[4281] 今年もやっぱり冬の尾道の巻

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《だって僕らも宇宙人なわけで》

■わが逃走[195]
 今年もやっぱり冬の尾道の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[56]
 実はUFOが200年前に日本にやってきた?
 関口浩之




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■わが逃走[195]
今年もやっぱり冬の尾道の巻

齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20170209140200.html

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年に一度は尾道に行かねば落ち着かない。

訪れる度、なつかしさをおぼえ、なんだかほっとする。

初めて訪ねてから、かれこれ四半世紀以上になるが、当時と変わらない雰囲気が魅力だ。

しかしここ10年で少しずつ、空き家が増え廃屋が増え、更地が増えた。

尾道の風景といえば、急な坂にぎっしりと立ち並ぶ家々と、それらをつなぐ路地だ。

傾斜地の場合、いちど更地になってしまうと、再びそこに家を建てるのはけっ
こうタイヘンと聞く。

観光客はその町並みに魅せられて訪れるのだから、なんとか歯止めをかけたいものだなあ。

心の故郷に対し、私にできることはなんだろう。

などとボーッと考えつつ「わが逃走」です。

前回(2015年12月)は、東久保町を中心に撮って写真集を作る! と心に決めて赴いたが、今回はとくに何も決めず、ふらっと旅立った。

無計画ならではの出会いというのはなかなか貴重で、数十回足を運んでいるにもかかわらず、気づかなかった風景をいくつも発見することができた。

とくに初日は雨が降ったり日が射したりが、繰り返しやってくる天気だったので、馴染みのある路地も、いつもと違って見えてシアワセ感倍増。

そのときの写真をいくつかご紹介したいと思います。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/001

ラーメン食べて店の外に出たら、雨があがっていた。青空と、青空が映り込むアスファルトの路面にしばし見とれるも、かつてここに商店や家々が立ち並んでいたことを思うと、心情的に微妙ではある(これのみカラー)。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/002

ちょっとした路地に入り込む。水たまりの上が青空というのは、パラレルワールドの入口っぽく感じるのは何故かなーって、ずっと考えていたのだが、これは押井守監督作品『ビューティフルドリーマー』の影響かもしれない。

いかにも裏路地といった風情はこのあたりでは当たり前だが、旅人からすればなつかしげであり、貴重な存在。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/003

南北にも東西にも高低差。ちょっと歩くだけで、屋根瓦が目の高さまで下りてくる。午後の陽射しが石垣を照らし、路面に映る。ちなみに夏は、このへんでよく猫に出会う。

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やや西に傾いた太陽が雨上がりの屋根瓦を照らす。坂の町では反射する陽の光と、瓦が乾いていくにおいが普通に味わえるのだ。なんたる贅沢!

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昭和的装飾つき手すりと石垣との対比。いつかこんな環境で暮らしたい。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/006

こういうちょっとした素材の違いも、雨上がりだと対比が引き立つ。普通であることがこれほど美しい、そんな町が他にあるだろうか。いや、ない。反語。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/007

階段を切り欠いて家が建っているのか、その逆なのか。いずれにせよ、この階段の幅の変化には物語を感じる。うーん、こういう町で育ちたかった。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/008

西からの陽が美しいが、雲行きはあやしい。と思う間もなく驟雨が。しかし10分ほどでやむ。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/009

潮見町。初めて来た。かわいい曲線路地と階段。
雨脚が強まるも10分ほどでやむ。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/02/09/images/010

以前から気になっているモダニズムっぽい建築。よく見ると瓦屋根仕様であることが判明。隣の煉瓦倉庫と相まって、実にモダンな一角。


というわけで、わずか4時間程度の散歩にもかかわらず、ドラマチックな風景を堪能できました。

尾道はとくに目的を設定せず、「今日は東の端まで行ってもどってくる」など、なりゆき系散歩に最適です。

これからの季節はとくにオススメ。みなさんも、ぜひ尾道へ。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[56]
実はUFOが200年前に日本にやってきた?

