[3290] ネットならではの不思議な関係

投稿:  著者:  読了時間:32分(本文:約15,600文字)


《自分の口から「ノマド」って言ったら負けかな》

■ネタを訪ねて三万歩[89]
 ネットならではの不思議な関係
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[307]
 iPadの魅力「枚数説」。かっこいいノマド
 吉井 宏

■more READ, more MESS!![04]
 MESS003 短編小説集「キリン 友利勇太朗短編集」
 宮崎希沙




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■ネタを訪ねて三万歩[89]
ネットならではの不思議な関係

海津ヨシノリ
< http://bn.dgcr.com/archives/20120627140300.html >
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私は出先によってバッグを変更するようにしています。もちろん珍しいことではありませんが、出先によって荷物の量が2倍になることがあるからなのです。とにかく、バッグを変更したことによるミスは絶対に許されないので、インナーバッグで一発変更できるようにしているのですが、世の中に絶対はあり得ません。

ということで、とうとう忘れ物をしてしまいました。パスモカードです。もちろん財布は持っていましたので困ることはなかったのですが、問題は切符を買う面倒な処理とそれに費やす手間です。これほど面倒だとは思っていませんでした。

そもそも、目的地までの料金確認がこれほど分かりづらいとは思ってもいませんでした。しかし、昔はこれでみんなが移動していたことを思い起こし、なんだか不思議な感覚にとらわれてしまいました。それとiPhoneの地図機能。ご多聞に漏れず初めて出掛ける場所を登録しておくわけですが、正しい方向を歩いているはずなのに逆方向を示すことが多く、意外と信用できないことを痛感しています。

まっ、癖が分かれば、逆に行けばいいだけなので取り立てて困ることはありませんが、なんだか納得できません。もっとも、今の世の中いちいち納得しないと、使えなかったり前に進めなかったりしていたら何も出来ないですからね。

なんだか良くわからない状況の混ぜご飯状態の中で、とにかく生きていかないといけないわけです。そんなわからない世界でも案外なんとかなってしまい、新しい発見や出会いが生まれる確率が高くなっているわけですから。

最近の私は、始めたばかりのfacebookで色々と面白い体験が続き、不思議な空間に迷い込んでいます。例えば、教員をしていることで生まれる学生のと交流は、卒業ともに消滅してしまうことの方が多いわけです。

ところが、私にとって卒業生というカテゴリーに大きな意味はなく、今までも不定期に卒業生とお茶会や飲み会を行っていました。これは、頻度の高いプチ同窓会という流れというよりは、在学中の関係がそのまま延長されているといったニュアンスが正しいかも知れません。

そして、その関係が更に増幅してしまったのがfacebookでの交流というわけです。場所も仕事環境もまったく異なっているにもかかわらず、ネット上に共存していることの方が大きな意味を持ってきます。そして、在学中にはほとんど会話がなかった学生や、音信不通となっていた学生との再会、そして通常ではあり得ない新しい出会いがfacebook上で幾つも生まれています。

多摩美術大学造形表現学部テザイン学科を今年卒業した女性と不思議なイベントを行いました。発起人の彼女は1年生の時に私の共通教育の通年講義を履修してからの仲。具体的には、最終授業の少し前に成り行きで5名の学生を携帯撮影したのが顔を知った最初でした。そのうちの1名は他大学へ行ってしまい、残った4名のうちもっとも会話の少なかった学生だったのです。記憶に残っているのは、4年生の卒業制作の仕上げの時に少し話した程度です。

その後facebookで友達となり、暫くしてから彼女がおむすびを3000個握るイベトンに参加したという話に私がリアクションしたことで、おむすびの話で異常に盛り上がり、気が付けば「おむすびの会」なるサークルを作り、不思議なイベントが開催されていたというわけです。

私から見ると、顔見知りはその彼女と前記した4名の中で一番話をしたことのある女生徒。他は活動場所も職業も年齢もバラバラな8名というわけです。全員を知っているのは発起人の彼女だけです。

