、だ、んだんとぅら」

彼女もマイケルを見てほほえんだ。言葉は通じなくても気持ちは通じているような気がした。だけど、言葉が通じたら、もっと楽しいだろう。

マイケルは彼女に夢中になった。一日中いっしょにいたいと思った。
そうだ。
彼女も自分と同じ工場で働けばいいんだ!

「おまえ、全然わかってないんだな」
イアンがあきれて言った。
「何を?」
「あの女には無理だよ。古いから」
「古いって?」

「おれたちには工業用ロボットの中でも最新のOS20、愛称『デイジー』がインストールされている。このOSで実用化された初のロボットがおれたちだ。今後当分はデイジーの時代が続くだろうと言われている革新的OSだ」
「うん」

「ところがあの女、いや女ロボットに搭載されているのは古いOS19、いわゆる『リリィ』だ」
「リリィ」
「そうだ。だから会話も成立しないんだ」
「そうなんだ」

でも、マイケルはあきらめない。マイケルは寝てもさめても彼女のことしか考えられないのだから。

「ねえ、イアン」
「なんだよ、マイケル」
「彼女のOSをアップグレードするのはどうしたらいいの?」
「できないよ」
「なんで」

「新しいOSをインストールしても彼女のハードが対応できない。デイジーが動くにはそれなりのスペックでないと無理だし、全部入れ替えるならともかく、OSだけならむしろ今使っているいろんな機能がだめになってしまう」
「ていうと」

「うーん、たとえば二度と走れなくなるとか音声が失われるとか。いや、もっととんでもないことが起こるような気もする。でも、正直よくわからないな、おれには」
「ふうん」

「あきらめろよ。いまでも仲いいんだろ?」
「そのつもりだけど。もっといろんなことをわかりあいたいし、他愛のないおしゃべりとかしてみたいし...そうだ」
「ん?」

「ぼくのほうをダウングレードすればいいんだね?」
「え、デイジーからリリィへ?」
「うん」
「やめたほうがいいよ」
「なんで」

「技術的にはできないことはないかもしれない。たぶんできるんだろう。一部支障は出るとしても。だけど、リリィ搭載のロボットはいまでは単純労働しかさせてもらえない。当然賃金も安い。すむところはあのグラウンドの奥の、さらに一段低くなった土地にある旧式のアパートだ」
「別にいいよ」

「おれたちは休憩時間にサッカーでも野球でも何でもできるだろ。あいつらはせいぜいキャッチボールもどきのゲームしかできない」
「いいじゃないか」

「何より残念なことに、おれたちロボット間でも差別意識というものがある。デイジーなら最先端だからどこにいっても丁重に扱われるが、リリィになった途端にさげすまれるおそれだってある」
「そんなことがあるもんか。現にぼくは彼女のことをさげすんでなんかいない」

「おまえは何もわかってないよ、マイケル」
「とにかくぼくはダウングレードしたい。イアンはぼくの気持ちを全然わかってないんだ。親友だと思ってたのに」
「おまえのためを思って言ってるんだ」
「うそだ!」

イアンは一瞬沈黙した。
「そんなに言うなら、おれは止めない。探せばやってくれる業者はいるだろう。金さえあればね。でも、いまのすべてとさよならすることになるさ。おれも含めて」

なんでイアンはあんなに反対するのか、マイケルは全然理解できなかった。彼女といっしょにいたい。同じ世界を共有したい。そのための方法があることがわかっているのに何もしないなんて、おかしいじゃないか?

マイケルはありったけの貯金を持って、ネットで探したあやしげなダウングレード屋に行った。勤務先の工場お抱えのロボット管理士はそんなことはしてくれなかったし、だいたいダウングレードすることは今の工場にいられなくなることだった。そう、イアンの言う通り、すべてとさよなら。そんなことができるのは恋する若者だけだろう。ロボットの世界でも。

3日後、自分の体でありながらどこかそうでないような違和感とともに、マイケルはあのグラウンドにやってきた。彼女がいた。
「やあ!」
マイケルが話しかけると彼女が答えた。

「あら、どうしたの?! 会話ができる」
なんてことだろう。彼女の発する音声が、普通の言葉に聞こえる!
「OSをリリイに、したんだよ。君と話が、できるようにね」
「ほんとに?! うれしいわ。前はあんたの言葉はいつも、しゅしゅしゅしゅっとしか聞こえなかったけど」

