《バビューンとしてて、シュッとしてて、キュート》
■わが逃走[238]
福井駅周辺のシブい物件の巻
齋藤 浩
■もじもじトーク[107]
文字に潤いと体温を 筑紫書体のコンセプト
関口浩之
■わが逃走[238]
福井駅周辺のシブい物件の巻
齋藤 浩
■もじもじトーク[107]
文字に潤いと体温を 筑紫書体のコンセプト
関口浩之
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■わが逃走[238]
福井駅周辺のシブい物件の巻
齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20190523110200.html
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富山や金沢にご縁があるなあと思っていたところ、このたび所用で、北陸三県における未踏の地・福井に降り立つこととなった。
福井駅周辺の第一印象は、地味。富山ほど素朴じゃないし、金沢の派手さには程遠い。
金沢は伝統的な街並みをぶっ壊して近代的な都市に生まれ変わるつもりなのか、本末転倒な再開発っぷりに圧倒される。
富山は富山らしく素朴かつ誠実なまちづくりを目指せばいいのに、変なところで金沢に対抗意識を燃やして空回りしている印象だ。
対して福井に感じたのは、微妙な区画整理が広く薄くひろがるイメージだった。ひとことで言えば、地味なのである。
もちろん東へ向かえば美しい山々が、西へ向かえば日本海が雄大な風景として迎えてくれるだろう。それをわかった上で、この日歩いた街並みは、やはり、こう、なんというか、地味だったのだ。
駅前のホテルに荷物を預け、カメラ片手にしばらく散歩する。空は広く、美しい川にかかる大きな橋には路面電車が走っている。
川を渡るとともに、街並みに感じる既視感。なつかしさ。平らな土地に、似たような住宅が立ち並ぶ光景。
道路幅も均等、家々も均等に配置されている。こ、これは……。私が育ったS玉県に似ているのかもしれない!どうりで地味に感じるわけだ。
というわけで、ここらでカメラ散歩にて得られた、シブい物件を紹介していきましょう。
●輪郭線

いわゆる原爆型のトマソンだが、壁面ではなく、屋根のラインのみ刻まれているのが興味深い。
●でっぱった穴

ごく普通のブロック塀だが、穴あきブロックのみ奥行きが長い。ツラをどこに合わせてあったのかを確認しなかったので、次回訪問の際は確認したい。
手前のブロックの欠けは、「ギリギリ駐車」を狙ったテクニカルドライバーがうっかりバンパーをあててしまったのだろうか。さぞショックだったであろう。
●やたら長い直線階段

平地の中に突然現れる「足羽山」。東側からアクセスするこのストイックな急階段には、百坂という名前がついて
いる。正保年間から続く由緒正しい階段である。
平成半ばに改修工事が行われたせいか、段の幅や高さが妙に揃っていてワビサビが少ないのが残念。
●愛宕坂脇の雨樋

足羽山の北側の尾根にそったゆるやかな階段が愛宕坂だ。ここは足羽神社の参道にあたり、階段自体は平成半ばのリノベ物件。隣接する家屋の大半も再建されたもののようで、周囲には更地も目立つ。風景はゆるやかに変わってゆくのだなあ。
そんな中、飾らない生活感と機能美を兼ね備えたステキな雨樋を発見。隣のホースの巻きっぷりも含めて、これはまさに詠み人知らずの彫刻と言えよう。
●背の高いバス停

地味だけど個性的。なぜこのようなカタチに? と思い地元のヒトに訪ねてみると、雪で埋もれても認識できるようにとのこと。極めてシンプルかつ明快な理由でした。
●「洋菓子専門店」の看板

独特の色彩(写真はモノクロ)で個性的なネーミングの看板が並ぶ! 歴史も長く、地元では有名なお店らしい。こんど行ったらわらびもちとバウムクーヘンを食べてみたい。
●V字踏切

類似する踏切が『タモリ倶楽部』でも紹介されている。急カーブする線路の内側に、十文字の道路が重なっている。って言ってもわかりにくいか。こんどはより明快かつ面白く撮れるよう心がけます。
さてこの路線こそ福井鉄道福武線である。たしか福武線にはシブい車両・200形が走っていたような……。調べてみたところ、すでに現役を引退。現在は北府駅に留置してあるらしい。
走行シーンが見られないのは残念だが、スクラップにされず、本線に繋がる線路上に存在しているのはとても嬉しい。今回は時間の関係で見ることはできなかったが、次回は是非訪ねてみたいと思うのだった。
そんなわけで福井駅周辺散歩でした。次回はもう少し深いところまで踏み込んで、よりシブい物件を探したいと思う。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
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■もじもじトーク[107]
文字に潤いと体温を 筑紫書体のコンセプト
関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20190523110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。ゴールデンウィークのお休みがあったので、4週間のごぶさたです。
前回は、「名古屋がフォントの国になった一日」と題して、20世紀の金字塔書体である「ナール」「ゴナ」を制作した中村征宏さんのお話でした。
今回は、筑紫書体を制作しつづける、フォントワークスの書体デザイナー、藤田重信さんのお話です。
●筑紫書体とは?
