[4228] ショート・ストーリー「キチュキチュ・リターンズ」

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《それまでは「プリントゴッコ」だったでしょ?》

■ショート・ストーリーのKUNI[203]
 キチュキチュ・リターンズ
 ヤマシタクニコ

■3Dプリンター奮闘記[86]
 3Dプリント出力サービスと今後の発展
 織田隆治



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■ショート・ストーリーのKUNI[203]
キチュキチュ・リターンズ

ヤマシタクニコ
https://bn.dgcr.com/archives/20161110140200.html

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ある日、丹波くんはアルバイト先の店長の奥さんからもらった土産物の包みを開けようとしていた。どこにでもあるようなミニサイズのチーズケーキで、名前だけはご当地にちなんだものになっている。

箱をおおっている包装紙がけっこうきれいだ。丹波くんは無意識のうちにそうっとセロテープをはがし、破らないように包装紙をひろげ、正確に角と角をあわせて手のひらでさーっとなでるように伸ばし、たたみ……そこではっと気づいた。

「これはおかんのやってたことそのままではないか」

丹波くんがものごころついたころから、母親はこぎれいな包装紙があるときちんとたたみ、ひもやリボンはくるくると巻いて箱や缶に収納していた。あれをずっと見続けていたせいで、おれの手が勝手に動いたようだ。なんとおそろしい。これも刷り込みというのか。それとも遺伝か。抗えない「血」なのか。ひえいっ。

丹波くんは思わずたたんだ包装紙を投げだし、いまわしいものでも見るような目つきでそれを見た。しかし一方で母親のことを思い出し、きちんきちんと包装紙やひもを保管していた姿に何やらじいんとしている自分がいた。

そういえばおかんにもしばらく会ってないなあ。電話でもするか。といっても歩いて7分のところに住んでるんだけど。まあやっぱり電話だな。

丹波くんは実家に電話した。

「あら、けんちゃん? しばらくぶりじゃない。何か用?」

「別に、用というほどのこともないんだけど、えっと、その……きれいな包装紙があるんで、今度持って行こうか?」

「包装紙?」

「うん。集めてただろ……けっこうかわいい包装紙だよ。メス牛とオス牛のキャラがラブラブな感じで、全体に花模様があって、しかも店の名前が入ってないんだ。そんなやつ、好きじゃなかったっけ。タンスの引き出しに敷いたり、段ボールの箱に張ったりしてただろ」

「けんちゃん……」

母親は感動しているようだ。勇気を出して電話した甲斐があった。胸のあたりがぽわんとあったかくなる。

「気持ちはうれしいけど、最近は集めてないのよ」

「えっ」

「うちの近所に大きな100円ショップができてね。そこに行ったらきれいな包装紙やリボンがいっぱいあるのよ。それだけじゃなく、小さな紙の袋とか手提げとか、こんなのがあったらいいなーと思うような、乙女心刺激しまくりの気の利いたグッズがいっぱい。もう集めるのがばかばかしくなってね。全部捨てちゃった」

「捨てた?!」

「そうよ。わざわざ折り目を伸ばしたりする必要もないし、いつでも買えるわけじゃない。私、いままで何してたんだろうって気分になって。段ボール二箱あったのを全部捨てたわ。おかげで押し入れも広くなったし、いいことだらけよ〜」

「そうなんだ」

「気持ちだけありがたく受け取っとくわ。でも、もうそんな時代じゃないのよ。けんちゃんもそんな所帯じみたことしてないで、どーんとお給料のいい勤め口見つけてね。じゃあね〜」

電話は切れた。おれはしばしぼうぜんとiPhoneを見つめていたが、しばらくすると、母親の言葉が気になってきた。

──もうそんな時代じゃないのよ。

──段ボール二箱あったのを全部捨てたわ。おかげで押し入れも広くなったし……広くなったし……段ボール二箱分……

丹波くんが次に電話したのは山城先輩であった。

読者諸兄はお忘れであろうが、そして私自身も忘れていたが、この丹波くんと山城先輩は2012年2月9日配信分の「キチュキチュ」に登場した人物である。

国策として政府が進めていた地デジ化で、やむなく液晶テレビに替えたらテレビの裏側に「空き地」ができた。このことから陰謀説を唱えた、くだらん、じゃなかった、くだんの二人である。
https://bn.dgcr.com/archives/20120209140200.html