そうか、自分の声はそんなふうに聞こえていたんだ。
「君の名前は、なんて、いうの? 会話、ができるようになったら、真っ先に聞こうと、思ってた」
「アンナよ」
「そうか。アン、ナ、か」

マイケルはうれしくてたまらなかった。ああこれからはずっと、アンナとおしゃべりできる。かわいいね。好きだよ。愛の言葉をささやくこともできる。ぼくたちの気持ちはどんどん深まるだろう。手をつないだらどんな気分だろう? もっと早くダウングレードすればよかった。

「よかったらあたしたちとゲームしない? いつもやってる、ボールを使うゲーム。見たことあるでしょ?」
「ああ、一度やってみた、いと思ってたよ!」

ところが、いざやってみるとマイケルには難しくてできなかった。ルールの一部が何回やっても覚えられないのだ。マイケルがミスばかりするせいで、ゲームが進まない。

「ごめん。なんで、できな、できないのか、自分でもわからない」
「だいじょうぶよ、慣れてないからだわ」
アンナが気遣いながら言う。マイケルはベンチにすわろうとしたが、そのとき上着のポケットから一枚の紙片が落ちた。アンナがさっと拾い上げた。表情が険しくなる。

「何これ」
「あ...ダウングレード、完了証明、書だ」
「あんた、リリィはリリィでも19.1なの?」
「そのよ、うだな」
「あたしたち、みんな19.5以降なんだけど」
「え?」

「どうもおかしいと思ったわ。しゃべりかたはぎこちないし、覚えは悪いし」
急にアンナの口調が冷たくなった。奇妙な生き物でも見るような目つきでマイケルを見る。

「19.4以前のロボットはあっちの区画にすむのが普通よ。ていうか、あたしたちといっしょに生活するって無理じゃないかしら」
アンナは赤錆色のバラックが密集する一角を指で示した。

「それに、その余分な腕、すごく目障りなんだけど」

アンナはマイケルの胸元にある3本目の腕を指し示した。それはデイジーで初めて有効に機能する第3の腕で、大幅な仕事の効率化を約束するものだ。そのためにマイケルたちは賞賛とともに世に送り出されたのだったが、いまはだらんと下がった役立たずの醜い物体でしかない。

マイケルは、いつの間にかたくさんのロボットが集まっている自分のまわりを見わたした。2本しか腕がないロボットたちのほうがはるかに美しく、自分は醜かった。アンナが露骨に眉をひそめていた。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/
>
< http://yamashitakuniko.posterous.com/
>

と、こんな話を書いた私は自分のiPhone4をiOS5にアップデートできてないまま。iTunesも最新バージョンにしたのにデバイスが表示されなくて「?」。いちおういろいろ調べて試みたけど、なんだか疲れちゃって中断。だいたいふだんあんあまり使ってないWin機でやらねばならないのが、何というかどうも......またそのうちやってみます。

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■ローマでMANGA[45]
サルーデニャでMANGA講演&ワークショップ

midori
< https://bn.dgcr.com/archives/20111027140100.html
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先月の続きで、サルーデニャのお話を。今回は、結果報告です。

この漫画関係のイベントを担当したのは、ロベルト君(33歳)というのそっとした感じの大男君だった。実際には、メガネと髪型のせいで太ったカマキリを思わせる青年と、私と同じ歳の中年氏もいるのだが、この二人は定職を持っているので、時間を自由に使えるフリーランスのロベルト君が、会場の展示や、椅子並べや、オーディオまで一切を仕切ったとのこと。

だから、プロジェクターが使えるかどうかという心配は無用だった。ロベルト君が前日からテストをして、しっかり準備してくれていた。

ご当地、ノルベッロはサルデーニャ州の州都カリアリから130キロほど北西に行った山の中の小さな町。人口1700人ほどで、主な産業はコルク生産と羊の放牧などの畜産と農業。若い人のほとんどは近隣の町へ仕事に行くそうだ。
↓宿にあったコルクの木
< http://p.tl/R5hh
>
↓羊さん
< http://p.tl/6NI3
>

