自費出版レーベルMESS。前回紹介させていただいた、MESS002「URBAN SAFARI 2012 Collection」は、おかげさまで完売となりました。嬉しいことです! 今のところ増刷の予定はありませんが、ブランドの次回シーズンに向けてまたコレクションブックが作れたらなあ、と思っています。
引き続き、MESSラインナップの書籍を作るまでの具体的なお話をしたいと思います。第三弾は、「キリン 友利勇太朗短編集」について。2008年より執筆活動を開始した友利勇太朗の、短編小説5本が入った文庫本です。< http://mess-pressed.com/003.html
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そもそも私が本好きになったのは、子供のころに、父親の本棚にある文庫本や小学校の図書館にあったハードカバーなど、小説を読むことがきっかけでした。「本」=「文章がたくさん詰まったもの」というイメージが強いからこそ、やっぱり読み物としての本を作りたい、しかも小説を! という気持ちが強くありました。
ただ、意外と「小説を書いてます」という人が私の周りにはいません。美大の人でも、映像や演劇の脚本、絵本、詩を書いていたり、文学部に行っている同世代では批評や評論を書いている子はいますが(これは今の時代の流れなのかも?)「これだ!」といえる小説を書いている人に出会えていませんでした。
読み物系の同人誌・自費出版本のお祭り(コミケの文章版のようなイベント)の代表格である「文学フリマ」 < http://bunfree.net/
> に行っても、いわゆる純粋文学のオリジナル本よりも、文芸評論の同人誌だったり、エッセイを綴ったもの、ライトノベル系のものが多い印象でした。
引き続き、MESSラインナップの書籍を作るまでの具体的なお話をしたいと思います。第三弾は、「キリン 友利勇太朗短編集」について。2008年より執筆活動を開始した友利勇太朗の、短編小説5本が入った文庫本です。< http://mess-pressed.com/003.html
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そもそも私が本好きになったのは、子供のころに、父親の本棚にある文庫本や小学校の図書館にあったハードカバーなど、小説を読むことがきっかけでした。「本」=「文章がたくさん詰まったもの」というイメージが強いからこそ、やっぱり読み物としての本を作りたい、しかも小説を! という気持ちが強くありました。
ただ、意外と「小説を書いてます」という人が私の周りにはいません。美大の人でも、映像や演劇の脚本、絵本、詩を書いていたり、文学部に行っている同世代では批評や評論を書いている子はいますが(これは今の時代の流れなのかも?)「これだ!」といえる小説を書いている人に出会えていませんでした。
読み物系の同人誌・自費出版本のお祭り(コミケの文章版のようなイベント)の代表格である「文学フリマ」 < http://bunfree.net/
> に行っても、いわゆる純粋文学のオリジナル本よりも、文芸評論の同人誌だったり、エッセイを綴ったもの、ライトノベル系のものが多い印象でした。
そんな中で、同じ出版社でアルバイトをしていた、早稲田大学の文化構想学部(以前の文学部二部、通称「文二」)の学生だった友光君(現在は雑誌・天然生活の編集者です)が作っていた雑誌「放課後」が文学フリマにも出展していたので、買って読んでみました。
ワンテーマの評論・考察的な文章が中心ながら、インタビュー企画があったり、編集部のレコメンがあったり、雑誌感が強く楽しめる本です。そこへ、編集メンバーではない一人の寄稿者による短編小説が載っていました。
タイトルは「キリン」。キリンを飼わなくてはいけない観念に囚われた子供の目線での話。あっという間に読み終わってしまって、不思議なテンションを覚えました。語り口はシニカルで斜め上から世の中を眺めながらも、心は絶望はしていない。乾いているけれど、底に熱っぽく横たわるものがある。哀しいほどに可笑しい。印象に残った文章でした。
何日か後に、友光君に、周囲で文学作品を執筆していて面白い子はいないかな、と紹介を頼んだところ、このキリンの作者である友利勇太朗くんを挙げてくれました。今までに一度も会ったことがない人と本を作る、ということは、仕事以外ではなかったので、初めての打ち合わせはかなりドキドキしました。
このMESSというレーベルは、私一人で代表、企画、編集、デザイン、発行、販売を行うので、面白い本が出来るかどうかの責任は私にかかっています。もちろん組んだ作家や、協力していただいた印刷業者、委託販売をお願いする書店など、たくさんの方の助力のおかげで成り立ってはいますが、誰とやるか、どのように本にするか、それらを取捨選択する責任は私にあるのです。
会ってみればそんな心配はまったく無用で、バンドでベースをやっていて、留年により四年生で卒業できないことが決まっていた沖縄出身の友利君は、想像していた通りの不可思議なテンションの青年でした。
「キリン」以外に今までに書いた短編小説も読ませてもらって、これは短編集としてぜひ文庫本にしたいと思いました。友利君の話を聞いていると、文学部にいて文章を書いていても、それを外の世界へ出す、ということを積極的にやっている人はごく一部で、小説を書いてそれで食べていきたいという人もあまり多くはないという印象を受けました。