電話から15分後には山城先輩は丹波くんの住むアパートにいた。

「なるほど。最近あちこちに100円ショップが増えすぎだな。おれも実は気になっていた」

「でしょ、でしょ! ここから徒歩圏内に三軒もあるんすよ。しかも品揃え半端ない。おかんがよく行くという、包装用品のコーナーには行ったことないんですが、それはそれは充実してるらしいです。で、段ボール二つ分の空きスペースができたんですよ! うちのおかんのような人が日本全国で何万人いると思います?!」

「よくわからんが、相当いるだろう」

「段ボール二つ×相当数! このスペースが偶然に生まれたものではなく、何者かが、なんらかの意図を持って、作り出したものだとすれば? そうです、政権と地球外生命とが手を組み、やつらにスペースを提供しようとしているに違いありません!」

「あり得るな。国が裏で手を回し、100円ショップの出店に便宜を図っていたに違いない。いや、待てよ。何年か前にもこれと似たような話、おまえとしなかったか?」

「しました……地デジ化でみんなが液晶テレビに買い換えることによって、テレビの後ろに空き地が……という」


宇宙のはるか彼方、キチュウ星。極小人種が棲息するが星も極小で狭くて困っているという例のキチュウ星では、大統領補佐官が地球監視定点モニタを眺めながらにんまりとした。補佐官はさっそく大統領に報告した。

「閣下。朗報でございます。地球に空き地が見つかりました。われらの移住地としてたいへん有望かと」

「なんと。その情報は確かなのか」

「私がこの目と耳で確かめました。いま地球では各地で、地球人のいうところの『押し入れ』とやらに空き地ができているようです」

「だいじょうぶなのか。おまえの前任者はあてにならなかったからな。四年前、情報をもとに先遣隊が地球に向かった。確かに空き地はあるにはあったが、劣悪な環境であったそうな」

「それはテレビの裏だったからですね。当然やかましい。しかもそこに住んでいた地球人は毎日不規則な生活をしていて、ほぼ常食となっている『ラーメン』というものの臭気ががこもっておりまして、加えてテレビが静かになると、今度はおそろしいばかりのいびきが鳴り響くという」

「今度はどうだ」

「前回の住宅から徒歩7分──地球人の徒歩ですが──の場所に位置する住宅ですが、押し入れというのは暗くて静かなところです。めったに開け閉めしない『物置』に近い状態のようです。雨風の心配はありません。ひそかにコロニー建設を進められそうです」

「なるほど。期待出来そうだ。では準備を進めてくれ。とにかくこの星は狭い。もう限界じゃ」

大統領室とは名ばかり、カプセルホテル並の狭さ、上下左右の空間からキチュキチュと話し声が聞こえる部屋で大統領は言った。


「あのときの話はどうなったんだっけ、結局」

「どうなったんでしょうね。結局……エイリアンがやってくるのは妄想だという結論でしたっけ?」

「ふううむ」山城先輩は腕組みをして考え込んだ。

「エイリアンが地球をねらっているというのは妄想ではないかもしれないな」

「やっぱりそう思いますか!」

「空きが出たのは押し入れだけじゃないぞ。ネットに何でもあるからCDも本も買わなくなった。辞書も必要なくなった。大きな本棚を持たなくてよくなっただろ」

「そうですか? んー、ぼくはもともとあまり本を買わなかったんで、なんとも……。本棚は今もまんがでいっぱいですし」

「どこでもコンビニがあるから、まさかのときのために買い置きもしなくていい。なんでもノートや紙に書いて保管してたのに、クラウドとやらに保存してるからそれですませてるだろ」