いかにも溶岩起源の、穴がボコボコ開いた岩を直方体に削って建材としたものを重ねて家を作り、三階止まり。道も細く、どこからでも山影が見える小さな街で、なんとなくほっとする。
↓こんなかんじ(この写真では山は見えないけど)
< http://p.tl/8JF4
>

さてさて、当日は街をあげての葡萄狩り祭りの日と重なった。100年前の服装をした人々と、昔ながらの馬車を繰り出してのぶどう狩りと、歌と踊り。そのせいで、午前中11時からの「漫画の歴史と日本文化」の参加者は10人程度と、準備をしたロベルト君、がっかりすることしきり。前日の同様の講演では、満杯の人だったとのこと。

町の図書館の会議室で、100平米位かな? 窓際にスクリーン、その前にイタリアン・モダンな大きなテーブル。その上にロベルト君のノートブックPC。テーブルの前に背高椅子、その上にプロジェクター。そして赤い布張りの椅子が30脚ほどならんでいる。

ゆかたを着ていた私は、せっかく早くから来て待ってた人のために少しサービスしようと、テーブルから離れて座席の方へ行きキモノを見せた。ボタンがなく、紐で綴じるのだよとか、サイズは余裕があって一つのサイズでかなりの幅があるとか。

●第一部「漫画の歴史」独演会

こうやって人の前で話すのは、学校の授業のせいでだいぶ慣れたけど、イタリア語が正確でないのが悲しい。なるべくゆっくり、急がないで、分かりやすさを念頭に置いて喋った。

「漫画の歴史」としてネットからダウンロードした画像の中に、MANGAの先祖とされる「鳥獣戯画」はもちろん、「平家物語」や「大伴大納言」などの絵巻も入れて、これを先祖として紹介した。
このために検索していて、「福富絵巻」というのを発見して、これも入れた。知りませんでした。すみません。
< http://p.tl/8TEU
>

放屁の芸を身につけて、富豪になるという、お笑い。これ、後のMANGAの先祖でなくてなんであろう。それぞれの性格あり、表情あり、背景で当時の家具などの情報あり。日本って、昔から絵物語が好きだったんですよ。

そして、次のステップとして江戸の滑稽本。鳥羽絵。
< http://f.hatena.ne.jp/utu/20061115010912
>

江戸になると、木版印刷で綴じて本状にしてるので、現代の感覚にかなり近くなる。ここも、フィクションで、大げさな表情と動きの人物がいて、ヒドイのになると、人物のそばにその人のセリフが書かれている。こりゃMANGAじゃありませんか!!

たぶん歌舞伎や落語の人情話、生き別れ親子の奇跡的再会とか、花魁との結ばれぬ恋とか、そんなのもベースになってるんじゃなかろうか。もう、延々と続いてきて、今のMANGAになってるんだ、としみじみ。

江戸の後は一気に飛んで「のらくろ」。コマ割りがまだ舞台を見ているような、同じアングル。でも、一つのキャラが育っていくという今のMANGAとアニメの基本が見られる。

そして手塚治虫。
↓(takumi429さんのブログが面白い)
< http://shakaigaku.exblog.jp/16634438/
>
「新宝島」で、映画的な動きを見せる手法を編み出している。

現代漫画の父、神様と呼ばれるのも頷けます。
講演会場の皆さんもうなづいてました。

そして、私自身の思い出の作品、ちばてつやの「ユキの太陽」をあげた。
< http://chibapro.co.jp/?tbl=work&id=39
>

「週刊少女フレンド」創刊号に載っていて、一番印象に残った作品。それまでも貸本屋などでMANGAは読んでいた。でも私と同じような少女画主人公で、感情移入がたやすく、それでもはらはらな展開。孤児のユキが、お金持ちなおじさまの養女になるということが決まり、喜びのあまりシャベルでこのオジサンの頭を殴っちゃう場面で、私もおもいっきり頭をガツンとやられて、MANGAがますます好きになった作品なのでした。

それから、貸本系の大人向けMANGAは白土三平に代表してもらった。
続くは水野英子の「星のたてごと」。少女のロマンチシズムをいやが上にもかきたててくれた。
< http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-02-25
>

「ユキの太陽」「星のたてごと」こんなに毛色の違う少女漫画を読めたなんて、なんて贅沢な少女時代だったんだろうと思いつつ、しっかりと、その想いを込めて独演に力が入ったのだった。

