《eスポーツ、始めました》
■まにまにころころ[147]
ふんわり中国の古典(論語・その10)
礼を尽くす、ということ
川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
■クリエイター手抜きプロジェクト[560]IoT IchigoLatte編
計測したデータをパソコンやEEPROMに転送する
古籏一浩
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■まにまにころころ[147]
ふんわり中国の古典(論語・その10)
礼を尽くす、ということ
川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
https://bn.dgcr.com/archives/20181105110200.html
───────────────────────────────────
コロこと川合です。11月、さすがに冷房つけることも、ほぼなくなりました。
秋ですねえ。読書の秋、味覚の秋、スポーツの秋。第一は味覚の秋ですよね。春夏秋冬を問わず食べてばかりの私ですが、柿が大好きな私は秋も大好きです。
野菜ほか色んなものが年中出回りますが、果物は比較的、季節感ありますね。そろそろ柿も富有柿に変わりつつあって終盤戦。次はリンゴの季節かな。
そんな私ですが、最近、スポーツを始めました。eスポーツ、というスポーツを……。
eスポーツというのは、競技性のあるコンピューターゲームのことです。別に、スポーツゲームじゃなくても、競技性があればeスポーツです。RPGでも。
人気なのは、チーム戦でオンラインの仲間と会話しながら協力して、銃を撃ちあったり、剣を振り回したり、魔法を放ったり、というようなゲームですが、そういうのって、ハマると時間がいくらあっても足りないので、私は空き時間に独りで遊べるサッカーゲームをコンピューター相手にやってます。(笑)
いや、eスポーツブームだし、仕事がらみでも少し関係してきてたりするし、eスポーツを五輪競技にしよう、なんて寝g……もとい、夢のある発言も聞いたりするし、ちょっとは触れておかなきゃなと。
eスポーツの良いところは、ジャンルの豊富さと参加できる人の幅広さ、あと、あまり場所を選ばないところですね。
スポーツゲームあり、戦争ゲームあり、ファンタジーあり、ボードゲームあり。そして子供から老人まで同じ舞台で戦えて、オンライン対戦は自室にいながら世界中のプレイヤーと一緒に遊べるというのが魅力です。身体障碍を抱えた人にとっては、パラスポーツ以上に門戸が開かれていますしね。
そんなゲーム昔からあったじゃないかって話ですが、ここへ来てブームなのは、大きな理由の一つとしては、世界で高額賞金のかかった大会が多く開催され、プロゲーマーが増えたことでしょうか。
競技の様子などがネット配信され人気となり、人気となればスポンサーが付き、どんどん大きなお金が動くようになって、ますますブームが盛り上がって。
子供たちが将来の夢として、プロゲーマーだのユーチューバーだのって言ってるのを聞くと、私のようなおっさんは天を仰ぐ気持ちになったりもするのですが、実際よくよく考えてみると、プロ野球選手になりたい、芸能人になりたいって言ってるのとなんら変わらないんですよね。
家庭用コンピューターゲーム、というかテレビゲームが世に出てきたのは私がちょうど小学生になるかならないかくらいの時代でしたが、まさかこんな時代が来ようとは、夢にも思いませんでした。家庭用ゲーム機の歴史と共に育ってきた世代としては感慨深いです。
1981年にエポック社からカセットビジョンが出て、いとこの家で遊んだ覚えが。1983年には任天堂からファミリーコンピューターが発売されたんですが、うちには導入されず……代わりにやってきたMSXでゲームをしていました。
1986年にシャープからツインファミコンという、ファミコンとディスクシステムが一緒になったものが出て、それが我が家の初ファミコン。
1987年のPCエンジン(NEC)は華麗にスルー。1988年のメガドライブ(セガ)もスルー。
1989年にはゲームボーイが、1990年にはスーパーファミコンが出て、それには乗っかりました。同年にはSNKから、「100メガショック!」のキャッチが印象深いネオジオも登場していますが、あれは貴族のゲーム機でした。(笑)
100メガショックが、100メガビット、だと知った時のショックもいい思い出。
そして我々を悩ませたのが1994年。セガサターンとソニーのPlayStationが、いわゆる「次世代機」として登場。マルチメディアという言葉が席巻した時代です。ゲームソフトもCD-ROMになって、キャラクターがよくしゃべるゲームも続々と登場しました。若い人には何がビックリなのかさっぱりでしょうけども。
