伊豆高原へいらっしゃい[10]職業病? 腰痛の話/松林あつし

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みなさん、腰痛ってありますか? パソコンを使って仕事をしている人は腰痛持ちの方が多いように思います。そして僕も立派な(?)腰痛持ちです。ただ、一言に腰痛と言っても人それぞれ原因や症状が違うようですね。対処法も色々あるようですが、なかなかきっぱりと「治った」と言えないのがこの腰痛のやっかいなところで、僕も色々試しましたが、結局未だに腰痛と「仲良しさん」なのです。

今回は、僕の腰痛履歴を紹介したいと思います。ただ、医者ではありませんので、こうしたらいいとか、この治療法がいいなど無責任な事は言えません。腰痛を色々考えることで、同じ問題を抱える方達と悩みを共有できたらな〜って思っています。


●人生で最も痛い経験

そもそも、僕の腰痛っていつ始まったんだろう……って考えてみました。最初に腰痛を自覚したのは、27〜28歳ぐらいだったと思います。その頃は会社員(デザイナー)でしたから「仕事の疲れが出たのか」ぐらいにしか思っていませんでした。

その後しばらくして、会社に初めて「Mac」なるものが導入されました。「おお〜、これがパソコンってやつか!」と新物食いの僕は興味津々……しかし、誰も使い方がわからず、それを使うメリットも未知数でした。それで試行錯誤の末、デザインの色指定、プレゼンテーション用のイラスト作成などMacを使うメリットを模索していたのを覚えています。

まわりからは「そんなものいじってないで、仕事しろよ」って思われていたでしょうね。その3年後には、ほとんどの仕事をMacでこなすようになっていたのですが……。

Macがデザイン作業には不可欠だということを会社も段々理解し始めて、大量に導入する事になりました。そのため、パソコンの引っ越し作業をしなければならなくなったのです。

当時のMacは確かIIfxか、クアドラあたりだったかな? マシンそのものはさほど重たくはないのですが、ブラウン管モニターがやたら重い! 21インチともなると一人では動かせません。しかし、そこは女の子だらけの職場! 「まっちゃん、お願いね」って言われれば、「よっしゃ、まかせとけ!」ってなります(^^;)床の21インチモニタを持ち上げようとした時でした。

「ぐきっ!!」

30秒ほどその場を動けませんでした。そんな激痛が腰にきた事はなかったので、その時はそれが「軽度のぎっくり腰」だとは気がつかなかったんですね。慢性の腰痛になってしまったのはこれが原因だと思います。しかし、腰痛の種は持っていたわけで、遅かれ早かれぎっくり腰はやっていたでしょうね。その後は一年に一回ほど腰が痛くなるという事を繰り返すようになりました。

しかし、まだそれは普通(?)の腰痛……本番はその数年後でした。会社を辞めて独立した年だったと思います。独立後間もないという事で、仕事場の椅子も堅いキッチンの木の椅子を使っていました。

理不尽な急ぎの仕事に追い立てられていたある日、何気なく鼻をかんだティシュをゴミ箱に捨てようとした時、小さな痛みが腰に走りました。その時はそれほど気にはしませんでしたが、その後一時間ほど仕事をするうちに、だんだん痛みが強くなる……なんか、今までの腰痛とは違う……「やばいやばい……」そう思ってベッドに横になりましたが、痛みは強くなるばかり。

ついには我慢できない激痛の波状攻撃です。それまでの人生で最も痛い経験でした。「うんうん」唸りながら、「こりゃだめだ!」と決心し、救急車を自分で呼んだのです。

どれくらい待ったか記憶にありませんが、やっと来た救急隊員が玄関の外から叫びます。
「松林さん! 大丈夫ですか?」
(しまった! 玄関の鍵かけっぱなしだ!)
マンションなので入り口は玄関しかありません。窓にはすべて格子が付いています。

ドンドンドン! 「鍵開けてください!」
「玄関まで行けませーん!!」
「何とかして鍵開けて!」
(……んなこと言っても無理だよ!)
と思いつつもこのままではどうしようもなく……激痛に叫び声を上げながら、玄関まではっていったのでした。入院は10日間にも及びました。

これが僕の最初のぎっくり腰でした。ぎっくり腰の経験のない方は「あれ?」って思うかもしれませんね。よくマンガやドラマでぎっくり腰のシーンがありますが、ほとんどは重たい物を持ち上げようとして「ぐきっ」ってなって、その体勢から動けなくなる……というシチュエーションです。