その後、「ハレンチ学園」(永井豪)、「アシュラ」(ジョージ秋山)、「ねじ式」(つげ義春)、「凍鶴」(上村一夫)を上げて、ますます多様になっていったMANGAを紹介したのだった。

独演会はわかりやすかったと、感想をもらってひとまず安心。

●第二部・ワークショップ

MANGAの構築法を話すのが目的で、1ページのネームを作ってもらうため、あまり子供では困るという注文を出していたのだけど、実際の申し込みには12歳もいて、断ると人数が少なすぎるので受けたそうだ。はて困ったな。
< http://p.tl/tdt3
>
椅子に埋まっちゃってるではないか、と言いたくなる小柄な女の子がそれだな。10歳くらいに見えるけど。ここで、うじうじしても仕方がない。そういうこともあろうかと、講義の策は万全な筈だった。

マンガ学校でも、マンガ好きのための専門学校なのに、マンガを描いたことがないという生徒が入ってくる。ここでは、さらにそういうこともあろうと、基本的な「◯描いてそれを顔に見立てる」描き方を覚えてもらおうと計画していた。そのために、何かスケッチできる大きな紙か、ホワイトボードのようなものを用意してくださいとお願いしておいた。

まず、MANGAの性格をわかってもらうために、このコラムの9回目に使った、アルゼンチン作家の1ページと井上雄彦氏の「バガボンド」見開き2ページをA3プリントアウトしたものを見せた。
< https://bn.dgcr.com/archives/20080513140100.html
>

二枚のプリントを両手で捧げて、どこが違うかを聞いた。子供たちはモジモジして答えない。「何か、感じるでしょ? 数学の問題じゃないのだから、正解とか間違いはないからね。怖がらないで思ったことを言ってみて」

そしてやっとポツポツと「MANGAは顔のアップがある」とか「MANGAは表情がある」とか出てきた。「MANGA」が主語になってる所が面白い。

セリフの数の違いや、アングルの種類の違いなど、目に見える違いを上げていき、MANGAとコミックスに絵柄だけではない違いがあるのだと、わかってもらった。2時間のワークショップでは、違いがあるのだと認識してもらうだけで充分。

MANGA制作には「ネーム」というものが大事なのだ、ということも認識してもらうために、簡単にコマで表す時間の例を、ホワイトボードがわりの大きな紙に描いた。先にフキダシを読んで、それから視線をキャラに移すか、その逆か。フキダシとキャラの距離。そうしたことをうまく使って、読む時間=時間の速度を調節することができるのだ、と認識してもらった。

そして、いよいよネーム制作だ。
なまじ、絵を描いてもらうと、一コマ目からキャラの絵を丁寧に描き始めて先へ進まないことは学校の授業でよくわかってるので、◯で顔を表現するラフな描き方というものがあるのだということを大きな紙に描いて示した。

A2の大きさの紙ブロックが、三脚にかかっている。その紙の上の方に大きな丸を描いて、中央に十字を描く。水平の線の上に小さな丸を描いて「目」。縦の線の上、「目」の下に小さな三角を描いて「鼻」。その下にちょっとカーブした線を描いて「口」。

「これが描けたら、これも出来ますね」とまた大きな丸を描いて、十字をいれるが、水平線を下向きにカーブ。つまり、下を向いた状態になる。で、また水平線の上に小さな丸を描いて「目」。縦の線の上、「目」の下に小さな三角を描いて「鼻」。その下にちょっとカーブした線を描いて「口」。

同様にカーブをちょっとづつ変えて、「上向きの顔」と「斜め横を向いた顔」も作った。皆、元気に紙の上に◯の顔を描いている。この顔を使ってMANGAのレイアウトを描きましょうね、ということにして、さて、物語。

1ページで完結、しかも、キャラの感情を中心にした物語。前の晩に、宿泊所で寝る前にうんうん唸ってやっと一つだけ出てきたアホな物語にした。

「1コマ目・ティーンエイジの女の子がソファに座ってクッションを抱えて悲しそうにしている。2コマ目・天使のような、キューピッドのような、影のようなモノが現れて、テレビのリモコンを指し示す。3コマ目・女の子、テレビをつける。4コマ目・テレビ画面。音楽クリップを流す番組で画面の下のテロップに、彼だけが知ってる女の子の呼び名で始まる、冷たい仕打ちを謝るメッセージが流れる。5コマ目・女の子の嬉しそうな顔。6コマ目・携帯を手に取る女の子」コマからコマへの流れが表現できないけど、まぁいいやと、コマの内容の説明をする。

