伊豆高原へいらっしゃい[29]年に一度は人間ドックを受けましょう/松林あつし

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40も半ばを過ぎると、色々体に不調が出てきます。以前に書きました腰痛はもとより、胃腸の不調、原因不明の微熱や、ついに来たかという老眼などなど。そんな訳で、数年前から毎年一度は人間ドックを受けることにしています。

サラリーマン時代は、毎年一度の定期検診と、40過ぎからは人間ドックを会社持ちで受けることができました(僕が退職したのは30代前半でしたので、会社の人間ドックは経験がありません)。また、退職後も埼玉に住んでいた頃は、ドックを行っている病院も近くに多数あり、好きな病院で受けることができました。

しかし、ここ伊豆高原では……まず、総合病院が少ないので、人間ドックをやってもらえる病院も限られてしまうのです。まあ、これはある程度覚悟はしていましたが、病院の選択肢が少ないのは、地域に住む上での不安要素でもあります。



実は、僕の家から徒歩5分ほどのところに「総合クリニック」はあるのです。しかもCTスキャンを備えて、人間ドックを行っています。そこで今まで2回ほど受けましたが、今回は他の大きな病院も見ておいた方が良いかなと思い、総合病院で受けることにしたのです。

まずは、ネットで総合病院を探します。そうすると、伊豆半島にある総合病院は6つほどしかないことがわかりました。ネットで調べただけなので、他にあるかもしれませんが、主な病院は以下の通りです。

伊東市民病院(伊東)伊豆東部総合病院(稲取)伊豆赤十字病院(修善寺)順天堂大学病院(伊豆長岡)西伊豆病院(西伊豆)太田総合病院(熱海)この中でも、人間ドックと銘打ってやっている所は、伊豆赤十字病院、順天堂大学病院、太田総合病院だけでした(健康診断+オプションという形で行っている所はありますが)。この3病院で一番近いのは……伊豆赤十字病院です。

と言うわけで、早速申し込んでみましたが、基本項目だけで36,000円。それに各種癌検診や、CTスキャンを付けると倍ぐらいの金額になりそうです。基本項目だけである程度のことはわかるとは思いますが、スモーカーとしては肺のCTは受けたいところ……結局12,000円で肺CTをオプションとして付けました。

心配なら、タバコなんて止めろ、という声はもっともです。しかし、タバコ、禁煙に関して書けばそれだけで、新たなテーマになってしまいそいうなので、ここでは掘り下げません(今まで禁煙記録は最高3ヶ月です……人によるとは思いますが、何年禁煙しても吸いたい願望は一生涯続くそうです……タバコに手を染めてしまった罰ですかね)。まあ、僕は酒を一滴も飲まないので、せめてもの嗜みとして、細々楽しんでます。

それと、胃腸です。どうも逆流性食道炎の気があるので、胃の検査もしたいところ…… しかし!! 胃カメラだけは勘弁してほしい! 以前、埼玉の病院で胃カメラを飲んだことがあります。ですが、全く飲み込めず……結局失敗に終わったのがトラウマになっているのかも知れません。ただ、あんな苦しさをまた味合うぐらいなら「このお腹を切り開いてくれ!」って思うのです。ほんと、意識のある状態では、二度と飲みません(実は二度ほど成功したことがあります。その時は完全麻酔でやってもらいましたが、それをしてくれる病院は少ないのです)。

そんな、胃カメラに対して、異常なほどの恐怖感を持つ身としては、これをオプションとして付けるわけにはいかず、結局通常のX線造影(俗に言うバリウム検査)で済ませました。

検査自体は今まで何度も受けてきた、覚えのあるものばかりでしたが、今や患者は病院にとって「お客」なんだな、と感じさせる部分も多々あります。通常の保険診療とは違い、特に人間ドックにはなんだか商売の臭いがします。

まず、責任者が挨拶に来ます。「本日は当院でドックをお受けいただき、ありがとうございます。他の病院より踏み込んで検査しますので、ご安心ください」って感じです。

さらに、近所の日本料理屋で昼食のミニコースが付きます。しかし、どんなにおいしい食事を出されても、バリウムを飲んだ後じゃ、食べられないって! 午後の診療は先生からの報告だけ、ということを考えると、この食事分安くしてくれた方がありがたいですよね。

ともあれ、無事一通りの検査を終わり、結果を聞きましたが、「あらゆる面で、異常なし……」ううむ、随所に現れる体調不良や不具合は気のせいとでも言うのでしょうか?

毎回そうです。自覚症状があるにもかかわらず、検査結果は異常なし。これはある意味ほっとすることでもありますが、自覚症状があるのに、何も発見できないのと、自覚症状がないのに、病変が見つかる……どちらが本人にとってよいことなのでしょう。

病院や医師の経験によっても違うのかもしれませんが、今回見過ごされた病変を来年発見、なんてこともあるかもしれません。人間ドックには全幅の信頼を置きたいところですが、どうも一抹の不安は残ります。そうなると、数打ちゃ当たる、ではありませんが、検査回数を増やすことになるのでしょうか。

しかし、何万もの費用がかかる検査を、年に何度も受けられません。かといって、市(どことは言いませんが)が補助を出して行う定例の健康診断ほど、信頼できないものもありません。え? こんな所で、こんな機材でやるの? ここ本当に病院? って所もありました。いくら安いからと言って、市が委託している病院は本当に信頼できるのか、と思うこともあります。

もちろん、高額な医療機関がすべて良いとも言い切れず……結局は我々も(完全に信頼している訳ではないが)判断のしようがないので、去年受けた所で済ますか……ということになるのかも知れません。

(病変はありませんでしたが、恥ずかしくも、バリウム検査で寝返りを打った際に、肋骨にヒビが入ってしまいました。検査で怪我をしたのでは、本末転倒ですが、レントゲン技師に過失はなく、あまりにも滑稽だったので、そのままにしてしまいました。ヒビが入っているのがわかったのは、他の病院でレントゲンを受けた時です)

それにしても、市が介在しない民間の人間ドックも、もっと安くならないものでしょうか? 去年、麻生総理が「自己管理出来ていない高齢者のために、何故予算を使わなければならないのか?」という意味合いの発言をしましたね。それならば、もっと予防医療に力を注ぐべきではないでしょうか? 健康診断に医療保険が適用されないというのは、予防医療の精神に反すると思うのですが……。

それでも、アメリカの医療制度よりはマシ、と言う声もあったりなかったり……日本とは比べものにならないほど、保健医療を受けられない人が、膨大な数に上るそうです。民間の保険に入ったとしても、保険会社は、患者の針の穴ほどの小さなマイナス要因を逆手にとって、いかにして保険金を支払わないかに神経を注ぐありさまとか……不払い案件が多い営業マンほど、出世するそうです。

逆にイギリスを始め、ヨーロッパには完全無料で医療を受けられる国も沢山あります。そういった国を指して、アメリカでは「共産的」と避難する風潮まであったりで……(かなり偏見も入っているかも知れませんが、詳しくはマイケル・ムーア監督の「シッコ」をご覧ください)。

そういった国際状況を見ると、日本の医療はやはり日本的なのかな……と、納得する部分もあるのです。何せ、何でも中間を取りたがるのが日本人の気質ですから……。

【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエイター
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pine1289@art.email.ne.jp