そういう症状もあるのかも知れませんが、僕以外でも話を聞くと、突然激痛に見まわれ、のたうち回る、というパターンが多いようです。マンガのように動けなくなって、「やっちゃった」って笑っていられる状況ではないのです。

その後も何度かぎっくり腰をやりましたが、最初の経験があったので、「やばい!」と思ったらすぐ横になり、最悪の状況は回避できるようになりました。それでも、3〜4日は寝返りもうてない、身動きの取れない寝たきり状態になります。さらに悪いことに僕には「ぎっくり首」もあって、こちらは寝たきりになると首も動かせない厳しい状況になるのです。

こういった事が数年に一度起こります。そして腰痛、首痛は慢性化すると完治が難しく、重度にならないよう日常生活で気をつけて行くしかないのが現状です。そして、多くの場合それらの疾患はリンクしているのだと思うのです。僕の場合の「疾患連鎖」ですが、このようになります。

1)背骨の湾曲があり、一部の筋肉に付加がかかる。
2)筋肉への負荷が炎症へと変わり、腰痛を引き起こす。
3)腰痛を和らげようと背中の筋肉に偏った力がかかる。
4)背中の筋肉の偏りが頚椎(首)の湾曲を起こす。
5)頚椎の湾曲が首の筋肉を痛め炎症を起こす。
6)腰痛のためにコルセットをする。
7)コルセットが胃を持ち上げ、逆流性食道炎を誘発する。

繋がってますね? 背骨の湾曲は結構みんな持っています。それがひどくなるかどうかで、腰痛を引き起こすかどうかが決まってくる場合もあるようです。その根本要因は、若い頃の座ったときの膝を組む癖や、片方の肩ばかりで荷物を持つ癖などちょっとした事なんですね。

よくぎっくり腰と椎間板ヘルニアを同じように考える人がいますが、一般的に言われているぎっくり腰は「腰椎のねんざ」を指します。つまり、筋を痛めるという事ですね。それに対して、ヘルニアは腰椎と腰椎の間にある軟骨(椎間板)が押しつぶされてはみ出し、神経を圧迫する状態を言います(この場合、足の痛みや痺れを伴う事が多く、座骨神経痛と診断される場合もあります)。まったく別物に見えますが、それぞれが相互に関係している事もあるようです。

日常生活からの影響はどうでしょうか。タイトルに「職業病?」と書きましたが、パソコンを使ってのデスクワークに限らず、スポーツや力仕事をしていても腰痛になる場合があります。つまり、じっとしていても良くないし、動きすぎても良くない……じゃあどうすりゃいいの? って思ってしまいますが、何事もほどほどにという事でしょうか。

●毎朝「腰痛運動」を実践

腰痛の経験がない方は、それを予防しようという意識は働かないと思いますが、多少でも腰痛があれば、ひどくなる前に予防はできます。一般的に言われている事を生活の中で実践すれば、かなりの効果はあるかもしれません。冒頭に書きました通り、治療法ではありませんが、予防策としては以下のようなことが挙げられます。

1)適度な運動(とにかく歩くことは良いようです。あとは水泳など)
2)同じ姿勢を長く取らない(仕事中、一時間に一度のストレッチなど)
3)慢性の腰痛には腰痛運動の実践(ひねりなどのストレッチ、腹筋など)
4)重たい物を持つときは腰を落として足の力で落ち上げる
5)適度なマッサージ

僕もここ半年ほど毎朝「腰痛運動」を実践しています。腰痛そのものは治りませんが、ひどくならないための予防策です。

では治療方法はないのでしょうか。僕の経験の範囲内で申し上げれば、病院での治療方法の多くは痛み止めの薬や神経を回復させる薬を処方してもらうだけの対症療法が多いのが現状です。リハビリと治療を併用する所もありますが、それでも治癒にはほど遠いという感じです。

民間療法も沢山ありますね。カイロプラクティック、整体、鍼灸、マッサージ、気功……みなやりましたが、どれも効果なし。もちろん、民間療法で「治った」という話も時々聞きます。原因や症状が千差万別の腰痛においては、効果も千差万別というところでしょうか。

解決策の見いだせない腰痛ですが、大事なことはひどくならないよう気をつける、という事です。今のところ、毎日の「腰痛体操」に一筋の光を見いだしています。継続は力なり……仕事と健康のバランスを常に考えなければならない年齢ですからね。

【まつばやし・あつし】pine2656@art.email.ne.jp
イラストレーター・CGクリエーター
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