KNNエンパワーメントコラム アップルのマーケティング遺伝子を受け継ぐダイソン/神田敏晶

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KNN神田です。

いままで、白物家電なんて正直バカにしていた。機能で家事を便利にさえしてくれればよかった。冷蔵庫に電子レンジに洗濯機にエアコン、そしてかつては掃除機。

ワールドプロレスでは、三菱の「風神」がコマーシャル明けには必ず、リングを掃除していたし、相撲でもNHKに写らないところで、土俵に掃除機かけていたりしていた。

そう、掃除なんて作業は好きな人はいない。掃除という行動は決して楽しくない。しかし、掃除した後のキレイが「見える化」すると顧客は満足に変わる。


photoダイソンの場合は、さらに、今の空気よりもキレイな空気を掃除機から出すという。


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【第一の法則】"気づきの瞬間”は普段からの興味から訪れる
【第二の法則】"熟成期間"を経なければ、ひらめきは訪れない。
【第三の法則】"ひらめきの瞬間"は、何気ないところから。
【第四の法則】ひらめきを具現化するR&D
【第五の法則】製品とサービスの差別化
【第六の法則】社会的影響力のマーケティング
【第七の法則】リーチとフリーケンシー

「ダイソン」の掃除機は、もはや知らない人がいないほどの掃除機だろう。デザイン、機能、企業イメージ、問題は価格だけだろう(笑)。いつかは欲しいと願った「掃除機」はダイソンだけである。

掃除機で有名になった。「ダイソン」の発明者であるジェームズ・ダイソンの場合はこんな感じだ。

【第一の法則】"気づきの瞬間”は普段からの興味から訪れる
ダイソンは毎日見慣れているものでも、使いやすさを求めて、さらに改良を重ねるのが好きな男だった。ある日、ダイソンが掃除機をかけていた時、吸い込んだゴミが紙パックの網目を塞いでしまいゴミが吸えなかった。

【第二の法則】"熟成期間"を経なければ、ひらめきは訪れない。
ダイソンは、なんとか網目をふさがない方法がないかと思案する熟成期間に入る。

【第三の法則】"ひらめきの瞬間"は、何気ないところから。
ある日、塗装工場で「サイクロン」という飛び散った塗料を吸い込み集める印刷機械を目にした。この原理を掃除機に使えると直感的に感じた。

【第四の法則】ひらめきを具現化するR&D
この原理を掃除機に応用できないかと考え、5年の歳月と5127台の試作品を経て世界初の紙パックのいらない掃除機を生み出した。

【第五の法則】製品とサービスの差別化
しかし、紙パックのいらない掃除機は値段が高く、売上げにはまったく結びつかなかったが、紙パックがいらないという点に、日本の大企業が興味を示した。

【第六の法則】社会的影響力のマーケティング
自国だけではなく、口コミが伝わりやすく、最先端に敏感な日本を営業にしたことが採算に乗った。初期モデルは20万円以上もする業務用掃除機であった。

【第七の法則】リーチとフリーケンシー
日本での成功をもとに、現在の「DC12」を世界35か国で販売することができた。安くなったといっても、73,800円(税込)という価格であるが、吸引力が落ちないというサイクロン方式の特許もあり、一度使った人たちが、新たに買い足し、さらに人に勧めるということでヒットしている。

毎回、登場する起業家の行動のほとんどが、この法則性に適合する場合が多い。億万長者になる起業家たちは、単に金儲けをするために事業をはじめたのではなく、ユーモアや慈愛や創意と工夫に満ち溢れている点をこの番組は強調している。

喰っていくために働くのではなく、もっと、楽しくしたり、便利にしたり、社会に役立つことを考えて、飯が食えるという生き方は、とてもクリエイティブだと思う。

……と以前のブログ原稿の流用であるが、ついにボクもライブドアPJの一年で時効がきてしまうポイントがあるので、ド贅沢して、ダイソンのオーナーになることにした。掃除機なのにオーナー?

