デジタルちゃいろ[11]プレイリスト共有系ウェブサービスの回顧と今/browneyes

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●今更の「The Story of Muxtape」

いつのもようにTwitterで深夜のタイムラインを眺めていたら、懐かしくてとても大好きだった、とあるウェブサービスの話題がぽつりと流れてきました。

著作権絡みで色々とあったようで、ある日突然閉鎖となってしまいました。大体の経緯は伝え聞いていたのですが、閉鎖後暫くして創設者Justin Ouellette(ググってもフルネームの日本語表記出てこないのですが、ジャスティン・ウェレット...でいいのかな)さんの出していたThe Story of Muxtapeという結構長めの文章を日本語訳してた人がいるのですね。知らなかった。

結構長いのですが、サービス開始に至るまでの熱意も急な閉鎖への悲しみも、とても冷静に書かれてました。

□Muxtapeの物語
└< http://anond.hatelabo.jp/20080926202516 >
□The Story of Muxtape(原文)
└< http://muxtape.com/story >




●Muxtapeはかなり衝撃的だった

Muxtapeとは、平たく言うと、在りし日に誰もが作ったことのある「お気に入り曲集カセットテープ」をオンラインで実現したユーザーによるプレイリスト共有サービス。あれ、もしかしてイマドキの20代くらいの若者は既におれおれカセットテープなんか作らない世代だったりするのかしら、まぁいいや。

個人的にはMuxtape公開の前年である2007年の春くらいからTwitterとTumblrをはじめ、いわゆるWeb2.0時代のソーシャルネットワークサービス黎明期にどっぷりとハマっており、オンライン上でお互いを認識し合う人も大分増えたタイミングでこのMuxtape。

単純に音楽の共有としても十分に面白いものでしたが、何よりもUIが当時としてはとても斬新で衝撃的でした。シンプルかつ大胆、そして再生中に動的に表示される再生時間。

Twitterの知人たちも次々とMuxtapeを作成していたので、興味深い人の作ったリストを聴いてかっこいいとか、イマイチとか、この人がこんな趣味だなんて意外だわ、とか、よく知らないけどこの人のMuxtapeかっこいいからTwitterもフォローしちゃえ、とか、Muxtapeひとつじゃ足りないから別のメアドでもうひとつ作ろう、とか。確かワタシも通算3つくらいアカウント取ってましたが、とにかく楽しんでました。

そして突然の閉鎖。

確か当時、暫く個々のユーザーページは再生出来ない状態で、表示はそのまま残してくれてたと思います。丁度Muxtapeの閉鎖と前後する形で、同じくプレイリスト共有サービスの8tracks(こちらは今も生き残っている)が立ち上がったので、そのMuxtape跡地の曲リストを確認しつつ、数曲追加したものをアップしたのですが、プレイリストのタイトルも移植版という気持ちが強かったため、捻りも何もなく↓のような感じで今も残っています。

□from Muxtape browneyes' East +alpha @Sep 06 2008
└< http://bit.ly/AEUkwI >

※試しに聴いてみたら数曲再生されて止まってしまうので、当時の全曲がわかりませんね。直せそうなら直しておこう(無保証)。

●閉鎖後のMuxtapeと創設者の今


そんな訳で閉鎖後の創設者のストーリーにもあるように、Muxtapeは閉鎖というよりは、ちょっとの間を置いてインディーズバンド向けのサービスとして復活したようですが、今はどうなってるんだろう? とサイトを訪れても、トップページからはどこにも行けず。あれれ。

ググってみると下層のページを辿るコトは出来たのですが、どうやら2010年の春くらいでサービスは停止しているようでした。TwitterとTumblrのサービス用アカウントも同時期で更新が止まってます。

そもそも、この創設者であり開発者でもあるジャスティンさんは一体今何を?と、辿ってみると、ご本人のTumblr発見。こちらはつい最近の日付のリブログもあるので健在。

そして
"Hello, I live in New York and work at Tumblr."
「こんにちは、ニューヨーク在住でTumblrで働いてます」
ええっ、そうなの? いつから? 今も?

あれこれ検索してみても、2010年にNew York TimesのR&D部門に雇われたとか、Vimeoにも在籍してたとか断片的な情報は出てくるものの、ご本人、ソーシャルネットワークにはちょこちょこ出没している割に、駄々漏れなプロフィールを出してないんですよね。ずば抜けた才能の持ち主はCV要らずでも引っ張りダコ...なのかしら。さすがだわ。

□JSTN
└< http://jstn.cc/ >

......と丁度このテキストを書いている最中に、今年1月のTumblrの社内風景紹介記事を発見して眺めていたら、ジャスティンさんしっかり写ってました。今はTumblrでiPadアプリの開発してらっしゃるようですね。

□Tumblr Office Tour
└< http://www.businessinsider.com/photos-tumblr-office-nyc-2012-01?op=1 >

●当時のUI発見

引き続きジャスティンさんのTumblrをぼんやり眺めていると、控え目な上部のナビゲーションにMuxtapeのリンク文字。あれれ、とクリックしてみたら、ああこれはなんと、当時のMuxtapeのUIでは!

