伊豆高原へいらっしゃい[28]携帯をiPhone 3Gにした
── 松林あつし ──

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Simplism Silicone Case for iPhone Black [iPhone用シリコンケース ブラック] ストラップホール付き TR-SCIP-BK先日、遅ればせながら携帯をiPhoneに変えました。発売から随分日が経つので、もうあまり話題にも上らなくなってきましたが、「いつかはiPhone」と、機会をうかがっていたのです。

iPhoneにする上で、最も躊躇したのが、やはりキャリアの変更です。初めて携帯を買ってから十数年、ずっとDoCoMoを通して来ましたが、DoCoMoがiPhoneの販売権を獲得できなかった時点で、信頼感は大きく揺らいでしまいました。

さらに、料金です。僕の場合、悲しいことに通話や携帯メールをほとんど使うことがありません……料金の多くが、ネット接続に対するパケット代という訳です。iModeを使ってネットで買い物やオークションをしたり、アプリケーションのダウンロードなどが主ですが、当然パケ・ホーダイという接続フリーのサービスを使うことになります。そういった諸々のサービスをトータルした月額と、SoftBankでiPhoneにした場合の月額を比べてみたのです。そうすると、SoftBankの方が安い!(僕の場合は、ですよ)

パケットを中心に使ってきた僕としては、家で使う分が無線LANに置き換わる事で、SoftBankの「パケット定額フル」(DoCoMoのパケ・ホーダイ ダブルと同じ)を最低料金に抑えることができます。これだけでも、かなりのコストダウンになるはずです。

という訳で、ついに番号ポータビリティでSoftBankに鞍替え+iPhone購入という決心に至ったのです。

iPhoneの機能に関しては、色々書籍や記事で書かれていますので、今回は僕の経験としての、契約時の諸事情や、その後の使用感などを中心に書きたいと思います。


●これほど違う解約と契約の場面

まず、なんといってもキャリア替えですから、一からの契約になります。さらに番号ポータビリティを利用するので、まずはDoCoMoショップで「番号ポータビリティの予約券」をもらって、その場で今までの携帯を解約する必要があります。

DoCoMoショップでは「この度、解約された訳をお聞かせ願えますでしょうか?」という質問が当然来るものと思っていました。しかし、ポーカーフェイスの店員が、淡々と事務処理をするばかり……そして20分ほどで終了……。

「以上で解約手続き完了ですが、何かご質問は?」
「いえ……」

まあ、ニコニコしながら、解約希望者に対応するのも不自然ではありますが、今までの十数年が、わずか20分で終了とは、寂しい限りです。たぶん、むやみに引き留めたり、解約理由を聞かない、という業界の決まりがあるのでしょう。残念なのはそれだけではなく、解約違約金として、約10,000円を取られてしまったという事です。これは、2年継続使用の契約をしていたにもかかわらず、1年ちょっとで解約ですから、しかたないですね。

さらに、ですが……DoCoMoポイントが4,000円ほど貯まっていたのを忘れていました。これも消滅です。何か商品に替えておけば良かった……ちなみに、今はポイント移行サービスを行う企業が色々あるようで、マイレージをDoCoMoポイントに移行したりできるようですが、DoCoMoポイントを他のサービスへ移行する事はできないようです。

ともあれ、無事予約券をもらいましたので、いよいよSoftBankショップでiPhone購入です。DoCoMoショップとは打って変わって、こちらでは、にこやかな女性店員が応対してくれます。解約と契約……これほどまでに違うものなのか……?

契約にあたり、僕も料金体系などネットで色々調べていましたが、複雑でよくわかりません。最もわかりづらかったのが、携帯本体の値段設定です。例えば、iPhone3G/16Gタイプの場合、現金価格=80,640円です。しかし、実質負担金=34,560円となっています。本体価格は80,640円、でも負担金34,560円? 意味がわかりません。

その辺をショップの店員から説明を受けて、初めてどういう事なのかわかりました。どうやら、SoftBankの携帯はiPhoneに限らず、ほとんどの機種が、本体価格を24回(12回でもOK)払いの分割にする事になっているようなのです。その代わり、本体の定価を大幅に安くする……という訳です(新スーパーボーナス割引と言う)。

iPhone/16Gの場合、月々の支払いに、本体の分割分が1,440円上乗せされます。24回払いとはいえ、実質年率は0%となっていますので、利息は発生しないようです。

