[5134] 地動説と天動説と意識の謎/バレンタイン・チョコ戦線

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《謎の義務感》

■羽化の作法[118]
 地動説と天動説のGif画像から意識の謎を探る
 武 盾一郎

■LIFE is 日々一歩(131)[コラム]
 [スイーツ]2021年、バレンタイン・チョコ戦線〈前編〉
 森 和恵




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■羽化の作法[118]現在編
地動説と天動説のGif画像から意識の謎を探る

武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20201201110200.html

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前にも紹介しましたが、まず地動説と天動説のGif画像を見てください。
https://i.imgur.com/Ae06ERv

私たちは天動説から地動説へと変わってきた歴史を学んだので、左のモデルが正解だと知っています。

しかし、右側のモデル(天動説)は間違っているわけではありません。私(地球)を中心として惑星を見ると、実際に惑星が逆行します。誰が観察してもそうなります。右側の動きだって再現性があって正しいのです。

どちらも「本当」なのですが、科学は客観的でシンプルな左の地動説モデルを採ったのです。

ちなみに、どっちが面白そうか? と問われると私は右側の天動説に魅力を覚えます。動きが複雑で神秘的に感じてしまうからです。

この地動説と天動説のGif画像は、「主観的に観察すると複雑に見える自然現象を客観的に捉えるとシンプルになる事実」を映し出しています。

また、どちらも同じ事象を正確に取り扱っているけど「モデル」が違うだけ、とも言えます。

天体って神秘的ですよね。それを主観で解釈すると、「モデル」が際限なく増えます。それらは物語化されて神話になったり、宗教や哲学、そして芸術とかになっていったのでしょう。

一方、近代になって生まれた科学は、最もシンプルな「モデル」に絞り込んで、一つの正解に到達して行く動きに見えます。そうして導き出された「物理法則」は、私たちを裏切ることなく、iPhoneの地図のナビゲータになったりして、最終的には私たちに利便性をもたらしているわけですよね。

最初の地動説と天動説のGif画像のように、これらふたつはなんとなく棲み分けられている感じがします。

ところが「意識の謎」の話になると、この主観と客観のふたつをドッキングさせる必要があるので、ワクワクしてしまうのです。

というわけで、11月28日(土)は以下の講義を受講しました。

自然科学カフェ(第52回)オンライン 意識クオリアの構造と情報構造の関係性の理解に向けて
https://naturesciencecafe-tsudoi52.peatix.com/


講師は土谷尚嗣さん。統合情報理論(IIT)をベースに、意識を研究されています。以前にこちらの動画を見たことがありました。

【脳科学の達人】土谷尚嗣【第38回日本神経科学大会 市民公開講座】


ここで土谷さんは、冒頭で「占い師にお前の前世は餃子だと言われて気に食わなかったら云々」と話されていて、前世を餃子に設定する例え話に衝撃を受けました。そして、夢こそ意識の本質であることに、すごく合点がいきました。

今回の講義も、とても楽しく受講できました。土谷さん、ありがとうございました!

ここで印象に残った点を記しておきます。

まず、「注意と意識は違う」というのが興味深かったです。注意を向けても意識されない、意識されていても注意は向いてないこともあるので、注意と意識をイコールにしてごっちゃにしない方がいい、という話です。なるほどなあと思いました。

それから、いま私たちが使っているノイマン型コンピュータでは、いくら頑張っても意識は生まれないだろうというのは、なんとなく「(ちょっと残念だけど)だよねえ。。。」と思ったのでした。

ニューロンのように発火して次に繋いで……みたいなのを物理的にこしらえて、脳と同じアルゴリズムを作ればそこには意識があるだろう、と。なので将来、マインドアップロードが可能になるとしたら、それは非ノイマン型になるのではないでしょうか。

ここでいつも思うのは、脳の仕組みのような生物、例えば粘菌の集合体とかに意識はありそうだなあとか思うのです。また、脳と構造が酷似している宇宙にも、意識ってあるのかなあとか思ったりするのです。

やはり、脳と宇宙の構造は似ている......最新研究(Newsweek)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/post-95038.php


また、そうなるとやっぱり気になるのが、前回にも書きました茂木健一郎さんの動画で語られる「レプリカントの私」問題です。

ベルグソンの純粋記憶について


私とまったく同じレプリカントを今作ったとして、土谷さんの話が正しいとするならば、そこには意識があるわけです。

「レプリカントの私」にも「自然状態の私」にも、同様に5歳の記憶があるわけです。仮に私が50歳だとすると、「自然状態の私」は本当に45年前から存在してるので当然ですが、「レプリカントの私」は、今さっきこの世界に登場したのに、45年前の記憶があるわけです。

この場合、両者の45年前の記憶のクオリアは本当に同一なのでしょうか?

