《歌の力、写真の力、デザインの力》
■装飾山イバラ道[171]
アメリカン・アイドル〈シーズン15〉
武田瑛夢
■ところのほんとのところ[136]
神戸の個展が盛況です
所 幸則 Tokoro Yukinori
■crossroads[03]
Design for X
若林健一
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■装飾山イバラ道[171]
アメリカン・アイドル〈シーズン15〉
武田瑛夢
https://bn.dgcr.com/archives/20160209140300.html
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この場でも何度も書いて来た「アメリカン・アイドル」が、このシーズン15で終了する。歌手のオーディション系の番組は他にもあるし、視聴率も落ちているみたいなので当然かもしれない。
私はこの番組が好きだったので残念だけれど、ファイナル・シーズンがどんなシーズンになるのか楽しみだ。
現在日本ではFOXで週に2回のペースで地方予選〜ハリウッド予選を放映している。始まっているのに気がつかなくて、最初の2回は見逃してしまった。海外のTVだとけっこう見逃しがちだ。
・アメリカン・アイドル シーズン15
http://tv.foxjapan.com/fox/program/index/prgm_id/20329
約10万人が参加する地方予選は3人の審査員の前で基本アカペラで歌い、2人以上のイエスがもらえれば、ハリウッド行きのゴールデンチケットを得ることができる。
約200名ほどに絞られたハリウッド予選では、ステージ上で他の候補者に見られている状態での審査になるけれど、この地方予選は3人の審査員に近い距離での生歌披露だ。
今回は完全にアカペラでなくても、自分でギターを弾いて歌ってもいいし、ピアノ伴奏のスタッフもついているので、自分の歌声を生かしやすいスタイルを選ぶことができるようだ。
以前はもっと不合格の人の映像も使っていたと思うけれど、最近はほとんど合格者の映像に録画時間を使っている。その点では合格か否かをドキドキしながら見ていた頃とは少し変わった。わずかにいる不合格者の映像は、とても惜しかった人か、すごく変わり者の映像がほとんどだ。
とにかく、今回でアメリカン・アイドルは終わるのだから、「あなたはまだ若い。練習してまた今度トライして」とは言えなくなってしまったわけだ。15歳〜28歳の年齢制限の上の方でも下の方でもギリギリのところでとにかく今回出なきゃという人も多そうだ。
●各ジャンルのてっぺんに
どの仕事の世界にもジャンルというものがあり、一つのジャンルでてっぺんの一人になることを目指している人も多いと思う。今回カントリーのジャンルでシーズン10の時にスコッティと競った人が、最後のアメアイと聞いてまた地方予選に来ていた。
前回は本戦に残りそうなところまでいっていたのに、カントリーでそう何人も候補者を残せないということで、落選してしまったのだ。
スコッティはその後順調に勝ち進み、最後は優勝した。一時は自分と競った人が最後の一人まで残って優勝したのだから、きっと胸中は複雑だったに違いない。今回もハリウッドに進むことが出来ていたので今後も要チェックだ。
最後の20数名が残る本戦からは、全米の投票形式になる。ロックやブルース、カントリーなどそれぞれのジャンルで2〜3人しかいないので、はっきりとしたジャンルを持つ歌い手は、そのジャンルのファンが投票してくれるので得なのである。
●審査員のやさしさと厳しさ
私が見始めたシーズン6以降に、3人の審査員は入れ替わりが激しかった。あの椅子になじむ前に審査員をやめた人に関しては、あまり印象が残っていない。
やはりサイモン・コーウェル、ポーラ・アブドゥルの時代は、黄金期でもあり感動も多かった。最近ではジェニファー・ロペスとキース・アーバンがいいと思う。4人共に逸材の候補者を見つけた時の表情がいい。
審査の時にポーラ・アブドゥルが泣くと、私はよくもらい泣きしていた。あのような慈愛に満ちた審査員はもう現れないかと思っていたので、ジェニファー・ロペスの優しさに救いがあって良かった。
彼女は場数を重ねて厳しさも身に付いて、ノーと言える人にもなっていて頼もしい。以前よりも格段にジェニファー・ロペスの口から「ノー」が出ている気がする。自分の判断で不合格を出すことを、以前よりは恐れなくなったように思う。
最初の地方予選で落とされれば後はないわけだけれど、結局、ハリウッドに進んだとしても、次々と勝ち残る力がなければしょうがないということかもしれない。
審査員も歌手で、どんなインタビューを聞くよりもアメアイでの審査風景を見る方が、その性格がわかる気がする。プロ意識や感性の繊細さが垣間見える。
候補者が歌を歌うのと同じように、審査員が意見を言うのもパフォーマンスの一つだから、的確でプロフェッショナルな批評コメントに感動することも多い。