それにしてもうまいこと考えましたね。本体を現金価格で買うと、べらぼうに高いのですが、24回払いにするとすっごく安くなる……しかも、携帯を買うときには一切お金はかかりません。0円で携帯の持ち帰りができるのです。ただ、24回払いです……2年間はキャリア変更はおろか、機種変更もできません。これは、DoCoMoの2年契約と結果的に同じですね。

では、万が一途中で解約しなければならなくなった場合(DoCoMoでの違約金に当たる)いくら支払わなければならないかですが、これは買った機種の「現金価格」を残りの支払い月数で割った金額になります。

例えば、iPhone3G/16Gを1年で解約した場合、残りの月数は12ヶ月ですから、解約時支払金は、本体現金価格の半分の金額である40,320円という事になります。支払わなければならない解約金には、新スーパーボーナス割引が適用されない点に注意が必要です(なんか落とし穴っぽいですね)。

これが2万円の機種であれば、一年後の残りの金額は1万円ですから、それほどビックリするほどではありませんが、80,000円の機種ともなれば、解約金は目玉が飛び出るほどの金額になります。つまり、高価な機種ほど、途中解約、機種変更ができないようになっているんです。

「2年の間に新しいiPhoneが発売されても、買い換えができないんですね」って訪ねると、店員は言いました。
「この手の機種はそうそう新しい物はでないでしょうから、大丈夫ではないですか?」
本当か!? 作っているのはAppleだぞ!

まあ、確かにiPhoneはハードのアップグレードより、ソフトのアップグレードで進化するタイプであるようです。事実、何度かのファームウェアのアップグレードで、その度にそれなりの進化をしています。ただ、アプリケーションの進化と共に、ソフトのデータ量も大きくなって行くはずです。

そのため、先を見越して、8GBのタイプではなく、16BGのタイプにしたのです。それでも、手持ちのiTunes音楽をすべて入れようとしたら、容量オーバーでした。写真に関しては、iPhoneへコピーする際に、再圧縮されるようなので、1000枚入れてもたいした容量にはなりませんでしたが、動画や音楽はかさばります。今後どんどんメモリを圧迫していく事でしょう。

●夢に描いてきた情報端末の一つの結果

そもそも僕がiPhoneにしようと思った大きな要因は、携帯を情報端末として使いたかったからです。先にも書きましたが、僕は携帯でほとんど通話をしません。パソコンのメールがあるので、わざわざ携帯メールを使うこともありません。ですので、今までもDoCoMoのFOMAを情報端末として使ってきました(FOMAにしたとき、テレビ電話というイメージがありましたが、これこそ一度も使うことがありませんでした)。

スケジュールはYahoo!カレンダーで管理し、仕事のメールはAsahi-netのiMode転送を利用して、FOMAで確認してきました。iModeを利用し、銀行振り込みをしたり、ネットオークションを利用したり……しかし、それらはあくまで携帯電話の追加オプションでしかありませんでした。

しかし、iPhoneは電話というオプションの付いたPDAなのです(iPhoneを見た人は「これは携帯じゃないよ」と言いますが……)。

思い起こせば、電子情報端末に触れて約20年……計算機にアドレス機能の付いたカード型電卓から始まり、カシオのDKシリーズ電子手帳を2種、シャープのモノクロザウルス、ソニーのモノクロCLIE、カラーCLIEとPDAを買い換えて来ました。どれも、最終的にはネット環境へどうやって繋ぐか、パソコンとのシンクロはどうするかが課題となりました。

そんな中、ソニーのPEG-UX50(無線LAN対応)の機種が出た頃から、携帯電話の機能も大幅にアップし、PDAを使う必要がなくなってしまったのです。パソコンで管理しているスケジュールとアドレス、メールを携帯で共有でき、高解像度の写真とそこそこの動画が撮れ、音楽も携帯できる……さらにひまつぶしの携帯ゲームでMMORPGまでできるようになってしまったのでは、PDAの存在意義もなくなります。