「え、蔵人?」

「何より……何でもネットに載ってるから、いちいち覚えなくても済むことが多いよな……」

「ええっ?」


キチュウ人の先遣隊が乗り込んだスペースシップはゆっくりと進んでいた。

「楽しみだなあ、その『押し入れ』というところ。キチュキチュ」

「暗くて静かで冬でも寒くないという話だね。キチュキチュ」

「ふだんはほったらかしで、たまに片付けようとしても『あら、こんなところに古い写真が』『なくしたと思ったバドミントンセットが出てきた』とかいうことになってなかなか片付けが進まない、という話を地球人に関する書物で読んだことがありますよ。キチュ」

「じゃあおれたちが移住しても気づかなかったりする?」

「ですねえ。キチュキチュ!」


山城先輩が帰ったあとも丹波くんの脳裏には、なんだかひっかかるものがあったが、日々の生活の中で次第にそれは薄れていった。

何日かして、たまたま実家に用ができて立ち寄ると母親が嬉しそうにに迎えた。

「あらー、けんちゃん。珍しいわね。この間はごめんね。包装紙、いらないって言ったりして〜」

「あ、いや、別に。押し入れがすっきりしてよかったよね」

「ところがね……」

母親が押し入れの襖を開け、中を見た丹波くんは絶句した。そこには段ボールふたつ分のスペースなどなかった。あふれんばかりの包装用品や手芸用品、キッチンやトイレグッズその他、100円ショップで買ったらしい商品がぎゅうぎゅうに押し込まれていたのだ。

「なんだか見てたらどれもこれもほしくなって〜。どれも100円だと思うとついつい買ってしまうのよね。買いすぎたかしら? でも、100円ショップといっても店によって品揃えがちがうの。これと思うものを見つけたらさっさと買っておいたほうがいいじゃない。ほんと、便利なものがいっぱいで楽しいわ〜」


「もしもし、山城先輩ですか? 丹波です。いやー、この間はどうも……おれ、なんかまたつまらないことを言ってしまって……そうそう、押し入れの話なんですけど、あの話、取り消します。空きスペース、なかったんで……ええ、むしろスペース、ますますなくなってたというか……おれの妄想でした。

エイリアンが政府と手を組んでやってくるなんて、そんなはずないですよね……はははは。われながらあほ……先輩、聞いてます? 何か声の感じがいつもと違うみたいですけど……

え? エイリアンを差別してはいけない? エイリアンこそは地球の未来を救う存在?……先輩、だいじょうぶですか? あの、具合悪くないですか? 何か賞味期限切れのもの食べました?」


そのころキチュウ人たちはスペースシップで帰途についていた。ブツブツ、キチュキチュと文句を言いながら。

「またガセネタだったなあ」

「空き地なんかどこにもなかったですね。あの押し入れ、わがキチュウ星なみにキチュキチュでした」

「そもそもあの定点観測モニタ、設置場所が悪いと思いますがねえ」

「それは言えてるかも」

「しかし、われわれも中途半端に小さいじゃないですか。いっそのことミニミニ星人とかチマチマ星人だと話は別なんだが」

「ああ、あいつらは別だ。ほとんどダニとかノミ、シラミ並だからな。どこにでも移住できる。うわさでは地球人の体内にも」

「まじですか」

「そういえばこのスペースシップにまぎれこんだりしてなかっただろうな。チマチマ星人」

「さあ……どうだろうなあ」


【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
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http://koo-yamashita.main.jp/wp/


トランプ次期大統領、決まりましたね。なんだか世界のあちこちでネタにしやすい人が出てきてる感じですが、政治の世界はおもしろければいいというもんでもないし、困ったもんですね。

話変わって、私が一番好きなポケモンはポニータです。たてがみとしっぽがふわふわしてきれいだなーといつも思ってたんですが、がんばって集めて進化させたらちょっと老けて、がっかりです。


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■3Dプリンター奮闘記[86]
3Dプリント出力サービスと今後の発展

織田隆治
https://bn.dgcr.com/archives/20161110140100.html

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さて、3Dプリンターのお話なんですが、最近ではホビーでの活躍が目立っているようです。まあ、僕の周りがそういう人が多いからなんですけどね(笑)

ワンダーフェスティバルでは、開催一か月くらい前から、そういった出力サービスが混んで来るようなんですね。

随分メジャーになってきたなぁ……なんて思います。

こういった出力サービスって、いったいどういった物の依頼が多いんだろうって、凄く気になります。

国内では、DMMさんやrinkakさんなんかで出力サービスが盛んですが、いったいどのジャンルのプリントが多いんでしょうか?

