KNNエンパワーメントコラム 資本関係のねれじが生むオープソース型マーケット/神田敏晶

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KNN神田です。

YouTubeが、Googleに買収されたことによって、Googleの動画サイトにおける影響度は最大限に達している。

オンデマンドネットビデオ市場のシェアは、

YouTube 46.0%
Myspace.com 21.2%
GoogleVideo 11.0%
MSNvideo 6.8%
Yahoo! video 5.6%
Others 9.4%
(米ヒットワイズ調べ)

となり、YouTubeとGoogleは合計で57%のシェアを持ち、広告枠で考えるとGoogleはMyspace.comの広告枠を9億ドル(4年間)でコミットしているので、合算すると、米国でGoogleは、78.2%のオンデマンドビデオ市場の枠を押さえていることとなる。


この巨大な利権を抑えたGoogleに対して、Yahoo!やMicrosoftは、何らかの画期的なプランを社会に対して提供せざるをえなくなったことは確かである。

Myspace.comは、全世界で1億1000万人ものメンバーを集めるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を基本としたCGM(コンシューマーネレーテッドメディア)サイト。

Intermix Media社がMyspace.comのシェアフォルダーであり、UCLA(University of California, Los Angeles)出身のCEOのクリス・デウォルフ(Chris DeWolfe)とUSC(University of Southern California)出身の社長トム・アンダーソン(Tom Anderson)のダイナミック・デュオとプログラマーで2003年に設立された。

先行するSNSのFriedster.comやOrkut.comなどを、MP3ファイルの添付と再生プレイヤーの同梱により、音楽が直接聴けるという特性をつけたこと、CSSなども含めたカスタマイズが可能なところが話題となり、一気に会員登録数を伸ばした。

2005年7月、20世紀フォックスやFOXテレビを有する、ルパート・マードック率いるニューズコーポレーションに5億8000万ドルでIntermix Media社が買収されたことによって、ニューズコーポレーション傘下となる。

映画、テレビ、新聞を抱えるニューズコーポレーションがなぜ? と疑問に抱かれたようだが、CGMやバイラル効果のあるコミュニティメディアに投資しておくのは当然のことだと考えられる。さらに、Googleが4年間の広告契約を結んだことにより、マードックの先見のよさに目が向けられた。

反対に、AOLは、タイム・ワーナー(CNNやワーナーブラザース映画)、ネットスケープコミュニケーションズを買収したが、2003年より、社名からAOLをはずされ、タイム・ワーナーに戻るという凋落ぶりである。ビジネスモデルが、インターネットの黎明期のWeb1.0的な、会員数を確保し、ISP(インターネット・サービスプロバイダー)モデルによる抱え込み型から何も進化が見えないから仕方がない。

MySpace日本語版が、かつて、テレビ朝日買収策などの際に手を組んだことのあるソフトバンクの孫正義とマードックの間で交わされたのは当然の話であろう。何よりもマードックの次の狙いは、携帯電話市場が命題であるからだ。日本で、携帯キャリアとしてスタートしたソフトバンクとの提携事業は意味のあることである。反対に孫としても、Yahoo!ブランドを持って参入してもSNSの分野では、先行のmixiに及ばないことを痛感している。

孫自身が、Yahoo!オークションを手がけた際に、米国で先行していたeBayをもってしても追いつけなかった「先行者の利」を、今回は逆の立場として味わったことである。

問題は、Myspace.comの広告枠をGoogleが専売契約を獲得していることであるが、日本の事業会社はソフトバンクとNewsCorp傘下エフ・アイ・エム・インターナショナルB.V.とソフトバンクとの合弁事業であり、Googleとの広告契約は.comが対象であり、日本版に関しては新たな契約形態となるであろう。もしかすると、ここにYahoo!傘下の広告会社オーバーチュアの参入なども考えられるだろう。

このように、時価総額が高まる企業であれば、あるほど買収は容易であり、今までの資本系列という古い慣習の「ケイレツ」の壁を越えて、ユーザーにとって魅力ある「場」を創造するために、買収合戦を繰り返す。

今後は、現在の主役である、マイクロソフト、ヤフー!、グーグル、アマゾン、アップル、eBayらが、資本の関係を超えて、事業提携やサービス統合をいつ起しても驚いてはいけないのである。

メディア企業の歴史は、常に買収に次ぐ買収の歴史でもあるからだ。かつての映画会社グループが支配する時代から、メーカーや食品会社のオーナー時代を経て、現在は成熟したコンピュータ会社が牛耳る時代へと進化を遂げている。

これからは、この資本関係のねじれが新たな開かれた「オープンソース・マーケット」の時代を形成していく。「ソフトウェア企業」「ネット企業」「メディア企業」は三位一体化していき、ハードウェアであるPCは、ますます携帯化に拍車をかけ、新たなモバイル市場を形成しはじめようとしている。

彼らのライバルは、単にライバル会社ではなく、ユーザーの可処分時間である。シェアの奪いあいの時代から、シェアを共有し、「競争から共創」する時代へと向かうだろう。「滞留時間」、「粘着性」、「親和性」が深いメディア力とサービス力で、ユーザーに提供しなければ、存在価値がないことにようやく気づきはじめたからだ。

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by G-Tools , 2006/11/13