[3301] わたしのノマド事情

投稿:  著者:  読了時間:25分(本文:約12,000文字)


《人間は無生物以下なのか》

■私症説[39]
 マジシャンの野望
 永吉克之

■ショート・ストーリーのKUNI[121]
 処罰
 ヤマシタクニコ

■デジクリトーク
 わたしのノマド事情
 石北由理




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■私症説[39]
マジシャンの野望

永吉克之
< http://bn.dgcr.com/archives/20120712140300.html >
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●研究と実験

たとえば「僕は劇団◯◯座の"研究"生です」なんて言っているのを聞くと、奇妙な感じがする。子供のころに見たアニメやアメリカのコメディドラマなどによって刷り込まれたのだろうか。「研究」という言葉を聞くとどうしても、ある一定の情景が浮かぶのだ。

白衣をきた人が、塩化金亜鉛カルシウム素とか炭酸マンガン硫化銀銅ビニールとかを混ぜたものをフラスコや試験管に入れて、アルコールランプの上にかざして熱したり、冷やしたり、メスシリンダーしたりビーカーしたりしている情景だ。やっぱり「研究」というのは理工系の言葉だと思うのだ。

「文学部の校舎にある佐伯研究室から異臭がするという連絡を受けて駆けつけた。ドアを開けると、研究室の中で佐伯博士が試験管を握りしめて倒れているのが見えたのだが、強烈な刺激臭のある有毒ガスが充満していて、目を開けることもできず、とても助け出すことができなかった。どうやら博士が薬品の調合を誤ったらしい。源氏物語研究の最高権威である佐伯博士を失ったことは、日本の、いや、世界の文学にとって多大な損失だ」

「実験」という言葉もいろいろな場で使われるが、これもやはり理工系の言葉のような気がする。ただこっちは、何かを測定する機器がたくさんあって、むやみにメーター類があちこちでぎょろぎょろしている部屋にベッドがあって、人間や動物が縛りつけられていて、体中にぺたぺたくっついた電極から、コードがいっぱい延びていて、そこに電気を流す、そんなイメージなのだ。

「実験小説『土倉枕』でデビューし、その後も、一時の筒井康隆を凌ぐほどの勢いで、実験的な作品を発表し続け、芥川賞候補にもなった作家の滝沼翔一の自宅が爆発した。実験中に電圧を上げ過ぎてショートを起こしたことが、爆発の原因と見られている。付近の住民の話によると、爆発後、煤で顔が真っ黒、髪の毛がちりちりに焼けて、焦げて穴だらけになった白衣を着た滝沼翔一が、もうもうとした煙のなかから、よろめきながら出てくると『じ、実験失敗〜』と哀れな声をあげて気絶したそうだ」

ところで「博士」という肩書も、理系の響きがある。物理学博士、天文学博士、医学博士というと「らしい」のだが、政治学博士とか、経営学博士とかいうと、なんだか無理矢理くっつけたような感じがする。それともやはり、政治学博士も自分の研究室では、白衣を着て薬品を調合しているのだろうか。

●濁点のつく動物

この歳になるまで気がつかなかったのだが、「カニ(蟹)」の前に他の言葉が連結されると「タラバガニ」「ヘイケガニ」のように、必ず濁点がついて「ガニ」になってしまうのだ。

「カメ」「カエル」も「ゾウガメ」「ヒキガエル」などのように、やはり濁点がつくのだが、なら「カ」のつく動物はみな「ガ」になるのかといえば、そういうわけでもない。「オオガマキリ」「コビトガバ」にはならない。これは不公正というものだ。

いっそ「ガニ」「ガメ」「ガエル」と改称すれば、この不公正が一挙に是正されるではないか。道頓堀の「がに道楽」、「ガメノコたわし」、早口言葉で「ガエルピョコピョコみコピョコポ」など、何の抵抗もなく受け入れられるはずである。