守秘義務の関係もあるし、メーカーの商品開発のプロトタイプなんて、外部に依頼するにはちょっと難しい気もしますし、趣味でプリントする方が需要は多いのかなぁ……なんて思ってしまいます。

まあ、メーカーさんは、既に3Dプリンターくらいは導入されているでしょうね。

これまではプロトタイプなどを制作する模型屋さんがいたわけで、最終段階のモデルまでは、社内の3Dプリンターで行うことが当たり前になって来ていると思います。

僕の場合は、試作から最終モデルまでやっちゃいますけど、そういった開発の部門への3Dプリンターの普及はどんどん進んできているんじゃないかな……と。

それか、法人契約なんかもしてるんでしょうね。ちゃんと守秘義務契約を結んだりして。

でも、漏れちゃうのがこのご時世。。。。
僕だったらやっぱり社内でのモデリング部隊作っちゃうかなぁ。

そういったことを考えると、やっぱり出力サービスってのは、趣味とかちょっとしたモノ作りに偏っちゃうんでしょうか。

個人ユースでちょっとしたアイデア商品なんかや、趣味趣向に移ってきちゃいますね。

知ってる方おられたら教えてください〜!

ということで、この出力サービスの先のことをちょっと考えてみると、大きく伸びるものではないかな……と思ってます。

特殊な金属の出力とかフルカラー出力に関しては、今のところ高価でかなりの維持費も必要なことから、3Dプリンターを自社、または個人で持つのは難しいかとは思います。

フルカラー3Dプリンターに関しても、機構自体はそんなに複雑なものではないかと思うので、ある程度の時間が過ぎれば個人でも手が出る価格に落ちて行く可能性は充分あります。