デジクリ読者の中で、「筑紫書体」をご存知の方、どのくらいいらっしゃいますか~? ちなみに、筑紫書体の「筑紫」は「ちくし」ではなく、「つくし」と読みます。
筑紫書体ってたくさんあるのですが、ウェブフォントでサンプルや組み見本を作成してみました。書体名に筑紫の名前が付いた書体を、ファミリー単位で数えると30ファミリー以上、ウエイト(太さ)が異なるものを1書体で数えると100書体以上あります。藤田さん、いつの間に、こんなに作ったのですか。
筑紫書体ってこんなに種類があるのね
http://bit.ly/30K55Bg
FONTPLUSためし書きにて、いろいろと組んでみた
http://bit.ly/2M1T0Eh
僕の好きな書体はたくさんありますが、その中でも、筑紫書体は大好きです。筑紫書体の特徴を説明するとき、僕はこんな感じで説明します。
・バビューンとしてて、シュッとしてて、キュート
・和服の似合う女性
・ある程度の年齢だけど魅力的で上品な女性
・色気があるんだけど、いやらしくない
・清潔感が漂う
・緊張感が漂う
最初の「バビューンとしてて、シュッとしてて、キュート」が一番わかりやすい説明だと思います。えっ、ほんとう(笑) では、それをきちんと説明してみますね。
・ハライが実に伸びやか 「バビューン」
・懐(ふところ)が狭い 「キュッ」
・カッコいい 「キュート」
ということなのです。例えば、この「東西南北」「夏目漱石」の文字を見てください。
http://bit.ly/2JxRUy0
ねっ、「バビューンとしてて、シュッとしてて、キュート」でしょ!
※この記事で使用している写真は、藤田さんから掲載許可をいただいてます。
藤田さんの書体の特徴として、「曲線美」があります。
そこで、藤田さんに、「なぜ、藤田さんの書体は曲線が美しいのか?」と質問してみました。答えは50年前に遡ります。では、それを説明した藤田さんのスライドをご紹介します。これです。じゃーん!
http://bit.ly/2X71hHK
おおぉ。「蝉」と「カローラ」と「オバケのQ太郎」ではないですか! これが、曲線美に魅せられたきっかけだそうです。
「蝉」の写真ですが、左がアブラゼミ、右がクマゼミです。採ることが難しいクマゼミに、藤田さんは没頭したそうです。最初は、なかなか採れなったようですが(笑) たしかに、クマゼミを横から見ると、カーブがダイナミックで美しい。
「カローラ」の写真ですが、上が初代カローラ、下が2代目カローラです。藤田さんは、2代目カローラのテールカーブのデザイン処理に魅了されたそうです。2代目のテールデザインは、急にストンと落ちるのではなく、ワンクッション入れてから下に落としています。僕も車好きなので、よく分かります。
書体って「形」のひとつですよね。車でも洋服でも、見た目で好き嫌いがあると思います。美しいものは脳に焼き付きますよね。
●名古屋「中村書体と藤田書体」セミナーのレポート
書きたいことがいっぱいなので、冒頭15分間の藤田さんのお話をまとめてみました。
印刷と言えば、明治・大正・昭和において、金属活字による活版印刷の「インク溜まり」や「滲み」に悩まされていたといわれています。そして、写植(写真植字)の時代においては、いかにシャープに文字を表現することが、至上の価値だった時代がありました。
イメージセッタとダイレクト印刷が可能な時代になると、高精細な世界になり、インク溜まりや滲みは無縁となり、印刷業界において理想の時代になりました。
しかし、今まで見慣れていた明朝体が目に痛いと言う人が出てきました。例えば、当時、見慣れた「本蘭明朝L」が目に痛いということです。写真植字の現場では、インク溜まりや滲みがないのが理想の世界と思っていたのに……。
高精細になったことで、文字はやせ細り、カサつき、端々は目にきつい、殺風景に見えると、藤田さんは感じたそうです。
金属活字のインク溜まりや滲み、写植のボケがある印刷文字は、今ほど高品質でないものの、文字に「潤い」と「体温」を感じてそうです。
僕も、中学生までは金属活字の印刷物、高校生から大学生にかけては写植による印刷物を身近に体験していたので、その感覚は、本当にそうだと思いました。
1990年代後半に、藤田さんは、写研からフォントワークスへ活躍の場所を移します。
筑紫明朝が誕生したのは2003年ですが、藤田さんは、「活版のインク溜まりと滲みを取り入れたい」そして「写植レンズのピンボケを取り入れたい」というコンセプトで、筑紫明朝の制作に取り掛かったそうです。
なので、筑紫書体のエレメントのエッジに、ボケのデザインが取り入れられています。そして、「起筆」や「終筆」にインク溜まりの柔らかさを取り入れています。また、明朝体の右払いは、右外へ心地よく抜ける形になっています。
http://bit.ly/2YI90wA
筑紫書体は、細部にわたり、とてもこだわりをもって書体デザインをしていること、素晴らしいと思いました。筑紫書体は10年以上前から、好きな書体だったのですが、藤田さんのお話から直接、筑紫書体の歴史や書体制作への情熱を知り、ますます好きになった一日でした。
