グラフィック薄氷大魔王[307]iPadの魅力「枚数説」。かっこいいノマド
── 吉井 宏 ──

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●iPadやタブレットはなぜ魅力的なのか?「枚数説」

ロジクールのBluetoothキーボード付きカバー「Logitech Ultrathin Keyboard Cover」がカッコイイ。これの前モデルのキーボード付きカバーは弁当箱のフタみたいでイマイチだったけど、新しいのはカッコイイ。閉じたときが特に。
< http://bit.ly/M6k5hq
>

まあ、iPadのキーボード付きカバーってテキスト中心の作業ではそりゃ便利に決まってるけど、持ち出し用として考えると、テキスト以外のことをしてるときには外部キーボードは不要。

カバンから取り出してカバーをはずして、本体残してまたしまうという間抜けな作業をしなきゃいけないわけで。はずして机の横に置くのはかっこよくないし。せっかくの「1枚のiPad」がカバーと合わせて「2枚」になるわけで。

そっか、iPadが仕事関連の持ち出し用としてなんでこんなに魅力的に思えるのか、僕的にわかりやすい説明を思いついた。

iPadは「1枚」。ノートパソコンは一体型とはいえ、キーボード部分とディスプレイ部分で「2枚」に近い感じ。

かつてのスレート型タブレットPCや、現在のASUSなどのペンを使うタブレットは「1枚+1本」の感覚かな。現在のiPadや他社Androidタブレットは指だけで使うのが基本なのでやっぱり「1枚」。「必要なことが全部できる持ち歩きパソコン」が「たった1枚」ってやっぱ魅力的だなあと。




それで言うと、ノートパソコンとペンタブを持ち歩いて仕事ってのは、「3枚+1本」なんですね。だから、あのめんどくさい感じ、煩雑な感じなんだなあと。「1枚」最強!

「ノートパソコンのフタを開ける」って心理的にけっこう大きい。開ける操作がない分、iPadが軽やかに感じる。その点で、風呂フタSmart Coverが登場したとき、これはiPadの魅力を数割下げるものだ思いました。iPadなのに「2枚」になってしまう。

iPadのスマートカバー、とりあえず装着してるけど、あろうことかiPadをウザく感じてしまう。カバーを後ろに折り返してiPadを手に持ってるときのトホホな感じ。フタを開けないと使えないiPadってマヌケ。低いスタンド状態で使うときの画面キーボードの打ちにくさといったら!

おっし。画面保護の意味でスマートカバー使ってたけど、マイクロソフトのタブレットを見たら「1枚でいくべきだな!」と。画面保護フィルム買ってくる。スマートカバーは使わないぞ。だいたい、カバンから出してフタを開けるってのがめんどくさくてマヌケすぎる!

●マイクロソフト「Surface」タブレット発表

マイクロソフトが自前のタブレットを発表したそうで。タブレットPCっていうか、iPadやAndroidと同じ種類のタブレット? かと思ったらWindows8みたいですね。タブレットPCより進化してるならちょっと興味アリ......と思ったけど、ダメだ何このグダグダ感。まずは本体1枚で勝負するところから始めないと。
< http://japanese.engadget.com/2012/06/18/surface/
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タブレット、こうだったらいいな〜って素人の考えをそのままベタに追加したみたいだ。単に機械部分が液晶側についたノートパソコンじゃん。スタンド......これはひどい。こんなのだったら普通に「ノートPCで画面がタッチパネル」のほうがぜったい使いやすいと思う。本体、フタ、スタンドで最初から3枚。ノートPCの2枚より多い。前記の「タブレットが快適っぽいのは1枚だから」って僕の説に反する。

過去の遺産や方法論をそのまんま全部引きずるマイクロソフトの伝統。うーん。まあ実際に使ってみれば便利なのかもしれんけど、革新じゃないよね。っていうかまあ、WACOMユニット入っててWindowsが使えるなら、普通に持ち歩きパソコンの候補には入るけど。

あ、ペン入力可みたい。WACOMかな? そしたらちょっと心動く。筆圧がなくても、ペンで右クリック中クリックができてキーボードでショートカットキーを押せれば、重い作業でなければたいていの作業ができなくもないんで。

●ノマドがカッコイイのは確かだけど

「『僕、ノマドなんで』と言う人が増えました」、ええ〜〜! こりゃ完全に間違えてる人が増えてるんだ〜。「僕、ノマドなんで」ってのは、「電車通勤なんで」「賃貸に住んでるんで」「10月生まれなんで」「今日の下着は黒なんで」くらい、何の意味もないよね。会社員じゃないことくらいしかわからない。

日刊SPA!「ノマド」をめぐる議論が炎上する理由」
< http://goo.gl/u0mnx
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ノマドって「何ものにも縛られないオレ」だもん、カッコイイのは確実。だから、「僕、ノマドなんで」ってのは「俺、イケててカッコイイんだぜ!」と同義になっちゃう。なので、「決まった場所やクライアントと仕事してない」ってことが話に出たときに、相手が「ノマドみたいですね」と言ったときに限って、「まあ、そのようなもんですね」くらいにとどめておいたほうがカッコイイかも。