金属はちょっと扱いも難しいので、今のところもうちょっと先かなぁ、とは思いますけど。

さて、みなさんのお宅、会社などに、カラーコピーやインクジェットプリンターは当たり前に存在する時代になっています。

このカラーコピーやインクジェットプリンターが、どういった感じで普及して来たかというと、今の3Dプリンターと同じ構図と言えるんじゃないかな、と思います。

僕は、昔グラフィックデザインやSP(セールスプロモーション)の仕事をしていました。

その当時、まだカラーコピー機はとても高価なもので、イズミヤ(Too)さんなんかの出力サービスにお願いしたり、文字は写植屋さんにお願いしていたりしました。

当時、カラーコピーはすご〜っく高かったです。

そして、もう少し時期が経つと、コピー機やカラーコピーはコンビニエンスストアに置かれるようになりました。

これは、少し値段が下がってきたせいで、この頃になると会社のオフィスにも一台くらいはあったりするようになってきました。

まだ、今から考えると一枚の単価は凄く高かったですけどね。

そして、インクジェットプリンターが発売されると、爆発的に各家庭に普及していくことになります。今や、一家に一台はある時代になりました。

この普及には、日本人の国民行事、「年賀状」の貢献もかなり大きいんですね。ニーズと供給が合致した訳ですね。

さて、3Dプリンターの現状を見ていると、この流れに沿って行くんだろうなぁ、とは、どう考えてもそういった結果になる訳です。

ここで、インクジェットと3Dプリンターの違いを考えると、『3Dデータ』が必須ということになります。

ここ、結構ハードルが高いと思いますよね。

そう簡単に3Dデータなんて作れるもんじゃありません。まして、3Dプリンターで出力する3Dデータってのは、そう簡単に作れるもんじゃないです。

さて、それじゃあ、インクジェットプリンターみたいに普及はしないんじゃないの? と思うじゃないですか。

現在たくさんのコンシューマ向けの3Dプリンターが発売されています。僕が3Dプリンターを使い始めた4年前頃からみると、それは恐ろしいくらいに凄く進化しています。

正に、今、ハードの進化が最速で進んでいるわけです。

そして、最近では、もっと簡単に3Dデータが作れるようなソフトも少しずつですが出て来ています。そして、3Dスキャナーも沢山出て来ています。

まだまだ実用に使うには物寂しいものではありますが、こういった物の進化って、凄い速度で起こると思っています。

カラーコピーやインクジェットプリンターが普及したきっかけも、この「データを簡単に作れるソフト」の開発と普及が、かなりの要因になったと感じています。それまでは、「プリントゴッコ」だったでしょ?

それが、いつの間にか、あっと言う間に、カラーコピーやインクジェットプリンターが各家庭に存在するようになりました。

「3Dプリンターのコンシューマー機なんて、各家庭には必要ないよなぁ」なんて言ってると、すぐにそんな時代が来るかもしれませんよ。

家庭用の3Dプリンターの爆発的普及も、すぐそばまで来てると思っています。

IoTの進化や、デジタルファブリケーションの猛烈な発展も、その要因の一つになると思います。

全然やって来なかった方も、これから3Dプリンターをぼちぼち始めるのもいいと思いますよ〜。


【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
oda@f-d-studio.jp
http://www.f-d-studio.jp



〈編集部追記〉

・DMM.make
http://make.dmm.com/


・rinkak
https://www.rinkak.com/jp/



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編集後記(11/10)

●宏観情報について紹介した田代明美「震度7を生き抜く」という本(2011、時空出版)の続き。リアルな被災レポートが読ませる。筆者は東京の実家に戻り、テレビで被災地のニュースを見ていると、なぜか長田と東灘の避難所の映像が多いことに気づく。被害を受けた場所は広大なはずだが、なぜいつも同じ場所なのか。震災当日の切迫した被災地の様子を伝える映像もほとんどない。実は、そういう映像は多数存在しているが、テレビで流されなかった。報道の規制が行われたのか。神戸のマンションに戻り、13階のベランダに出ると真っ青な世界が眼下に広がっていた。それは家々に架けられたブルーシートだった。

地下鉄サリン事件が起きたのが3月20日、この事件が阪神淡路大震災の報道を大きく変えた。この時から、マスコミの興味は一気にサリン事件に傾き、震災の報道がいつしか影をひそめてしまった。筆者は東京で震災のニュースを見ていろいろ知っているつもりだったが、じつは何も伝わっていなかった。「震災の実態は、それよりも百倍、千倍、それ以上にひどい。(略)改めて自分があの日、無傷で生きられたことが奇跡のように感じられた」。被災地で起きたことの描写は、読んでいてつらい。ニュースでは伝えられなかった大震災の姿がここにある。筆者が15年間凍結していたのもむべなるかなである。

知られざるお金の話。ほとんどの被災者が大きな経済的負担を負うことになった。ローンで購入したマンションなどが住めなくなり、何千万もの借金だけが残る。新しい住居を確保するために二重のローンを抱える人もいた。もう存在しないマイホームのローンを、今後も長期間払い続けなければならないのは辛すぎる。一生の住居と財産を手に入れたと思っていた人は、一瞬で借金苦に陥った。筆者のマンションの外部補修にかかった費用は一戸あたり250万円、戸数が多かったから負担は比較的少ない方だ。そのうち170万は修繕積立金を使い、残り80万が個人負担だ。内部修理や家財道具はもちろん個人負担だ。