藤田さんから、「文字に付随した滲みや溜まり、ボケとは、食事でいう、出汁であったり、塩や胡椒だったような気がします」と、わかりやすい言葉でも説明していました。
書体の表現者である藤田さんは、言葉の表現者の魔術師でもありました。
●フォントを愛でて楽しく学ぶ一日 CSS Nite LP61
「中村書体と藤田書体」の名古屋イベントは、4月21日に開催されました。そして、つい先日の5月18日に、大崎ブライトコアにて「CSS Nite LP61 これからのフォントとウェブでの組版を考える日」を開催し、藤田さんを特別講師でお招きしました。
そこでのイベントの様子は、別の機会のもじもじトークで書こうと思いますが、ツイートまとめがとても楽しいので、こちらもぜひ、ご一読ください。
CSS Nite LP61 ツイートまとめ
https://togetter.com/li/1356456
●藤田さんは、フォント業界の異端児なのか?
日本人の多くは、他の人と同じことを考えたり、同じようなものを作ることに安心感を感じるところがあると思います。差別化したいと思っても、あまり思い切ったことをしないのではないでしょうか。
でも、藤田さんは違います。「他の人と同じものを作っても面白くない」「そのことは、既存の良いものを否定しているのではない」「利用者にとって、選択肢がたくさんあったほうがいい」ということなのです。
「筑紫書体で、フォントの世界を凌駕することは考えていない」「20%ぐらいがちょうどいいのでは」「でも全部が同じものではつまらない」というお話もありました。
今後、どんどん時代が変化する中で、多様性が求められてきます。そんな時代の中で、藤田さんのように、既存のものに縛られず、信念をもって、思いっきり振り切って、新境地を開拓する人こそ、正しいクリエーターの姿勢だと感じた一日でした。
藤田さんは、異端児ではなく、開拓者(パイオニア)なのだと思います。
●付録(索引)
藤田さんのお話の中で、藤田さんが影響を受けた、もしくは影響を与えたグラフィックデザイナーや装丁家の名前がたくさん出てきます。また、あまり聞いたことのない写植の用語がたくさん出てきます。
その中で代表的なものをいくつか列記します。活字に詳しい人は「全部、知ってるよ~」ってことだと思いますが、藤田さんのお話を聞いて、「あの言葉ってどういう意味?」の索引としてご活用ください。
石井明朝
https://blog.goo.ne.jp/typekids/e/a5b97e5c58ec8b433066933bc12b9d0c
MM-OKL(石井中明朝体・オールドスタイル・大がな)
http://ryougetsu.net/sho_mmokl.html
石井ゴシック
http://saikirin.com/ishiigochic/
本蘭明朝
http://ryougetsu.net/sho_uhg.html
写研
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%99%E7%A0%94
戸田ツトム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%B8%E7%94%B0%E3%83%84%E3%83%88%E3%83%A0
鈴木一誌
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E4%B8%80%E8%AA%8C
祖父江慎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%96%E7%88%B6%E6%B1%9F%E6%85%8E
有山達也
https://www.toppan.co.jp/biz/gainfo/cf/ariyama/p1.html
名久井直子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E4%B9%85%E4%BA%95%E7%9B%B4%E5%AD%90
鳥海修
https://www.td-media.net/interview/osamu-torinoumi-vol-1/
今田欣一
https://fontplus.connpass.com/event/59374/
次回のもじもじトークも、筑紫書体のテーマでお送りします。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之(フォントおじさん)
Facebook
https://www.facebook.com/hiroyuki.sekiguchi.8/
Twitter @HiroGateJP
https://mobile.twitter.com/hirogatejp
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テ
クノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。
現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。