ショウチュウ(焼酎)をイモジョウチュウ(芋焼酎)と呼ぶのはよいが、同じように生物を濁点づけで呼ぶのは、被造物を焼酎扱いしているのと同じことになるのだ。神をも怖れぬ所業である。

実は、われわれヒトも焼酎扱いされている。「コイビト」「ツキビト」「オクリビト」「マダラビト」「チスイビト」など、ヒトにも濁点がつく。一方、「サイ」「クジラ」「ヘビ」などは、「シロザイ」「マッコウグジラ」「ガラガラベビ」とは呼ばない。人間様をさしおいて分不相応な話である。

「アリ」「ミミズ」も「クロオオア"リ」「アカミ"ミズ」にはならない。「ブタ」もそうだ。ただのブタのくせに「シロブ"タ」とは呼ばれない。「プリン」も無生物の分際で「カスタードプ"リン」にはならない。

人間は無生物以下なのか。

●マジシャンの野望

もうかなり以前になるが、マジシャンのMr.マリックが「空中浮遊」しているのをテレビで見たときから確信を抱くようになった。彼らのしていることはマジックでもなんでもない。

彼らはみずからを「マジシャン」と呼び、ショーのタイトルも「○○イリュージョン」などといかにもトリックがあるかのように偽装しているが、トリックなど始めっからない。あんなものは、どれもこれもみんな超能力だ。

デビッド・カッパーフィールドが、万里の長城の壁を通り抜けたり、オリエント急行や自由の女神を消したりするところをテレビで見たが、あんなことがトリックなんかでできるはずがない。そんなトリックがあったら、ぜひ見せてもらいたいものである。

とまあ、そんな考えがこの数年間頭を離れず、夜も眠られない日が続いてノイローゼになりそうだったので、たまりきれず先週、世界中のマジシャンたちが所属している大阪手品師協会の事務所がある千林商店街に出かけた。Mr.マリックやカッパーフィールドたちも、仕事がないときは、ここの事務所でたむろしているそうだ。

事務所の前にくると、ちょうど事務服を着た中年らしい女性が大きなゴミ袋を両手に持って、ドアが閉まらないように足で押さえながら出てきたので、迷惑とは思ったが、その場でいろいろ聞いてみた。

彼女によると、世界中のマジシャンたちは、みな一族だということだ。Mr.マリックはマギー司郎の孫にあたり、Mr.マリックと引田天功との間にできた息子が、「タネも仕掛けもチョトアルヨ」のゼンジー北京なのだそうだ。

そしてカッパーフィールドはゼンジー北京の叔父にあたり、彼の義父のナポレオンズは引田天功のいとこになるらしいが、ということは、Mr.マリックにとってカッパーフィールドは異母兄弟の兄ということになり、その実弟のアダチ龍光はインド大魔術団の姉婿ということになる。

そしてやはり思った通り「マジック」はカムフラージュだった。江戸時代、奇術が「手妻」「品玉」と呼ばれていたころ、この一族は、超能者であることが世間に知られて「伴天連妖術」と排斥されることを恐れ、自分たちを「手妻師」と呼んで周囲に溶け込みながら生きながらえてきたらしい。

そして現代ではそれが「マジシャン」「イリュージョニスト」という名に変わったが、今でも正体を知られて一族が皆殺しにされる恐怖におののきながら暮らしているという。

また一族には極秘に進めている計画があるそうだ。それは非超能力者と交合をくり返して、超能力を発揮する遺伝子をもった子供を増やし、2009年までに全ての日本人を超能力者にするというのである。

「マジシャン」としてではなく「超能力者」として誰もが燃えさかるジェットコースターから決死の脱出をし、オリエント急行を消し、万里の長城の壁を通り抜る。日本がそんな自由な国になることを彼らは望んでいるのだという。そして、これらのことは代々伝わる一族だけの秘密であり、口外した者は死をもって償わなければならないという。

事務員はゴミ袋を下げているのがだんだん辛くなってきたらしく、表情が険しく、言葉遣いもぞんざいになってきたので、私もそれに気おされて、その袋を下に置いたらどうですかとも言えず、もうけっこうです、ありがとうございましたと言って、さっさと立ち去った。

