買物王子のモノ語り[3]欲しいモノを手に入れるために必要なのは、減らし続ける努力。/石原 強

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モノを買うのは楽しいけれど、モノの増加に家の収納力が追いつかなくなってきます。床が散乱してくると黄色信号。かきあつめて適当に積み上げていると、ある日雪崩が発生して、もっとヒドい混沌状態に陥ったり、大事なモノが壊れたり取り返しのつかないことになります。

毎日が増え続けるモノとの格闘です。そんなことを続けていては気持ちも荒んでしまいます。家をキレイにすることと、モノを捨てるすることとほぼ同義です。新しいモノを買うためには、涙を飲んで今ある何かを捨てなければなりません。そんなわけで、うちでは衣替えの時期にあわせて春秋の年二回、大掃除をすることにしています。



世間では、年末に大掃除をしていますが、すぐにモノが増えてしまうから、年に一回では間に合いません。収納場所を確保しなければ、魅力あるものを沢山見つけても安心して買い物を楽しめなくなってしまいます。それに冬の寒い日に掃除なんて、考えただけでやる気が失せてくる。面倒な掃除だからこそ、季節がいい時期に気持ちよくやりたい。

いざやろうとしても、やっぱり嫌だなあと気持ちがぐらつきます。その心の壁を越えて成し遂げる為の秘訣は「家にお客さんを呼ぶ」ことです。先に招待する人の日程を決めてしまい、後戻りできなくするのです。見栄もあるから、絶対に終らせようという気になります。しかも、そのお客さんに振る舞うワインや日本酒は、ちょっと買いすぎてしまったお酒を飲んで片付けるという、大掃除の一環なのです。

やる気が出てきたら、まず手始めにいらないものを捨てます。そもそも「いらないモノ」なんてないのだけれど、背に腹に代えられません。大きな収納スペースを必要とするのは、本と洋服と相場は決まってます。うちのルールでは、お互いに決められたスペースに収まらなくなったら、購入した方が処分することになっています。雑誌は最新号を除いて有無をいわさず廃棄。マンガはシリーズが完結したら、最後に一度読み返してブックオフへ。二度は読まないと思う小説やビジネス書も同時に出します。いくらにもならないのは悲しいけれど、マメに売り買いする暇もないのでまとめて処分してしまいます。

洋服は着なくなったものから捨てます。選択基準は、前シーズンに一度も袖を通さなかったもの。その中から、自分として諦めてもいい服をピックアップします。スペースが許す範囲で生き延びた服は、もう1シーズン様子を見ることになります。迷ったら「どうしようか?」とお互いに確認することにしています。相手のものは興味がないので、冷静な判断か返ってきて捨てられます。スペースも足りないけど、どうしても残して置きたい服は、最終手段として実家に発送。それだけ処分しても、現時点で自分スペースはちょうど満杯、すぐに溢れ出すことになるでしょう。

次は、整理して詰め込みます。モノが多いので、捨てるだけでは限界があります。しかし、家具を購入して収納スペースを拡げるのは最後の手段です。ドーピングのようなもので、手をだすと今度は収納家具で家が埋まることになりかねません。これまでの収納を見直して、限られた空間にどれだけ効率的に収納できるかが腕の見せ所です。入れる順番や箱の大きさ形などを見直して、さながらパズルのように詰め込んでいきます。工夫すると思った以上に入るのですが、調子に乗ってあんまり複雑にすると、今度は取り出せなくなります。次の大掃除まで一回も動かせない「塩漬けモノ」も発生します。

詰め込んでいく上で、東急ハンズなどで売っている収納のお助けグッズも使ってみます。下駄箱が一杯になっていたので、一足分のスペースに二足入るという便利品を買ってみました。靴を横並びではなく縦に納めるので、確かに一足分のスペースで二足入ります。これはいい! と思ったけど、これは幅の話で高さが二倍は必要になるのです。結局、収納数はかわらないのに、二段になって取り出しにくくなっただけです。無駄にゴミを増やすことになってしまいました。

普段は滅多に開かないけど捨てられないのが、収集している絵本や写真集です。スペースだけでなく重量も相当なものなので、トランクルームを申し込もうかと思っています。記録のための目録を作るのが面倒で先送りしていましたが、そろそろ限界に近づいています。でも、今のところ保留します。今回は、大きなゴミ袋に五袋分のモノを処分して、なんとか家の秩序を取り戻すことができました。

大掃除はやり始めるまでは億劫だけど、やり終わると達成感もあるしスッキリして気持ちがいい。いつも狭いなあと思っていた家も、こんなに広かったんだと再認識できます。モノを一点一点確認して、どれを残してどれを捨てるかの選択をしていると、自分にとって何が大事なのか分ってきます。それは自分自身を見直すことにもなるのです。

なんてカッコつけてみても、結局は新しいモノが欲しいだけなのです。せっかく減らしたのだから増やさなければいいのに、喉元過ぎればなんとやらで、早速ネットでブックマークしていたお店をチェックしてまわります。また半年後に混沌状態になることはすっかり忘れて、購入ボタンをポチッと押してしまうのです。

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
ノーベル賞の4人受賞のニュースには正直驚いた。しかも大発見ではなく基礎研究のようなものに与えられています。学者を志す人には励みになるのではないかと思いますが、受賞者が歳をとってしまっているのは残念。
・ウェブアナ < http://www.muddler.jp/ >