[3888] スマートカバーの正しい使い方

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《さすがイタリアのスマホ事情》

■ローマでMANGA[86]
 パルンボ「CUT vs ○○」シリーズがE-mangaでスタート
 midori

■グラフィック薄氷大魔王[428]
 「スマートカバーの正しい使い方」他、小ネタ集
 吉井 宏




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■ローマでMANGA[86]
パルンボ「CUT vs ○○」シリーズがE-mangaでスタート

midori
< https://bn.dgcr.com/archives/20150408140200.html
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使えなくなってきた前口上をとりあえず......。

90年代に講談社のモーニングが、海外の作家の書き下ろし作品をのせるという前代未聞の企画を遂行していたときにローマで「海外支局ローマ支部」を請け負って、そのときのことを当時のファックスをスキャンしつつ、それをもとに書いているシリーズです。

時代が進んで、Macの一体型Performaが作業用に入ってきたので、ファックスはPerfomaの中なのだ。あ、Performaの当初はメールではなく、内蔵ファックスを利用していた。

その頃登場したイタリア人漫画家三弾目、パルンボの話を前回から書いている。南イタリア出身の辛抱強いパルンボは、堤さん、竹中さんと担当が代わり、何度もダメを出され、それでも頑張って何度でもネームを出してきた。

そうこうするうちに、モーニング編集部内に変化が起こる。大手会社には異動というものがある。外国人作家企画が始まってから、担当編集者が何度か、今度は自分の番かもしれない......と、リアクションが悪くなることがあった。

外国人作家企画の縮小が始まり、竹中さんが異動になった。もう一人モーニングから出された編集部員がいた。新さんがウェブ現代に異動になった。

電子版が話題になり始めた時期で、講談社も「週刊現代」のウェブ版を実験的に作っていた。その中の特別版でE-mangaのページを製作した。

外国人作家の縮小が始まって、紙のモーニング誌にはスペースをもらえなくなってきたが、ウェブだったらスペースの心配はない。

竹中さんがいなくなって、担当が不在のパルンボに対して新さんが手を上げたのだ。新さんの性格で、おずおずと、という感じでパルンボに初めてコンタクトを取ったメールは、他の探検者が価値がわからずに見落として行った宝ものを拾ったインディアンジョーンズという感じだった。あるいは、片想いの相手が失恋したところで、おずおずと告白した感じ。

初めてパルンボの作品を「ピエ友」で見たときから、パルンボのユーモアセンスが気に入ったのだそうだ。いつか一緒に仕事をしたいものだと思っていた、と編集者としての喜びに溢れたメールだった。紙ではなくてウェブ版だけれど、という申し出にパルンボに異議はなかった。

新さんは編集者としてちゃんとパルンボ作品「CUT」の構成を考えていた。CUTは「スラップスティックコメディ」として捉えたいというものだった。

主人公の髭もじゃ長髪CUTを仕返し魔として描いたらどうか、各エピソードでなにかされて、必ず仕返しをする物語にする。結果として美女にモテても構わない。

毎回「CUT vs ○○」とする。なるべくアクションを多くして、台詞は最小限度にとどめる。一話16ページ。このアイデアはパルンボの意にもかなって、大いに乗り気だった。

たくさんの編集者がいる週刊誌と違って、E-mangaは新さんの一人舞台だ。編集会議を通す必要がない。だから、パルンボと作品の傾向を決め、長さを決めたらウェブに掲載されるのにさほど時間がかからなかった。

パルンボはパルンボで、前の二人の担当とのやりとりで「ネーム」についてわかっている。仕事が早い人で、ネームも結構描き込むけれど、直しも早かった。そうして出てきた、新さん版第一弾CUTが「vs タクシードライバー」だった。

ある道でCUTと美女が同時にタクシーを止める。タクシーはCUTを無視して美女を乗せて出発してしまう。CUTは、猛烈ダッシュでタクシーを追いかけ、ドアノブにつかまる。

タクシーは構わず突っ走り、ゴミの入ったポリバケツなどを蹴散らしながら進みCUTの髪にはバナナの皮などが刺さる。CUTはタクシーによじ登り、フロントガラスからタクシードライバーを脅かす。

