《あなたは集中する「時間」を得た》
■装飾山イバラ道[265]
ニュートンにもらう希望
武田瑛夢
■Scenes Around Me[69]
小川てつオくんのこと[3]
ミニコミ居候ライフ[2]・居候ライフ大全
関根正幸
■crossroads[84]
話そう、笑おう
若林健一
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■装飾山イバラ道[265]
ニュートンにもらう希望
武田瑛夢
https://bn.dgcr.com/archives/20200407110300.html
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4月になった。私は隔週で記事を書いているので、以前とはまた状況もだいぶ変わった。
今はある程度の覚悟ができたので、私自身は逆に落ち着いてきている。しかし日本の現実は、厳しさを増している。今はどこへも出かけないで家でできることをしながら、未来に備えるしかない。
私は山中教授とYOSHIKI氏の対談や、日本を心配する海外YouTuberの真剣さに危機感を感じて、警告を受け取ってきた。それぞれまったく異なるジャンルの活動をしている人々だ。本来なら本業での次の活動を、意気揚々と動画で語っていたような人。
デジクリのMidoriさん、TOMOZOさんの記事のように、個人が各国の状況を伝えてくれることにも感謝。
●予想できない今後
今は飲食業界、学校、イベントなどの人と接する仕事が自粛に追い込まれ、休業がいつまで続くかわからない状況だ。私も学校には関わりが長かったので、今の状況は心配している。
どこを見てこれからの方針を決めたらいいのか、悩む人も多いと思う。ただ、人類規模の大変さだということは、共感できる人が多いという側面もある。
同じ状況の人は必ずいるので、ネットや電話で声をかけあって情報を共有してほしい。情報は自分で取りに行かなければダメだ。今は会わないで、情報交換をしながらお互いを気遣ってほしい。
私もいつも購入している海外の作家から最後の作品を送ってもらい、とりあえずはしばらく世界の様子を見ようという話になった。私が海外に直接メールして購入している人は二人で、あとは販売サイトを利用している。インドのショップはほぼクローズになり、アメリカのネット販売も割引額が増えた。
在庫のある店舗に簡単に行けなくなったとか、運良く商品が手元にある人は早く売りさばきたいのかもしれない。
みんな大変な中にいて、それぞれの感じ方も違う。今回のこの状況で、影響を受けないで済む仕事などないような気がする。
生命、人間関係、経済活動、日常、学習、文化、趣味、娯楽と、あらゆるものがピンチにさらされている。しかも全世界的に。
それでも、いま急速に本気で助け合える場を作り始めている人もいるし、離れた場所からそれぞれの思いを伝えて、繋がりあっているのが見える。
ネットの繋がりで情報交換ができるので、コミュニケーション不足には陥らないで済むのが、昔の疫病との違いだ。
●ニュートンの「創造的休暇」
クリエイターが多く読んでいるデジクリで、今起こっていることの少しでも明るい側面を見つけるとしたら、時間の活用法だ。ニュートンの例を読むと、心に希望が差してくる。
ニュートンは三百年前、同じように流行病ペストが流行った時代を生きた。リンゴで有名なあのアイザック・ニュートンだ。
この時期の長期休暇が、後に三代業績と言われる大発見を産んだのは有名だ。
彼が学位を得た頃に、ペストの流行の影響で大学は閉鎖された。故郷へ帰り、すでに着想を得ていたアイデアの思索に没頭することができたのである。微分積分学や光学、万有引力について深く考える時間を得たという。
わずか18か月の間の成果は、この世の見方を一変させてしまった。この1665年~66年の事は「驚異の諸年」や「創造的休暇」と呼ばれている。
ニュートンがわずか25歳までに三大業績を成し遂げることが出来たのも、集中する「時間」を得たことの恩恵なのだ。
それまでの世界の見方は、自然哲学の「観察を通した思考」によって解釈されていた。特に実験道具も持たずに、考えることによってのみこの世を解き明かそうとしていたのである。
それがニュートンによって、一気に数学、物理学の目で世界の仕組みを発見していくことになるのである。
ニュートンは後に「自然哲学の数学的諸原理」の著書によって、物体の運動、世界の体系を書き記している。近代科学における最も重要な著作のひとつとのこと。
ペストがニュートンにもたらしたものは世界を変えた。コロナは誰に何をもたらすのか。
私たちの時代でもニュートンのように、新しい世界への基盤を作る人が出てくるに違いない。今はまだ何も見えていないような、まったく別次元の仕組み。それが何かは、もちろんわからない。
時間は誰にも平等だ。この集中する時間を生かすことに希望を感じている。
自分がしたいことは、変化していく世界をどう使えば実現できるのか、考える時間を生かして、リラックスしながら頑張ろう。
【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/
冷凍ストック用の料理。ひき肉で麻婆豆腐の肉の部分を大量に作った。食べる時に、角切りにして茹でた豆腐と混ぜて煮込めばすぐできる。今回は大豆ミートも混ぜてみた。夫はまるで気づかなかった。ヤッタァ。
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■Scenes Around Me[69]
小川てつオくんのこと[3]
ミニコミ居候ライフ[2]・居候ライフ大全
関根正幸
https://bn.dgcr.com/archives/20200407110200.html
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前回、部屋から発掘したミニコミ「居候ライフ」を、とりあえず番号順に整理してみました。その結果、欠番はあるものの、全体としては大部分が手元に残っていることは確認しました。
今回は、その中でも、1号から15号までをまとめた「居候ライフ大全」を読んでみて思い出すことを書いてみます。
「居候ライフ大全」は1998年4月26日発行とあり、小川てつオくんのお兄さんの小川恭平くんがまとめたものではないかと思います。