これはスポーツの実況席でその道のプロが、選手の結果に涙するのを見て感動するのに似ている。側で見て来た人にしかわからない感動を、素直に伝えてもらえると嬉しくなるのだ。
●歌の力
オーディションのシステムはシンプル。ふるいにかけられる候補者たちは、短
い時間で実力を発揮できなければそこでサヨナラだ。とても残酷な感じがして気がめいることもあるけれど、きちんと実力を発揮する候補者の歌の力によって、その気分は吹き飛ぶ。
スーッと審査員の前に現れてパーッと歌い、心を鷲掴みされるようなすごい人もいる。審査員に褒められて喜ぶ姿にまた感動する。歌が好きで上手くなった人もいれば、努力してテクニックを磨いた人もいる。
根性比べの大会ではないので、苦労のあるなしは関係なく、人に伝わる歌を歌った人が勝ちだと思う。番組そのものは残った人しか次に進めない勝ち負けの世界だ。
しかし、勝った人が売れるのかというとそうではないようだ。実際、過去の優勝者がすべて売れたわけではない。このシステムでふるいにかけられてもよいと思う候補者が、与えられた場面で出来る限りのパフォーマンスをする姿を見る番組だと思う。
勝つ人に法則はあるのか思い返してみたけれど、どんな歌でも自分の歌に出来て、落ち着きがある人という気がする。
そして、そういう人はかなり早い段階で、優勝してもおかしくないと思わせるパフォーマンスをしているように思う。まだ候補者が多い頃であっても決して埋もれない個性がある。
「何人いようがあなたは目立つ」というような人。選曲が運命を分けることも多いけれど、「きっと電話帳でも歌える」と言われている人もいてスターの資質は隠しようがないのだと思う。私は10年近く楽しませてもらってきた番組なので、これが終わっちゃうのは辛い。
【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/
また寒さ対策で気づいたこと。冷え性の人がやりがちな重ね着は、あまりしない方がいいと言うので試してみたら本当にそうだった。フワフワなパジャマは必需品だけれど、その上に半天を着たまま寝たりしていたのがかえって逆効果だった。しっかりした服は羽毛布団の温かさを遮断していたらしい。
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■ところのほんとのところ[136]
神戸の個展が盛況です
所 幸則 Tokoro Yukinori
https://bn.dgcr.com/archives/20160209140200.html
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さて、神戸での個展が無事に始まった。オープニング初日は、所幸則×杉山武毅二人によるポートフォリオ・ビューイングがあったこともあり、Gallery TANTO TEMPO始まって以来の、初日入場者だったそうです。
http://tantotempo.jp/web3/
実際、開場は12時から18時までですが、11時40分にはもうお客様が何人も入っていたし、午後のピーク時には奥の作品あたりは身動きできないほど。大変な人出でした。
オープニングの日は土曜日で、日曜日は香川で「フォトラボK」の講義があるので在廊できないのが残念でしたが、この後の盛況を祈りたいですね。ちなみに、初日だけで渋谷での個展と同じぐらい作品集が売れました。びっくり。
少し記憶を遡って、広島での展示の時のことを書いてみます。広島では、本来ギャラリーではないところで個展をしました。
広島に限らずどこの地方でも、[ところ]を知っているギャラリー関係者は少なく、ほんの一部を除いて、美術館の学芸員たちも同じようなものでしょう。
今制作しているものをすぐに見せることができる。これが今を生きている作家のできることであり、醍醐味でもあります。
ですから、広島でのギャラリーからのオファーがないなら、他の施設のオファーを受けます。そして情報はネットでもいいし、口コミでもいいから、とにかく多くの人に見てもらいます。
それは結構エネルギーがいることですが、見に来てくれたお客様から、広島で所幸則さんのこんな巨大なプリントが見られて嬉しいとか、東京までは行けなかったので本当に感謝しますとか言われると、個展を開いた甲斐があったなと思います。
今のところ、現在開催中のGallery TANTO TEMPO以降は決定していませんが、もっともっと、他の場所で開催できないか模索中です。
Gallery TANTO TEMPOでは、10日(水)の午後遅めから、プラチナプリントの第一号が飾られる予定です。確実に見られる11日からがいいでしょうか。ぜひご覧ください。
プリントサイズと余白の量、額縁の幅など、これがアインシュタインロマンシリーズでは完成系かなと思っています。他のプリントも、この額装のバランスでできるので、お求めいただく方はそう仰ってください。