ノマドおよびノマド志向の人は自分の口から「ノマド」って言ったら負けかな。最低でも「ノマドっぽい」「ノマド的な」「いわゆるノマドみたいな」くらいぼかして言わないと。

ノマドにあこがれたりトレンド的に巻き込もうって人たちが大勢いすぎて、ノマドを語ること自体が商売に見えちゃう。これが進むと怪しいコンサルタントみたいになる。っていうか、「ノマド」って概念自体が魅力的だし人によって解釈が違ったり、ついつい僕もこうやって書いちゃったりするわけで。ちょっと流行りかけた「キュレーター」よりはぜんぜんおもしろい。

仕事場にどっしり構えて仕事できる自営/自由業と、便利屋的にあちこち呼ばれるのと、どっちがいいか?

雇用側からすればノマドは便利。向こうから全部自分持ちで来てくれるんだもん。事務所を構えてるフリーランス以上に気軽に使えるかも。そう考えると、「派遣社員以上にこき使える存在をかっこよく言い換えただけなんじゃないの?」って話がちょっと腑に落ちるかも。

たぶんノマドにあこがれる感じって、フリーランスってものの実態をよく知らない学生や会社員が「この就職難に会社に勤めないで働けるんだって〜〜! そりゃすごい! いいなあ〜! オレもやってみてぇ〜!」って感じじゃないかなと。

「仕事場を持たずカフェとかで仕事」ってのは、ずっと机にしばられてる反動からあこがれてましたけど、昨年、外壁工事の都合で2ヶ月くらい昼間はスタバや図書館ってのやってみた結果、どう考えても自分の部屋の仕事机でやるほうがいいに決まっとるわ! という結論に。まあ、気分をちょっと変えるくらいの効果はあると思いますけどね。

余談。「ノマド」が「羊をまとめるリーダーって意味を含む」って話がありますが、そういえば「フリーランス」も「歩兵や弓兵を連れている槍騎兵」って語源からすると、やはりリーダーって意味がちょっと入ってる?

●雑誌「POPEYE」のリニューアル2号目

「POPEYE」のリニューアル後の2号目を買ってみた。先日、買えなかったリニューアル第1号のことボロクソに書いてましたけど、いいじゃんこれ、久しぶりに「雑誌!」って感じがする。「relax」や「スタジオボイス」みたいな。細かく細かくいろんな内容が詰まってて、濃い! 真ん中のピンク紙のコラムページもとてもイイ。「サマーボーイと西海岸」のコピーは恥ずかしいけど。

じゃあ、先月のリニューアル第1号が見たくなる。バックナンバーを注文しようとマガジンハウスサイトへ。650円のPOPEYEを1冊注文すると、送料と手数料で1,350円に!! ちょ、ちょっと待ってくれい。そんなの注文する気になるわけないだろう? アマゾンの中古本は950円から。需要と供給の法則とはいえ、むぐぐ。はやく電子版にしてバックナンバーも揃えてくれえ。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
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Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
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Twitterやってると、ブログやデジクリに書きたいテーマやネタをまとめたものがすごい勢いで溜まってしまい、仕上げたり載せるのがぜんぜん追いつかない。「ノマドをめぐる議論が〜」のリンク先だって、たった3週間前の記事なのに、以前の感覚にたとえると半年前くらいの旧聞に感じてしまい、載せるのを躊躇してしまう。結果、ほぼ完成してるのにタイミングを逃してしまったテキストが無数にあってもったいない。

しかたなく、ブログにネタが発生した日付をつけてまとめて載せたりしてます。最初からブログに載せればいいんじゃね? というのもありますが、ブログには締切がないので完成しないのであります。

日刊デジクリは締切があるのでなんとかまとまるのです。っていうか、物書きでもプロのブロガーでもないのに何やってんの? って気もしますけど、考えをテキストにまとめるのが楽しい! せっかく思いついたネタは人に読んでほしい! ってだけなんですけどね。

●iPhone/iPadアプリ「REAL STEELPAN」ver.2.0がリリースされました。
「長押しロール」のオン・オフ切り替えスイッチを追加しました。
「オフ」ではレスポンスが速くなるので、素早い演奏が可能になりました。
REAL STEELPAN < http://bit.ly/9aC0XV
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●「ヤンス!ガンス!」DVD発売中
amazonのDVD詳細 < http://amzn.to/bsTAcb
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●僕のインタビューが載った香港のオンラインマガジン、「NewWebPick」39号のLite版が出てます。Lite版のインタビューは2見開きだけですが、有料版は6見開きあります。
< http://newwebpick.com/_issue/
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●メキシコのPDFデザインマガジン「inkult」15号にも9見開き分載ってます。
無料です。
< http://www.inkultmagazine.com/
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