タクシーはそのまま走り、目的地のホテルに着く。そこはCUTの目的地でもあった。CUTは美女と手に手を取って中に入る。

イタリアで出版されたCUTの表紙。(サイトはフランス)
< http://www.bedetheque.com/BD-Cut-Palumbo-Cut-240466.html
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しっかりしたパースの背景と、正確な解剖学知識に基づいた人物描写のリアルな表現でのありえない状況の物語は、そのギャップで、ギャグマンガにありがちな滑稽な絵で表現するのと違う効果があった。担当の新さんも満足だった。

パルンボが出してきたアイデアから、アクションをもっと派手にして、例えばバナナの皮がCUTの髪に刺さったりしたらどう? というサジェスチョンをしたのは新さんで、パルンボはそれをすぐに受け入れた。

そして、パルンボも乗って、どんどん大げさなアクションアイデアを出して新さんを喜ばせたのだった。

そして、このE-MANGAでは、新しい試みをした。それについてはまた次回。


【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師】midorigo@mac.com

人並みにスマホを手に入れた。NOKIAのLUMIX。TRE(3)という名の電話会社の商品で30か月浮気できない代わりに、月に10ユーロで電話が手にはいり、2GBのネット使用で電話し放題。

これはダンナがすでに「3」を使っていて、家族の誰かの携帯を「3」にしたら、あなたと同じ条件で......という宣伝電話がかかってきて私がそれに応じたのだ。申し込んで一週間後、宅配で電話機がやってきた。

へー、電話であれもこれもできるんだ。小さな画面なのに老眼の目でも文字が読みやすい。言語も選択でき日本語で入力もできるように設定できた。へー、これはすごいね。

ところが、差し込んだSIMカードがブロックされてて、電話器として使えない。二日ほど待ってみたけれど埒が明かず、土日になってしまって作業がお休みになるイタリアだから週末は期待してもダメだろうと、おとなしくして週明けを待った。

それでもブロックされたまま。「3」の販売店に二か所行ってみたけれど、どうしてブロックされているのかわからない。ダンナが「3」のお客様サービスに電話してみると「調べてますからもう少しお待ちください」。

一回目の電話から二日経って、もう一度「今晩中にどうにかしないなら、解約して送り返す!」と抗議していたけど、「調べてますからもう少しお待ちください」。

そして復活祭に突入してしまったのでまた待っている ←今ここ
さすがイタリア!!!

復活祭の翌日の祭日。友達夫婦が二組やって来て色々飲み食いした。お客さんが帰った後、スマホが見当たらない。いや、友達が持って行ってしまったというわけではなく、私がぼーっとどこかに置き忘れたのだけど、電話が使えないから「呼び出し音で行方を探す」手が使えない......  さすが私!!!

・MangaBox 縦スクロールマンガ 「私の小さな家」
< https://www-indies.mangabox.me/episode/25382/
>

・主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
< http://midoroma.blog87.fc2.com/
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■グラフィック薄氷大魔王[428]
「スマートカバーの正しい使い方」他、小ネタ集

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20150408140100.html
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●スマートカバーの正しい使い方

ガーン!! 知らんかった......iPadのSmart Coverの正しい使い方。
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スマートカバー、最初の頃にちょっと使っただけで「スタンドとしては不安定!」と決めつけ、アルミ製のスタンドや最初からスタンドがついたカバーをずっと付けてたから気づく機会がなかった。ガジェットやデバイスに関してどうかしてるくらい懲りまくる僕がなぜ気づかなかったのか〜、と情けないー。

曲げにくいほうに曲げるのは間違ってると思い込んでた。色のついた面を内側というけど、僕のはグレーなので両面同じ色だしw 要するに、単純にカバーを外にクルクルと巻けばいいだけだったのかー。確かにこの向きだと安定する。マグネット同士の吸着面積が正しい付け方だと広い、ってことかな?

