KNNエンパワーメントコラム 米ヤフー!の株主の皆様へ/神田敏晶

投稿:  著者:  読了時間:7分(本文:約3,100文字)


KNN神田です。

週末にとんでもないニュースが飛び込んできた!
米マイクロソフトが米ヤフー!を総額446億ドル(約4兆7500億円)で買収するというニュースだ。


以前から何度も買収話
< http://jp.techcrunch.com/archives/microsoft-pursues-yahoo-takeover/ >
が出ては消え
< http://jp.techcrunch.com/archives/wsj-says-microsoftyahoo-deal-not-happening/ >
と繰り返されてきたが、今度のマイクロソフトは本気のようである。
< http://www.microsoft.com/presspass/press/2008/feb08/02-01CorpNewsPR.mspx >

敵対的買収をも辞さないという強気のマイクロソフトは、ヤフー1月31日の株価に62%のプレミアムを上乗せした31ドルを用意し、ヤフーの株主はキャッシュもしくは、マイクロソフト株0.9509株との交換が選択できるという。

何よりも、米国株価低迷の上に、サブプライム問題など先行き不安などから、このマイクロソフトの提案が株主には魅力的に見えるところが、ヤフー経営陣にとっては頭が痛いところだ。

しかし、米国オンラインの広告市場は2007年度は400億ドル(4.2兆円)であり、二年後の2010年には、倍の800億ドル(8.5兆円)と当事者であるマイクロソフトが予測している。

ヤフー株主が、目先のキャッシュに目がくらみ、これらの将来市場でのヤフー!の価値を手放してしまったり、マイクロソフト株と交換しGoogleと一騎打ちという構図でキモを冷やす日々を送るのか? ぜひとも自問自答していただきたいものである。

むしろ、ホワイトナイトとして、ヤフー!に育ててもらったグーグルなどが友好的買収に乗り出してくれることを願いたい。アマゾンやイーベイ、アップルという企業でもヤフーの社風は温存できることだろう。

市場を排他的に独占していくという戦略は、すでに時代遅れになりつつあるいまである。検索やコミュニティビジネスであればなおさらそうだろう。マイクロソフトの、過去のコミュニティビジネス圏でのおびただしいアプローチの数々の失敗がそれらを物語っている。

WindowsのOS出荷時には100%、IEがインストールされ、MSNやWindows Liveに接続しようとプロモーションされていながら、人々は「わざわざ」、GoogleやFireFoxをインストールしている。

マイクロソフトは、なぜ「わざわざ」人がそんなことをするのかを未だに気づいていないという珍しい企業なのである。

なぜ、マイクロソフトの百科事典のエンカルタ
< http://www.microsoft.com/japan/users/encarta/default.mspx >
よりも、ウィキペディア
< http://ja.wikipedia.org/ >
を人々は選ぶのだろうか?

なぜ、開発者はSilverlight
< http://www.microsoft.com/japan/silverlight/default01.aspx >
を選らばず、Flashを選ぶのだろうか?

おそらく、オープンソースの事例や、APIの公開というようなことと全く縁がない会社だからだ。公開するとしても、こっそり公開という変な会社だ。
< http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20084924,00.htm >

また、新たな機能などさほどないにもかかわらず、三年に一度は必ず化粧直ししてくるOfficeスイート製品群。アップグレードのビジネスモデルを繰り返し、新しいマシンにインストールしようとすると、3世代前のCD-ROMが必要となっている。

Vista発売後もWindowsXP再入荷! と秋葉原にわざわざ「ノボリ」が現れる現象はなぜなんだろう? 必要がない人にまで最新OSを提供する必要はないはずだ。つまり、マイクロソフトの戦略の中に、ユーザー側の視点というのが確実に欠如している。

人が怒りださない程度の不都合で成り立っているビジネスモデルだからだ。仕方なしに使ってもらっていても、商売は成り立っていた。

しかし、今はまったく違う。Googleという、ネットの理想に挑戦する若い企業が登場したからだ。大人になっても、株式公開しても、その理想はさらに過激になる一方。保守的な会社はそんな彼らを目の敵にしている。

しかし、目の敵にしながらも、一方では、彼らのサービスのファンなのである。しかも、使用料はとられないという新たなビジネスモデルを考案している。限界のない広告メディア枠を開発したからだ。

既存の広告枠に当てはめる、広告を押しつけるのではなく、検索に応じた人の希望、欲求にあわせていくという視点だ。マイクロソフトはその視点を持つチャンスはいくらでもあったはずだ。

しかし、マイクロソフトのDNAにそのような行動体系の命令は刻まれていなかった。必要なファンクションは、外から調達すればなんとかなったからだ。そして、それらの将来的な決断のひとつとして、ここは、お買い得になったこの時期のヤフー!の買収に乗り出したのではないだろうか?

日本のヤフー!ほどのシェアがない米国ヤフー!ではあるが、老舗検索会社としての認知力、さらにWeb2.0企業を傘下に抱えている最大の企業であることには変わりはない。Flickr.comやdeli.cio.usなどの将来も、マイクロソフトのクローズド戦略の前では、全く意味をもたないのではないだろうか。

米ヤフー!の株主のみなさん、ここはじっくりとよく考えてからアクションをとってもいいのかもしれません。長期保有することのメリットもボクはあるかと思う。


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