KNNエンパワーメントコラム LiveTweetで変るセミナーの姿/神田敏晶

投稿:  著者:  読了時間:10分(本文:約4,700文字)


KNN神田です。

セミナーやカンファレンスは、現代の有意義な情報メディアのひとつであると思う。実際に自分でもしゃべらせていただいたり、主催することも多いので、セミナーの価値は十二分に把握しているつもりだ。しかし、そのセミナーも「twitter」の登場によって、大きく変化しはじめている。

一般の方が、普通にセミナーに参加申し込みをする場合、その時間帯に他の業務やアポイントメントや会食を入れることは当然ながらできない。その時点で、自分の一日の時間配分率がそのセミナーによって決定されてしまう。そして当日、その会場に定刻に到着するためには、若干の時間の余裕をもって移動しなければならない。そして時間も交通費も労力もかかる。

セミナーの価値には、当然そこで語られるべきものの「本質的な価値」もあれば、そこの「場」という空気がおりなす「心理的効果の価値」も含まれている。セミナーに参加することによって、その時間は他のことからはすべて逸脱して、そのセミナー空間に没入することができるというメリットがある。



会場の雰囲気や、大勢の人と一斉にその空気を共にしている感覚。オフィスなどとは違った緊張感もある。中には日頃の睡眠不足をセミナーで解消する人もいたりするが…。上司から呼び出されたり、電話による中断もその場には存在しない。また、会場では私語はもちろん、携帯電話の音を耳にすることもない。

その非日常的な空間で、新たな情報と対峙することによって得られるひらめきやアイデアが、ビジネスの活性源になっている場合が多いから、ビジネスタイムの有料セミナーにニーズがあるのだろう。当然、参加者は会社に戻って、そのセミナーで得たその情報を社内で共有することができる。

一方、経営者側から社員をセミナーに参加させるとなると、考え方は変わる。セミナー料金は、経費としての表層の一部である。会社は、あなたのセミナー参加の料金の3倍〜10倍は負担していると考えていい。

時間を一回3時間だとして、移動時間に前後30分かかるとすると、都合4時間はセミナーに拘束される。1日8時間労働の1/2にあたる。翌日にレポートを提出する時間を1時間と考えると、5時間分の他の業務が停止していることとなる。懇親会などで名刺交換した人にお礼メールとか出しはじめるとさらに1時間くらいかかってしまう。

つまり、一回のセミナーに出席すると、丸一日分のコストがかかっていると考えてもいい。実質月間給与の1/20(年間休日120日の場合)は、セミナーに対して、会社が負担していることになる。そう考えると、額面給与30万円の人で1万5000円+有料セミナー代金となる。額面給与50万円の人では、2万5000円+有料セミナー代金となる。そう考えると、セミナーで寝ている人は高級ホテルのスイートルームで寝ているように優雅だ。

無料のセミナーも数多く開催されているが、なぜ無料なのかを考えるとその意味はわかりやすい。広告宣伝セミナーなのである。わざわざ、1万5000円を支払って宣伝を聞きにいくという人は少ない。しかし、よくまとまった無料セミナーで情報を収集できるのは、自分で情報を集めるより、はるかに効率は高いから無料セミナーも内容次第だ。

最近、そんな各地でのセミナーをtwitterで垣間みることができるようになってきた。twitterで現場からライブレポートする人が増えてきたからだ。業界用語では、それを「Tsudaる」という。

「Tsudaる」とは…
「社会問題上重要度の高いカンファレンスにオンライン状態で出席し、現場で発表された発言の140字要約postをTwitterのTimeline上に送り続ける行為」と定義されている。
津田大介氏が語る、Twitter報道論「tsudaる技術」
< http://bit.ly/24shAk >

ご本人も「はっきり言って(Tsudaるという表現を)やめてほしい」と言っているので、twitter上では、「Tsudaる」ではなく、「LiveTweet(生つぶやき)」を省略して、「LT」と表現すべきかと勝手に提案している。また、社会問題上重要度の高いカンファレンスでなくても、セミナーの情報共有用語として、「LT」を推進できればと思う。

広告関連のカンファレンス「AdTech Tokyo」では、
< http://bit.ly/jhRVM >
フルで参加すると12万円のセミナーであるにも関わらず、#(ハッシュタグ)つきの #adtechtokyo のついたコメントが多数twitter上に登場した。

< http://search.twitter.com/ >

#adtechtokyo
で検索

現在でも、#adtechtokyoでtwitterから検索すると、LiveTweetや感想や意見、希望などいろんなtweetを発見することができる。残念だったのは、同時に#adtechでも同様のコメントがアップロードされ、事後の資料などのURLが公開されている。統一されるべきであった。ただ、英語の#adtechもすべて検索されるので、http://search.twitter.com/の検索窓のとなりにある、オプションのAdvanced Serachをクリックして、Words Written in をJapaneseに設定するなどが必要だ。