案の定、パースをわかってないのにソファをちゃんと描こうとして、何度も消しゴムを使ってる子や、白い紙を目の前にして呆然としてる子もいる。

「レイアウトは試しだからね。第一歩だからね。何度も描き直すのが普通だからね。うまくいかなくて当たり前だからね。最初はアイデアを書き留めるつもりで、丁寧に描かなくていいからね。パースがわからなくてうまく描けなかったら、文字で『上から見たところ』って描くだけでもいいからね。怖がらないでどんどん描いて、変だな、と思ったところを直していけばいいんだから」と、どんどん励まして、やっと描き始めた。

一人づつ廻って、いいね、いいね、と褒めて、顔のアップをもっとアップにしてメリハリをつけよう...とか、このコマをもっと大きくしよう、とかサジェスチョンをした。そうこうするうちに、時間になってしまったので「清書してみてね」と言ってお別れをした。

●先史時代の遺跡「ヌラゲ」観光も

ロベルト君は、倉庫のような(なんでも詰め込んである)自分の車を使って、私の送り迎え、昼食や夕食の世話、サルデーニャ内陸部にある先史時代の遺跡「ヌラゲ」を見せに連れていってくれたりした。

サルデーニャは何度かバカンスで来たことがあるけれど、毎回、海のそばで内陸までヌラゲを見学したことはなかったので嬉しかった。ノルベッロの近くに、大きくてかなりきちんと残っているので有名な「ローザ」と言うヌラゲがあって、そこを見せてくれた。
< http://p.tl/Tuph
>
<
>
(↑サルデーニャ音楽がBGMになってるので見てみて聞いてみてください)

主催の市は、ローマから来たゲストの世話まで手を廻してない模様。実際、この日の昼食はロベルト君のお宅で、お母さんの食事をごちそうになった。
↓ロベルト君宅
< http://p.tl/Ofgt
>

翌日のカリアリ飛行場までの足は、友人の高校教師がカリアリの家に帰るというのに便乗する、という方法を見つけてくれた。

ノルベッロの人々は、日本人などそうそう見たことがないだろうに、内地の、特に南部のようにジロジロと突き刺すような視線ではなく、柔らかく受け止めてくれて、気持ちを楽に過ごせた。ゆかたでBAR(喫茶店)に入っても、普通な視線を投げかけてくれる。見て見ぬふりでもない。

これはどこから来るんだろう? と思いつつ、「また企画したい」というロベルト君に「ぜひ呼んでね」と応じて、早めに着いた空港で、サルデーニャの蜂蜜を使ったお菓子と羊のチーズをお土産に買い、ローマの我が家への帰路についたのであった。
↓蜂蜜を使ったお菓子。オレンジの皮が材料
< http://p.tl/8ZvY
>

【みどり】midorigo@mac.com

これでもかっ! というダメ押しがどんどん来て、なんか、もう、勘弁して! という日本売却政策に怒ったらいいのか、悲しんだらいいのか......。TPPのことです。なんでも、日本国内では農業を中心にしたマスコミのニュースが流れてるようですが、実際には24分野での自由競争の話。なので農業従事者だけの問題ではない。関税撤廃で自由競争が始まれば、コスト競争になる。企業はコストの最大の要因の人件費を下げようとする。正社員のリストラ、従業員全員の給料引き下げ、安い外国人を雇う、賃金の安い海外へ出ていく。これ、すべてをやって日本人全員失業に変身。
< http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1354728088
>

西田昌司議員「T.P.P.に反対」
<
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↑これを論破できるTPP参加のメリットがあるなら教えて欲しい。農業関係とか関税撤廃だけではなく、TPPには「労働者移動の自由化」「金融サービスの自由化」「法律サービスの自由化」「行政監督業務(公共事業)の自由化」も含まれてます。

