KNNエンパワーメントコラム 動画共有のオリンピックイヤー/神田敏晶

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KNN神田です。

「YouTube」が設立されてから間もなく1000日が経過する(設立2005年2月15日)。

1000日前には、動画は提供されるものを視聴するか、個人的にパッケージにして送るか、高価なビデオサーバーを契約するしかなかったのである。ましてや動画を共有したり、自分のブログに貼り付けることや、字幕でツッコミを入れるという文化も存在しなかった。

ベンチャー企業の1000日(約3年)とは、まさに命運を分ける日々である。YouTube設立270日後に、Sequoia Capitalから350万ドル(3億8500万円)の投資、415日後には、さらに800万ドル(8億8000万円)の投資を受ける。600日後には、Googleに16億5000万ドル(1815億円)で買収される。Sequoiaの投資額の165倍である(ngiのmixiへの5600倍には及ばないが…)。しかし、762日後にはViacomから10億ドル(1100億円)もの訴訟を受けている。まさに波瀾万丈の1000日である。


YouTubeは、日本で「ニコニコ動画」や「Rimo.tv」を生むきっかけとなり、P2Pの「Joost」や「Veoh.TV」といった新興ビジネスに多大な影響を与えている。YouTubeが爆発的に普及するなかで、動画配信サービス各社は、ビジネスモデルを大幅に変化せざるをえなくなったのである。ましてやSNSサービスやブログ、SecondLifeなどにも活用されるようになったのだから…。

ベンチャー企業は、人間の7年が犬の1年に相当することから「ドッグイヤーで進む」とよく称されるが、IT系のベンチャーは、たったの1500日(約4年)で周りの環境が激変してしまう。技術革新で価格が半額となり、マッシュアップ的な新サービスが続出し、新たなライバルと戦ったり、ライバルが親会社になったりもする時代だ。

4年に一度のオリンピックが開催される度に、同じことをやっているIT企業では、完全に周りの環境に取り残されてしまうのである。まさにIT企業は、「ドッグイヤー」の7年ではなく、「オリンピックイヤー」の4年で進まなければならないのである。

2001年にP2Pソフト「kazaa」を生み出したニクラス・ゼンストロム(Niklas Zennstrom スウェーデン出身)とヤーヌス・フリース(Janus Friis デンマーク出身)は、IP電話の「Skype」を2003年に開始し、2005年eBayに26億ドル(2860億円)で売却する。…と、ここまでが「オリンピックイヤー」。

そして2007年YouTubeを訴訟しているViacom(MTVやパラマウント映画、パラマウント映画傘下のドリームワークスを保有)と提携し、P2Pによる動画配信サービス「joost」を開始する。すでに招待制のテスト期間を終え、誰もが利用できるようになった。郵便番号に11513とシリコンバレーの郵便番号を入れると、アメリカのコンテンツも自由に楽しめる。

Joostは、TV局側に寄りすぎたコンテンツという評価もあるが、レイヤー構造でRSSなどのウェブのニュースやブログが読め、IMなどを表示できるため、モニタ上では、PCもテレビコンテンツもすでに融合していると考えられる。

Veohは、2004年、カリフォルニア・サンディエゴでディミトリー・シャピロが設立。ディズニーの元CEOであるマイケル・アイズナーやタイムワーナーの投資1250万ドル(13億7500万円)を経て、2006年3月にVeohベータを開始、2007年2月13日にVeohを正式に公開した。

Veohは、Joost同様にP2P技術による動画サービスであるが、Joostがあくまでも編成されたコンテンツを配信しているのと違い、事前に検索した映像をブラウザとして、表示しているところに根本的な違いがある。事前に検索で表示されたコンテンツを並べている動画ブラウザだから、権利侵害にあたらないという発想だ。このあたりの今後の判断が気になる。

最初は、どのコンテンツホルダーも、結果として自社のアクセスがアップするならばという心情でのんびりと構えているが、それが、GoogleNewsやYahoo Newsのようにトラフィックの大半が、そこに依存してくると、自社でサービスを立ち上げねば不安という状況になってくる。

また、Joostは視聴者は、あくまでも視聴するだけであるが、Veohは、ユーザーが動画をアップロードすることができる。しかも、YouTubeやGoogleVideo、MySpaceなどのサイトにも同時にアップロードできるという動画配信共有というマルチアップローダー機能を持っている。一度アップロードすれば、YouTubeにBlogにSNSへとシンジケートされているから便利だ。

KandaNewsNetworkが、CBSやNBCと同等に扱われるという点もテレビベンチャーにとっては、こんなに嬉しいプラットフォームはない。さらに100MBという容量制限もなければ、エンコード画質が美しいという点も魅力だ。
< http://www.veoh.com/videos/v1459541M2bamyq5 >
KNN-TV(予告編)
< http://jp.youtube.com/watch?v=WJu1uTdAgSA >

YouTube設立から3年、いや1000日。数々の動画共有サービスは、テレビというよりも、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の一環として、浸透している。大御所GoogleがSNSや仮想空間の規格づくりにも積極的となり、YouTubeのオリンピックイヤーはますます残りの500日でさらに過激でホットな市場となりそうだ。

ビデオ投稿スタジオ BarTube < http://snbar.ameblo.jp >
毎週木曜日23:00 MXテレビ「BlogTV」出演中
< http://www.technorati.jp/blogtv/ >
「NetSurfin2.0」毎週放送中!デジハリ大学放送部
< http://blog.dhpodcast.com/ >

KandaNewsNetwork,Inc. < http://www.knn.com/ >
CEO Toshi Kanda mailto:kanda@knn.com
#502 1-4-8 Komaba Meguro Tokyo Japan,153-0041
TEL 090-7889-3604 FAX 020-4622-7170
< http://mixi.jp/show_friend.pl?id=550 >
Mobile 81-90-7889-3604 Phone81-3-5458-6226

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