関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20170209140100.html

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もじもじトークの関口浩之です。

2017年も1月があっという間に過ぎ、2月に突入しました。この調子でいくと、すぐに夏がやってきて、「今年ももうすぐ終わりますね〜」と挨拶する年末がやってくるのではないかと、今から心配しております……。

●「うつろ舟」、知ってますか?

まずは、この写真をご覧ください!

https://goo.gl/9RFvp0


実はUFOが200年前に日本にやってきたらしいのです……。

ときは、江戸時代、1803年(享和3年)に、現在の茨城県の海岸に、今でいうUFO(未確認飛行物体)に似た舟が漂流していたそうです。

当時、10種類以上の瓦版が発行されていたようで、その図版が数枚、六本木ヒルズ森美術館で開催された「宇宙と芸術展」で展示されていました。

なんか、かつ丼のどんぶりのような模様をしていますね……。UFOのような形をした鉄製の舟で、窓が付いていて、美しい女性が乗っていたそうです。

そして、その舟の内部には、見たことなない奇妙な幾何学文字が書かれていたと言われています。

でも、空を飛んだという記録はないみたいです(笑

「宇宙人はいるのか?」という真面目なテーマゾーンの展示物でしたが、これがUFOだったのかは謎です……。

このお話は、江戸時代の都市伝説の可能性がありますが、地球以外の惑星に宇宙人は必ずいると思うんです。だって僕らも宇宙人なわけで。

地球にはすごい文明があって、科学が進化を遂げていますが、地球外生命のいる場所に(多分、何億光年の先)、ワープを繰り返して会いに行けてないだけかもです。

そちらの宇宙人のみなさんも、そう簡単には、地球にたどり着けないですからね。いつかは、宇宙人と対面できると思います。

●宇宙人の存在は、万国共通の関心事?

この写真もご覧ください!

https://goo.gl/AIuSj0


同じく、「宇宙と芸術展」で撮影したものです。

アポロ計画がまだ始まっていない20世紀前半は、「宇宙人は、きっとこんな姿をしている」と想像で絵を描いたり、「火星人が地球を攻めてきた」とかのSF専門誌が刊行されたり、楽しい時代があったようです。

この展示物をみてたら、小学校の頃、宇宙ステーションや、謎の円盤UFOや火星人の絵を描いたりして遊んでいたことを思い出しました。

当時は、まだ誰も宇宙へ飛び出していないし、ハッブル宇宙望遠鏡も打ち上げられていなかったので、宇宙に対する事実の裏付けがない時代でした。

なので、自由な発想でたくさん妄想できたので、素敵なSF専門誌ができたり、怪しいポスターがたくさん生まれたんだと思います。

●初の月面着陸の時の交信内容、覚えてますか?

アポロ11号が月面着陸したことは、僕にとって、鮮明に記憶している出来事のひとつです。1969年の夏、白黒テレビにかじりついて見たことをはっきりと覚えています。デジクリの読者の多くは、生まれていないかもしれませんね。

これが当時の交信記録です!

https://goo.gl/LUY3RX


月着陸船「イーグル」と管制センター「ヒューストン」の交信やりとりです。

ニール・アームストロング船長の有名な名言、「これはひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」と書かれています。

(That's one small step for man, one giant leap for mankind.)

当時、NASAが記者団に配布したアポロ11号の任務記録が展示されていたのです!

そして、それに続く、「たしかに月面着陸というのは、ひとりの人間からすれば一歩でしかありません。しかし、地球からは眺めることしか出来なかった月の表面に足を踏み入れるということや、月まで到達をすることが出来たということ全てが衝撃的なことでした。」

この英文タイプの原本を読んでいたら、心が踊りました。

当時、僕は9才。実は宇宙飛行士を夢見ていた小学生だったんです。

現在、宇宙飛行士になっていませんが(当たり前か……)、今でも天体観測好きなのは、その影響があるんだと思います。

宇宙の誕生や宇宙の構造の解明が進んできていますが、僕には理解不能な計算式だし、その理論が正しいかどうかはわかりません。

でも、宇宙はとにかく楽しいし不思議だし、科学がどんなに発達しても妄想はたくさんしたいと思います。

そんなことを再確認した展示会でした。

六本木森美術館「宇宙と芸術展」
http://www.mori.art.museum/contents/universe_art/


次回は、文字ネタをお送りしますね!