日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、Web担当者Forum、Schoo等のオンラインメディアや各種雑誌にて、文字やフォントの寄稿や講演に多数出演。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。2018年も「ベスト10セッション」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。趣味は天体写真とオーディオとテニス。
フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/
Webフォントってなに? 遅くないの? SEOにはどうなの? 「フォントおじさん」こと関口さんに聞いた。
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/04/04/32138/
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編集後記(05/23)
●偏屈BOOK案内:「最新研究でここまでわかった 幕末 通説のウソ」日本史の謎検証委員会編
仰々しい名称の委員会だが、学術的研究組織ではなく編集制作プロダクションが実体であろう。通説のウソ・シリーズとして、幕末のほか戦国時代、日本史の3冊が出ている。いわゆるコンビニ本。低品質の用紙で220ページと厚みがある。幕末の通説49件を最新研究で検証するというスタイルで1件4ページの構成。
「西郷隆盛はおおらかで寛容だったというのはウソ」から始まって「ええじゃないかが自然に発生したというのはウソ」まで。写真は2か所に2〜4点。まず通説、そして真相というパターン。大事な記述はゴシック体+網かけの帯。主要参考文献・ウェブサイト一覧に39件。これまでの研究で明らかになった歴史の新説を一冊にまとめたとかで、えっと驚く物件はないが、そこそこ面白い。
〈大久保利通は権力を握って私利私欲で動いたというのはウソ〉「権力を掌握した大久保は私利私欲のために政治を行った」「盟友である西郷隆盛を見殺しにするなど血も涙もない政治家だった」などというのが「通説」だというが、そうだったかなあ。もっとも大久保については、わたしも詳しくは知らない。
さて大久保は、厳格でとっつきにくい人間ではあったが、私利私欲で動くタイプではなかった。欧米視察によって西洋文明の先進性に衝撃を受けた大久保は、このままでは欧米の植民地にされるという危機感を抱いていた。それが自身に特権を集中させ強引な改革へとつながった。大久保には近代化に向けた「30年計画」があり、予算のつきにくい公共工事に私財を投じ大借金を抱えていた。
〈坂本龍馬の船中八策が大政奉還の基礎となったというのはウソ〉現在、龍馬が行ったとされる数々の逸話には、疑問が呈されている。とくに「船中八策」は原本が見つかっておらず、龍馬がつくったという証拠もない。薩長同盟の仲介についても、その役割は限定的だったようだ。龍馬は薩長の裏方だった。いまや、決して幕末のヒーローではなかったというのが有力な見方になっている。
〈勝海舟が江戸無血城の立役者というのはウソ〉幕末に最も活躍した幕臣の一人とされるが、昨今の研究によって、その功績の多くがデタラメであることがわかっている。「氷川清話」ではなんでも自分の手柄のように記しているが、他の史料や証言と照合すると、この自己記録は非常に矛盾が多い。江戸の総攻撃中止は勝が主導したと言い張るが、山岡鉄舟の活躍があったからこそである。
〈吉田松陰は冷静な判断を下す現実主義者というのはウソ〉明治維新の礎を築いたとされる松陰だが、理想主義に燃えるあまり、短気で無鉄砲で無配慮な人物であった。維新後に教え子たちによって顕彰され、功績ばかりが強調されてきたが、史料を見る限り、年相応の配慮がない。藩にとっては危険思想だから投獄は当然、江戸に移送されて間部襲撃計画を自ら暴露し刑死も妥当であろう。
〈日本が欧米列強より遅れた国だったというのはウソ〉江戸時代の日本は後進国だったと、大昔に習ったような気がする。ところが、実際は治安、物流、教育などのインフラは欧米より優れていた。といったように、そうだったのか〜違ったことを教わってきた、と思う物件が少なくない。しかし、これが正しい歴史だとふりかざすのは野暮。エンタメとして鷹揚に扱いましょう。(柴田)
日本史の謎検証委員会編「最新研究でここまでわかった 幕末 通説のウソ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4801303587/dgcrcom-22/
●私も筑紫書体は大好き! よく使います。上品で個性的で綺麗で締まる。行政やアカデミック系お客様からのお仕事には、特にありがたい書体であります。
/なんとかPayに、なんとか払い。QRコード決済の数々が、軒並みキャンペーンをやっていたり、コンビニクーポンを配っていたりで、こういうのは普及を進めている今だけなんだろうなぁと思いつつ、ありがたく利用させてもらっている。