さて、この「おむすびの会」とは何か? ということですが、簡単に言うと、みんなでおむすびを食べ合うという趣旨です。お気に入りの具材を持ち寄りおにぎりについて、日本文化について語り合いながら楽しくパーティーをしましょうというものです。こんな素晴らしい文化を造り上げてくれた日本人の知恵に感謝を込めて、というわけですね。ちなみに、今回の参加者は半分が初めてお会いする方ばかりでした。

実は今回のイベントの開催場所は代々木公園だったのですが、雲行きが怪しかったので参加者の1人が飯田橋で経営しているCucina Italiana Sinceroさんの店内をお借りすることになりました。

ただし、発起人は究極の晴れ女を自称するだけあって、結果的に快晴となったのにはビックリです。彼女は未だかつて自身が関わるイベントで、降水量が90%を越える予想が出ていても、ことごとく晴れにしてしまったという神通力の持ち主です。そんなわけで初会は、既に握ってあるおにぎりに具材をいれて食べ合うという形に変わりました。

もう一つの不思議な縁は、本来なら出会うはずのなかった人との関係です。私は共通教育の某教授ともfacebookで友達となっているのですが、私が多摩美術大学造形表現学部で講義を担当する6年も前に卒業した女性がその教授のページから私のページにたどり着き、たまたま開催間近であったアップルストア銀座でのセッションを知り参加してくれました。そして、結果的にそれで知り合うことになったのです。不思議な縁だと感じています。

私の公開セッションの最後に、翌月のハンズオンセッションの参加者の半分を募集し、人数が多い場合は希望者でジャンケンとなっています。そのジャンケンに顔見知りが負けてしまったのですが、その時勝ったのがその女性でした。

帰宅途中にメールで友達申請と同時に、丁寧なメールが届き恐縮してしまいました。実はこの時ジャンケンに負けてしまった顔見知り女性も、1か月前のハンズオンセッションで会話をするようになり、facebookを介して情報交換する友達になったばかりでした。

facebookテーマの最後は、私のことをよく知っているらしいアジア系の女性から突然コメントを受けたのに、当の私は彼女が誰だかわからずいると、同時に届いた友達申請で5年前の教え子だと知った驚きです。

台湾からの留学生で、とても鮮明に覚えていた彼女のことはプロフィール写真ではわからず、他の写真とローマ字表記の発音から漢字を思い出して答えを見つけ出した次第です。今は仕事で中国にいるらしく、彼女が大好きなラッキョウの入った福神漬けが中国では手に入らないという話で盛り上がりました。ラッキョウは中国語で「辣韮」。原作地はチベットであることを伝えると、更に盛り上がってしまいました。

まさか、ラッキョウで盛り上がるとは思っても見ませんでしたが、この先もっと予期していない嬉しい出会いが沢山待っているような気がしてなりません。きっとそれはお互いが色々な種を蒔いてきた結果なのでしょう。昔知っていたというだけで、情報を発しない亡霊を我慢強く見続けていても何も産まれないですからね。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[Air a Danser]by Penguin Cafe Orchestra in 1981(U.K.)

いわゆるジャケ買いでお宝発見した曲のひとつです。そして、この曲はあまりにも有名だと信じていたのですが、初来日の時にコンサートに出掛けた私は、客席がガラガラだったのにショックを受けたことを思い出しました。そのクラシカルナな旋律と、ミニオーケストラで奏でる楽曲は間違いなく名曲です。少なくとも欧米では。数年前に再版が出ましたが、再来日も決定し、なんだかあの頃に戻れそうな気持になってきました。

[大アマゾンの半魚人]by ジャック・アーノルド in 1954(USA)

原題は"The Creature from the Black Lagoon"なので邦題は或る意味トンデモかもしれませんね。直訳すれば「黒潟の化け物」ですが、「沼地の怪物」あたりが妥当ですね。

さて必見はカメラアングル。ヒロインのジュリー・アダムス演じるケリーが船から沼地(どう見ても沼地には見えまず綺麗な池そのもの)へ飛び込むロングショットの構図はあまりにも芸術的。そのままカメラは水中撮影に移り、水面を泳ぐジュリー・アダムスを水中からの逆光で撮りながら、その直ぐ下を、平行して泳ぐ半魚人を同一のフレームで切り取り続けるシーンの美しさは必見。