次回は、周辺視野と所幸則の写真について河西春奈(写真家)さんとの話について書こうと思っています。お楽しみに。
【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト http://tokoroyukinori.com/
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■crossroads[03]
Design for X
若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20160209140100.html
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こんにちは、若林です。
2月6日(土)、大阪の南港ATCの中にあるイメディオで開催された、初心者向けIoT体験セミナーのお手伝いをしてきました。
講師は、Let's Make With Arduinoという、電子工作とプログラミングの情報サイトを運営している岡田裕行さん。
セミナーの内容は、Linino Oneというマイコンボードを使ったLチカ(LEDを点灯させる電子工作の初歩的なもの)から始まって、IFTTT、M2X、Blynkといったクラウドサービスとの連携や、スマートフォンからのデバイス操作など、いわゆる「IoT」の世界を体感できるものになったと思います。
あまりにも盛りだくさんの内容だったので、時間が押してしまい進行の方はかなり焦りましたが、参加者のみなさんには満足していただけたようです。
私たちも、CoderDojoの子ども相手とは違う難しさがありましたが(実際やってることも難しいのですが)、動いた時の嬉しそうな様子は子ども大人も同じだなってことがよくわかりました。
もっとも、受講者は男性ばかりだったので、男はいつまでたっても子どもということなのかもしれませんが(笑)。
Let's Make With Arduino
https://lets.makewitharduino.com/
●デザインの力
さて、本題に入ります。先日「なるほどなぁ」と感心させられた、こんな記事を見つけました。
体が勝手に…!視覚効果で歩行者を誘導する「横断歩道」が斬新
http://irorio.jp/hayashihiroyuki/20160131/297598/
横断歩道の対角線上に切れ目を入れることで、人との流れる方向を作りだし、人がぶつからないようにすることで流れを速くできるというものです。
実際にこの通りに誘導され、人の流れがスムーズになるのかどうかは検証が必要かもしれませんが、かなり有効なアイデアできっと効果はあると思います。
エンジニアのようなテキスト中心の人間(文字や文章だけで説明したり、何かを実現しようとする人という意味)には到底思いつけないアイデアで、たったこれだけのこと(というと失礼かもしれませんが)で、運用コストをかけることなく課題が解決できるというのは素晴らしいことだと思います。
こういうアイデアに出会うとわくわくしてきます。
ユーザーインターフェースの世界では、デザインの力でかなりの課題が解決されることもよくあります。エンジニアが一生懸命プログラムを書いたり説明を増やしたりするよりも、操作するものの配置や順番ひとつでわかりやすさがガラっと変わってしまうものです。
この横断歩道のアイデアも、きっとユーザーインターフェースデザインのひとつということなんでしょうね。
●Design for X
近年、地域の課題を市民の手で解決する手段として、"Code for X"という活動が各地で活発になっています。
"Code"とはプログラムのソースコードを意味していて、"X" の部分は "Japan"だったり、"IKOMA" だったりと対象となる地域の名前が入ります。IT(情報技術)を使って地域の課題を市民の手で解決しようという活動なので "Code for X" と呼ばれています。
オープンデータ(権利に縛られることなく自由に使えるデータ)を使ったWebサイトや、アプリなどの開発によるものが多く、有名なものとしては、各地域での正しいゴミの排出を促進するために作られた「5374(ゴミなし)」があります。
5374.jp
http://5374.jp/
だったら、デザインで地域の課題を解決するというアプローチがあってもいいんじゃないかな、と先の記事を見て思いました。
今の"Code for X"はどちらかというとエンジニア(プログラマー)主体なところがあって、もちろんデザイナーもWebサイトやアプリのデザインという形でかかるのですが、必ずしもデザイン主体ではありません。
「まずデザインありき、デザインで解決できないところをITでカバーする」というアプローチが、意外と斬新な課題解決のアイデアを生み出すのかもしれません。