もっとも「自然状態の私」の記憶も怪しいもので、あとから捏造している記憶もいっぱいあるわけです。「オレって晴れ男でイベントはいっつも晴れるんだよね」と言った時は、イベントが雨だった過去の事実はなかったことになっています。

また、記憶は現在の精神状態に影響を受けます。

生き辛くて苦しかった時は、自分の過去はまるですべて最悪だったかのように蘇ります。しかし、なんとなく楽観的になってきて「幸せだよなあ」って思えるようになると、どんな自分の過去も意味ある素敵な出来事に実感されるのです。

このように、記憶と事実はイコールではないので、45年前に存在しなかった「レプリカントの私」に、5歳の時の生々しい記憶のクオリアがあったとしても、何も不思議ではないのかも知れません。

というか、そもそも私たちだって1年も経てば細胞は入れ替わっているので、私の身体には45年前のものなんてないわけです。これって「今作ったレプリカント」と同じ意味ですよね。

●統合情報理論とフォノグラム

あともう一つ、気になるのは「圏論」です。

圏論による意識の理解
https://osf.io/2sdkv/


なんで気になるのかというと、音の図形(フォノグラム)を研究している小野田智之さんが、圏論を使っているからです。
http://tomoyukionoda.com/2018/07/02/post-5012/


残念ながら私には、この両者に関連性があるのかどうかが分かりません。ただ、土谷さんも小野田さんも「意識の謎」を探求していて、それに「圏論」を用いてることから、何か関係があるのかも知れないなあって思うのです。

ただ、小野田さんは「意識の謎は数学(近代科学)では解けない」とおっしゃっています。

小野田さんは、言語や理論を思考したり、筋肉を動かす認知を「前頭葉ゲシュタルト」、筋肉や理論を使わない、例えるなら赤ちゃんや子供の認知を「後頭葉ゲシュタルト」と呼んでいます。

私たちは筋肉を使ったり、ロジカルにものを考えたりすることで、身体全体の響きを分けられるようになっていきます。これを「前頭葉ゲシュタルト」と小野田さんは名付けています。この時、音の図形(フォノグラム)は渦を巻くのだそうです。

この渦を消すと、全体の響きを取り戻します。その時、論理的思考や筋肉の緊張は消えて「後頭葉ゲシュタルト」に移行するのだそうです。

この「後頭葉ゲシュタルト」認知ができるようになると、音が見えてフォノグラムという音の図形が書けるようになるらしいのです。

私たちはふだん「前頭葉ゲシュタルト」ばっかり使っていて、「後頭葉ゲシュタルト」を忘れてしまっています。

意識はこの二つのゲシュタルトによって成立してるので、「前頭葉ゲシュタルト」の数学を使ってどんなに頑張っても意識の謎は分からない、ということらしいのです。それはなぜなのかはあんまりよく分からないのですが、ゲーデルの不完全性定理的なことなのでしょうかね……?

理屈で分かったとしても、それは分かったことにはならない。小野田さんオリジナルの「もじもじ体操」をして訓練を重ね、「後頭葉ゲシュタルト」を体感できるようになれば意識を理解できる、と、仏教と同じアプローチを主張されています。

私はどちらかが正しいとか、間違っているとかは分かりません。

アカデミックな科学からアプローチする土谷尚嗣さんと、東洋思想的な体感をベースとしたアプローチの小野田智之さんをくっつけたら、意識の謎は解けるのかも知れません。なんて思ったりもするのです。

ちなみに、12月5日(土)に小野田智之さんのアトリエ(京都)を訪問する予定ですので、デジクリで報告できたらと思っております!