なぜ今さらスマートカバーを引っぱり出してきて使おうと思ったかというと、いつのまにかガラス正面に傷がついてる〜!! ちゃんとカバーしないとなあ、ってことと、ガラスに傷がついちゃったのなら、アルミ部分に擦り傷がつくのお構いなしに背面のカバーもはずして使い倒しちゃおう、ってことでw

●ぐるぐる回転ロトキャスト

たまごっちの映画がTokyoMXでやってて、CMになったら出てきたこれ、「くるくるチョコレート工場」。
< http://girls.channel.or.jp/kuruchoco/
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「うわっ! 中空レジンキャスト装置そのものじゃん!」って、ツイートしようとして念のため過去ログ見たら、昨年6月に同じことツイートしてたorz いやしかし、動いてるのは初めて見た気がする。あまりのインパクトに気が動転した。

正式には回転成形とかロトキャストって呼ぶらしい。
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熱した液体状の樹脂や硬化剤を入れた樹脂が固まる前に、回転させて型の内側にまんべんまく行きわたらせ、一部に溜まらないようにする成型方法。内側の型が不要。「射出成形、ブロー成形のように圧力に耐える強度が型に不要」らしい。

僕はそんな成型方法があるとは知らず、レジンキャストの硬化の数分間に型をシェイクすれば、中空のフィギュアが作れるだろうと編み出した技。車輪の再発明みたいなやつですかw 以前にデジクリに書いたことあります。
< https://bn.dgcr.com/archives/20081029140200.html
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近年には比較的大きな物を作るようになって、型の重さが5kg。それを5分間振り回すのを10個くらいやると、全身疲れて数日間倒れますw

●目の前を飛ぶ顕微鏡写真みたいなアレ

飛蚊症というか、空など見た時に見える「半透明のウニウニの微生物の顕微鏡写真みたいなアレ」がどういう仕組みで見えるのかの解説。おもしろい。
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頭をぶつけたり急に立ち上がったりした時に出る「星」の解説もアリ。もうそのまんまの解説映像なので、おかしくてしょうがないw 今までアレを映像化したやつ見たことない。

ところで、この解説には出てこないけど、布団に入って寝付く寸前などに見えるアレはなんだろう? 「砂の嵐みたいな赤や青のノイズがゆっくり遠ざかる。そのノイズがいろんな形状に凝縮したりして動き、思うとおりに自在に形を変えられたり、立体になったりする」。

実は僕はアンドロイドで、目のスイッチを切ってるときは砂の嵐になる、という風に考えたことも。単に夢なのか?

検索したら、これだ! 細かいところまで同じだ。他の人にも見えるんだなあ。
< http://inazumanews2.com/archives/28256834.html
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●板タブで掌の位置を表示

板タブでふと思ったんだけど。ペン先カーソルの位置はいつも見えてるわけだけど、描画面に触れた掌がカーソルに対してどの位置にあるのか見えないじゃん? 手が見えたら描きやすくなるんじゃない? という変なことを思いついた。

マルチタッチの接触を視覚化するアプリ見たことあるけど、あれみたいに、掌の接触を半透明に表示してくれたら描きやすくなるんじゃないか? せっかくintuosにもマルチタッチ機能があるんだから、表示できるにちがいない。

または、ペンを持つ手を上からカメラで撮影して、画面にクロマキー合成したら液タブと同等に描けるんじゃないか? カーソルと映像のペン先を合わせるのがまたむずかしいんだろうな。

Macのシステム環境設定/アクセシビリティで巨大カーソルにすると似た感じにできるかなと思ったけど、Photoshopのペイントブラシカーソルでは感じが出ない。

Painterの三角カーソルでやってみたけど、ダメだw 拡大するとボケボケジャギジャギの汚いカーソル。おまけに、カーソルの先端から少しズレるという大昔からの不具合が強調されるw
< https://pic.twitter.com/UbJvwqtJrO
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●パロディ

大昔のJPC展の時から思ってたこと。パロディって日常世界に唐突に出現すると面白いんだけど、これらは全部パロディですよ〜って並べられると、1ミリも面白くなく、腹立ってくる。

同様の理由で、Webのエイプリルフール企画も大嫌いw 面白いものもなくはないけど、大半がつまらない。まとめ記事で集合すると異様につまらなく見える。「また今年もエイプリルフール企画やらなくちゃいけないのかー」って担当部署の人が嘆いてる様が目に浮かぶ。

●デュオタイマー便利

以前書いたOHMのデュオタイマー。タイマーが「00:00」になるとピピピが鳴り、そのままセットした時間からどれだけ経過したかの数字が増えていく。で、タイマーを00:00にセットしておくと、加算だけ使える。ピピピも鳴らない。こりゃ便利! デュアルなので、上をタイマー、下をストップウォッチとして使える!