「労働者移動の自由化」、こわいですよー。イタリアもEUに参加して助かってる部分もあるけど、EUにルーマニアが参加してから、坂道を転がるようにひどいことなっている。

ルーマニア(とそれ以外の東欧諸国も。でもルーマニア人はEUだから、何の規制もなく自国のように行き来できる)の安い賃金で満足する労働力が増え、イタリア人の雇用が減って失業者が増え、企業は人件費や材料の安いルーマニアへ工場を移して、イタリア人を解雇して失業者が増えた。その失業者たちは消費者でもある。

つまり消費力をそがれた消費者だから経済が廻らない。お金がたんまりある一部の人だけが、安い労働力を使って儲けている。儲けたお金で投資をして、また儲けて格差がどんどんひどくなる。イタリアの40%の家庭が赤字生活をして、「貧困家庭」とされる家庭が増え続ける中、「エスコート」と呼ぶ売春婦に一晩で一般公務員の2年分の給料と同額を払ったりする政治家がいたりとか。

グローバル化で、封建社会が出現したと思ってます。イタリアの若者、将来に夢も希望も持てなくてかわいそうです。18歳の息子も将来はイタリアにいたくないと言ってます。

日本はまだイタリアの現状までなっていないのに、追いつきたいのかな。無関心でいると、日本がどこかへ行っちゃいますよ〜。

イタリア語の単語を覚えられます!というメルマガだしてます。
< http://archive.mag2.com/0000075559/index.html
>

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■編集後記(10/27)

・高校の同級生に北杜夫ファンがいて、同じくファンのわたしと、北のユーモア文体を真似た冗談半分の手紙のやりとりを続けた(乙女チックだな。相手は男だが)。彼が信州大学と東北大学を編入受験した理由は、北の学んだ旧制松本高校か東北大学医学部に入りたかったからだという。両方に合格して東北大学に進み、いまは医大の名誉教授で、いつでも診てやるゾと言う。バイアグラの権威である。1976〜77に刊行された「北杜夫全集」を持っているが、じつはその頃ユーモア系になぜか食指が動かなくなっていて、あまり読んでいない。若い頃は無条件に面白かったはずなのになぜ? 歳をとって北のユーモアの底にある暗い部分を分かって来たからであろうか。処女作「幽霊」は何度読んだことか。最高傑作はやはり「楡家の人びと」で、箱入り単行本、全集版、文庫版、それにCD-ROM版「新潮文庫の100冊」(15,000円もした)を持っている。文庫本を長期間の海外旅行のお供にしたこともある。ところが、漢字Talk7.1以上に対応するCD-ROM版が読めなくなった。いま所有する3台のMacはすべてOSXである。白いiBOOKをOS9にダウングレードしようとトライしたが失敗。ああモニタで、エクスパンドブックで「楡家の人びと」を読みたい。超古いMacを求めるしかないのだろうか。北杜夫さん、さようなら。(柴田)

・バージョンで住むところが違うなんて......。/北杜夫さんが!?/Google Buzz廃止。Google+もあるからわかるんだけどさ。Googleって見切るの早いよね。Google Healthは日本でもやって欲しかったなぁ。データエクスポートに初めてアクセスしたよ。/テーブルの上が片付かない、の続き。DMのクーポンが全部ケータイに届いてくれないものかな。よほどのことがない限り持ち歩かないから捨てればいいのに、なんとなくテーブルの上に置きっぱなし。クーポンあったのになぁと損した気分でお店に入ったり、損した気分になるのがイヤで他のお店に行ったり。ポイントもそう。分厚いプラスチックカードなんてお財布が膨らむだけ。あまり行かないお店では会員カード、ポイントカードは作らない事にしている。ふらりと寄って大量購入した時に、溜まっていたポイントカードを忘れることなんてしょっちゅう。で、期限切れ。普段から友人らには「ポイントには利子つかないんだからね!」と言っている。ポイントは現金じゃない。銀行ならATMで引き出せるが、ポイントは肝心な時に別のお店用には引き出せない。5万の家電ポイントがあったって、空腹時の食事に使えないことがあるんだ。期限が切れて1万近くを流した人だって知ってる。ためるのが楽しいらしいが、さっさと使わないと損だ〜。数十ポイントの差なら、その場での値引の方がいいよね。(hammer.mule)
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