この美しいシーンは、驚くべき撮影結果と言うべきかもしれません。どうやって撮影したのかと思うほどです。恐らく巨大なプールでの撮影なのでしょうが、特撮ではないのが本当に凄いです。

ちなみに続編「半魚人の逆襲」も作られており、無名時代のクリント・イーストウッドがクレジットすら出ない端役で出演しているなど、そちらも必見です。ただし、原題は"Revenge of the Creature"です。なお、劇中では半魚人を"man-fish"と読んでいました。しかし、どうして怪物(♂)は美女が好きなのでしょうね。種が違うので動物的には反応しないはずなのに...という突っ込みは無粋でしたね。

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■アップルストア銀座のセッション

7月23日(月)18:30〜 アップルストア銀座でのセッション
Hands on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 70』
Illustratorのペンツール速習法とイラストレーション作成をハンズオンいたします。なお、ハンズオンは予約制で申し込みに関してはAppleに一任しております。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com >
< http://kaizu-blog.blogspot.com >
< http://web.me.com/kaizu >

某所で立ち寄ったビルのトイレで、清掃を完了したばかりの清掃員の女性が私に向かって放った一言が意味不明で、何日経っても頭の中から消えません。曰く「床は濡れていて綺麗ですが、使えます」。これは正しくは「床は清掃したために濡れているだけで、汚れているわけではありませんから使用可能です」だと思うのです。多分。それとも「床は濡れていて綺麗ですが使えます」には、私の知らない日本語の凄い文法が隠されていたりして......。

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■グラフィック薄氷大魔王[307]
iPadの魅力「枚数説」。かっこいいノマド

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20120627140200.html >
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●iPadやタブレットはなぜ魅力的なのか?「枚数説」

ロジクールのBluetoothキーボード付きカバー「Logitech Ultrathin Keyboard Cover」がカッコイイ。これの前モデルのキーボード付きカバーは弁当箱のフタみたいでイマイチだったけど、新しいのはカッコイイ。閉じたときが特に。
< http://bit.ly/M6k5hq >

まあ、iPadのキーボード付きカバーってテキスト中心の作業ではそりゃ便利に決まってるけど、持ち出し用として考えると、テキスト以外のことをしてるときには外部キーボードは不要。

カバンから取り出してカバーをはずして、本体残してまたしまうという間抜けな作業をしなきゃいけないわけで。はずして机の横に置くのはかっこよくないし。せっかくの「1枚のiPad」がカバーと合わせて「2枚」になるわけで。

そっか、iPadが仕事関連の持ち出し用としてなんでこんなに魅力的に思えるのか、僕的にわかりやすい説明を思いついた。

iPadは「1枚」。ノートパソコンは一体型とはいえ、キーボード部分とディスプレイ部分で「2枚」に近い感じ。

かつてのスレート型タブレットPCや、現在のASUSなどのペンを使うタブレットは「1枚+1本」の感覚かな。現在のiPadや他社Androidタブレットは指だけで使うのが基本なのでやっぱり「1枚」。「必要なことが全部できる持ち歩きパソコン」が「たった1枚」ってやっぱ魅力的だなあと。

それで言うと、ノートパソコンとペンタブを持ち歩いて仕事ってのは、「3枚+1本」なんですね。だから、あのめんどくさい感じ、煩雑な感じなんだなあと。「1枚」最強!

「ノートパソコンのフタを開ける」って心理的にけっこう大きい。開ける操作がない分、iPadが軽やかに感じる。その点で、風呂フタSmart Coverが登場したとき、これはiPadの魅力を数割下げるものだ思いました。iPadなのに「2枚」になってしまう。

iPadのスマートカバー、とりあえず装着してるけど、あろうことかiPadをウザく感じてしまう。カバーを後ろに折り返してiPadを手に持ってるときのトホホな感じ。フタを開けないと使えないiPadってマヌケ。低いスタンド状態で使うときの画面キーボードの打ちにくさといったら!

おっし。画面保護の意味でスマートカバー使ってたけど、マイクロソフトのタブレットを見たら「1枚でいくべきだな!」と。画面保護フィルム買ってくる。スマートカバーは使わないぞ。だいたい、カバンから出してフタを開けるってのがめんどくさくてマヌケすぎる!