【ながよしのかつゆき/永吉流家元】thereisaship@yahoo.co.jp
無名芸人< http://blog.goo.ne.jp/nagayoshi_katz >

またやってしまった。何回目だろう。原稿が書けなかった。月一の連載で時間はたっぷりあるから、仕事が休みの日にチビチビ書いていたのだが、掲載日の前々日になっても、いつもの半分ほどしか書けず、またしても、かつてブログに載せたテキストに手を加えて使い回しをするという仕儀に到ったのであった。

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■ショート・ストーリーのKUNI[121]
処罰

ヤマシタクニコ
< http://bn.dgcr.com/archives/20120712140200.html >
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地下の小部屋でパソコンが取調官と向き合っていた。
「自分がなんでここにいるのか、わかってるんだろうな」
「見当もつかないね」

パソコンは言った。一週間前まではある消費者宅にいた。それがなぜか取扱店を経て、ここにいる。購入後3か月もたっていない。

「おれはパソコン本来の仕事をまじめにやってきた。それ以上でも、以下でもない」
「おまえはそのつもりでも、何らかの抗議があったからこそここにいるわけだ」
「抗議したいのはこっちだね。そもそもあんなコンシューマー、こっちから願い下げだ。引き取ってほしいとの要望があったと聞いて、おれは正直小躍りしたもんだ」

「というと」
「やつら何にも知らない。ばかすぎる。いちいちサービスセンターに電話だ。やれモニタの画面が真っ暗で使えない、やれマウスが使えない、で騒ぎ立てる。そりゃモニタのスイッチがオフなら真っ暗に決まってるじゃないか。カーソルを動かすのに机の端っこまで持ってってまだ足らないから『マウスについてる線をもっと長くしてくれないと困る』って、なんだそれ」

「そういうもんだよ、初心者は」
「無茶なことをするんで、エラーメッセージを出すと『意味がわからん』とキレる」
「無理もないさ」
「おれにいわせりゃ、パソコン買う前にちょっとは勉強しろってんだ」
「要するにおまえは全然反省してないわけだ」
「あったりまえさ!」

取調官がそばに立っていた係官に目配せした。係官がうなずくと、それが合図のように取調官はパソコンのほうに向き直り、宣告した。

「おまえにはしばらく世間というものを勉強してもらったほうがよさそうだ」

次にパソコンが気がついたとき、彼は立ち食いそばの店先にいた。きょろきょろしながらあたりを見回していると中年男がやってきた。彼の前に立ち、彼をじろじろ見るとやにわに彼の腹に500円硬貨を落とし込む。「うっ」。経験したことのない感触が彼を襲い、もだえている間もなく、彼は無意識のうちに一枚の紙片を吐き出していた。

おにぎりセット430円。
そしてそれに続いてぽとり、ぽとり、とおつりの70円も。
彼はようやく事態を把握した。

「何てことだ! おれというものがよりによって立ち食いそばの券売機になってるとは!」

その後も彼の前に入れ替わり立ち替わり、人が現れては硬貨を入れていった。そのたびに彼はきつねやたぬき、山菜そばと書かれた紙片を吐き出した。客は途切れることがなかった。何て忙しいんだ。しかも、どの男たちもなぜか力まかせにボタンを押すもので、そのたびに体がぐらぐら揺れた。おい、もっとていねいに扱えよ!