義援金は全壊・全焼の一戸あたりわずか10万円、半焼・半壊も同額。一部損壊はゼロ。補修費用200万円以上の全壊・全焼、半壊・半焼にわずか30万円。一部損壊はゼロ。一部損壊の世帯は何の公的支援がなかった。筆者を含める一部損壊の人には「何も言う資格がないように感じられた。そして神戸の人は震災について話さなくなった。震災の辛い思い出をパンドラの箱に詰め込み鍵をかけたのだ。それが、震災の詳細が外に伝わらなかった大きな理由だ」。筆者は防災への提言6を示し、中でも「家具の配置を見直せ」を強調する。一番危険なのはタンス、最大の凶器。寝室にタンスを置かないのは絶対原則である。

トランプがアメリカ大統領に。公職も兵役も経験していないのに〜とNHKは何度も何度も非難していた。唐突に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の名シーンを思い出す。1955年のドクに出会ったマーティが、「1985年のアメリカ合衆国大統領はロナルド・レーガンだ」と言ったのを、ドクが「俳優の? じゃあ副大統領はジェリー・ルイスで、ファーストレディはジェーン・ワイマンか?」などと馬鹿にして信じないのだ。俳優が大統領に、という言い方は、公職も兵役も経験していない実業家が大統領に、という言い方とニュアンスは同じだ。実はレーガンは州知事を経ており、大統領としても世論調査で高評価を得ている。トランプだってそうなる可能性がないとはいえないだろう。 (柴田)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4882670496/dgcrcom-22/

「震度7を生き抜く」


●プレゼントのご応募お待ちしておりますっ! Twitterで「@dgcr RAW現像ビフォー/アフターのプレゼントに応募」と一言つぶやいてくださいまし。RTもぜひお願いします! 応募が多かったら他のプレゼントも実現できるかも。

包装紙、リボン、紙袋、段ボール、プチプチ、クッション封筒、生協の透明ビニール袋、スーパーの袋(断る時もある)、輪ゴムなどが大量に。スーパーの袋と紙袋はゴミ出しに使うものの、他は余剰気味……。/イーブイやプリンも進化させたくないグループだ。

トランプ勝ちましたね。現実主義だとは思うので、あまり無茶なことはしないと祈りたい。カンフル注射を欲する、困っている人たちが多いってことよね。/「ハウス・オブ・カード」面白い〜。アマゾンプライムビデオでシーズン2以降やって欲しいっ。

iCloudのカレンダーから、出席依頼の通知が来た。通知元は「新加坡金沙」。なんじゃこりゃとカレンダーを見に行ったら、何年も先まで予定が入っている。検索するとシンガポールカジノのスパムで、2030年まで。Apple IDへの依頼なので簡単なのだとか。

こんなスパムがあるのか〜、頭の良い人っているんだなぁ〜、と心底関心する。私には思いつかないよ。もちろん思いついてもやらないけれども。世にあるサービスの使い方を多様に考えられるのって凄くない?

同様のものが2008年にもあったらしいし、写真アプリにもスパムがあるらしい。そういやLINEやAppleのGame CenterでもIDだけで友達申請できたな〜。メールアドレスを知っているだけでスパムメールが送れるのと同様ってことか。

削除方法は検索した。新しいカレンダー項目を作り、そこに移動させる。このスパムは何年も先まで情報が入っているものの、ひとつ移動させたら全部動いた。その後、カレンダーごと「通知せずに削除」すればOK。通知したらまた登録されるかもしれないので。

環境設定に、住所録に登録されている人のみが出席依頼できるような項目や、出席依頼を利用しないという項目が欲しいな。 (hammer.mule)

「バック・トゥ・ザ・フューチャー パート2」劇中予言また的中!?
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/11/10/kiji/K20161110013696670.html


ハウス・オブ・カード
http://house-of-cards.jp/


BSフジとFODで
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4970/


iPhoneカレンダーに勝手に中国語の予定が入る出席依頼の正体はシンガポールカジノのスパム
http://no-self-enlightenment.hatenablog.com/entry/2016/11/04/212547


ダミーカレンダーを作って一括削除
http://nenza.net/2016/11/28883.html


新加坡金沙がiPhone(iOS)カレンダーに!!中国からのスパム対策
http://okanelog.net/post-1002/