周囲になぜやらないのか聞くと、「現金(クレジットカード、非接触型決済)で間に合っている」「面倒くさい」「まだスマホにしたくない」「やり方がわからない」「仕組みがわからない」「胡散臭い」「個人情報を抜かれる」などの返答がある。続く。(hammer.mule)
■わが逃走[238]
福井駅周辺のシブい物件の巻
齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20190523110200.html
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富山や金沢にご縁があるなあと思っていたところ、このたび所用で、北陸三県における未踏の地・福井に降り立つこととなった。
福井駅周辺の第一印象は、地味。富山ほど素朴じゃないし、金沢の派手さには程遠い。
金沢は伝統的な街並みをぶっ壊して近代的な都市に生まれ変わるつもりなのか、本末転倒な再開発っぷりに圧倒される。
富山は富山らしく素朴かつ誠実なまちづくりを目指せばいいのに、変なところで金沢に対抗意識を燃やして空回りしている印象だ。
対して福井に感じたのは、微妙な区画整理が広く薄くひろがるイメージだった。ひとことで言えば、地味なのである。
もちろん東へ向かえば美しい山々が、西へ向かえば日本海が雄大な風景として迎えてくれるだろう。それをわかった上で、この日歩いた街並みは、やはり、こう、なんというか、地味だったのだ。
駅前のホテルに荷物を預け、カメラ片手にしばらく散歩する。空は広く、美しい川にかかる大きな橋には路面電車が走っている。
川を渡るとともに、街並みに感じる既視感。なつかしさ。平らな土地に、似たような住宅が立ち並ぶ光景。
道路幅も均等、家々も均等に配置されている。こ、これは……。私が育ったS玉県に似ているのかもしれない!どうりで地味に感じるわけだ。
というわけで、ここらでカメラ散歩にて得られた、シブい物件を紹介していきましょう。
●輪郭線

いわゆる原爆型のトマソンだが、壁面ではなく、屋根のラインのみ刻まれているのが興味深い。
●でっぱった穴

ごく普通のブロック塀だが、穴あきブロックのみ奥行きが長い。ツラをどこに合わせてあったのかを確認しなかったので、次回訪問の際は確認したい。
手前のブロックの欠けは、「ギリギリ駐車」を狙ったテクニカルドライバーがうっかりバンパーをあててしまったのだろうか。さぞショックだったであろう。
●やたら長い直線階段

平地の中に突然現れる「足羽山」。東側からアクセスするこのストイックな急階段には、百坂という名前がついて
いる。正保年間から続く由緒正しい階段である。
平成半ばに改修工事が行われたせいか、段の幅や高さが妙に揃っていてワビサビが少ないのが残念。
●愛宕坂脇の雨樋

足羽山の北側の尾根にそったゆるやかな階段が愛宕坂だ。ここは足羽神社の参道にあたり、階段自体は平成半ばのリノベ物件。隣接する家屋の大半も再建されたもののようで、周囲には更地も目立つ。風景はゆるやかに変わってゆくのだなあ。
そんな中、飾らない生活感と機能美を兼ね備えたステキな雨樋を発見。隣のホースの巻きっぷりも含めて、これはまさに詠み人知らずの彫刻と言えよう。
●背の高いバス停

地味だけど個性的。なぜこのようなカタチに? と思い地元のヒトに訪ねてみると、雪で埋もれても認識できるようにとのこと。極めてシンプルかつ明快な理由でした。
●「洋菓子専門店」の看板

独特の色彩(写真はモノクロ)で個性的なネーミングの看板が並ぶ! 歴史も長く、地元では有名なお店らしい。こんど行ったらわらびもちとバウムクーヘンを食べてみたい。
●V字踏切

類似する踏切が『タモリ倶楽部』でも紹介されている。急カーブする線路の内側に、十文字の道路が重なっている。って言ってもわかりにくいか。こんどはより明快かつ面白く撮れるよう心がけます。
さてこの路線こそ福井鉄道福武線である。たしか福武線にはシブい車両・200形が走っていたような……。調べてみたところ、すでに現役を引退。現在は北府駅に留置してあるらしい。
走行シーンが見られないのは残念だが、スクラップにされず、本線に繋がる線路上に存在しているのはとても嬉しい。今回は時間の関係で見ることはできなかったが、次回は是非訪ねてみたいと思うのだった。
そんなわけで福井駅周辺散歩でした。次回はもう少し深いところまで踏み込んで、よりシブい物件を探したいと思う。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■もじもじトーク[107]
文字に潤いと体温を 筑紫書体のコンセプト
関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20190523110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。ゴールデンウィークのお休みがあったので、4週間のごぶさたです。
前回は、「名古屋がフォントの国になった一日」と題して、20世紀の金字塔書体である「ナール」「ゴナ」を制作した中村征宏さんのお話でした。
今回は、筑紫書体を制作しつづける、フォントワークスの書体デザイナー、藤田重信さんのお話です。
●筑紫書体とは?