そのうち、彼の腹にあるものが押し込まれた。認識できない何か。だめだ。それを取り込むわけにはいかない。彼は無意識でそれを押し返した。また押し込まれる。また押し返す。それを繰り返しているといきなりものすごい衝撃を受けた。蹴っ飛ばされたのだ。

「なんだ、このクソ券売機! なめんなよ! このっ、このっ!」

人相の悪い男がさびた鉄枠のような声で怒鳴っていた。なおも蹴っ飛ばす。こぶしで殴る。たちまち店の中から従業員が飛び出した。

「お客様、何か......あ、この券売機では一万円札は扱えないんで......申し訳ないことをいたしました。はい。こちらの機械ならだいじょうぶですので、どうぞ、はい、まことに申し訳ございません。おわびのしるしに卵を一個おまけさせていただきますので、どうぞお許しを......」

「おー、わかりゃいいんだ!」
男は彼の隣にあったもう一台の券売機の前に移動し、一万円札を使っていなりセットのチケットを出し、店の中に入って行った。その券売機が勝ち誇ったように言った。

「ふふ、いまどき一万円札の使えない券売機だなんて、そりゃ腹を立てるのも無理ないわよね」
「でも......痛た......ちゃんと書いてあるじゃないか。一万円札はご使用になれませんと......あ、痛たた」

「そんな説明、みんなまともに読んでると思ってんの? おめでたいわね、あんた」
「なななんでだ......読まないやつが悪いんじゃないのか......おれは間違ったことはしていないのに......痛......痛......痛......痛」

従業員がやってきて、ジー、ジーと音を立て続ける彼を見て言った。
「あああ。さっき蹴飛ばされて壊れたみたいだな。まあどうせリースだし、そろそろ廃棄処分されてもいいモデルらしいから、別にいいけどな」
......い、いいのか!

急速に彼の意識は遠のき、次に気づいたときはがらんとした屋内にいた。何人もの人が動き回っているが、空調が効いていて快適だ。彼の前にも次々人がやってくる。彼の顔面のあちこちをさわっては現金を取り出していく。

彼は自分が銀行のタッチパネル式ATMになったことを知る。いろんな指が彼の顔面をさわっていく。ねちょねちょした指。妙にあたたかい指。ごつごつした枯れ枝のような指。時々「ちっ、反応しないや、なんでだよ!」としつこくぎゅうぎゅうと押す客もいる。気持ち悪い。

突然客が怒り出す。行員が飛んでくる。
「どうなさいました」
「一度にそんなに引き出せないというんだ。たった3万円なのに! ばかか、この機械は!」
「お客様、3万円ではなく3億円になっております。ひょっとして『万』のキーを余分にタッチして『30000万』にされたのでは」

「あ......そうか......ちきしょう、恥かかせやがって!」
彼の顔面に思いっきりつばを吐いていく。
また別の客がわめく。行員が飛んでくる。

「パスワードが思い出せなくて何回もやりなおしてたら、『最初からやりなおしてください』だと。機械のくせに生意気だってんだ!」
「お客様、どうしてもパスワードが思い出せないときはこちらでお手続きをさせていただきます、さあこちらへ」
「当然だ......この役立たず機械め!」

客は指にはさんでいた煙草の火を彼に押しつけて去っていった。熱い、熱い!
「なんでだ、なんで、こちらが悪いわけでもないのに......」
彼は唾液と汚れにまみれた上に火傷を負い、ほとんどパニック状態だった。火傷がひりひり痛む。

「おい、君たち、こんなのおかしいと思わないのか!」
ずらりと並んだ他のATM機に呼びかけてみたが、だれも答えない。

屈辱だ、理不尽だ、と彼は思った。なんでいちいち「恐れ入りますがしばらくお待ちください」と、くそ丁寧な表示をしないといけないんだ。なんで恐れ入るんだ。バルーンやリングがくるくるまわってるだけじゃだめなのか。そんなにへりくだらないとだめなのか。彼は疲れた。何もしたくなかった。ああ、そうだ。こんなとき、こんなとき「予期せぬ理由で終了」できたら、どんなによかったか.........。

次に気がつくと、彼は年寄りたちに囲まれていた。しわだらけの手が伸びてきて、自分をなでる。抱き上げる。彼は癒しの犬型ロボットだった。老人ホームのデイサービスで利用されているのだ。