後に、恭平くんはキョートット出版という小さな出版社を立ち上げました。
http://kyototto.com/archives/168
「居候ライフ大全」の頒価は500円で、おそらく私はてつオくんから購入したと思います。
改めて「居候ライフ大全」を読むと、色々思い違いをしていたことに気づきました。まず、ミニコミ「居候ライフ」の9号くらいまではてつオくん単独ではなく、恭平くんとの共同制作でした。
各号の片面がてつオくんの編集、もう片面が恭平くんの編集で、意外にも?てつオくんは原稿をワープロで活字にしていました。
1997年1月に発行された1号を読むと、以下のことがわかりました。そもそも、居候生活をはじめたのはてつオくんより恭平くんの方が早かったようです。恭平くんは1995年に、京都大学の旧人類館を「きんじハウス」と名付けて占拠したことがありました。
http://www.apa-apa.net/kok/news/kok051.htm
きんじハウスを追い出された後、恭平くんは居候生活を始めることになります。一方、てつオくんは前回書いた通り、1996年9月に同居していた女性のアパートが取り壊された後、1996年12月から居候生活を始めたということでした。
ミニコミ「居候ライフ」も、小川恭平・てつオ兄弟がともに居候生活を始めたことにより、創刊されたようです。
「居候ライフ」1号にも告知があるのですが、てつオくんは1997年2月16日に吉祥寺にあったフリースペース「ヘーゼルナッツ」で、たこ八郎「たこでーす」の読書会を企画しました。
読書会には、私も参加しました。写真は撮りませんでした。
てつオくんはそこで「迷惑かけてありがとう」という言葉を引き合いに出して、居候ライフの正当性を主張しました。
しかし、読書会に参加していた山下陽光くんは、てつオくんの主張に対して否定的であったことを覚えています。山下陽光くんは当時、岡画郎に出入りしていましたが、受け入れた居候とトラブルになったことがあったようです。
○
今まで仕事先で写真のネガスキャンを行なっていましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、仕事先がテレワークに移行する関係で、しばらくの間新規のネガスキャンが出来なくなるかもしれません。
今回は2003年10月5日に、六本木にあった旧三河台中学校の体育館で行われたライブイベントの写真を紹介します。
記憶に間違いなければ、このイベントはGreat YEar Soundingsというレーベルの主催で、出演者には、写真に写っているクリストフ・シャルルさん、足立智美さんがいました。
もともと、アートブックOBSCUREに音響で参加した関係で、goboujinくんの企画「指標ゼロ」というイベントに参加したことがありました。
https://shzero.exblog.jp/i12/
ただし、その時の演奏は不本意な出来で、それ以降演奏には呼ばれなくなったのですが、「指標ゼロ」の写真を撮っていたことから、いくつかの音楽イベントの記録を依頼されました。
これはそういったイベントの一つで、その他にも、2004年、2005年に原美術館で行われたイベントの写真も撮影しました。
【せきね・まさゆき】
sekinema@hotmail.com
http://sekinema.com/photos
1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔
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■crossroads[84]
話そう、笑おう
若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20200407110100.html
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こんにちは、若林です。
4月には新型コロナウイルスも治まって、みんなやれやれ、と思っていたはずだったのに……。
この状況に至って、今必要なことは「人と会って話すこと」だと感じています。
新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、色々なサービスが無償で提供されています。デジタルの学習コンテンツ、電子書籍や動画配信サービス。
もちろん、それらはとてもありがたいことではあるのですが、この状況にいたって、人に必要なコンテンツは人なんだとあらためて思います。
とはいえ、外出すること、人を接することを、できるだけ避けなければいけない現在、人に会うことは難しい。そこで、利用が活発化しているのが、様々なオンライン会議サービス。私も3月以降、頻繁に利用して色んな人と話す機会を作っています。
オンライン会議に抵抗がある人、セキュリティが心配な方も多いと思います。実際、最近では「Zoom」というメジャーなオンライン会議サービスに、セキュリティ上の問題が見つかったとして、大きな話題になりました。
しかし、対策は進んでいますし、一部は使い方によるものもありますので、正しい使い方をすれば問題はありません。カメラだって常にオンにしておく必要はなく、オフのままでもいいし、最初にちら見せだけでもいいと思います。
それよりも、今は親しい人と話すことの意味の方が大きい。私は、人と話すことがこんなに大切なんだと、あらためて感じさせられています。
もし「オンライン会議システム使ったことないけど試してみたい、でもよくわからない」という方がいらっしゃったら、以下までご連絡ください。
いつでも、というわけにはいきませんが、タイミングを調整して使い方や使用上の注意などをレクチャーいたします。
連絡先(メールかTwitterでお願いします)
kwaka1208@crssrds.jp
https://twitter.com/kwaka1208
今こそ、友達と会って話しましょう、笑いましょう。それがこの状況を乗り切るのに必要なもののひとつです。
【若林健一 / kwaka1208】
https://crssrds.jp/aboutme/
子供のためのプログラミングコミュニティ「CoderDojo」
https://crssrds.jp/CoderDojo/
mBotをただの車型ロボットで終わらせない本
「mBotでものづくりをはじめよう」好評発売中!
