KNNエンパワーメントコラム 家電量販店で学べる"デジタル"の恩恵
── 神田敏晶 ──

投稿:  著者:


KNN神田です。

2008年7月22日、2008年上期、コンビニエンスストアの全国売上高が、百貨店を上回った発表があった。
< http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200807230034a.nwc
>
コンビニ売り上げ3兆6559億円に対し、百貨店は3兆6171億円。ちなみにスーパー業界は14兆224億円だが下降気味。
< http://www.j-cast.com/2007/01/23005057.html
>
流通の流れが、百貨店→スーパー→コンビニと進化してきているが、成熟期を通りこしてきている。

ここにきて、家電量販店の動きから目がはなせなくなってきた。なぜならば、百貨店規模の物品扱いで、スーパー価格で、コンビニエンス以上のサービスがあるからだ。ヤマダ電機の連結売上げだけで、コンビニ業界の半分(48.3%)を占めるから驚きだ。


1位=ヤマダ電機 資本金 705億95百万円/連結売上高 1兆7,678億18百万円
2位=エディオン 資本金 101億7,463万円/連結売上高8,512億円
3位=ヨドバシカメラ 資本金 8800万円/売上高 6,462億円
4位=コジマ 資本金 189億1,664万円/連結売上高 5,002億50百万円
5位=ビックカメラ 資本金 125億4,827万円/連結売上高 5,422億94百万円
家電量販店、トップ4の売上高合算で3兆7354億円と、コンビニ業界全体を追い抜くまでに成長している。

HITACHI Wooo 50V型 地上・BS・110度CSデジタルハイビジョンプラズマテレビ P50-H01藤沢のビックカメラのアウトレットストアでは、すでに50インチのプラズマテレビ(日立P50-H01)が20万を切る価格で売られ、1%のポイント還元である。さらに光ファイバープロバイダーを乗り換えると、3万円値引きされ、ポイントをSUICAカードにすると、ポイントにさらにポイントがつき続ける。ビールや米は、スーパーよりも安く、さらにそれにもポイント還元があり、配達料も無料であった。重たい思いをして、スーパーやディスカウントストアに通う必要がなくなった。

白物家電は、いままで10年以上は使われ、つぶれるまで使用されてきた。しかし、このところ、白物家電ですら、買い替えのサイクルが早まってきてるような気がする。

冷蔵庫なんて、どうでもいいと思っていたが、最近は食品を温める装置がついたり、食品を空気で乾燥させない機能などがある。同じ食品が美味しくなる価格は10年前の半額で、省電力、省スペース。これは、早く買い替えたほうが人生がトクしそうだ。

洗濯機も、斜めドラム式となり、節水性、静寂性に優れ、取り出し方がとても楽になった。水なしで空気で洗えるものまで登場していた。あとは、もう、衣類をたたんで、タンスにしまうところまでの完全自動を待つばかりである。

掃除機もダイソンに代表されるサイクロン式で吸埃力がおとろえない物が登場してきて、重宝している。お掃除ロボットがホントの意味で、実用的になるのもあと数年先のことだろう。そうやって考えてみると、何か毎年、白物家電を買い替えているような気になってきた。

そして、最も激しい買い替えサイクルがAV家電とパソコン環境だ。倉庫にあった、大蛇と化していた10年前のSCSIケーブルにターミネーター類、3.5インチMOドライブ、大容量(笑)40MBハードディスクドライブ、Macintoshポータブル、Phoneネット、電話ケーブル、Dsubモニタ切り替え器。コンポジットビデオ編集器、H-8デッキ、SDビデオ機器……。もう、考えるとおぞましくなるので、忘れることにするが、AV機器はほとんど3年後に使い物にならなくなり始め、5年経過するともう完全にアウトである。しかも、捨てるにも費用がかかる時代だ。

「デジタル」の恩恵は、「陳腐化のスピード化」にも拍車をかけ、PCなどは2年前のものは、もう遅くてとても使えないという状況になり始めている。基本OSをどこかの会社が重くしているから、としかボクには思えない。

幸いにMacBookProに継承される銀色ノートブックは、いつの頃のMacかを悟られないようにメジャーモデルチェンジをしていない。しかし、かつてのボンダイブルーのiMacやMac Cube、そして、大福鏡持ち台付きのiMacも見かけることがなくなった。