□Muxtape
└< http://justinouellette.com/muxtape/ >

そういえば例の閉鎖後テキスト(の邦訳)にあった「最初のバージョンは僕のtumblrに載せた一枚のガジェットだったけれど」というのが、もしかして今も残っているコレなのかしら。クリックしてみる。動く。当時のままに。ああなんだかとても嬉し懐かしい。

●現在のDJもどき系音楽共有ウェブサービス

その後も色々な形でDJもどき系音楽共有ウェブサービスは出来てますが、必要以上にソーシャルに寄り過ぎていたり、UI的に好きになれなかったりと、どうもグッと来るものは少ないですね。

Muxtapeや先に挙げた8tracksのように、ユーザーが個々に音楽のアップロードをしていくタイプは、どうしても著作権的にグレーになりがち。8tracksはその辺都度ギリギリラインを模索してるようで、お陰で以前は問題なく公開出来てたプレイリストが気がついたら非公開になってたりします(笑)。でも個人的には引き続き頑張って戴きたいサービスかな。

SoundCloudも嫌いではないけど、基本的には単純に音楽好きがプレイリストを公開する......というよりは、プロ・アマ問わずちゃんとDJな人(なんだそれw)たちがremixしたものを公開する形で定着してますよね。それはそれでアリだし聴く側として純粋に楽しんでいますが、非DJな自分が発信側になる用途ではない。

ここ数年増えてきたのは楽曲ソースをYouTubeやSoundCloudなど、外部サービスから引っ張ってリスト化するタイプ。それだってその外部サービスにアップロードされた元ソース自体が合法なアップロードとは限らないのですが、取り敢えず自サービス側でメディアの扱いに潰されるコトはない。難点はワタシのようにマイナーな音楽をまとめたい人には、ピックアップしたい元ソースが時に見つけられないこと。

そういったコバンザメ的音楽共有サービスの中で最近嫌いじゃないなー、って思えたのは、その名もEveryone's Mixtape。何の捻りもない名前からも分かるように、在りし日のMuxtapeとコンセプトも同じ。ソーシャル機能もべったりソーシャルではなく、その代わりひとつの「カセットテープ」を複数ユーザーで作成出来るっていう機能は、実際やってないけどちょっと面白い。

そうなんですよね、一口に音楽共有って言っても、なんだかんだやりたいのはやっぱり、オレオレベストテープ作成なのですよ。ワタシの場合は、なのかな、そうでもない気がする。

......とはいえ、あの頃に比べるとサービスも乱立しすぎているのか最早新鮮味がないのか、みんながこぞって使ってる様子はないので、サービス的にもり上がってるとは言えないのが寂しいところですが。

□Everyone's Mixtape (以前、試しに作ったワタシのプレイリスト)
└< http://everyonesmixtape.com/#nkWyPVDfao >

●デジタルデータになりうるメディア系の今後

音楽、小説、写真など、デジタルデータ化可能な娯楽(?)メディアのオンラインでの楽しみ方。それらは一次データの販売・提供についても足並み揃ってない状態で、二次利用がどう、なんていうフェーズじゃないのかな。

作り手、売り手、受け手それぞれの中でも考え方の違いが大きくて、色々なひっかかりが大きすぎて、なかなかみんなが手放しで純粋に楽しむに至れない感じがします。

今後もこの辺りは色々と変化していく過渡期なのは日々実感していて、ある意味混沌としていてワクワク面白い時期でもあります。超マイナー系とはいえ、自分自身や旦那も自家発電的に作り手兼売り手側になることもありますが、受け手に伝わってこそ、である限り、力のあるメジャー系の作り手や売り手の人たちにも受け手の存在は忘れて欲しくない、と切に思います。

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●今回のどこかの国の音楽

□Ofra Haza "Im Nin'Alu"
└< >

今回は、一昔前のワールドミュージックファンには有名なイスラエルの歌姫オフラ・ハザさん。この曲は80年代世界的にもヒットし、欧米でもヒップホップやロックのリミックスに結構な数使われてたりします。ワタシもこの曲からハマったクチです。その後色々聴き倒してどれもこれも大好きなのですが、やはり知らない誰かに聴かせたい一曲目はコレなのかなぁ。

最近また緊張が高まってるようですが、パレスチナとの民族紛争の耐えないイスラエルの歌い手さんな訳ですが、平和を愛し、パレスチナとの民族衝突を憂いたKiryaという曲で、ユダヤ人・アラブ人どちらにも支持されたりしていた稀有な方でもあります。あの界隈、どんどん小さな架け橋さえ崩れ行く感じがして気がかりです。

□Ofra Haza "kirya"
└< >

ネットが普及してきた2000年に、42歳の若さで亡くなってしまったコトをネットで知り、ショックを受けました。当初、ワタシは死因は知り得なかったのですが、そもそもスキャンダラスなタイプの方でもない上、イスラエル国内でも国民的歌手だったりということで、死因の公表も二転三転していたようでした。

でも、死因よりも何よりも、ただただこの方のこの声と抑揚で新しい美しい歌が聴けないというのが純粋に残念です。

【browneyes】 dc@browneyes.in
日常スナップ撮り続けてます。
アパレル屋→本屋→キャスティング屋→ウェブ屋(←いまここ)
しつつなんでも屋。
立ち寄り先一覧 < http://start.io/browneyes >
デジタルちゃいろ:今回のどこかの国の音楽プレイリストまとめ
└< http://j.mp/xA0gHF >

去年台湾に行った時にお会いした、旦那のTwitterフォロワーさんの台湾人の男の子から荷物が届いた。先日、「台湾には豚骨ラーメンがない!」「何を言う、日本には牛肉麺がない!」とおかしなない物ねだりな言い合いを繰り広げた挙句、ないものを送り合うコトになった結果です。

送るべきものの割りに送料はかかるけど、こういうのはちょっと面白い。数年前にスウェーデンの人からも、日本人の口にはかなりハードルの高いリコリス系お菓子を送って戴き、予備知識無しに口に入れてとんでもない思いをしたコトがあるので、今更お返しに何か送ってあげようと思います。何を送ったらびっくりするかなぁ...。