●マイクロソフト「Surface」タブレット発表

マイクロソフトが自前のタブレットを発表したそうで。タブレットPCっていうか、iPadやAndroidと同じ種類のタブレット? かと思ったらWindows8みたいですね。タブレットPCより進化してるならちょっと興味アリ......と思ったけど、ダメだ何このグダグダ感。まずは本体1枚で勝負するところから始めないと。
< http://japanese.engadget.com/2012/06/18/surface/ >

タブレット、こうだったらいいな〜って素人の考えをそのままベタに追加したみたいだ。単に機械部分が液晶側についたノートパソコンじゃん。スタンド......これはひどい。こんなのだったら普通に「ノートPCで画面がタッチパネル」のほうがぜったい使いやすいと思う。本体、フタ、スタンドで最初から3枚。ノートPCの2枚より多い。前記の「タブレットが快適っぽいのは1枚だから」って僕の説に反する。

過去の遺産や方法論をそのまんま全部引きずるマイクロソフトの伝統。うーん。まあ実際に使ってみれば便利なのかもしれんけど、革新じゃないよね。っていうかまあ、WACOMユニット入っててWindowsが使えるなら、普通に持ち歩きパソコンの候補には入るけど。

あ、ペン入力可みたい。WACOMかな? そしたらちょっと心動く。筆圧がなくても、ペンで右クリック中クリックができてキーボードでショートカットキーを押せれば、重い作業でなければたいていの作業ができなくもないんで。

●ノマドがカッコイイのは確かだけど

「『僕、ノマドなんで』と言う人が増えました」、ええ〜〜! こりゃ完全に間違えてる人が増えてるんだ〜。「僕、ノマドなんで」ってのは、「電車通勤なんで」「賃貸に住んでるんで」「10月生まれなんで」「今日の下着は黒なんで」くらい、何の意味もないよね。会社員じゃないことくらいしかわからない。

日刊SPA!「ノマド」をめぐる議論が炎上する理由」
< http://goo.gl/u0mnx >

ノマドって「何ものにも縛られないオレ」だもん、カッコイイのは確実。だから、「僕、ノマドなんで」ってのは「俺、イケててカッコイイんだぜ!」と同義になっちゃう。なので、「決まった場所やクライアントと仕事してない」ってことが話に出たときに、相手が「ノマドみたいですね」と言ったときに限って、「まあ、そのようなもんですね」くらいにとどめておいたほうがカッコイイかも。

ノマドおよびノマド志向の人は自分の口から「ノマド」って言ったら負けかな。最低でも「ノマドっぽい」「ノマド的な」「いわゆるノマドみたいな」くらいぼかして言わないと。

ノマドにあこがれたりトレンド的に巻き込もうって人たちが大勢いすぎて、ノマドを語ること自体が商売に見えちゃう。これが進むと怪しいコンサルタントみたいになる。っていうか、「ノマド」って概念自体が魅力的だし人によって解釈が違ったり、ついつい僕もこうやって書いちゃったりするわけで。ちょっと流行りかけた「キュレーター」よりはぜんぜんおもしろい。

仕事場にどっしり構えて仕事できる自営/自由業と、便利屋的にあちこち呼ばれるのと、どっちがいいか?

雇用側からすればノマドは便利。向こうから全部自分持ちで来てくれるんだもん。事務所を構えてるフリーランス以上に気軽に使えるかも。そう考えると、「派遣社員以上にこき使える存在をかっこよく言い換えただけなんじゃないの?」って話がちょっと腑に落ちるかも。

たぶんノマドにあこがれる感じって、フリーランスってものの実態をよく知らない学生や会社員が「この就職難に会社に勤めないで働けるんだって〜〜! そりゃすごい! いいなあ〜! オレもやってみてぇ〜!」って感じじゃないかなと。

「仕事場を持たずカフェとかで仕事」ってのは、ずっと机にしばられてる反動からあこがれてましたけど、昨年、外壁工事の都合で2ヶ月くらい昼間はスタバや図書館ってのやってみた結果、どう考えても自分の部屋の仕事机でやるほうがいいに決まっとるわ! という結論に。まあ、気分をちょっと変えるくらいの効果はあると思いますけどね。

余談。「ノマド」が「羊をまとめるリーダーって意味を含む」って話がありますが、そういえば「フリーランス」も「歩兵や弓兵を連れている槍騎兵」って語源からすると、やはりリーダーって意味がちょっと入ってる?