つい先日、ドトールコーヒーで、なんとサンバーストの虎目模様のiMacらしきものを見て、思わず話しかけたら、オレンジ色のクラムシェルiMacが変色しただけだといわれた。まるで、ギブソンレスポールのサンバーストの虎目のような、琥珀があらわれていてびっくり。これからは、デザインにも経年変化を楽しめる素材があってもよいかと思ってしまった。デザインチェンジをしないことは、製品の寿命を長引かせる効果があるようだ。

最も買い替えが予測されるのが、薄型テレビかもしれない。数年前に1インチ2万円の頃に買った人は、来週のオリンピックを、アナログで、ハイビジョンで見ていることだろう。

最近の人は、1インチあたり1万円以下、しかも地デジでフルハイビジョン。さらに倍速液晶。HDMIも3〜4つ搭載。地デジDVDハードディスクレコーダー×2PS3に、PCと接続できるデバイスも序々に増えてきます。同じ買い変えるなら46インチ以上でないと、変わった感じがしない。42まではどれもテレビだけど、46を超えると急に画面が等身大に変化し、リアリティーが増すので、同じ買うなら46以上をおすすめしたい。

その薄型テレビも価格戦争で、すでに1インチあたり3,000円クラスが当たり前になり始めた。もう、いろいろ悩んで待つよりも、最も安いのを買って、2〜3年で乗り換えていくのが一番、精神的には健全なのかもしれない。「デジタル」の恩恵は、ここでは、「デフレ」という形で現れていた。

●iPhone、EeePC901、D4

7月11日、iPhoneの話題にわいたが、ようやくここも落ち着きをみせはじめたようだ。

ビックカメラの藤沢店では、大量にiPhoneが入荷したそうで、さっそく知人に連絡をして何台かをゲット! iPhone初心者の行動は2週間前の自分と一緒で、設定では無口で真剣になる。設定に戸惑っているからだ。iPhoneの設定ビデオなどがあるべきだろう…。

Apple iPhone3G ビデオガイド



Apple MobileMe


これでは、設定というよりも、単なるコマーシャル(笑)。

ボクは、ようやくiPhoneの操作に慣れてきたが、時々、フリーズするのが頭にくる。「電話がフリーズしてどうなる!!」と思いながら、いつもかからないテクニカルサポートに電話をする日々。すでに次世代の4Gが待ち遠しいほど。20年前に、ワープロからパソコンに移行してきた時のことを思い出す。「プリントできないパソコンのワープロなんて!」と怒っていたことを思い出した。

7月11日にiPhoneと一緒の日にお誕生日を迎えたのが、EeePC901とウィルコムのD4。同じ日に、誕生日というのが不幸のはじまりだ…。D4は発表が早かっただけに、発売の延期が命取りに…。iPhoneの後では、D4のスタイリングは、巨大で、ちょっともう野暮ったく見えてしまう。悔やまれるのはあと1か月早く発売していたら、購入していたのに…。

そして、間もなく2台目のEeePC901が手元にくるが、この台湾のASUS社のEeePCシリーズは、ノートPCの価格のデフレを実現した。ただ、日本でのリリースがiPhoneとかぶってしまって、こちらもちっとも話題にならず。

たとえ数百台でも、iPhoneよりも、すこしだけ先に出荷すべきだった。すると、メディアも比較する対象としたことだろう。しかし、このマシンは十分ノートPCとして使える。今まで20万円も払っていたことがバカらしくなった。イーモバイルで買うと15,000円でおつりが来てしまう。

iPhoneの進化をあと2年待つよりも、むしろ、低価格低電力CPU Atomを搭載し、重くないXPの組み合わせのモバイルの進化のほうが実現が早いかもしれない。Microsoftも早めにVistaの失敗を認め、XPの新たなサービスパックで基本OS市場の体制を整備するべきだ。

アップルは、iPodTouchの新型を来春に発表し、それを翌年、iPhoneに採用というサイクルがいいだろう。すると、デバイスメーカーも、周辺機器も安定した市場を作られ、クラウド型のサービスもさらに浸透していく。

HD-DVDとBlu-Rayの教訓から、規格争いは市場形成を遅らせるだけで、すべてがネットワーク上のクラウドで利用できるというサービスで勝負するフェイズに移りかわっていくことを理解した上で、ハードウェアも設計されなければならない。その上で、いろんなビジネスモデルを構築する時期にいたっている。アップルも、実は、そのテストドライブ中であることにかわりはない。

一番大事なのは、家電量販店でそれを欲する人が、いつもいるかどうかが一番の課題である。いくら良い製品でも、それを伝える人が理解していないと、物は売れない。

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by G-Tools , 2008/07/31