はじめて、Macintoshを買った日のことをみなさんは覚えているだろうか?
白いパッケージ、ボンダイブルーのパッケージ、ダルメシアンなパッケージ、シンプルな4色掛け合わせの白と黒。おごそかな装丁のiPod ……。ジェネレーションによって違うが、アップル社と顧客との最初の接点はいつも段ボール箱からだ。

しかし、そこが一般メーカーとアップルの違うところだ。一般メーカーは、パッケージなんて、商品が壊れなければ茶色の安い段ボール箱でいい。しかし、アップルはそこに、製品デザインと同様の気を使っている。

それは、なぜだろう? 大枚はたいて買った製品が家に到着した時のワクワク感を知っているからだ。パッケージを開けた時に、マニュアルがドッサリと無造作に出てくるのではなく、理路整然と、「最初にお読みください」が段ボール箱を開いた一番上に厳かに鎮座している。

ボクは、なんて礼儀正しいメーカーなんだと感じた。日本のメーカーは、カタログは立派なのに、マニュアルはモノクロで写真すら入っていない。特にカメラメーカーのマニュアルほど酷いものはない。これから楽しい写真の世界で表現したいと思っている顧客に、いきなりこれは表現のマシンではなく、精密機械だと冷や水を浴びせるのだ。

素敵なレンズ群やフィルターを利用すると、もっとあなたの光と影の芸術はひろがりますよ! といった提案なんて、皆無である! 日本のメーカーは馬鹿か! と声を大にしていいたい。

ダイソンは、掃除機専業メーカーであるが、アップルのマーケティングコミュニケーションを家電品にうまく持ち込んだと思う。

カラーでいい紙質のマニュアル。内容はイラストをふんだんに使い、組み立てから、保存方法まで示す。

組み立てはともかく、ボクはダイソンのしまわれ方に美意識をとくに感じた。長いホースを、消費者が勝手に巻き取るだけではなく、可能な限りコンパクトに、しかも、キチンとおさまるようにデザインされている。掃除機なんて、リビングにおきたくないけど、ダイソンならば別、ダイソンユーザーです! と胸をはっていいたくなるほどだ。

サイクロン型といって、売れているから、安易にモノマネに徹する日本のメーカーに辟易としてきた。ジェームズ・ダイソンは一介の掃除機のセールスマンだった。紙パック式にすれば、本体がつぶれないかぎり、補充品として売れ続ける。ダース単位だから、一度市場に押し込めば、売り場の棚は確保できる。ナイスなビジネスモデルだ。ゼロックスが発明したリフィル(交換)型のビジネスモデルである。

ダイソンがすごいのが、実は紙フィルターなんて、誰も望んでいないことをフィールドワークから感じていたことだ。紙フィルターいらずで、ワンタッチで手も汚さずにゴミをポンと捨てられる。しかも、こんなにゴミがとれました!といわんばかりにスケルトンボディーがゴミを見せてくれる。掃除という、ある意味ネガティブな必須行動を、ダイソンは「よく吸うなあ!!!」という感激に変えてくれた。

近い将来、iRobotやルンバ、二足歩行ロボットが掃除をしてくれる時代がやってくるだろう。しかし、これがあれば清潔な暮らしができるという、物理的よりも精神的な満足を与えてくれるメーカーは稀有な存在である。

ダイソンのマニュアルは、アップルの「リードミーファースト(最初におよみください)」のようなカタログに「ダイソン製品のオーナーになられたお客様へ」から始まる。

掃除機に対して、オーナー意識はなかったけれど、ダイソンのオーナーマインドには、この製品が単なる生活便利家電品でないという意味を感じとることができた。

パッケージデザインの「見える化」以外に、故障がおきたら、掃除機自身が、アナログ電話回線で故障具合をメーカーに知らせる機能を持っている。巷にあふれるCTI利用のサポートセンターに、「まるまるな方は、1番。」「ペケペけな人はこう」ではなく、掃除機がしゃべるのである。とてもユニークなアイデアだ。

そのうち、掃除機がセコムと提携して、不審物がありそうだと電話で通報するとか、いまあるより空気がキレイになるなら、エアコンメーカーとコラボレートすればいい。

掃除機でもこれだけ進化できるのだから、他の家電、冷蔵庫や洗濯機ももっと楽しくなってもいいだろう…。

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