●雑誌「POPEYE」のリニューアル2号目

「POPEYE」のリニューアル後の2号目を買ってみた。先日、買えなかったリニューアル第1号のことボロクソに書いてましたけど、いいじゃんこれ、久しぶりに「雑誌!」って感じがする。「relax」や「スタジオボイス」みたいな。細かく細かくいろんな内容が詰まってて、濃い! 真ん中のピンク紙のコラムページもとてもイイ。「サマーボーイと西海岸」のコピーは恥ずかしいけど。

じゃあ、先月のリニューアル第1号が見たくなる。バックナンバーを注文しようとマガジンハウスサイトへ。650円のPOPEYEを1冊注文すると、送料と手数料で1,350円に!! ちょ、ちょっと待ってくれい。そんなの注文する気になるわけないだろう? アマゾンの中古本は950円から。需要と供給の法則とはいえ、むぐぐ。はやく電子版にしてバックナンバーも揃えてくれえ。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

Twitterやってると、ブログやデジクリに書きたいテーマやネタをまとめたものがすごい勢いで溜まってしまい、仕上げたり載せるのがぜんぜん追いつかない。「ノマドをめぐる議論が〜」のリンク先だって、たった3週間前の記事なのに、以前の感覚にたとえると半年前くらいの旧聞に感じてしまい、載せるのを躊躇してしまう。結果、ほぼ完成してるのにタイミングを逃してしまったテキストが無数にあってもったいない。

しかたなく、ブログにネタが発生した日付をつけてまとめて載せたりしてます。最初からブログに載せればいいんじゃね? というのもありますが、ブログには締切がないので完成しないのであります。

日刊デジクリは締切があるのでなんとかまとまるのです。っていうか、物書きでもプロのブロガーでもないのに何やってんの? って気もしますけど、考えをテキストにまとめるのが楽しい! せっかく思いついたネタは人に読んでほしい! ってだけなんですけどね。

●iPhone/iPadアプリ「REAL STEELPAN」ver.2.0がリリースされました。
「長押しロール」のオン・オフ切り替えスイッチを追加しました。
「オフ」ではレスポンスが速くなるので、素早い演奏が可能になりました。
REAL STEELPAN < http://bit.ly/9aC0XV >
●「ヤンス!ガンス!」DVD発売中
amazonのDVD詳細 < http://amzn.to/bsTAcb >

●僕のインタビューが載った香港のオンラインマガジン、「NewWebPick」39号のLite版が出てます。Lite版のインタビューは2見開きだけですが、有料版は6見開きあります。
< http://newwebpick.com/_issue/ >

●メキシコのPDFデザインマガジン「inkult」15号にも9見開き分載ってます。
無料です。
< http://www.inkultmagazine.com/ >

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■more READ, more MESS!![04]
MESS003 短編小説集「キリン 友利勇太朗短編集」

宮崎希沙
< http://bn.dgcr.com/archives/20120627140100.html >
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自費出版レーベルMESS。前回紹介させていただいた、MESS002「URBAN SAFARI 2012 Collection」は、おかげさまで完売となりました。嬉しいことです! 今のところ増刷の予定はありませんが、ブランドの次回シーズンに向けてまたコレクションブックが作れたらなあ、と思っています。

引き続き、MESSラインナップの書籍を作るまでの具体的なお話をしたいと思います。第三弾は、「キリン 友利勇太朗短編集」について。2008年より執筆活動を開始した友利勇太朗の、短編小説5本が入った文庫本です。< http://mess-pressed.com/003.html >

そもそも私が本好きになったのは、子供のころに、父親の本棚にある文庫本や小学校の図書館にあったハードカバーなど、小説を読むことがきっかけでした。「本」=「文章がたくさん詰まったもの」というイメージが強いからこそ、やっぱり読み物としての本を作りたい、しかも小説を! という気持ちが強くありました。