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/断酒327日目】

・ガブリエルガブリエラ
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■LIFE is 日々一歩(131)[コラム]
[スイーツ]2021年、バレンタイン・チョコ戦線〈前編〉

森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20201201110100.html

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こんにちは、森和恵です。今回は、年末といえば恒例のチョコレートのお話をします(謎の義務感)。寒くなるとチョコが一層美味しいですよね。

……と本題の前に、ウェブ制作のスキルが学べるYouTubeライブ授業のお知らせです。

昨日の授業では、『レスポンシブウェブデザイン・ナビゲーション調整』をお届けしました。ライブ配信中にチャットでコメントや質問を頂き、その場でお答えしつつ進めました。


わたしがコーディングの準備で手一杯になってしまって、台本なしのぶっつけ本番放送でした。組んだばかりのコードを、手探りで説明している様子がたどたどしい……(涙&反省)。

後から考えると不十分な点もあり、合間を見つけて、できたら今週にリベンジ放送したいなと思っています。

『見逃さないためにチャンネル登録してもいいよ!』という、サンタさんのように心の温かい方がいらっしゃいましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
https://youtube.com/r360studio?sub_confirmation=1


●2021年のバレンタインチョコレート事情

三密を避けて過ごす日々が続き、デパートの催事も気軽に出向けずにいます。お店の応援のためにと思いつつも、連日のニュース報道を見てしまうと、どうしても控える気持ちになりがちです。

毎年のバレンタイン催事では、たくさんの人出で賑わいますので、各デパートも三密を避ける対策に、頭を悩ませているのではないでしょうか。

現時点では、明確にバレンタイン催事の予告をしているデパートはありませんでしたが、求人情報サイトをみると、そのためにバイトを募集している店も多くあって、例年通り1月中旬~2月14日に開催されるようです。

おそらく今回の会場では、人数制限を設けたり、間隔をあけて並ぶように誘導するとみられ、例年のようにあちこち気軽に並んで、チョコレートを買うのは無理なようですね。

会場での混乱を避けつつも売り上げを確保するために、百貨店のオンラインショップで事前予約が盛んになるのでは? と予想しています。

調べてみると、大丸松坂屋、そごう・西武百貨店ではバレンタイン用の特設サイトを予告しています。

▼[1月8日~]バレンタイン2021の通販|大丸松坂屋オンラインショッピング
https://www.daimaru-matsuzakaya.jp/valentine/


▼[12月1日~]バレンタイン チョコレート 通販 - 西武・そごうの e.デパート
https://edepart.omni7.jp/brand/chocolatep


また、海外では今年中止になったサロン・デュ・ショコラですが、日本では伊勢丹で1月21日~25日に開催されるとのこと。オンラインサイトも12月1日にオープンし、取り扱う商品の詳細は12月18日より公開されるそうです。

[12月1日~]サロン・デュ・ショコラ日本公式サイト
https://www.salon-du-chocolat.jp/


サロン・デュ・ショコラで取り扱う大半のチョコレートは、例年、三越伊勢丹オンラインストアでも販売されています。

毎年、人気商品の争奪戦が繰り広げられますが、今回は通販を利用する方がより増えるでしょうし、より一層きびしい戦いになりそうです。

それに加えて、チョコレートメーカーのサイトでの自社販売を始めてた所も増えています。お目当てのブランドがあるなら、独自サイトもチェックした方がよさそうです。

▼バレンタインまでのカウントダウン─モロゾフ オンラインショップ
https://shop.morozoff.co.jp/contents/valentine_countdown


バレンタイン発祥といえば、モロゾフ。神戸出身なので、応援したいです。

▼Dandelion Chocolate 公式サイト
https://dandelionchocolate.jp/


春先の外出制限期間に出会った、チョコレートファクトリーのサイト。チョコの焙煎がとても好みで、何度か通販利用しています。

▼チョコ部 CHOCOBU|クラブハリエ
http://clubharie.jp/corporate/chocobu/index.html


バームクーフェンでおなじみのクラブハリエさんは、チョコレート工房もお持ちです。この度「チョコ部」を立ち上げたそうで、バレンタイン時期の動向が気になります。

●やっぱり最初は『幸福のチョコレート』で

毎年のことですが、わたしがバレンタインチョコレートを最初に購入するのが、フェリシモさんの『幸福のチョコレート』の通販です。
https://www.felissimo.co.jp/choco/