ボクは、別のセミナーに参加中であったが、この時、まるで、二つの会場で別々のセミナーを同時に聴講しているような不思議な気分になった。LiveTweetでの実況は、ウェブ上にあげられたプログラムを見ながら見ることができるので、何となく参加しているような気にはなれる。一時、eラーニングが話題になったが、それと似た感覚である。

eラーニングと違ったのは、同じセミナー会場という雰囲気が、疑似体験をさらに強固にしてくれたことだ。eラーニングの欠点は、「自宅で手軽でいつでも」が問題だと思う。自宅というリラックスした雰囲気と、いつでもできるという安心感は、決して有効な学習効果には働かない。いつでもできるはいつまでもできない、と同意義だからだ。「いまだけ、ここでだけ、」というライブの重要性がセミナー空間の価値となっているからだ。

twitterのLiveTwitterのおかげでセミナーに行く必要がなくないと考える人がいるかも知れないが、「場」という空気がおりなす「心理的効果の価値」まではtwitterでは伝えられない。文字だけの理解と空間や音声による理解も違う。著名な著者の本とまったく同じ内容のセミナーでさえも、新たな発見や、本では伝わらなかった感動があったりもするからだ。ライブで見るミュージシャンがCDと違うというのと似ているのかもしれない。むしろtwitterのLiveTweetのスレッドは、現場空間への羨望で「行けばよかった感」を醸成している。

今後は、主催者側が事前にイベントについての#(ハッシュタグ)を最初から告知しておくということも必要かもしれない。ただ、#タグは、twitter上のローカルルールのため、活用者数の多いタグに自動的に占拠されてしまうという傾向があるので、#タグを決めるには英語でも空いている#タグを選んでおく必要があるだろう。

ボクの先日の関西でのセミナーも、#tob1「twitter on business vol.1」として公開している。

< http://search.twitter.com/ >

#tob1
で検索

ここで実感したのは、しゃべっている本人でさえ気づかなかった、自分の発言がどのように伝わっているのかという再発見だ。聞いている人の関心具合も、LiveTweetによってよくわかる。

さらに、セミナー参加者同士の横のつながりや、セミナーに参加できなかった人たちとの交流なども、LiveTweetで、新たな価値が生まれていると感じた。セミナー後の質問なども、セミナーのアフターフォローとしても使えることを実感した。

セミナーという空間は、リアルタイムでクローズドという空間の価値であったが、参加者が自分のためのメモ書きをLiveTweetすることによって、非同期な時間を超えて、セミナーの空間もオープンに広がっている。

そして、何よりも、セミナーに参加していなくても、セミナーの表層を疑似体験できることが挙げられる。…かといって、セミナーの価値が下がるのではなく、反対に、価値をあげているのかもしれない。LiveTweetが多いセミナーほど、ソーシャルにフィルタリングされた情報であり、参加意欲を高めてくれるという効果さえあるように感じられる。

今後は、セミナーの「LiveTweet大歓迎!」」というスタンスのほうがよいのかもしれない。

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■セミナー twitter on business vol.2
「twitterに参入してみたけれど…Twitter戦略的活用セミナー」
日時:9月16日(水)19:00〜21:00(開場18:45)
場所:渋谷アジアビル(東京都渋谷区神南1-12-16)
< http://bit.ly/yMZJN >
参加費:5,000円(消費税込み)
申し込み:< http://bit.ly/oPC1M > の申し込みフォームまで

プログラム
19:00開演
「twitter革命─メディア化する個人、個人化するメディア」
神田敏晶(かんだとしあき)

19:15 ゲストスピーカー プレゼンテーション
「最新、海外企業twitter活用最新事例」
小林啓倫(こばやしあきひと)氏/株式会社日立コンサルティング
< http://twitter.com/akihito >
< http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/ >
< http://akihitok.typepad.jp >

19:40「企業のtwitterAPIカスタマイズとプロモーション展開」
玉田雄以(たまだゆい)氏/面白法人カヤック
< http://twitter.com/yuitamada >
< http://www.kayac.com/member/tamada >
< http://www.kayac.com/service/sp/twitter/ >

20:05「twitterにおける企業のソーシャルメディアマーケティング」
小川浩(おがわひろし)氏/株式会社モディファイ
< http://twitter.com/hiro_roadster >
< http://www.modiphi.co.jp/ >

20:30 パネルディスカッション
「日本の企業はtwitterとどう向き合うべきか?」
モデレーター:神田敏晶
KandaNewsNetwork,Inc.< http://www.knn.com/ >
〒251-0037 神奈川県藤沢市鵠沼海岸7-10-12 グランドソレーユ105
KandaNewsNetwork,Inc. 代表取締役 神田敏晶
Mobile 81-90-7889-3604 Phone81-3-5458-6226

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by G-Tools , 2009/09/07