ただ、意外と「小説を書いてます」という人が私の周りにはいません。美大の人でも、映像や演劇の脚本、絵本、詩を書いていたり、文学部に行っている同世代では批評や評論を書いている子はいますが(これは今の時代の流れなのかも?)「これだ!」といえる小説を書いている人に出会えていませんでした。

読み物系の同人誌・自費出版本のお祭り(コミケの文章版のようなイベント)の代表格である「文学フリマ」 < http://bunfree.net/ > に行っても、いわゆる純粋文学のオリジナル本よりも、文芸評論の同人誌だったり、エッセイを綴ったもの、ライトノベル系のものが多い印象でした。

そんな中で、同じ出版社でアルバイトをしていた、早稲田大学の文化構想学部(以前の文学部二部、通称「文二」)の学生だった友光君(現在は雑誌・天然生活の編集者です)が作っていた雑誌「放課後」が文学フリマにも出展していたので、買って読んでみました。

ワンテーマの評論・考察的な文章が中心ながら、インタビュー企画があったり、編集部のレコメンがあったり、雑誌感が強く楽しめる本です。そこへ、編集メンバーではない一人の寄稿者による短編小説が載っていました。

タイトルは「キリン」。キリンを飼わなくてはいけない観念に囚われた子供の目線での話。あっという間に読み終わってしまって、不思議なテンションを覚えました。語り口はシニカルで斜め上から世の中を眺めながらも、心は絶望はしていない。乾いているけれど、底に熱っぽく横たわるものがある。哀しいほどに可笑しい。印象に残った文章でした。

何日か後に、友光君に、周囲で文学作品を執筆していて面白い子はいないかな、と紹介を頼んだところ、このキリンの作者である友利勇太朗くんを挙げてくれました。今までに一度も会ったことがない人と本を作る、ということは、仕事以外ではなかったので、初めての打ち合わせはかなりドキドキしました。

このMESSというレーベルは、私一人で代表、企画、編集、デザイン、発行、販売を行うので、面白い本が出来るかどうかの責任は私にかかっています。もちろん組んだ作家や、協力していただいた印刷業者、委託販売をお願いする書店など、たくさんの方の助力のおかげで成り立ってはいますが、誰とやるか、どのように本にするか、それらを取捨選択する責任は私にあるのです。

会ってみればそんな心配はまったく無用で、バンドでベースをやっていて、留年により四年生で卒業できないことが決まっていた沖縄出身の友利君は、想像していた通りの不可思議なテンションの青年でした。

「キリン」以外に今までに書いた短編小説も読ませてもらって、これは短編集としてぜひ文庫本にしたいと思いました。友利君の話を聞いていると、文学部にいて文章を書いていても、それを外の世界へ出す、ということを積極的にやっている人はごく一部で、小説を書いてそれで食べていきたいという人もあまり多くはないという印象を受けました。

大学内でのゼミや教授の評価だけ、提出物としての文章だけ、というのはあまりにももったいないし、既存の文芸誌への投稿や大きな賞への応募としてだけでない読み物の発表の仕方が、もっとあっていいのではないかと思います。

例えば、イラストやデザインなどは、勝手に自分で本にしたり展示をしたりして、若い人が社会へアウトプットするやり方はたくさんあります。アンダーグラウンドと呼ばれようと、自主制作として発表されたものでも質が高く、度肝を抜く鋭さの作品は確実にあります。

それで将来的に本当に食べていけるかどうかということは度外視したとしても、もっとたくさんのそういった動きがあればいいのにと思います。また、文学作品でそういった動きをしているたくさんの人たちが、マイナーと呼ばれごく一部の業界や仲間内だけで読み回されるのではなくて、ライトな感覚で目に晒される機会があってもいいのではないかと思います。

ただ、何も知らない他人が書いた小説を、「はい、読んで」と言われても読むだろうか? というのは難しいところで、実際に委託販売でお世話になっている書店の方などにお話を聞いても、アマチュアの小説の文庫本はたくさん売れるということはあまりないとのことでした。