デジクリ読者の中で、「筑紫書体」をご存知の方、どのくらいいらっしゃいますか~? ちなみに、筑紫書体の「筑紫」は「ちくし」ではなく、「つくし」と読みます。
筑紫書体ってたくさんあるのですが、ウェブフォントでサンプルや組み見本を作成してみました。書体名に筑紫の名前が付いた書体を、ファミリー単位で数えると30ファミリー以上、ウエイト(太さ)が異なるものを1書体で数えると100書体以上あります。藤田さん、いつの間に、こんなに作ったのですか。
筑紫書体ってこんなに種類があるのね
http://bit.ly/30K55Bg
FONTPLUSためし書きにて、いろいろと組んでみた
http://bit.ly/2M1T0Eh
僕の好きな書体はたくさんありますが、その中でも、筑紫書体は大好きです。筑紫書体の特徴を説明するとき、僕はこんな感じで説明します。
・バビューンとしてて、シュッとしてて、キュート
・和服の似合う女性
・ある程度の年齢だけど魅力的で上品な女性
・色気があるんだけど、いやらしくない
・清潔感が漂う
・緊張感が漂う
最初の「バビューンとしてて、シュッとしてて、キュート」が一番わかりやすい説明だと思います。えっ、ほんとう(笑) では、それをきちんと説明してみますね。
・ハライが実に伸びやか 「バビューン」
・懐(ふところ)が狭い 「キュッ」
・カッコいい 「キュート」
ということなのです。例えば、この「東西南北」「夏目漱石」の文字を見てください。
http://bit.ly/2JxRUy0
ねっ、「バビューンとしてて、シュッとしてて、キュート」でしょ!
※この記事で使用している写真は、藤田さんから掲載許可をいただいてます。
藤田さんの書体の特徴として、「曲線美」があります。
そこで、藤田さんに、「なぜ、藤田さんの書体は曲線が美しいのか?」と質問してみました。答えは50年前に遡ります。では、それを説明した藤田さんのスライドをご紹介します。これです。じゃーん!
http://bit.ly/2X71hHK
おおぉ。「蝉」と「カローラ」と「オバケのQ太郎」ではないですか! これが、曲線美に魅せられたきっかけだそうです。
「蝉」の写真ですが、左がアブラゼミ、右がクマゼミです。採ることが難しいクマゼミに、藤田さんは没頭したそうです。最初は、なかなか採れなったようですが(笑) たしかに、クマゼミを横から見ると、カーブがダイナミックで美しい。
「カローラ」の写真ですが、上が初代カローラ、下が2代目カローラです。藤田さんは、2代目カローラのテールカーブのデザイン処理に魅了されたそうです。2代目のテールデザインは、急にストンと落ちるのではなく、ワンクッション入れてから下に落としています。僕も車好きなので、よく分かります。
書体って「形」のひとつですよね。車でも洋服でも、見た目で好き嫌いがあると思います。美しいものは脳に焼き付きますよね。
●名古屋「中村書体と藤田書体」セミナーのレポート
書きたいことがいっぱいなので、冒頭15分間の藤田さんのお話をまとめてみました。
印刷と言えば、明治・大正・昭和において、金属活字による活版印刷の「インク溜まり」や「滲み」に悩まされていたといわれています。そして、写植(写真植字)の時代においては、いかにシャープに文字を表現することが、至上の価値だった時代がありました。
イメージセッタとダイレクト印刷が可能な時代になると、高精細な世界になり、インク溜まりや滲みは無縁となり、印刷業界において理想の時代になりました。
しかし、今まで見慣れていた明朝体が目に痛いと言う人が出てきました。例えば、当時、見慣れた「本蘭明朝L」が目に痛いということです。写真植字の現場では、インク溜まりや滲みがないのが理想の世界と思っていたのに……。
高精細になったことで、文字はやせ細り、カサつき、端々は目にきつい、殺風景に見えると、藤田さんは感じたそうです。
金属活字のインク溜まりや滲み、写植のボケがある印刷文字は、今ほど高品質でないものの、文字に「潤い」と「体温」を感じてそうです。
僕も、中学生までは金属活字の印刷物、高校生から大学生にかけては写植による印刷物を身近に体験していたので、その感覚は、本当にそうだと思いました。
1990年代後半に、藤田さんは、写研からフォントワークスへ活躍の場所を移します。
筑紫明朝が誕生したのは2003年ですが、藤田さんは、「活版のインク溜まりと滲みを取り入れたい」そして「写植レンズのピンボケを取り入れたい」というコンセプトで、筑紫明朝の制作に取り掛かったそうです。
なので、筑紫書体のエレメントのエッジに、ボケのデザインが取り入れられています。そして、「起筆」や「終筆」にインク溜まりの柔らかさを取り入れています。また、明朝体の右払いは、右外へ心地よく抜ける形になっています。
http://bit.ly/2YI90wA
筑紫書体は、細部にわたり、とてもこだわりをもって書体デザインをしていること、素晴らしいと思いました。筑紫書体は10年以上前から、好きな書体だったのですが、藤田さんのお話から直接、筑紫書体の歴史や書体制作への情熱を知り、ますます好きになった一日でした。
藤田さんから、「文字に付随した滲みや溜まり、ボケとは、食事でいう、出汁であったり、塩や胡椒だったような気がします」と、わかりやすい言葉でも説明していました。