市民活動ではありませんが、国土地理院が進めている「外国人にわかりやすい地図表現検討会」もそのひとつ。これは、外国人だけでなく日本人にとっても意味のある「デザインによる課題解決」と言えます。
外国人にわかりやすい地図表現検討会
http://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa41015.html
"Code for"というと「プログラマーがメイン」のイメージが強く、自分が参加した活動でもデザイナーの参加があまり多くないのですが、もっとデザインの力をもっと発揮できるように働きかけてみようかなと思います。
Code for Japan
http://code4japan.org/
Code for IKOMA
http://code4ikoma.org/
Code for Kanazawa
http://www.codeforkanazawa.org/
【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/
Twitter: https://twitter.com/kwaka1208
CoderDojo奈良 次回は、2月13日(土)開催です。
http://coderdojo-nara.org/
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編集後記(02/09)
要するに、本当は親切でお人好しの二人の田舎者が、遊びに来た大学生から殺人鬼と勘違いされ、大学生たちは勝手にパニくって次々と無様に死んでいく、というシンプルでナイスな設定である。じつは妄想で煽りたてる大学生がひとりいるのだが……そいつは最後まで生き残り、シャレにならないトラウマ話を展開して後味を悪くする。保安官も現れるが、これまたマヌケな殉職。パトカーに乗っていた大学生もピストルをいじって自分の頭を撃ち抜く。まったく二人は関与しない勝手な惨死の連続である。人死にをギャグにしているのは不謹慎だという人もいるだろうが、ここまで徹底しておバカな展開はむしろ爽快。
これじゃ殺人鬼と思われても仕方ないという場面がある。タッカーがチェーンソーで木を切っているとき、蜂の群れに襲われる。彼は回転するチェーンソーを振り回しながら必死で蜂から逃げる。それを見て(蜂は見えない)恐慌に陥った大学生が必死で逃げる。どう見ても殺人鬼が追い回すシーンである。アリソンがトイレ作りを手伝うといって穴を掘っている。これを見た大学生が、彼女は自分の墓穴を掘らされていると誤解する、ってのもうまいなー。バカ大学生が出てくるアメリカのコメディの多くは下ネタに陥りやすいが、この映画は潔いばかりにそれがない。くだらないホラーコメディとして上出来だ。
「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B007HESZ7C/dgcrcom-22/
●横断歩道のデザインを凄いと思い、でも対岸側では混んじゃうのかもと。私が区切り近くにいたら、絶対ナナメに歩いてしまう(笑)。
PiTaPaの広告が面白かった。記憶イラストリレー。絵描きさんたちに1分間だけ絵を見てもらい、記憶と個性を活かした絵を次の人へバトンタッチ。このリレーの順番が絶妙。そ、そこでソレがアレになりますかっ、と爆笑。とにかく動画を見て!

Androidだと「QuickDigger」というのがあるみたい。Webアプリには「RandomEver」というのがあるっ。続く。 (hammer.mule)
PiTaPaのメイキング動画。まずはこれを見てから、
こっちを見てね。作家さんたちのプロフィールや作品
http://www.pitapa.com/kioku/
Reflect
https://www.reflectapp.io
iPhoneアプリ版
https://itunes.apple.com/jp/app/reflect-for-evernote/id1008154595?mt=8&at=1000lbV2
QuickDigger | Evernoteをランダム表示
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.fangleness.quickdigger&hl=ja
読書メモなどのEvernoteノートを定期的に振り返るための無料WebアプリRandomEverを作ったので公開しました。
http://myenigma.hatenablog.com/entry/2015/11/28/133546
Evernoteで発想系の二つのアプリ。「fromEver」と「EverShaker」
http://rashita.net/blog/?p=7558
2012年の記事だ。ダウンロードしておけば良かったか。

Reflect for Evernote