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。


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編集後記(02/09)

●わが家から自転車で往復20〜30キロコースはほとんど制覇したので、昨日は久しぶりに電車に乗ることにした。さいきんは電車に乗っていないと書いたばかりであるが。最寄り駅まで歩く。自転車で行くと駐輪場を使わざるを得ず、長時間置いておくと無慈悲な料金をむしり取られるからだ。140円大回りに出発。といっても、せいぜい3時間以内のミニ旅である。南浦和から武蔵野線に乗りかえて、右回りして、新松戸から日暮里に出て帰ってくる、もう何度も用いたイージーなコースにした。その前に大宮のエキュートに行ったが、改札を通る必要があるという。大回りが初っぱなで挫折してしまうので入場しない。

乗り慣れた武蔵野線だったが、電光掲示板(って、まだ言うか?)の情報がわかりやすかったり、シートが蒲鉾状でなく人数分きれいに区割りされていたり、シートの端は半透明ボードがついて、立っている人が寄りかかれるようになっていたり、しばらく利用していなかったから、今浦島な気分である。平日の14時過ぎだから空いていて、噂に聞いていた、タブレット、スマホをみんなが一斉に覗いている奇っ怪な状態、というのはなかった。咳や外国人の声がときどき聞こえる。顔の黒い人の、まったく知らない言語だった。ところで、自転車を片手運転しながら、大声でスマホってる女性、99%が中国語であります。

新松戸で下りて、常磐線に乗り換えた。唐木田行きとは初めて聞く駅名だなあと思っていた。そこで気がつかなかったのが失敗。西日暮里に着いたら、ここは東京メトロのホームだった。乗ってきたのはJRではなかった。JRとメトロは相互直通運転していたのだ。知らなかったよ、Gさんは。JRに乗り換えるには、改札を通らなければならない。JRの140円切符では、めんどうくさいことになるかもしれない。ちょっと焦った。仕方なく逆戻りすることにした。北千住で下りて、JR常磐緩行線に乗り換えて、無事に日暮里へ。すでに近郊路線図が頭から抜けていたから、かなり混乱した。あとは、いつもの慣れたコースだ。

最寄り駅から南に一つ目の駅で降りた。この切符で自動改札を通ると、たぶん警告音が鳴ると思ったので(かつて北に一つ目の駅で経験あり)、有人改札に行って「ものすごーく寄り道をして来ました」というと、無表情、無言で通してくれた。駅前コンビニで「ガリガリ君リッチ 黒みつきなこもち」を買う。税込みで切符代と同じ140円。きなこ味のキャンディーの中に、先端にもち菓子、さらに黒みつソースときなこかき氷が入った、桔梗信玄餅みたいな味でなかなかナイス。わが家まで、わたしの足で約20分かかった。今回のミニ回りの経験で思ったのは、このシーズンはマスクが必要だなということ。 (柴田)


●AED続き。小児用の電極パッドについて。0歳児から利用可能。未就学児を対象と考えればいいのだが「うちの子は身体が大きくて」とか「来月入学なんです」なんてので迷う場合は成人用でOK。

身体が小さいためパッドの面積を考えると、鎖骨下と反対側の下腹部という貼り方は難しい。なので胸の真ん中と背中の真ん中とに貼ってくださいとのこと。

胸骨圧迫についての質問もあった。赤ちゃんの場合、男性なら片手で、人差し指と中指の2本程度で圧迫すると良いらしい。かける力は、赤ちゃんの身体の1/3が沈み込む程度。 (hammer.mule)