しかし、それらはやはり、あくまで携帯の追加オプション……フルブラウザ対応携帯が出てきたとは言え、ネット環境をそのまま持ち歩くには無理があります。パソコンとのリンクも一手間二手間必要ですし、音楽もいつまで経ってもiTunes対応携帯は出ず、携帯で音楽を持ち歩くには、変換しなければならなかったり、限られたサービスに加入する必要があるなど、めんどくさい事も色々です。結果、携帯とは別にiPodを使うことになります。

そんな情報端末としての力不足を解消してくれたのが、iPhoneだったのです。パソコンの中の必要な情報をすべて持ち歩け、写真や動画までも自動でシンクロさせ、iPodを内蔵し、多くのWEB環境をパケットなしで利用でき(無線LAN)、綺麗な画面でゲームができ、そして最後に、電話もできる……。

さらに、携帯や今までのPDAでは出来ないようなこと……例えばネットに作品集サイトを作り、クライアントなどの目の前で作品の数々を見せるなんて事も、iPhoneだからこそできます。それを数年前にCLIEで試した事がありますが、ネットとの接続も非常に遅いので、サイトを見せるのは難しい、という事で画像としてPDAに作品を取り込んでみたところ、あっという間にメモリはいっぱい……なんて事もありました(ネットと接続するのに、カード型PHSの契約が必要でした)。

まさに、僕が夢に描いてきた情報端末の、一つの結果がここにあります。
iPhoneの使い方は、アイデア次第で色々広がりそうですね。

それにしても、最近のDoCoMoとSoftBankの自社携帯って……iPhoneのマネですか? タッチパネルに、フィンガーアクション、フルブラウザ……TVCMを見た時、iPhoneかと思いました。iPhoneがSoftBankから発売された時、DoCoMoの社長がインタビューで言っていました……「何でこれがうちの機種でできなかったのか……悔しい」と。その悔しさの結果が、今の「iPhoneもどき」の機種とは、節操がなさ過ぎませんか?

●今後に期待すること

もちろん、iPhone3Gも100点満点ではありません。多くの方がコメントされているように、以下のような不満が未だに未解決です。

1)テキストのコピペができない。
メールやURLのアドレスをコピーペーストして使ったり、サイトにある単語をコピーして検索に使ったり、IDやパスワードを貼り付けたりができません。技術的な問題ではなく、Appleが意図的にできなくしているという噂があります。

2)iPhoneのSafariがFLASHに対応していない。
最近はFLASHオンリーのサイトも増えました。なのに、未だにFLASH未対応の意味がわかりません。これも噂ですが、Adobeがすぐにでも開発できる、と発表したところ、Appleから「待った」がかかったそうで……。

3)動画撮影に対応していない。
これも写真が撮れるのだから、技術的なハードルは低いと思いますが、何故か動画撮影アプリが出てきません。実は、これについては、非公式のアプリでいくつか対応しているものがあるようです。しかし、それを使うためには、ファームウエアを書き換えるソフトをまず入れる必要があるようで、当然、その後はAppleのサポートは受けられなくなります。アンダーグラウンドな方法なので、導入には踏み切れません。

4)手持ちのムービーは一度変換しなければ、iPhoneに入れられない。
ネットではおなじみの、mov、mpeg、wmvなどのムービーフォーマットはそのままでは、iPhoneへ移せません。iTunesを使ってiPhone用に変換する必要があります。このワンクッションはやっかいですね。

5)おさいふ携帯に対応していない。
これは、ハード的な要素が大きいので、今の機種での対応は難しいでしょう。しかし、先日、ネットショップで「iPhoneをおさいふ携帯に!」という宣伝を見つけました。まさか! と思い、詳細を見てみると、何のことはない……iPhoneのジャケットにICチップ対応のクレジットカードを入れるポケットが付いているだけでした。「なんじゃそりゃ!」って、モニタに向かってつっこみを入れてしまいました(^^;)。

6)ワンセグに対応していない。
ハード的には難しいのですが、SoftBankから外付けのチューナーが発売されます。

(1)(2)(3)に関しては、すぐにでも出来そうな感じがしますが、大人の事情でしょうか……。ソフト的な問題ですので、是非早急に対応してほしいものです。
※絵文字に関しては、結構すぐに対応しましたね。まあ、僕には関係のない機能ですが……

【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエイター
< http://www.atsushi-m.com/
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