買物王子の家づくり[21]まだあった入居前にやること
── 石原 強 ──

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トラブルを乗り越えながら工事が進行していきます。平行して、新居に必要なものを揃えたり、いらないものを処分します。引っ越し前の仕上げとして、床の無垢フローリングにワックスを塗る作業も待っていました。

●エアコンとテレビを買いにいく

工事に含まれないものは、別途、自分で揃えなければなりません。必要なものの代表は「エアコン」です。すべての部屋に揃えると、合計5台必要になります。このタイミングで出費が厳しい。冷房が必要な夏までは、必要最低限で我慢します。唯一、家族が集まるダイニング。ここは階段があって上下に抜けているので床暖房だけだと寒そうです。

まずはヤマダ電気で下見をします。白い箱が並んでいるだけで、どれも一緒に見えます。普段はカタログで比較して決めるのですが、今回は店員さんに相談しました。

設置する部屋を説明するために図面を見せて、広さは10畳くらいと伝えると、15畳対応の5.6kwのものを薦められました。パワーで価格が違うので、もう少し小さいのでもよいのでは? と聞くと「カタログスペックはあくまでも目安。火を使うキッチンがつながっているので、冷房が十分に効くようにするためにパワーに余裕を見たほうがいい」というアドバイス。なるほどと思います。




最近話題の「お掃除機能も欲しい」と話すと「配管は壁に穴をあけるタイプですか?」と聞かれた。天井裏に隠す「隠蔽配管」の予定と伝えると、メーカーによって設置できない場合があるとのこと。対応できるメーカーの中で薦められたのは日立のエアコンです。もうすぐ新製品が出るので、同じクラスで比較すると他社より少し安くなるらしい。

懇切丁寧に教えてくれたし、ここで決めてしまおうかと思ったけど、ここは冷静にと、名刺に見積金額を書いてもらいました。家に帰って「価格.com」で検索すると、工事費と延長保証込みでヤマダ電気の見積より安いお店を見つけて注文しました。ごめんなさいヤマダ電気さん。

リビングのテレビは、引っ越しするまで我慢していた念願の買い替えです。これまでは、一人暮らしを始めて買ったソニーのブラウン管のアナログテレビを10年以上使ってきました。地デジで見られなくなったけど、あまり家でテレビを見ないので、安価なチューナーを買って良しとしてきました。

買い替えるなら、やっぱり大画面のものが欲しい。デザインが好きなので、引き続きソニーの液晶「ブラビア」にします。ネットの口コミでは46インチが迫力あっていいと書いてあり、お店で見比べてもハイスペックなものに目がいきます。しかし、その分金額も高いので泣く泣く40インチで諦めます。

アナログチューナーしかついていないDVDレコーダーも、ブルーレイに買い替えます。テレビとレコーダー同時購入だと、ヤマダ電気でセットのボーナス10,000ポイントが付くからです。これならリサーチしたネットショップよりも安い。文句なしで即決しました。

●モノを減らす減らす

増やすモノがある分、できるだけ持って行くモノを減らしたい。そもそも劇的に収納が改善するわけではない。2人の息子のモノは日々増えています。持っていっても捨てるのなら、先に減らしてしまったほうがいい。これまでも様々なものを買い込んで溜め込んでしまうタチなんですが、ここは一念発起して捨てることを決意しました。

家を見回して見ると、スペースをとっているものの筆頭は洋服です。これを処分する。「片付けの達人」みたいな人の記事を読むと、「だいたい3年着なかったら捨てるべき」と書いてある。確かに着なくなると避けていって、タンスの肥やしになっていくことが多い。もったいないと思ってもどうせ着ないのなら邪魔なだけだ。3年でと割り切れない服もあるけれど、大きなビニール袋に放り込んだらあっという間に一杯になりました。

コートとか、ジャケットとか、あまり着込んでなくてキレイなものは、友人にメールで連絡して譲ってしまう。あとは近所のリサイクルショップに持ち込んでみた。スーツは「サイズが合う人が少ない」と言われて引き取ってくれなかったけど、コートはOKということで、少しだけお金にかわった。