そこを飛び越えて、どこに置かれても「ちょっと買ってみようかな」と思わせるために、普通の書店で売られている文庫本とほぼ同じフォーマットで、値段も500円というワンコインを目指しました。

小説ということで、本文の印刷はモノクロで、話ごとに入れている挿絵は、文章を読んでイメージしたものを私が描きました。中には短編が7つ収録されているのですが、それぞれの話を書いた時に何をイメージしていたのか、どんな音楽を聞いていたか、どんな絵を思い浮かべていたか、はたまたその話と直接は関係がなくても、これまでどんなものが好きだったか、という話を友利君本人と重ねていくことによって、装丁のイメージも決めていきました。

最後に未完(!)の状態で終わっている「遠くの友達」という作品があるのですが、それは明るいオカマが踊っている映画のワンシーンを観て、そのイメージが強くあった、そしてオカマといえばピーター・アイヴァースのレコジャケで、心臓に矢が刺さっている表情が好きだ、という雑談なども。

そこから表紙のメインの絵をイメージしました。また、表題作である「キリン」については、諸星大二郎の漫画「暗黒神話」から強く影響を受けているということから、漫画のキーモチーフになっている馬頭星雲を裏表紙に持ってきました。個人的には、カバーを外した状態の表紙も気に入っていて(6つの短編のモチーフを並べている)可愛いので、ぜひお買い上げいただいた方は見てみてくださいね。

こちらの印刷・製本は、同人誌を得意とするスターブックスさんの、オンデマンドノベルスセット(文庫本や新書本のサイズでセット料金で出来る)をお願いしました。帯はトレーシングペーパーに出力したものを手で切って、一つずつ巻きつけています。
・スターブックス
< http://www.starbooks.jp/index.php >

初版で100部刷ったものがあと少しで売り切れてしまうので、第二刷も追加で100部、完成しています。増刷時に一部中身を変えて、詩の部分が新しくなっているので、初版の内容のものを手に入れるのは今のうち!
「キリン 友利勇太朗短編集」はこちらから。
< http://mess-pressed.com/003.html >

【宮崎希沙】グラフィックデザイナー/自費出版レーベルMESS主催
< http://mess-pressed.com/ >
< http://d.hatena.ne.jp/december_girl/ >

DTP&ちょっとしたデザインの、ちゃんとした(?)定時勤務を始めて一か月半が経過しました。朝の辛さは変わらないけれど、あまり寝なくても毎日とりあえず働けるようになりまし...た?

会社ではなくフリーで受けるデザインのお仕事も、何をやらせていただいても勉強になるけど、これがいつまで続くかという不安はあります。いいものを作り続けていないとダメですね。労働/仕事/制作のバランスが大事だなぁと思ってます。

それにしても、毎日きっちり時間通りに仕事場に通って残業もするということは、ライブや展示や遊びに全然行けないってことなんですね! それがつらい。世の社会人を改めて尊敬しました...。

◎最近やったこと < http://d.hatena.ne.jp/december_girl/ >より
・竹内波 < http://takeuchinami.com/ >、MIRAI< http://mirai-official.com/ >それぞれのHP作りをやったのですが、このアーティスト二人と自分の名刺も作りました。
・ピエブックスより刊行された「名作アニメ・マンガ明日を変える魔法の言葉」、いち漫画ファンとして中身作りを少しお手伝いしました。
< http://www.piebooks.com/search/detail.php?ID=4171 >
・「サルとバナナ」uminecosoundsのPV
< >
・知り合いのバンドuminecosoundsのPV撮影を少しお手伝いしました。アルバムリリースに合わせて出たPV! 可愛らしいパペットと美しい歌をぜひ。
< http://uminecosounds.net/ >
・アーティストでありモデルであるcolliuちゃんの7月の個展に向けて、制作してるものあり。ご期待ください。< http://colliu.com/ >

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編集後記(06/27)

●不退転の覚悟で、政治生命を懸けて、捨て石になって、なんて口先だけでズルズルと這い回っていた泥鰌首相が、ようやく決断したのが国民の半数以上が反対する増税だった。この間、沖縄の基地移転問題はなんの進展もない。結局、民主党政権は自らが作り出した国難を放置したまま、無責任に退場するのだろう。ケビン・メアは「自滅するな日本」で、普天間が固定化されても米軍にはなんの不都合もない、と言っている。もはやそれしか道はないのだろうか。