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
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Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
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エアコンの暖房をつけなくなると、Mac Proのファンの音が気になる。MacBook Proだと逆に静寂がやかましい。それで最近は小さい音でBGMを流す習慣になってる。快適に仕事がはかどるBGMを探そうってiTunesストアで物色。気がつくと半日物色してたりする。仕事がはかどらないw

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
< http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500
>

・rinkakの3Dプリント作品ショップ
< https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii
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・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
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・ハイウェイ島の大冒険
< http://kids.e-nexco.co.jp
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・App Store「REAL STEELPAN」
< https://itunes.apple.com/jp/app/real-steelpan/id398902899?mt=8
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編集後記(04/08)

●工藤美代子「なぜノンフィクション作家はお化けが視えるのか」を読む(中公文庫、2012)。少し前に読んだのが「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」(角川文庫、2014)だった。タイトルもカバーの印象もそっくりだ。中公文庫は1997年の「日々是怪談」(2001年文庫化)のタイトルを変えたものだ。両文庫の関係はどうなっているのだ。最近の「もしも」はやや技巧的なところがあるが、だいぶ前の「なぜ」は出会った怪異現象を淡々と語るところが怖い。ただ、「後から考えるとあれは」という切り口が多く、それがなんとなく作為的だなと思う。それでもみごとな怪談が多くて楽しめる。

この人は、夢の中でだけ知っている景色や人物がいて、時々それが現実の世界に現れるという。あっちからこっちに移動するのはそれほど不自然ではないと思っている。自分だってしょっちゅう現実の世界から夢の世界に遠征しているのだから、その逆があっても当然だという。そういう人なのだ。「私も年齢を重ねて、お化けとの付き合い方も少しづつ変化しているようだ。しかし、相変わらず、彼らが私の周辺に出没しているのは事実だ。それが生霊であれ、死霊であれ、あの人たちとの不思議な関係はこれからも続くことだろう」。多くの怪異をありにままに受け止めて、クールに記録する。そういう人なのだ。

あとがきでは、ちょっと関わりのあった老婆から逆恨みされ、その生霊との深夜の戦いが一か月続き、なんとか追い払った恐ろしい体験を語っている。巻末語り下ろし霊感対談「死霊より生霊が本当に恐ろしい」がとても読ませる。相手は岩井志麻子。二人の共通点は、ヘンなものにいっぱい遭遇しているくせに「自分は霊感がない」と言い張るところだ。岩井「怪談というのは、ときとして筋道が通らない、因果関係がわからない話のほうが怖く思えませんか」工藤「同感です。なまじ理に落ちないほうが、想像力と恐怖を刺激されますね」。確かにあの「新耳袋」でも、そういう話が多く本当に不気味だったな。

対談で二人は、自分が出会った怪異の話で弾んでいる。岩井は生霊のストーカー「あの女」の実話が有名だ。工藤はよく知る男のまわりで二人の女の生霊同士が闘い、男の妻が癌になったが呪詛返しをして、相手の夫が突然死というものすごい怨念ウォーズがあったという。ほんまかいなと思うが、生霊は源氏物語にも描かれているくらいだからあり得ることなのだろう。男は女に怨まれないようにしましょう。勝手な思い込みで怨まれても困るが。工藤美代子にとって普通の出来事エッセイが、じつはとんでもない「日々是怪談」である。どうやら、間違いなく「あの世」はあるようだ。めんどうくさいな。(柴田)

工藤美代子「なぜノンフィクション作家はお化けが視えるのか」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122056675/dgcrcom-22/
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●くるくるチョコレート工場欲しい......。いや一回使ったら満足するはずだから買うほどではないはずだ......。

住宅ローン続き。借換シミュレーションをする。大抵のシミュレーションは、1本から1本へのもの。うちは2本(固定+変動)から1本。当初優遇金利まであるので、なかなか合うものがない。

新生銀行の借換シミュレーションは細かな設定ができ、よく出来ていて、何度も使わせてもらった。借換前ローンは3本まで設定できるし、印刷用画面まで作れる。

新生銀行の住宅ローンは魅力的で、一部繰り上げ返済をしても、当初融資期間中なら元金返済を休める。保育サービスやら、家事代行サービスをしてくれるクーポンまで発行してくれる。フラットは団体信用保証料は別途だけれど、大抵の銀行と同じで金利に含まれる。続く。(hammer.mule)

< http://www.shinseibank.com/powerflex/housing/simulation/
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新生銀行のシミュレーション