書体の表現者である藤田さんは、言葉の表現者の魔術師でもありました。
●フォントを愛でて楽しく学ぶ一日 CSS Nite LP61
「中村書体と藤田書体」の名古屋イベントは、4月21日に開催されました。そして、つい先日の5月18日に、大崎ブライトコアにて「CSS Nite LP61 これからのフォントとウェブでの組版を考える日」を開催し、藤田さんを特別講師でお招きしました。
そこでのイベントの様子は、別の機会のもじもじトークで書こうと思いますが、ツイートまとめがとても楽しいので、こちらもぜひ、ご一読ください。
CSS Nite LP61 ツイートまとめ
https://togetter.com/li/1356456
●藤田さんは、フォント業界の異端児なのか?
日本人の多くは、他の人と同じことを考えたり、同じようなものを作ることに安心感を感じるところがあると思います。差別化したいと思っても、あまり思い切ったことをしないのではないでしょうか。
でも、藤田さんは違います。「他の人と同じものを作っても面白くない」「そのことは、既存の良いものを否定しているのではない」「利用者にとって、選択肢がたくさんあったほうがいい」ということなのです。
「筑紫書体で、フォントの世界を凌駕することは考えていない」「20%ぐらいがちょうどいいのでは」「でも全部が同じものではつまらない」というお話もありました。
今後、どんどん時代が変化する中で、多様性が求められてきます。そんな時代の中で、藤田さんのように、既存のものに縛られず、信念をもって、思いっきり振り切って、新境地を開拓する人こそ、正しいクリエーターの姿勢だと感じた一日でした。
藤田さんは、異端児ではなく、開拓者(パイオニア)なのだと思います。
●付録(索引)
藤田さんのお話の中で、藤田さんが影響を受けた、もしくは影響を与えたグラフィックデザイナーや装丁家の名前がたくさん出てきます。また、あまり聞いたことのない写植の用語がたくさん出てきます。
その中で代表的なものをいくつか列記します。活字に詳しい人は「全部、知ってるよ~」ってことだと思いますが、藤田さんのお話を聞いて、「あの言葉ってどういう意味?」の索引としてご活用ください。
石井明朝
https://blog.goo.ne.jp/typekids/e/a5b97e5c58ec8b433066933bc12b9d0c
MM-OKL(石井中明朝体・オールドスタイル・大がな)
http://ryougetsu.net/sho_mmokl.html
石井ゴシック
http://saikirin.com/ishiigochic/
本蘭明朝
http://ryougetsu.net/sho_uhg.html
写研
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%99%E7%A0%94
戸田ツトム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%B8%E7%94%B0%E3%83%84%E3%83%88%E3%83%A0
鈴木一誌
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E4%B8%80%E8%AA%8C
祖父江慎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%96%E7%88%B6%E6%B1%9F%E6%85%8E
有山達也
https://www.toppan.co.jp/biz/gainfo/cf/ariyama/p1.html
名久井直子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E4%B9%85%E4%BA%95%E7%9B%B4%E5%AD%90
鳥海修
https://www.td-media.net/interview/osamu-torinoumi-vol-1/
今田欣一
https://fontplus.connpass.com/event/59374/
次回のもじもじトークも、筑紫書体のテーマでお送りします。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之(フォントおじさん)
https://www.facebook.com/hiroyuki.sekiguchi.8/
Twitter @HiroGateJP
https://mobile.twitter.com/hirogatejp
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テ
クノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。
現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。