https://amzn.to/2NrvzmR
Podcast番組「crosstalk」はじめました
https://talk.crssrds.jp
iTunesで聴く
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Spotifyで聴く
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編集後記(04/07)
●偏屈BOOK案内:高橋洋一「韓国、ウソの代償 沈みゆく隣人と日本の選択」
刺激的なタイトルの本だが、内容はサブタイトル通り「沈みゆく隣人と日本の選択」である。沈みゆく方はもう何を言っても通じないし、いささか飽きたので、日本の前向きな選択、アメリカとの同盟関係について興味深く読めた。昨年5月、令和初の国賓として、トランプ大統領を招いたことの成果が語られる。
4日間、安倍首相とのツーショットの「絵」が多い。この「絵」により、言葉なしで強固な日米関係を国際社会にアピールできたのは、現時点での日本外交としては好ましい展開だった。世界に二人の信頼関係を知らしめるのに、効果満点だった。その意味するところは、一にも二にも日米同盟の強化である。
過去の戦争のデータから実証分析すると、同盟関係の強化は戦争の確率を減少させている。世界最強のアメリカとの同盟関係は、日本への攻撃を思いとどまらせる抑止力としての効果のほうがはるかに大きい。逆に同盟関係を強化しない限り、隣国の野望を高め戦争の確率をむしろ高めることになる。こんなシンプルな発想が日本の左派勢力にまったくない。到底信じがたいと、筆者はいう。
外交・安全保障では、善い悪い、好き嫌いでなく、リアルに柔軟に対応しなければ国益を害することもある。日本さえ平和主義を主張していれば、世界も賛同してついてくるはずだという「お花畑論」とは決定的に異なる。いまだにそういう脳天気な日本人がいる。日本の安全保障を考えると、ガキ大将アメリカと仲良くするのがいちばん楽だ。子どもの世界でもやっている処世術だ。
2019年2月15日の記者会見で、トランプは「安倍首相がノーベル平和賞に推薦してくれた」と語った。この件は国会でも質問がなされたが、安倍首相は肯定も否定もしなかった。ノーベル賞委員会は推薦者を50年明かさない規則になっている。外交の観点からすれば、安倍首相はとにかく国益を優先しているように見える。国家間の関係は個人的感情より、ビジネスライクのほうがいい。
韓国には何があろうとも謝ってはいけない。事大主義の韓国とのつきあい方を間違えると、面倒なことになる。すでになっている。第一に、日本が正しいと思うことについては絶対に謝ってはいけない。一度謝れば、日本の場合は落としどころを見つけて終結するが、韓国の場合は「小」と見なされてどんどん追い込みをかけられる。朝日新聞はそういう韓国が正しいとすら思っている。
韓国のSNSでは「ボイコットジャパン」というワードがトレンドになっており、この運動に半数以上の韓国人が賛同しているという。どうせ長続きせず、効果はないだろう。むしろダメージだろう。韓国製品が日本製品の代替物になり得るなら、とっくにそうなっているはずで、わざわざボイコットの対象にするまでもない。むしろ、訪日観光客の減少はLCC事業者などにダメージを与える。
「韓国、文政権は一体どこへ向かおうとしているのか、筆者には甚だ理解できない」とまで言われている。高橋先生にしてお手上げじゃ、もう韓国の明日はないのではないか。筑波大学大学院の古田博司教授が提唱する、韓国に対しては「助けない、教えない、関わらない」という「非韓三原則」があるが、まったくその通りである。「とりあえず放置しておくしかない」が結論。(柴田)
高橋洋一「韓国、ウソの代償 沈みゆく隣人と日本の選択」2019 扶桑社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594082904/dgcrcom-22/
●緊急事態宣言出る?
/近所の大きな病院は、入口外にテントがあって、たぶんそこで検温やら何やらをして、院内感染を防止している模様。
入口は二カ所あるけれど、一カ所は閉鎖していて、閉鎖側には日中は人が注意書きの看板を持って立っている。
定期的に行っている目医者さんは、患者数が8割ぐらいになっていた。受付にかかってくる電話では、新型コロナで受診をすべきかどうかの相談があった。
私はというと、目薬がなくなってしまいそうなので受診。もらえる最大本数の処方箋を出してもらった。これで半年ぐらいは受診しなくても大丈夫。それまでの予約はしているけれど。(hammer.mule)