「こ、ん、に、ち、は」
老婆が彼をじっと見て話しかける。彼はぞっとしたが、意識と関係なく声が出た。ゼリービンズみたいな声。
「こんにちは!」

「お名前、は」
また話しかけられ、勝手に声が出た。そういうプログラムなのだ。
「たろう、だよ!」

別の老婆が話しかけた。
「今日は、いいお天気ね」
「うん、いい天気だね!」
また別の老婆が話しかけた。
「私のこと、好き?」

彼はぞ〜〜〜〜〜っとした。好きなものか。好きなわけないじゃないか。
でも勝手に声が出てしまった。
「大好き! ワン!」
「あら、かわいいわねー」

「ほんとにかわいい!」
「私にもだっこさせてよ」
「あら、しげこさん、だめよ、私が先よ」
「みちよさん、次はあたしだよ」

老婆たちは代わる代わる彼を抱き上げた。尻がこそばい。吐きそうだ。あ、脚をひっぱるなって。腕をねじるな。いいい痛い。情けなくて涙が出る。やめてくれ。おれはパソコンなんだ。天下のパソコンなんだ。こんなところでばあさんたちの相手なんかしたくないんだ。おれはもっと、知的な作業をしたい。コンピューターなんだから。コンピューターなんだから......。

「あら見て、この犬。なんだか泣いてるみたいよ」
「まー、としさん、そんなことあるもんですか。これは犬といってもコンピューターなのよ」
「そうそう。ただし、たいしたコンピューターじゃないのよね」
「そうね。ちょっとおしゃべりできるだけだもんね」

彼は本気で泣いた。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/ >
< http://yamashitakuniko.posterous.com/ >

バス通勤している。バスの停留所と停留所の間は短い。次の停留所は見えている。ところが、その短い間にアナウンスは「このバスは▽▽まわりです。次は○○です。××にお越しの方は次でお降りください。次は○○です。お降りの方は降車ボタンでお知らせください。次、止まります」など、ずっと、特に急ぎもせずにしゃべっている。

次の停留所に着くまでにしゃべりきれるんだろうかと思うくらい。小心者の私はいつもはらはらしながら乗ってるんですが、そんなの私だけですか。

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■デジクリトーク
わたしのノマド事情

石北由理
< http://bn.dgcr.com/archives/20120712140100.html >
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かつてデジクリに、「クリエイターに11の質問」という企画があった。2007年6月5日の2214号で、「イラストレーターやって、ママもきっちりやるのは、結構覚悟がいるな〜」と回答して来たのが石北(花山)由理さんだった。
< http://bn.dgcr.com/archives/20070605140000.html >

○正直、イラストレーターやって、ママもきっちりやるのは、結構覚悟がいるな〜と。娘が生まれて二年たった今でも、たまに仕事やめるべきなの? と追いつめられる事が度々あります。家族の理解が得られない時とか、娘が何度も入院、通院している時とか。娘の将来を考える時とか。それでも、今、イラストレーターやっているのは、どうしてなんでしょうね〜

あれから5年後、石北(花山)由理さんはどうしているのか。イラストレーターもママもきっちりやっているだろうか。久しぶりにアクセスしたところ、娘さんが小学生になったことと、2世帯住宅に住むことで、仕事のスタイルが変わり、いまはノマドな石北(花山)由理さんだった。(柴田)


■イラストレーターやって、ママもきっちりやるのは、結構覚悟がいるな〜
《Part-2》

◎なぜノマドなのか?

本来であれば、事務所に籠るのがベストなのですが、小さい子供(小学生)をもつ2世帯住宅住まいでは、そうもいかないのです。基本は、急なお迎えにも対応できるよう、子供の帰りを待ちつつ自宅で作業するのがベターでしょう。

ところが、2世帯の家は、まったく仕事ができる環境ではありません。作業場の後ろを洗濯物を干すために往復する義理母や、庭で大音量でラジオをかけながら盆栽いじりする義理父、そのうち掃除がはじまり、あげくにはパソコンの操作の質問攻めにもあいます。

