KNNエンパワーメントコラム 北京五輪に見られる新たなワンセグユーザー像/神田敏晶

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KNN神田です。

Klabが2008年8月29日に、"ケータイコイン"ユーザーに五輪開催時のケータイ利用動向調査を発表している。
< http://www.klab.org/press/2008/080829.html >

時差の少ない北京オリンピックは、ワンセグでどれだけ視聴されたのだろうか?

・ワンセグユーザーでの視聴は、なんと19%にすぎない。
・ワンセグを持っていても、ワンセグでは見なかったとする人が圧倒的に多く40%も。
・ワンセグを持っていないので視聴できなかったが 40%
・ワンセグ対応に機種変更して観た1%

というデータだ。なによりも、ワンセグでは観ない人が、40%もいることに、サイマル放送の意味のなさをとても感じた。

ライブ視聴の最強のコンテンツともいえるスポーツ、しかもオリンピックである。しかも無料放送であるにも視聴されていないという事実だ。



画面の小ささや、スコアの見にくさから、結果はニュースサイトへのアクセスが高いというが、画面サイズはしかたがないにしても、本当はサイズというよりも、視聴する環境の問題ではないだろうか? スコアに関しては、ワンセグのデータ放送のコンテンツがプアであるということを物語っている。だからニュースサイトへ移動されてしまうのだ。

ワンセグデータ放送のコンテンツがプアな理由は簡単だ。テレビ局が片手間にやっているからである。番組宣伝、通販サイトへの誘因、シンプルな結果配信のみ。以上!

テレビ局が本気でワンセグに力を入れるならば、データ放送へニュースサイト並みの文字情報を提供しなければならなかった。少なくとも、自宅のハードディスクレコーダーへ番組を録画させ、自宅に戻って感動のシーンを大画面で大音量で楽しみたいというデマンドを反映させるところまで必要だろう。

もっと、考えれば、この調査でもあらわれているように、SNSや掲示板への書き込みやブログへの書き込みしやすいように、embedデータなどの吐き出しまで考えてもよいだろう。

サイマル放送の枠が変わったとしても、ワンセグユーザーの利用環境も変化している。ワンセグでオリンピックを視聴するのに、家の中、リビングなどで利用する人たちだ。

10代 27%
20代 24%
30代 22%
40代 18%
50以上 16%

もいる。

お風呂での利用も20代では2%、30代では3%もいる。これはこのスキマ時間の利用シーンをもっと考えるべきだろう。入浴時間消費型コンテンツも考えるべきだろう。いままでにそんな市場があるとは考えられなかったが、防水ワンセグケータイの登場により、市場が作られている。

これらはつまり、テレビを観ながら、裏番組をワンセグで観たり、お風呂に入るスキマの時間で観戦するなどと、「ダブルスクリーン視聴」もしくは「オルタナティブ視聴」のニーズがあることを物語っている。

自分の部屋でのワンセグ利用は、
10代 16%
20代 16%
30代 7%
40代 7%
50以上 16%
というのもおもしろいデータだ。

この家の中(リビング)と自分の部屋、お風呂の合計シェアを合算してみると

10代 45%
20代 40%
30代 31%
40代 26%
50以上 32%

となる。外出先でのワンセグ視聴が

10代 47%
20代 46%
30代 52%
40代 61%
50以上 54%

なので、10代(2%差)に関しては、ワンセグ視聴は、家でも外でも同様のニーズが考えられる。20代(6%差)もワンセグは外出先のほうが多いが、インドア利用も十分に意識しなければならない。30代(21%差)、40代(35%差)は外の利用が圧倒的であるが、50代以上となると(22%差)となり、インドア利用が再び増えている傾向がある。

これからの少子高齢化社会を考えると、ワンセグをインドアで利用するシーンをもっと検討し、テレビを補助するツール、デバイスとしての利用が考えられるだろう。

もしかすると、裏番組専用ワンセグテレビ、他のプログラムを薄型ディスプレイに移している時の、生放送を視聴するワンセグ機器のようなニーズまでも考えられないだろうか?

SNSや掲示板に視聴しながら、書き込みができる機能や、テレビ番組表や、知人の観ている番組などを共有できるといった、新たなテレビの発見を促す仕組みが必要だろう。

《ニュースサイトからではなく「SNSや掲示板、無料のニュースサイトから情報を得た」と答えた人の中では、10代・20代では「モバゲータウン」「mixi」などSNSが圧倒的な利用率を誇り、またauの「EZフラッシュニュース」が13〜18%、docomoの「iチャネル」が5〜11%を占めていることから、普段の携帯電話を利用する習慣や環境の延長で情報を得ていることがわかります。「モバゲータウン」との共同企画「オリンピック応援タウンby Coca-Cola」を併設している「コカ・コーラ オリンピック応援パーク」も2〜14%のアクセスを集めました。

30代から50代にかけては4キャリアの公式メニューにおいてサービスを提供している無料ニュースサイト「NewsCafe」や「Sports@nifty」などのニュース専門サイトが好んで閲覧されているようです。また、50歳以上は利用するサイトの嗜好が細分化する傾向も見られました》

とあるように、テレビ番組をそのままコミュニティにするようなサービス化も考えられるだろう。

ワンセグケータイは、外出先で視聴するデバイスというよりも、リビングや自分の部屋、そしてお風呂などでの、インドアでの利用を考えて、広告モデルもあわせて、再度ビジネスモデルを検討するべき時期に来ているようである。

かつて、生視聴に必須なコンテンツは、「ニュース」であり「スポーツ」と断言してきていたが、オリンピックでさえワンセグユーザーの40%が利用しなかった事実を大きくテレビ業界は認識すべきだろう。

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