大学内でのゼミや教授の評価だけ、提出物としての文章だけ、というのはあまりにももったいないし、既存の文芸誌への投稿や大きな賞への応募としてだけでない読み物の発表の仕方が、もっとあっていいのではないかと思います。
例えば、イラストやデザインなどは、勝手に自分で本にしたり展示をしたりして、若い人が社会へアウトプットするやり方はたくさんあります。アンダーグラウンドと呼ばれようと、自主制作として発表されたものでも質が高く、度肝を抜く鋭さの作品は確実にあります。
それで将来的に本当に食べていけるかどうかということは度外視したとしても、もっとたくさんのそういった動きがあればいいのにと思います。また、文学作品でそういった動きをしているたくさんの人たちが、マイナーと呼ばれごく一部の業界や仲間内だけで読み回されるのではなくて、ライトな感覚で目に晒される機会があってもいいのではないかと思います。
ただ、何も知らない他人が書いた小説を、「はい、読んで」と言われても読むだろうか? というのは難しいところで、実際に委託販売でお世話になっている書店の方などにお話を聞いても、アマチュアの小説の文庫本はたくさん売れるということはあまりないとのことでした。
そこを飛び越えて、どこに置かれても「ちょっと買ってみようかな」と思わせるために、普通の書店で売られている文庫本とほぼ同じフォーマットで、値段も500円というワンコインを目指しました。
小説ということで、本文の印刷はモノクロで、話ごとに入れている挿絵は、文章を読んでイメージしたものを私が描きました。中には短編が7つ収録されているのですが、それぞれの話を書いた時に何をイメージしていたのか、どんな音楽を聞いていたか、どんな絵を思い浮かべていたか、はたまたその話と直接は関係がなくても、これまでどんなものが好きだったか、という話を友利君本人と重ねていくことによって、装丁のイメージも決めていきました。
最後に未完(!)の状態で終わっている「遠くの友達」という作品があるのですが、それは明るいオカマが踊っている映画のワンシーンを観て、そのイメージが強くあった、そしてオカマといえばピーター・アイヴァースのレコジャケで、心臓に矢が刺さっている表情が好きだ、という雑談なども。
そこから表紙のメインの絵をイメージしました。また、表題作である「キリン」については、諸星大二郎の漫画「暗黒神話」から強く影響を受けているということから、漫画のキーモチーフになっている馬頭星雲を裏表紙に持ってきました。個人的には、カバーを外した状態の表紙も気に入っていて(6つの短編のモチーフを並べている)可愛いので、ぜひお買い上げいただいた方は見てみてくださいね。
こちらの印刷・製本は、同人誌を得意とするスターブックスさんの、オンデマンドノベルスセット(文庫本や新書本のサイズでセット料金で出来る)をお願いしました。帯はトレーシングペーパーに出力したものを手で切って、一つずつ巻きつけています。
・スターブックス
< http://www.starbooks.jp/index.php
>
初版で100部刷ったものがあと少しで売り切れてしまうので、第二刷も追加で100部、完成しています。増刷時に一部中身を変えて、詩の部分が新しくなっているので、初版の内容のものを手に入れるのは今のうち!
「キリン 友利勇太朗短編集」はこちらから。
< http://mess-pressed.com/003.html
>
【宮崎希沙】グラフィックデザイナー/自費出版レーベルMESS主催
< http://mess-pressed.com/
>
< http://d.hatena.ne.jp/december_girl/
>
DTP&ちょっとしたデザインの、ちゃんとした(?)定時勤務を始めて一か月半が経過しました。朝の辛さは変わらないけれど、あまり寝なくても毎日とりあえず働けるようになりまし...た?
会社ではなくフリーで受けるデザインのお仕事も、何をやらせていただいても勉強になるけど、これがいつまで続くかという不安はあります。いいものを作り続けていないとダメですね。労働/仕事/制作のバランスが大事だなぁと思ってます。
それにしても、毎日きっちり時間通りに仕事場に通って残業もするということは、ライブや展示や遊びに全然行けないってことなんですね! それがつらい。世の社会人を改めて尊敬しました...。
◎最近やったこと < http://d.hatena.ne.jp/december_girl/
>より
・竹内波 < http://takeuchinami.com/
>、MIRAI< http://mirai-official.com/
>それぞれのHP作りをやったのですが、このアーティスト二人と自分の名刺も作りました。
・ピエブックスより刊行された「名作アニメ・マンガ明日を変える魔法の言葉」、いち漫画ファンとして中身作りを少しお手伝いしました。
< http://www.piebooks.com/search/detail.php?ID=4171
>
・「サルとバナナ」uminecosoundsのPV
< >
・知り合いのバンドuminecosoundsのPV撮影を少しお手伝いしました。アルバムリリースに合わせて出たPV! 可愛らしいパペットと美しい歌をぜひ。
< http://uminecosounds.net/
>
・アーティストでありモデルであるcolliuちゃんの7月の個展に向けて、制作してるものあり。ご期待ください。< http://colliu.com/
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