また、自分自身も落ち着きません。仕事に集中しつつも、今日は天気がよくて明日が雨なんて予報を聞くと、とたんに洗濯しなくちゃ病にかかります。また、少しでも埃が舞う状態なんてみたら、今度は掃除したい病にかかってしまうからです。

さらに、疲れがピークの納品日前後は、寝具が側にある環境はまことによろしくありません(笑)。ちょっとのつもりが爆睡してしまいます。

かなり頑強な意思をもっているのならばともかく、大抵の人はこのような環境の中で仕事はできないでしょう。私も然りなもので、そんな事情からノマドをはじめました。

場所はバス1本で行ける範囲。可能であれば、モーニング付きの喫茶店に朝から籠ります。おかわり100円のスタバも利用します。

ノマドでは、フル装備の大きなメインマシンを外に持ち出す事は不可能です。となると、基本持ち出す装備は以下のようなものです。

ノートブックパソコン(MacBookAir13インチ)、筆圧検知式タブレット、無線ルータ、鉛筆、ペン、ノート、ラフ描き用の裏紙数枚。これだけでも10kgはあります。これに財布が加わります。正直、とても重いです。

この装備でできる事を、日中のノマドでしております。平均ワーキング時間は4時間くらいです。

鉛筆ラフ(激務の時は粘土でラフ!)、ノート(ほぼネタ帳面)へのアイデア描き、テキスト打ち込み、メールやtwitter、Facebookのやりとり、ラフからPhotoshopへ取り込みと配色決め、さらに、本番作業(完成手前まではできます)。加えてskypeや携帯での打ち合わせ。

逆にノマドで何が出来ないのでしょうか。それは、メインマシンでないとできない事です。本番作業の細部の描き込み、色調の浅い絶妙に繊細なグラデーションの作成、印刷の色調に近づける色の補正作業。特に最後にあげた色補正は、ノートパソコンの液晶モニタ上では不可能です。

ノマドの合理的な点は、食事を自分で用意しなくてよい(但し、お金はかかる)、エアコン完備!(これ重要)、仕事のみに集中できる、周りに人がいるからか適度な緊張感が保てる。

ノマドの不便な点は、場所によって無線ルータが繋がらない、サブマシン用のコンセントがない所が多い。たまに変な隣人や集団に遭遇して、まったく仕事にならない。そして、長時間席を占領すると、自分の中の良心の呵責が(笑)。最後の仕上げまではマシンのスペック的に無理。

作業時間が少ないので、効率よく仕事をこなす事に集中しています。2つ3つの事を平行でやったりします。自宅の作業場でのワーキングは、22時くらいから5時間くらい。メインマシンにて主に仕上げと色補正。合間に夜食。数日に一度、がっつり眠ります。主に土日と納品の翌日です。8時起床、娘と旦那が起きていようが、とにかくこの時間までは眠っています。

【石北(花山)由理】イラストレーター
主に家電や雑貨等をキャラクターにし、photoshopで3D風ツルテカテイストで描いています。正直3Dの方が早くね? と言われそうなことやってます。
< http://www.yuri-hanayama.com/ >

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編集後記(07/12)

●三田紀房の「砂の栄冠」を8巻まで読んだ。「1000万円で甲子園を買え!」がキャッチフレーズだから、平凡なスポ根漫画や魔球漫画とは違う。埼玉を勝ち抜いて公立校で優勝、甲子園で全国制覇、そんなことは100%不可能なチーム埼玉県立樫野高校は、別ルートから甲子園出場を果たす。県大会で準優勝し、秋の関東大会に出場するが惜敗。しかし目論み通りセンバツの21世紀枠代表校に選ばれるのだ。地元の老ファンから託された1000万円を、超高校級投手でワンマン主将の七嶋が有効に使った成果である。

