KNNエンパワーメントコラム New York Timesの "times people" で知る "ソーシャル・ニュース"/神田敏晶

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,400文字)


KNN神田です。

< http://nytimes.com/ >
は、ウェブの進化とともに、常に進化しているサイトだと思う。

nytimes.comは、いち早く有償化に挑み、いち早く一般記事を無料で、コラムを有償化。そして、またいち早くすべてを無償化…。ニューヨークタイムズにとっては、ウェブが誕生してから、幾度もビジネスモデルの見直しを迫られ続けてきている。

創刊158年(1851年)の歴史的な重みですら、ウェブの誕生のたったの16年で天変地異級の激動に迫られている。このページのリンクを見てほしい。
timespeople
< http://timespeople.nytimes.com/view/people/54730529/activities.html >

これは、ボクが編集している、ニューヨークタイムズのサイトだ。ここでは、自分が編集長になれるマイページを作ることができる。アイコンの下の「My Activity」はボクが選んだNew York Timesの記事だ。そして、「NewsFeed」はボクが選んだ人たちが選んだNew York Timesの記事。さらに、「Following」という、ボクが選んだ人たちと、「Followers」というボクを選んだ人が可視化されている。



この関係を見て、何かに似ていると感じないだろうか? そう、mixiである。つまり、マイミクさんが選んだNew York Timesの記事だけを表示して、それを読むことができるという仕組みだ。

新聞は毎日、毎日、膨大な情報を世界の読者に伝えようとするが、もはや、ボクたちは膨大な量の情報などほしいとは思わない。パッケージの全盛時代、価格とは、ボリュームや物量の反映であった。これだけの情報がこの価格、というのが判断基準のひとつであった。

しかし、いまやノンパッケージの時代。ボリュームや物量は、もはや「邪悪」である。有料ゴミや地球環境の破壊者であり、3年前の家電ですら、定額買取の対象となってしまう。所有することは、限りなくリスクに近くなってしまったのである。

自分にフィットした情報を、自分がいちいちカスタマイズすることなく知りたいだけなのである。現在、それがソーシャル力に委ねられる傾向が顕著にあらわれてきた。それをソーシャル化されたニュースとして、「ソーシャル・ニュース」と定義してみたい。

この10年もの間、コンピュータによる、カスタマイゼーションを目指してきたウェブプログラムは、それをあきらめはじめたのかもしれない。膨大な自分の好みを、毎日プログラムに覚えさせる作業は苦しみに等しい。しかも、コンピュータがせっかく覚えたころには、移ろいやすい人間の好みがすっかり変わっていたりするからだ。

むしろ、人々の自由な行動の好みに委ねて、人々が好き勝手にリンクしあったほうが、はずれが少なくなる傾向がみえてきているのかもしれない。

そのキーとなるファンクションが「知人」であった。SNSで、知人の情報をネットで、よりリアルに知ることができるようになった。友達の大ケガした話は、地球の裏側の戦争の情報よりも、個人にとっては重要なのである。

ソーシャル力の持つ吸引力はメディアにとっても魅力的だ。マスのメディアが伝えるべきことと、個人のメディアが伝えるべきものはまったく違うからだ。そこを埋めるべき要素が必要になってきている。

一方、知人という属人的なフィルターではなく、純粋なネタであったり、コンテクストでつながる方法論が登場してきた。それが、diggであり、はてなブックマーク、Newsingである。

このTimesPeopleは、コンテクストやネタ的なつながりを、ユーザー同士で見えやすくする「フォロー&フォロワー」の関係性で強化している。「フォロー&フォロワー」の関係性は、現在、もっとも重要なSNSのファクターのひとつである。twitterもこの「フォロー&フォロワー」の関係性によって、再評価されているといえるだろう。

TimesPeopleは、ネタだけではなく、自分が気に入ってフォローしている人の、フォローしている人を見ることができるので、「自分のニュースの知人」として、登録することができる。

つまり、マイミクさんのマイミクを登録するという感覚だ。それによって、まったく他人のNew York Timesの編集ではない、別の「ニュースの知人」によって編集されたNew York Timesの紙面が再構成されている。まさに、これが、ワンソースマルチユースの新しい形だと感じた。

限られた紙面から、限りない紙面へ。誰もが見ているページが、結果としてカスタマイズされている。それによって、広告スペースをよりターゲットに合わせることができ、無限の広告スペースをつくることができる。

無限の広告スペースが生まれたことにより、50ドルからNytimes.comに広告が出せるセルフサービスまで開始されている。
< http://www.nytimes.com/marketing/selfservice/index.html >

新たなビジネスモデルへの進化が、またまた始まっているのだ。このモデルは日本の新聞でも、すぐに活かすべきかと思う。

KandaNewsNetwork,Inc.< http://www.knn.com/ >
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by G-Tools , 2009/07/06