それから本。これも本棚からはみ出して山のようになっています。これも減らす。シリーズで揃えているマンガもまとめてブックオフに買い取ってもらう。いらないものを処分する。持っていかれる前に一度は読み返したいので、シリーズごとに袋を分けて詰めておきます。結局、時間がなくてそのまま処分してしまいました。

iPodで聴くためにデジタル化した後、CDはすっかり使わなくなりました。本と一緒にすべて処分しました。期待はずれで、もう見ないだろうと思うDVDも含めます。保存用と思っているDVDも、そのうちVODのタイトルが充実したらいらなくなるだろう。トータルで購入額の1割にもならないけど換金できました。

そのほか、雑貨、コレクションしていたおもちゃなども処分しました。それでも収納は一杯なままで、まったく減ったように見えないのは何故だろう...、まだまだ処分を続けないとダメみたいです。

●床は自分で仕上げる

ついにこの日がきました。最後の仕上げとして、無塗装のフローリングにワックスを塗るのです。フルヤさんからお薦めされたのは、「未晒し蜜ロウワックス」です。ネットでチェックすると、原料はミツバチの巣から作る蜜蝋、荏ゴマ油のみということ。床にはいつも息子ふたりが寝転がるので、天然のものなら安心できます。
< http://www.mitsurouwax.com/cont03/
>

思ったよりも小さな缶に入っていました。自然できれいな黄色のワックスです。きつい匂いもありません。ヘラでスポンジに塗り付けて、少量を薄く伸ばすのがコツということ。最初は、三階の子供部屋からスタート。ワックスが乾くまで一日程度かかります。その間、部屋には入れないので、部屋の奥から出口に向かって塗り進めます。

少しずつ塗って、布で拭くのを繰り返します。フルヤさんの見よう見まねで作業を進めます。半分ずつ塗り進めましたが、僕の塗ったところの方がムラになっているように見えて残念。それでも作業を続けていくと、徐々にコツがつかめてきました。

スポンジにはパンにバターを塗るように薄くまんべんなく広げて、上から塗るというより木目に沿って擦り込んでいくようにすると具合が良いようです。塗った後は、木目がはっきり現れてきます。無塗装の白い色もきれいだったけど、木の質感は塗った後のほうがいい。

フルヤさんには「慣れないと大変だし、楽しんでやってください。疲れたら終わりにしていいです、残りはやっておきますよ」と声をかけられました。四つん這いで作業を続けるのはキツイ。でも、自分の家なのだからできるだけ自分の手でやっておきたい。

三階の二部屋が終わったので、二階に移ります。フルヤさんには階段をお任せして、リビングを塗って行きます。途中、休みをとりながら小一時くらいでリビングが終わりました。ちょっと上手くなった気がします。

リビングを半分まで塗り終えたところ
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三階に比べると塗りムラが少ない。その勢いで一階の寝室に進みます。最後はキッチン、ダイニング、最後に玄関と進んで、すべての床をなんとか塗り終えました。ちょっとした達成感と、ここが「自分の家になる」という実感が湧きました。

翌日起きると身体が痛い。ワックス塗りを頑張りすぎたせいなのか、肩とか腕とか普段使わない筋肉を使ったみたいです。四つん這いで作業を続けたので膝も痛い。一回塗りで仕上がるワックスで良かった、正直これを二度やるのはキツイです。入居後の家の手入れは、床に限らず「手間がかかりそうだなあ」とちょっと不安になったのも確かです。

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前にも増して他の家にも興味を持つようになりました。漫画家山下和美さんの「数寄です!」は、東京に自宅の数寄屋を建てるという話です。建てる動機はまったく違うけど、土地探しで迷ったり、家づくりを建築家と議論するところは似ているところもあって面白い。大工さんに差し入れするタイミング、なんて同じように悩んだなと思います。建てるための金策で悩むところもリアルです。どの家にも、それぞれオリジナルのエピソードがあるんですね。