こちらでは、バイヤーのみりさんが旅して買い付けた、海外のローカルチョコレートを販売するスタイルですが、コロナ禍の影響で今年は旅にでられなかったそうです。

それなら今年は買えないのかな……と心配したのですが、先日届いたパンフレットを見てびっくり!例年通りたくさんの海外チョコレートが掲載されていました。

やはり新規店の参入はかぎられていましたが、10年以上の歴史と人脈をフルに活かした新しい試みがされていました。
https://www.felissimo.co.jp/choco/welcome_choco/


毎年、新規店のチョコレートを狙って購入してきたのですが、このカタログを見て「このお店お久しぶり!」なチョコレートの多くに目が奪われました。

これまでに登場した人気ショコラティエさんたちが、幸福のチョコレートのために、新作のハートをモチーフにしたチョコレートを作ってくれたそうです。

カタログのあちこちにハート型のチョコレートがあふれていて、見ていてわくわくと楽しい気分になりました。

すでに、バレンタイン便とホワイトデー便で、合わせて6つのチョコレートを予約購入しました。選んだチョコレートも含めて、先日のライブ配信でたっぷりと語っています。

▼「できるだけチョコレート戦線2021」第143回 はざくみ&もりかずの見切り発車でいこか~


今回購入したチョコレートから4つを紹介します。ほんとうにおすすめなので、ぜひページを見てみてください。

これまでに食べたことのあるお久しぶりなお店では、ハート型チョコレートを選びました。

▼ベルギーハートセレクション|幸福のチョコレート
https://www.felissimo.co.jp/choco/wk64057/gcd533702/


▼プッチーニ ボンボーニ ラズベリー&ホワイトハート|幸福のチョコレート
https://www.felissimo.co.jp/choco/gcd528194/


ベルギーハートセレクションは、ベルギーの代表的なショコラティエさんたちの競作で、一度に9つのお店の味が楽しめる超お得なボックスです。

プッチーニ ボンボーニさんは、幸せのチョコレートをきっかけにしてチョコレート沼にハマった当初に買っていたお店です。手作り感あふれるキュートなハート型が目に留まり、久しぶりに食べたくなって選びました。

次は、やっぱり外せない新店のチョコレートです。今年はタブレット(板チョコ)から2つを選びました。

▼ジャック ラビット カラフルタブレット|幸福のチョコレート
https://www.felissimo.co.jp/choco/wk70534/gcd529156/


▼ゴールドヘルム カシス&バルサミコのタブレット|幸福のチョコレート
https://www.felissimo.co.jp/choco/wk64057/gcd529021/


今年は試食会が中止になってしまい、お目にかかることが叶わなかったバイヤーのみりさんのインスタライブや、YouTube動画で拝見したチョコレート紹介のトークに、喉が「ゴクッ」となってしまって購入を決めました。

ジャック ラビットさんは、日本ではめずらしい南アフリカのショコラティエです。ダークブルーにペンキを垂らしたような、イケメンのビジュアルに目を奪われました。初めてのアフリカチョコに期待が膨らみます。

ゴールドヘルムさんは、手で伸ばしたような変わった形の板チョコに興味をひかれました。みりさんの試食がとてつもなく美味しそうに思えて、即決でした。甘酸っぱいチョコってどうなの? と新しい味の出会いにワクワク待っています。

ということで、今回はここまで。後編は、年明けでバレンタイン催事が始まったらお届けしようかと思います。

いやぁ、チョコ活はホントにいいものですね(既視感)。今年も、できる範囲で楽しみたいと思います。

ではまた、次回お目にかかりましょう!
(^^)

【 森和恵 r360studio ウェブ系インストラクター 】
r360studio@gmail.com
https://youtube.com/r360studio

https://r360studio.com/



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編集後記(12/01)

●偏屈BOOK案内:大中尚一「面白く読めてビジネスにも効く 日本のしくじり史」 総合法令出版 2020
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862807569/dgcrcom-22/


最大のしくじりはこの本の装幀ではないか。白い面に、黒い線で超絶ヘタクソなイラストと手書きのタイトル。よくこれで出版するよなあと、逆に感心する。背もソレなんだから、たいした度胸の筆者(経営コンサルタント)と出版社である。中身は普通に興味深い失敗のパターン60件を、各4ページで構成。