悩んだ末、我が家はセガサターンを選択。アニメからのゲームが多かったのが選択の理由としては大きかったかなと思います。
1996年のNINTENDO64は、まったく惹かれずスルー。
そして1998年、サターンからの流れでドリームキャスト(セガ)ですよ。湯川専務のCM、シーマン、シェンムー、ファンタシースターオンライン……。
2001年にはニンテンドーゲームキューブが登場しましたが、任天堂はもうダメなんじゃないかと思うほど、当時の私には魅力が感じられなかった。
2002年にPlayStation 2が登場して、ドリキャス勢はどんどん下降線。同年はマイクロソフトからXboxも登場しましたが、そっちは当時、あまりインパクトなかったです。プレステ2ですよ、やっぱ。数年後、悔しさを感じつつ、結局私もプレステへ。
私の家庭用ゲーム機の歴史はこんな感じでした。2002年にはもう25歳でしたし、その後はまあ、たしなむ程度に。
2006年に任天堂がWiiを出した時は、ちょっと興奮しましたけどね。ああ任天堂がついに復活した、と。あれは衝撃的でした。一瞬のきらめきでしたが。
……すみません、ついゲームの歴史を長々と。
さて、数十年前の話はここまでにして、二千数百年前に戻りましょう。
◆
◎──巻第二「八いつ第三」十七
・だいたいの意味
子貢が、告朔の礼の習慣で生贄の羊が捧げられるのを、やめようと思った。孔子は、賜(子貢)よ、あなたは羊を惜しむが、私は礼を惜しむ、と仰った。
◎──巻第二「八いつ第三」十七について
ここは説明がないと、いまひとつ分からないところです。告朔の礼という儀式は、羊を生贄に捧げることが行われていたんですが、この時代、儀式自体は廃れて、羊を捧げることだけが形式的に残っている状態だったそうで。
子貢はそれでは無意味だと、羊を捧げるのをやめようとしたんですね。
でも孔子先生は、羊を捧げるだけになってしまった儀式でも、それさえも無くしてしまえば、もう完全にこの告朔の礼は消滅してしまうだろうと。それなら、羊を捧げるだけでも続けられているほうが、まだましだと。
形骸化してしまってもはや本来の姿をとどめていない、無益な行為であっても、それでも残っていれば、いつか復活することがあるかもしれない。そのために、その行為だけでも残しておいたほうがいいだろうと、孔子先生は考えたんです。
悩ましいところですが、確かにそうかもしれませんね。そんな形ででも残っていれば、「これは元々は、こうこうこういう儀式があってね」と伝わっていく可能性がありますが、まったく消えてしまえば、きっかけも手掛かりも失っていくことになるでしょうから。
現代の伝統行事を振り返っても、そういう話はありますよね。渋谷で暴徒どもが好き放題やらかしたハロウィンも、ああいう出来事を受けて、ハロウィンは古代ケルトに起源があってね、なんていう話題が語られていましたし。
ハロウィンが下火になっても大した問題ではないですが、礼が失われてしまうのは孔子先生にとって大問題なんです。
孔子先生のことはさておいても、何らかの儀礼の痕跡から、歴史を振り返ってみるのはいいことかもしれません。たぶん、純粋に面白いと思いますし。
例えば、まあ儀礼ではありませんが、一昨日の文化の日。今では単なる祝日としてしか認識されていないと思いますが、そもそもは明治天皇の誕生日です。
そして1946年に日本国憲法が公布された日で、平和と文化を重んじる憲法だということから、「文化の日」とされることになったものです。なお日本国憲法が施行された5月3日は、「憲法記念日」とされました。
明治天皇の誕生日にたまたま日本国憲法が公布されたのではなく、おそらく、自然な形でその日を記念日として残したかったのだと思います。検索すると、日本側の「言い訳」や、GHQとの攻防なんかのエピソードが出てきて、面白いですよ。
なお再来週、11月23日の「勤労感謝の日」は、飛鳥時代に始まった豊穣を願う儀式としての宮中祭祀「新嘗祭」に由来するものです。
ちなみに、天皇が即位の礼の後に初めて行う新嘗祭のことを大嘗祭と呼びます。今上天皇の場合、喪が明けた平成二年に即位の礼が行われたので、平成二年に大嘗祭が行われました。来年はおそらく、およそ30年ぶりの大嘗祭ですかね。
上皇となられるのは1817年に太上天皇になられた光格天皇以来のことなので、今上天皇は約200年ぶりに、前任者として大嘗祭を迎えられる方になります。
新嘗祭は皇極天皇の時代に始まったと言われていて、中断を経て、江戸時代に復活した宮中祭祀です。皇極天皇ってあの大化の改新(乙巳の変)の時の天皇ですよ。そんな時代に始まったことを元に、今、祝日になってるんですよ。
……と、そんなこんなを考えると、孔子先生の仰ることも少し理解できる気が。
◎──巻第二「八いつ第三」十八
・だいたいの意味
主君に仕えるにあたって礼を尽くせば、人はこれをへつらいだと言う。
◎──巻第二「八いつ第三」十八について
