デジクリトーク/誰のためのWebサービス? ターゲットユーザーを選ぶということ 辻川友紀

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こんにちは。ShareWisの辻川です。前回、ShareWisの概要について書かせていただきました。

デジクリトーク/みんないっしょに泳ぐんだ! 無料学習サイト「ShareWis」
< http://bn.dgcr.com/archives/20120709140300.html >

今回は、実際にβ版のサービスをリリースして気づいたことについて書いてみたいと思います。

●ターゲット設定ってとっても大事

新しいWebサービスをリリースするとき、そのサービスは「誰」が使うのか、いわゆるターゲットユーザーは「誰」なのかを考えることが重要だと言われています。

「そんなもん言われなくても分かってるよ!」と思うかもしれません。僕もそう思ってました。

しかし、実際に5月31日にShareWisβ版をリリースしてから、「本当に『誰』に向けてのサービスなのかを考えることが、こんなにも大事なのか!」と身をもって実感しました。

僕にターゲットの重要性を気づかせてくれたのは、「人によって言うことが全然違う」という、とてもシンプルな事実でした。




●ユーザーテストの意見も十人十色

実際にShareWisを利用しているユーザーの方々の生の声を聞こうと、ユーザーテストを実施しました。

さて、そんなユーザーテストですが、やる前から「人によって魅力を感じる部分に違いがあるだろう」とある程度予測していなのですが、実際の結果たるや、「ここまで違うのか!」と驚愕するばかりでした。

例えば、ShareWisでレクチャーを完了させたときに、「ポロリン!」と音が鳴るのですが、その機能についてある人からは「最高だ!」と誉めていただき、ある人からは「うっせー!」と耳の痛い意見をいただく、といったことがありました。

他の機能やデザインについても似たようなことが起こり、人によって意見が異なることにただただ驚きました。

また、ユーザーテスト以外にも、各種イベントでShareWisについてプレゼンテーションしたときの反応も、人それぞれでした。

ShareWisは「知識の地図」に記録を残しながら学習を進めていく無料の学習サイトですが、学習を「目標に向かって歯を食いしばって耐え忍ぶもの」というふうに考えている人(年配の男性に多い気がします)には「こんなものは学習ではない」という厳しい意見をいただき、逆に、学習をもっと気軽なものと考えている人には受けがいい、というような傾向が見られました。

望まれない機能追加、存在しないニーズを訴えかけるようなことのないよう、「誰」のためのサービスなのかをきちんと考えなくてはならないと改めて気付かされました。

●メディアにもターゲットあり

サービスをリリースしてから、幸いにもいくつかのメディアに取り上げてもらえ、掲載された記事のリンクからShareWisに登録していただいたユーザーの方がたくさんいました。

そして、ここでもターゲットの違いが如実に現れていました。あるメディアの記事から来た人は、アカウント登録後も比較的継続的にShareWisを利用してくれたかと思うと、別のメディアから来た人は登録だけして全く使ってくれない、などユーザーの動きに大きな違いが見られました(どこのメディアがどうだったかという具体的な名前は伏せておきます...)。

各メディアもターゲットとする読者が異なるため、紹介されたサービスに対する反応が違うのは当たり前ですが、実際に目に見える差をつきつけられると、やはり驚きを隠せませんでした。

メディアによる反応の差をただぼーっと見ているだけでなく、自分たちのサービスを使ってくれるユーザーの方々が、朝起きてから夜寝るまで、どのようなメディアから情報を仕入れ、その情報をどう活用しているのか、といった情報を得ることができるのではないかと思っています。

そしてそうした情報から、ターゲットとなるユーザーのイメージを描き、「誰」のためのサービスなのかをはっきりさせることができるはずです。今後もユーザーの方々からの反応を注視しながら、ターゲットのイメージを形作っていこうと思います。

●ターゲットを選択するということ

ユーザーテストやメディアのことから、同じサービスであっても、受け取る人によって捉え方が全然違うということが分かりました。「じゃあどうすんの?」といえば、そこはやはりターゲットを選択するしかないわけです。

ターゲットの選択と聞くと、サービスを利用するユーザー像を形作ることだけをイメージしがちですが、それだけではなく、やや語弊があるかもしれませんが、「こんな人には使って欲しくない」というユーザー像をを決めることも必然的につきまといます。

ターゲットの「誰か」を選ぶということは、同時にターゲットに選ばれなかった「他の誰か」を見捨てることと同じだからです。

こういうと、見捨てるだなんてひどいことをせずに、誰にでも受けるものを作ることができればベストだと考えてしまいます。しかし、誰にでも受けるものを作ることは、それはそれでやってはいけないことだと言われています。

「八方美人のビジネスは、結局ファンが誰一人いないビジネスだ」とどこかの偉い先生が言っていました(ビジネスだけでなく、音楽や映画、人の性格など色々なものにも当てはまりますね)。

Twitterでつぶやきまくっている人もいれば、あんなもの何が面白いんだ? と眉をひそめる人もいます。でも、両方の人に受けるサービスを作ろうとTwitterが躍起になっていたら、きっとつぶやきまくっている人の心も離れていってしまい、ありきたりで誰も使わないサービスになってしまっていたかもしれません。

なので、サービスを運営する者としては、色々な意見をもったユーザーがいるという事実をしっかり受け止め、その上で「誰」に対するサービスなのか、同時に「誰」に対するサービスではないのかを、腹をくくって決めなければなりません。

これからShareWisをよりよいサービスにするため、ShareWisがいったい「誰」のためのサービスなのかを、繰り返し繰り返し考え続けようと思います。

・知識の地図を使った無料学習サイト「ShareWis」
< http://share-wis.com >
(現在はGoogle Chrome、Safari、Firefoxに対応しております)

【辻川友紀(つじかわ・ともき)】
1984年生まれ。2012年2月 株式会社シェアウィズを設立。
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