「歴史はどんな自己啓発書よりも、成功するため、失敗を防ぐための最高の教科書になってくれるはずだ。歴史上の失敗を教訓として、同じ轍を踏まないようにすることが必要ではないか」。その通りだ。ビスマルクの「賢者は歴史に学ぶ」を引くまでもなく、まったく目新しくない企画だが、一話完結で読みやすく、まとめでビジネスマン向けの短いお説教があって、一応納得させられる。

そうだったのか、なるほどねーと感心したのは10話ほどで、流し読みした50話も、なかなか興味深いことを面白く書いていた。筆者は7年間、歴史教師として教壇に立ち、その後に経営コンサルタントに。歴史はどんな自己啓発書よりも、成功するため、失敗を防ぐための、最高の教科書だと気づき、この本が生まれたという。歴史を省みれば、どんな時にどんな行動を取ると失敗するかが分かるとか。

五代将軍・徳川綱吉の治世下で続いた好景気は、次の家宣の代で終わった。それは側用人として取り立てられた儒学者・新井白石による、儒学原理主義に基づく政策のせいであった。白石は優秀な人物で、朝鮮外交に一定の成果を出し、学者としては優れていたが、経済はド素人なのに貨幣政策を断行。激しいデフレを招く。経済を活性化させる萩原重秀の政策を否定し、貿易も縮小させた。

白石は現実を見てどう改善するかではなく、あるべき姿が前提にあって、現実を無理やりそれに当てはめようとした。その結果、せっかく好調だった経済に急ブレーキがかかり、日本経済はデフレ基調の低成長時代に入る。幸い白石が力を振るえたのはわずかな期間で、「暴れん坊将軍(笑)」吉宗が就任したことで政権を追われた。そして景気回復、とはならず、以降江戸時代は低成長を続ける。

賄賂政治を行った極悪人として描かれることの多い田沼意次だが、彼は江戸時代では数少ない「生きた経済」を理解する政治家だった。貨幣経済を促進し、民衆を富ませて税増収を図り、財政を健全化させた。しかし、彼の現実に基づいた政策は、儒教原理主義に凝り固まった幕府の幹部達から拒絶された。とくに松平定信は、名門出身ではない意次を見下すどころか、激しく憎悪した。

彼らは、貨幣経済を進展させて商売を振興、税収を増やして財政改革をしようという意次の現実的な考え方は評価せず「商売は卑しい」という固定観念で改革を否定した。先例にこだわり、経済も道徳・法でコントロールできると考えた定信ら頑迷な旧守派によって意次らは潰され、江戸幕府は財政改革の最後のチャンスを自ら葬り去った。

やはり赤穂事件の真実を知りたい。オーソドックスな「忠臣蔵」とはフィクションであるから。現代風に解説すると「江戸幕府ホールディングスが重要な取引先を招きイベントを行っていた中、突然、プロデューサー・吉良を子会社である(株)赤穂の代表・浅野が殴りつけ、接待を台無しに。(株)赤穂は倒産し、社員である武士たちも路頭に迷うことになったようなもの」。うまい!

読んで見ないと、この本の面白さはわからない。知的とは正反対の不快で愚かな装幀は、まともな読者を逃している。なんでこんな馬鹿なことをしたんだろう。確信犯的しくじりか(って、どんな意味かわたしにもわからん)。(柴田)


●東京オリンピック観戦チケットの払い戻し申請をした。男子100m決勝。今回の払い戻しはスルーして、開催直前まで粘ろうか迷ったし、家族会議もした。開催は決定事項で、最悪でも無観客なんじゃないかと思ってる。

新型コロナがあって、申し込んだ時のような楽しい気持ちはもうない。人と会ったり観光したりもして、オリンピックの雰囲気を肌で味わって、なーんてことは難しいだろうなぁ。ホテル予約して、大阪から往復するのもしんどいし。

ワクチン開発が成功し、コロナ後の復活の雰囲気も味わってみたかったけど、経済はしばらく厳しいだろう。

あと、海外の人に交じって観戦するリスクは大きく思えた。海外先進国で、いまこの時期にマスクをつけずに雑踏にいる人たちの姿をニュースで見ると驚く。日本人って真面目だよね!(褒めてる)(hammer.mule)