礼を尽くして仕えることを、へつらいだと誹謗する輩に対する嘆きです。通常、主君に礼を尽くすことはそれほど不自然ではないんでしょうが、この時代は、孔子の主君である魯公は権威を失い気味で、三桓氏と呼ばれる三家の有力者が幅を利かせていたので、こんな陰口も出やすかったのでしょう。
礼を尽くす、というのは、際限なく媚びることではもちろんありません。ただしきたりに則って、過不足なく礼儀をわきまえることです。
三桓氏、これまでも何度か出てきていますが、魯の第十五代である桓公の子、次男、三男、四男を祖とする孟孫氏(仲孫氏)、叔孫氏、季孫氏のことです。なお長男は荘公です。徳川家で、徳川家康の子が御三家となったのをイメージすると分かりやすいかも。
次男が慶父、三男が叔牙、四男が季友といったので、その名をとっています。三桓氏が成立した頃の時代も面白いのですが、今は関係ないので割愛。
故事「管鮑の交わり」でも知られる、管仲や鮑叔がいた時代の話です。
管仲については『論語』でも話題として出てきます。次回には出てきます。
◎──巻第二「八いつ第三」十九
・だいたいの意味
(魯公である)定公が孔子先生に尋ねられた。主君が臣下を使い、臣下が君主に仕えるのは、どのようであるといいだろうか。
孔子先生が答えられた。君主は礼をもって臣下を使い、臣下は忠をもって君主に仕えるのがいいでしょう。
◎──巻第二「八いつ第三」十九について
上は下に敬意を払い、下は上に誠意を尽くせ、ってことですね。
定公(ていこう)は、亡命先の斉から魯に戻ってきていた孔子を抜擢した人です。この問答もどこか通じ合ってる感じがしますよね。
孔子が生まれたのは、第二十三代の襄公(じょうこう)の時です。襄公の子で第二十五代(先代は短命)の昭公(しょうこう)の時代、三桓氏が魯の軍事を私物化して、完全に権力を掌中に収めます。
今読んでいる「八いつ」の最初、三桓氏最有力の季孫氏が儀礼で庭に八列の舞を舞わせているのを憤っていましたが、これは昭公の時代、昭公が襄公を祀る儀礼が粗末なものであったのに、季孫氏があろうことか天子にのみ許されたとされる、八列の舞を行っていたことに憤慨したものと言われています。
昭公は三桓氏を押さえるべく季孫氏を攻めますが失敗、斉へ追放されてしまいます。孔子もそれを追って斉へ。異国文化(お隣ですけど)に触れます。
『論語』のややこしいところは、おおよそのテーマ別に編集されているため、時代は前後ばらっばらなところで。
今読んでいる「八いつ」では三桓氏に憤りまくりの孔子先生ですが、前の「為政」では、季孫氏の季康子に質問されて、民衆を統治する方法を語ってたりしましたよね。
あれは年代的にはだいぶ後で、わりと晩年のことです。季康子は、後々にも『論語』に何度も出てきますし、孔子と季孫氏の関係は複雑なのですが、まあそれは追々。
◎──今回はここまで。
半分ほどゲームの話になっちゃいましたが、次回には今の章も終わるかと。
有名フレーズは出てこなくなりましたが、それでも興味深い話がちょいちょい出てきますね。愚痴のような話とか、今では何の役にも立たなさそうな話も多いですけどね。その辺はさらっと読み流しつつ、どんどん先へ行きましょう。
それではまた次回。
【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
https://www.facebook.com/korowan
https://www.facebook.com/caputllc
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■クリエイター手抜きプロジェクト[560]IoT IchigoLatte編
計測したデータをパソコンやEEPROMに転送する
古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20181105110100.html
───────────────────────────────────
今回は、計測したデータをパソコンやEEPROMに転送してみます。パソコンにデータを転送する場合は、予めIchigoLatteと接続しておく必要があります。
パソコンに計測データを送る場合は、シリアル(UART)にデータを転送するuart()を使います。uart()のパラメーターに出力したいデータを指定します。
前回のプログラムは以下のようになっており、画面にセンサーの値を表示するだけでした。
while(1){
log(ana(2),"\n");
sleep(1000);
}
これを改良して、シリアルにもデータを出力するようにします。といっても、とても簡単です。uart(ana(2),"\n"))を付け加えればよいだけだからです。
while(1){
log(ana(2),"\n");
uart(ana(2),"\n");