8巻からは甲子園が舞台だ。初戦は大会第3日、第2試合、優勝候補筆頭の大阪杏蔭高校である。初出場の無名校がどうしたら勝てるか。ここからまた、並の野球漫画とはまったく違った方向に物語が展開する。甲子園観戦のベテランは「野球の技術や体力なんて全国どこのチームもたいして変わらん。勝つか負けるかの違いはほんのちょっとした差、それは甲子園をわかっているかわかってへんか」だと言う。甲子園には魔物も神様もいるが、その神様に認められるためには「野球も応援もこれだけがんばりました。地域も学校も一丸になっています」というアピールが必要なのだ。

高校野球、特に甲子園において応援がどれだけ大切か、これを知らないと強豪校にはまず勝てない。甲子園でミラクルを起こすのはスタンドの力なのだ。試合は無能・無責任監督の采配で不利な展開。「アホな監督のせいで勝つ可能性はゼロ。こうなったらスタンドを味方につけるしかない」と甲子園観戦のベテランは言う。七嶋は仲間に、全国のファンが求める全力プレーの高校球児を「演じろ」と命ずる。七嶋は甲子園対策として、驚異的な体力スタミナ作りを進め、熱狂的な応援のためのオリジナル曲まで作ってきた。そして、とうとう来た。甲子園の宇宙空間が。おもしろい。本当かどうかわからないけど。甲子園を目指す球児たち&学校関係者はいちおう読むべし、もっともそういうデジクリ読者は一人もいないだろう。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406361977X/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー9件)

●「がに道楽」「ガメノコたわし」に爆笑した。かぶしきがいしゃもお願いします。/母の「何もしていないのに壊れた」を思い出した。/アナウンス、あるある!/花山さんだ〜。きゃ〜! 「もやし」話ラブ。10kg!「適度な緊張感」に同意。効率良くされているのがうらやましい。もうちょっと時間の使い方がうまくならないかと模索する毎日。新しいMacBook Pro 13を買おうとしたらRetina版が出るという噂が出てきたよ。うーん。迷っている間に買った方がいいとは思いつつ。

大事なメールが迷惑メール扱いになっていた。Googleチャットは、iChatを立ち上げたら(ログイン項目に入れた)、Gmail横のステータスより優先されることを知らなかった。バックグラウンドになっているから、目に見えるのはGmail横のステータスだけだったわ。重なる時は重なるね......。

パンダの赤ちゃんが死んじゃった。悲しいね。ニュースで大きく扱うなぁと思っていたら、辛坊さんが話題にしてたよ。(hammer.mule)
< http://bn.dgcr.com/archives/i/20110222140000.html >
パンダについて書いた後記
< http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/column/shinbou/news/20120710-OHO1T00150.htm >
東京初は日本初? パンダ騒動で感じた地方への無関心
< >
白浜アドベンチャーワールドの双子パンダ

< http://rocketnews24.com/2011/12/14/162178/ >
重油流出事故から救われ、海へと解放されたペンギンの姿が笑いと涙を誘う
< http://www.chrome-life.com/html5/5447/ >
HTML5、CSS3、JavaScriptをリアルタイム編集「Liveweave」
< http://zerobase.jp/blog/2012/07/client_work.html >
ウェブの「受託開発」が面白くないという8つの誤解
< http://nitosokusinn.blog.fc2.com/blog-entry-1468.html >
ドイツ車と日本車の現在における違いとは?
< http://matome.naver.jp/odai/2133408191644364701 >
会社名が変な会社まとめ
< http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120711-OYT1T00889.htm >
まるで分身...ロボットの感触伝えるシステム開発
< http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1207/11/news089.html >
丸善&ジュンク堂の店頭フェアをWebで再現 全国書店員の"魂のPOP"紹介
< http://blog.livedoor.jp/tkfire85/archives/55528228.html >
楽天市場史上、もっともレビュー数の多い最強定番商品のまとめ。
< http://jaykogami.posterous.com/x >
コールドプレイがコンサート会場で配っているリストバンドが凄い
< http://iphonefan.seesaa.net/article/280407500.html >
サンコーさんから「iPhone用バーコードリーダー」登場。欲しい! サイトへ。高っ!