国家の重要な安全保障政策を沖縄で実現するために、地元のコンセンサスが必要であるという考え方や立場そのものが間違っていると思う。なぜかというと、すべての人が合意するわけがないからだ。いろいろな考えの人がいるのだから、統一されたコンセンサスはできない。得られるはずがないものを必要だと追い求めるのはおかしい、とケビン・メアは主張する。それに対して田原総一朗は、過半数のコンセンサスを得る努力は必要だ、それには、日本政府が沖縄県民に対して、安全保障とは何なのか、なぜ米軍基地が沖縄に必要なのかをきちんと説明しなければならないと返す。だが、誰も責任をとりたくないから「アメリカ政府と合意したんだから、その通りに実現しなくてはいけない」としか言えないのが今まで日本政府だった。

コンセンサスが得られない問題では、なかなか決断できず物事が先に進まない。説得しきれないときは、自らがリーダーシップを発揮して決断しなければならない。今回の党内争乱で首相は身に沁みたはずである。だが、不退転の覚悟で、政治生命を懸けて、捨て石になって、取り組むべきは、まずは国難である普天間問題の解決だったのではなかったのか。後世の評価としてもこっちのほうが遥かにポイントが高い。もうじき出番がなくなるから、もう遅いが。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776207257/dgcrcom-22/ >
→ケビン・メア「自滅するな日本」 アマゾンで見る(レビュー6件)

●SATC シーズン4でエイダンと同棲を始めたキャリーが、「スターバックスでMacを広げている人は、かっこつけているんだと思っていたけど、きっと彼らは同棲をしているんだ」と言った(うろ覚え)。プライベートがなくなり、仕事場所確保のためスタバに逃避した時の話。PowerBookで爆弾出したキャリーに、エイダンがZipドライブ(!)にバックアップをとっていなかったのかと責めるところもあったな〜。ネット、クラウド、電源。ノマドやったりZipドライブなしにバックアップできる環境が整ったのは進化だなぁ。このふたつの話は2001年〜2002年のもので、その頃クラウドはなかったもん。

増税か。扶養控除が減り、住民税があがり、健康保険やら年金やらがあがり、所得税があがり、復興税がつき、節電ムード。そしてここしばらくデフレ傾向ですよっと。食料品と日用品だけでも5%のままにしてもらえないものだろうか。増税したら本当に必要なところに必要なだけ行くようになるの? 景気は上向きになるの? 気分的には、もうすでに節約モード。大きな買い物は今のうちにやって、増税したら買わないようにしなきゃ。惰性で使っていたサービスはキャンセルしよう。保険も見直そう。それなのに、今日も買ってしまったわ、iOSアプリとMacアプリ。セールに弱い...。(hammer.mule)

< http://en.wikipedia.org/wiki/Sex_and_the_City#Season_Four:_2001.E2.80.932002 >
Sex and the City
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3 >
Zipドライブは「私とマザーボード」、スタバはその前後のエピソードだったはず
< >
MagicalPad。セールで450円のものが85円だったの
< >
TaskPaper。こちらもセールで2,600円が170円
< http://twodollartues.com/ >
2$ Tuesday企画。Essentialsはトライアル中

< http://www.buildwithchrome.com/static/map >
Chromeでレゴ。まだオーストラリアとニュージーランドにしか建てられないっ
< http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1206/26/news064.html >
Anonymousが日本政府とレコード協会に"宣戦布告"
< http://googlejapan.blogspot.jp/2012/06/google-2012.html >
2012年上半期 Google急上昇検索ワード。半分は体験済だった
< http://r-yakuzaishi.net/shindan/ >
薬剤師ナオミのおサイト診断。ソーシャル......やんないとな......
< http://ad-live.co.jp/recruit/hikari/ >
仲間がドワーフばかりで困っています。光の戦士の採用募集中!
< http://ad-live.co.jp/ >  渋谷か。カブトムシがロゴっていいな。