sleep(1000);
}
これでもプログラムは動作しますが、場合によってはセンサーの値が異なってしまいます。そこで、以下のように変数に入れてから、変数の値を画面とシリアルに出力するようにします。
while(1){
var a=ana(2);
log(a,"\n");
uart(a,"\n");
sleep(1000);
}
このようにすれば、パソコン側でデータを保存することができます。
パソコンだけでなく、IchigoLatteに接続したEEPROMにも保存することもできます。ただし、EEPROMの場合はI2Cで接続されているため、uart()のように簡単に処理することはできません。
やや複雑なコードになりますが、以下のような関数を作っておくと便利です。この関数は、指定したEEPROMのアドレスに、2バイトのデータを書き込みます。なお、書き込み後にはウェイトが必要になります。
以下のプログラムでは50ミリ秒にしていますが、使用するEEPROMに応じて調整してください。正常に書き込めない場合は、値を大きくしてください。
function write(adrs,n){
var n1=n&0xff;
var n2=(n>>8)&0xff;
i2cw(0x50|(((adrs>>16)&1)<<2), (adrs&0xff00)>>8,adrs&0xff, n1,n2);
sleep(50);
}
この関数を組み込んで画面、パソコン、EEPROMにデータを書き込むプログラムは以下のようになります。なお、EEPROMすべての領域を使うのはよくないので、ここでは最大128個までのセンサー値を保存するようにしています。
function write(adrs,n){
var n1=n&0xff;
var n2=(n>>8)&0xff;
i2cw(0x50|(((adrs>>16)&1)<<2), (adrs&0xff00)>>8,adrs&0xff, n1,n2);
sleep(50);
}
var adrs=0;
while(1){
var a=ana(2);
log(a,"\n");
uart(a,"\n");
write(adrs,a);
adrs=(adrs+2)&0xff;
sleep(1000);
}
次回はEEPROMに保存した計測データを読み出し画面に表示してみましょう。
【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/
10/28放送の下町ロケット。軽トラに積んだ苗箱の数からして70〜80枚くらい。この量だと田んぼの広さは三反歩程度(うちは一反四畝で、全部植えると32〜34枚ほどなので)三反歩なら、田植機の横に苗箱を摘まないと途中で足りなくなってしまう。
あれ? と思ってよく見たら、やっぱり両側に苗が乗ってないf(^^;
https://twitter.com/openspc/status/1056524155607105536
反対側で受け渡して乗せるというのもあるけど、そういう具合ではなかった。原作では問題なくても、実際に撮影している側に経験者がいなかったのでしょうか。
この後、自動でトラクターとかがやってくれるらしい(クローズアップ現代+でやっていた)。自動化するのは問題ないけど、大規模専業農家しか機械買わないはず。中小の農家が買っても(兼業農家も)ペイしないから。
そんな機械買うくらいなら、スーパーで米を買った方がはるかに安い。というか、今の米価なら機械買うお金で一生分の米が買える感じ。結局、自動化で寡占化が進み面倒な里山はやらない流れかなあ、と。
さらに困るのは、こういう上っ面だけのところだけ、つまりいいところだけやって、他の整備は地元の人がやらないといけないハメになるというところじゃないかなあ(現時点でもそうなっている。農業法人はやらないし、お金も払わない)。
数年前から国も面倒になって、金やるから地元で(土地改良区で)やり給え〜になってるし。
農業関係は引き継いで初めて知ることも多いので、なかなか難しい……。
・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram
・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936
[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/
・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605
・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP
http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591