日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、Web担当者Forum、Schoo等のオンラインメディアや各種雑誌にて、文字やフォントの寄稿や講演に多数出演。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。2018年も「ベスト10セッション」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。趣味は天体写真とオーディオとテニス。
フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/
Webフォントってなに? 遅くないの? SEOにはどうなの? 「フォントおじさん」こと関口さんに聞いた。
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/04/04/32138/
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編集後記(05/23)
●偏屈BOOK案内:「最新研究でここまでわかった 幕末 通説のウソ」日本史の謎検証委員会編
仰々しい名称の委員会だが、学術的研究組織ではなく編集制作プロダクションが実体であろう。通説のウソ・シリーズとして、幕末のほか戦国時代、日本史の3冊が出ている。いわゆるコンビニ本。低品質の用紙で220ページと厚みがある。幕末の通説49件を最新研究で検証するというスタイルで1件4ページの構成。
「西郷隆盛はおおらかで寛容だったというのはウソ」から始まって「ええじゃないかが自然に発生したというのはウソ」まで。写真は2か所に2〜4点。まず通説、そして真相というパターン。大事な記述はゴシック体+網かけの帯。主要参考文献・ウェブサイト一覧に39件。これまでの研究で明らかになった歴史の新説を一冊にまとめたとかで、えっと驚く物件はないが、そこそこ面白い。
〈大久保利通は権力を握って私利私欲で動いたというのはウソ〉「権力を掌握した大久保は私利私欲のために政治を行った」「盟友である西郷隆盛を見殺しにするなど血も涙もない政治家だった」などというのが「通説」だというが、そうだったかなあ。もっとも大久保については、わたしも詳しくは知らない。
さて大久保は、厳格でとっつきにくい人間ではあったが、私利私欲で動くタイプではなかった。欧米視察によって西洋文明の先進性に衝撃を受けた大久保は、このままでは欧米の植民地にされるという危機感を抱いていた。それが自身に特権を集中させ強引な改革へとつながった。大久保には近代化に向けた「30年計画」があり、予算のつきにくい公共工事に私財を投じ大借金を抱えていた。
〈坂本龍馬の船中八策が大政奉還の基礎となったというのはウソ〉現在、龍馬が行ったとされる数々の逸話には、疑問が呈されている。とくに「船中八策」は原本が見つかっておらず、龍馬がつくったという証拠もない。薩長同盟の仲介についても、その役割は限定的だったようだ。龍馬は薩長の裏方だった。いまや、決して幕末のヒーローではなかったというのが有力な見方になっている。
〈勝海舟が江戸無血城の立役者というのはウソ〉幕末に最も活躍した幕臣の一人とされるが、昨今の研究によって、その功績の多くがデタラメであることがわかっている。「氷川清話」ではなんでも自分の手柄のように記しているが、他の史料や証言と照合すると、この自己記録は非常に矛盾が多い。江戸の総攻撃中止は勝が主導したと言い張るが、山岡鉄舟の活躍があったからこそである。
〈吉田松陰は冷静な判断を下す現実主義者というのはウソ〉明治維新の礎を築いたとされる松陰だが、理想主義に燃えるあまり、短気で無鉄砲で無配慮な人物であった。維新後に教え子たちによって顕彰され、功績ばかりが強調されてきたが、史料を見る限り、年相応の配慮がない。藩にとっては危険思想だから投獄は当然、江戸に移送されて間部襲撃計画を自ら暴露し刑死も妥当であろう。
〈日本が欧米列強より遅れた国だったというのはウソ〉江戸時代の日本は後進国だったと、大昔に習ったような気がする。ところが、実際は治安、物流、教育などのインフラは欧米より優れていた。といったように、そうだったのか〜違ったことを教わってきた、と思う物件が少なくない。しかし、これが正しい歴史だとふりかざすのは野暮。エンタメとして鷹揚に扱いましょう。(柴田)
日本史の謎検証委員会編「最新研究でここまでわかった 幕末 通説のウソ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4801303587/dgcrcom-22/
●私も筑紫書体は大好き! よく使います。上品で個性的で綺麗で締まる。行政やアカデミック系お客様からのお仕事には、特にありがたい書体であります。
/なんとかPayに、なんとか払い。QRコード決済の数々が、軒並みキャンペーンをやっていたり、コンビニクーポンを配っていたりで、こういうのは普及を進めている今だけなんだろうなぁと思いつつ、ありがたく利用させてもらっている。
周囲になぜやらないのか聞くと、「現金(クレジットカード、非接触型決済)で間に合っている」「面倒くさい」「まだスマホにしたくない」「やり方がわからない」「仕組みがわからない」「胡散臭い」「個人情報を抜かれる」などの返答がある。続く。(hammer.mule)