・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/
・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/
・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/
・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/
・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(11/05)
●「トラ・トラ・トラ!」を再見した。1970年公開だから、48年も前の大作である。日米双方の視点から真珠湾攻撃を描こうとした長編で「とにかく退屈、攻撃が始まるまで眠気をこらえる」とかつて書いた記憶がある。この度は二晩かけてゆっくりと見た。アメリカ側と日本側の場面を両国の監督が別個に撮影して、組み合わせて仕上げるという合同スタッフ・キャストで制作された映画。
主役の山本五十六長官は山村聰、重厚でなかなか良い。他の配役も若き日の誰かでなつかしい。もっとも多くは名前を忘れている。それにしても、山村聰以外の俳優の声がよく聞き取れない。発音が明瞭でない。音量を上げてもイマイチ。むしろ字幕で出る、シンプルな英訳のほうがわかりやすいくらいだ。
タイトルバックは艦上に整列する日本海軍を延々と映す。海軍中将の山本五十六と吉田善吾が敬礼を交わすのが、始まって5分44秒後だった。1941年12月7日(日)早朝、日本軍はハワイのアメリカ太平洋艦隊を奇襲。これにより第二次大戦が太平洋に波及した。そこに至るまでの日米の動きを丁寧に描いている。
始めのうちは、日本側、アメリカ側の登場者には名前と職名が出るのだが、二度目以降から出ないので、既にこの人は誰だったかを忘れている(私の場合)。まあそれでも何となく話は通じるからいいや。合衆国海軍省海軍情報部では、東京から大使館に送られる暗号は、全部傍受して解読している。日本の大使よりも早く情報を得ている。解読情報の配布先は大統領以下12高官である。
空軍長官や、基地や艦隊の司令官には伝えない。だから真珠湾作戦は実現したのかもしれない。太平洋艦隊のキンメル司令官は「軍人は命令を守らんとな。作戦本部はここは大丈夫だといっているよ」なんてお気楽である。地上機は全部で483機、飛行場の中央に集めて護衛するという命令を出す。空襲があったらひとたまりもないぞ、という声も届かない。ハワイの海軍はゆるすぎる。
アメリカ側の動きも丁寧に描かれているようだが、もはやどの顔が何の役だったのか覚えていないから、ただただ展開についていくだけだ。日本側の動きも同様だ。真珠湾攻撃のシーンが始まると、そのリアルさに驚愕した。もちろんCGはないし、合成も未熟の時代、すべて実物、すべて実写なのだからそれは当然だが、その迫力といったら。危険なシーンが多過ぎる。編集がじつにうまい。
「リメンバー・パールハーバー」という言葉は、開戦前から用意されたアメリカ側のプロパガンダである。実際は日本の真珠湾急襲は、暗号を解読して事前に分かっていたから、日本に先に手を出させるために、あえてハワイを囮に用いた国家プロジェクトだ。だから、虎の子の空母エンタープライズとレキシントンはハワイから逃がしている。日本は罠にはめられて真珠湾を急襲した。
ということまであからさまにした「トラ・トラ・トラ!」って……。しかも、よくある反戦的な白々しいセリフも皆無。アメリカ側のマイナス面をも、作為なしで出してくるのだから、歴史に正対した奇跡的な映画ではないか。アメリカで興行的には振るわなかったのはそのせいだろう。ずっと前に見た時とは全然違う感想を抱いたのは、まだ若かったのね、ということなのだろう。(柴田)
「トラ・トラ・トラ!」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00T9BCUPE/dgcrcom-22/
●パスポートの更新続き。クーポンのQRコードを準備し、アプリをダウンロードした上で「Ki-Re-i」に挑む。記憶が薄れつつあるが、タッチパネルだったように思う。
「Ki-Re-iクーポン」のボタンを押し、QRコードをボックス内の左上にある読み取り機にかざす。エクセレントモードとしてお金を投入。写真サイズから「パスポート」を選ぶと、背景色の選択画面に。白、青、グレーの中から選ぶように指示されるが、履歴書写真などであれば、ピンクの背景なども選べるようだ。
昔のボックスだと、画面に出てくる頭部枠に自分の頭が収まるようにしていたと思うのだが、「Ki-Re-i」だと、目の高さを合わせるだけ。パスポートって写真自体の大きさと、映っている顔のサイズが厳密だったように思うんだけど……と、心配になりながら高さを合わせる。 (hammer.mule)