[4890] 目の前の景色は◇『声優・中村悠一が語る』◇1990年代のCG・影像制作

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《いやぁ、推し活はホントにいいものですね》

■羽化の作法[95]現在編
 目の前の景色は本当にこの姿なのか?
 武 盾一郎

■LIFE is 日々一歩(108)[コラム]
 『声優・中村悠一が語る ~表現者として~』レポート
 森 和恵

■晴耕雨読[55]
 1990年代のCG・影像制作を振り返る
 福間晴耕




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■羽化の作法[95]現在編
目の前の景色は本当にこの姿なのか?

武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20191029110300.html

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近所のスーパーに歩いて買い物してる時とか、散歩とかしてる時によく思うんです。

「この目に映っているこの風景は本当はこうじゃないんだろうなあ」って。

何かにぶつかって反射してきた光の、ほんのごく一部を目で受信して脳で描像して、それを世界の姿だと思っているわけですから。

例えば、反射する光ではなくて物質や生物が発する光を描像したら、違う世界が見えそうですよね。

ちょっと意外な感じがしますが、私たちはみな発光しています。物体もです。反射した光よりもそれ自身が発する光を捉えた方が、「存在の本当の姿」に近い感じしませんか? では、どのような見え方になるのかというと、サーマルカメラみたいな感じになるのかもしれません。

〈サーマルカメラには、撮影の為の光源が一切必要ありません。通常のカメラは、物体に当たって跳ね返った光を捉えることで、映像を撮影しています。そのため、撮影には必ず光源が必要となり、その光源が少なければ少ないほど、ハッキリとした映像を映すことは難しくなります。

しかし、サーマルカメラが捉える遠赤外線は映したい物体自身が発している光の為、映像を映すのに一切の光源を必要としません。つまりサーマルカメラは、一切の光源が無い真っ暗闇でも、反対に逆光など明るすぎる場所でも、関わりなく安定して映像を撮影することができます。〉
https://systemk-camera.jp/camera-blog/knowledge/thermal.php


ちょっと、思ったより神秘的な光景にならない感じですが。でも、これで世界を描像できたら、夜でも行動できたのにね。しかし、我々ホモ・サピエンスはこの機能を搭載しせんでした。夜目が効いて他人のすかしっ屁が見えても、種の保存には役に立たなかったからでしょうかね。

「Farts on Thermal Camera - People caught farting!」


また、電磁波じゃなくて音波を受信して、空間を描像する脳だったらどんな世界なんだろう? それはコウモリやイルカの世界ですよね。

「エコーロケーション」
〈動物が音や超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなど
を知ること。コウモリ・イルカ・マッコウクジラなどで知られている。〉
https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-444407


夕焼けが静まった薄暗がりの中、すぐそばの鴨川沿いの道ばたで、コウモリが飛んでいるのをよく見かけます。同じ場所にいるコウモリと私。コウモリさんはどんな世界を見てるのでしょう。

嬉しいことにエコーロケーションは、私たちサピエンスにも備わっています。習得するのに訓練が必要なようですけど、私にもできるだろうか?

「一部の視覚障害者は、自ら発した「音の反射」から景色を“見る”ことができる──そのメカニズムが明らかに」
https://wired.jp/2017/10/21/expert-human-echolocator/


手の届かない空間を音で描像するエコロケーション、とても興味深いです。また、物体や人や樹木など、触れるものを叩いて音だけで描像する世界も、目で見る世界とは異なる描像になりそうですよね。

電磁波ではなく音で描像された世界に棲む場合、「音楽」はどんな存在になるのでしょう?

それから、すべての物質は小さなエネルギーのひもでできているとするならば、今見えているバラエティーに富んだ光景の正体は、ひもの振動だということになります。

超弦理論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E5%BC%A6%E7%90%86%E8%AB%96


本当にあるのは、「鉄筋コンクリート」とか「木材」とか「アスファルト」とか「植物」とか「鳥」とか「青空」じゃなくて、「ひもが震えてる」わけで「波」があるだけなんです。そう思うとなんか不気味で怖くないですか?

私の正体も「震えるひも」で、波の複合体なんです。この宇宙はひもが震えているだけで、目に見えている美しい光景は、私たちサピエンスの脳が盛りに盛ってインスタ映えさせてくれた、「仮初めの姿」に過ぎないのかも知れません。

手塚治虫の漫画『火の鳥 5巻 復活編』を思い出します。

「2482年のある日 ひとりの少年がエア・カーから墜落死した…」から始まるこの物語の主人公レオナは手術で生き返るのですが、人間が泥の塊のような岩に見えてしまうのです。面白いことに手触りも土くれに感じるのです。彼の主治医のニールセン博士は「もしそうだとするときみが狂ってるんだ…」と言い、手術をやり直します。それでもレオナには人間が人間に見えず、今度はトゲトゲした無機物に見えてしまうのです。そこで博士は言います。

「やっぱりそうか レオナ君 気の毒だがその原因は人工頭脳にあるらしいな なにしろ小脳全部と大脳の大半を人工頭脳と交換されたのは……前例がないのでね」

いやこれ無責任過ぎるだろ!って突っ込みたくなるのですが、そこでレオナがただ一人人間に見えたのが、ロボットの「チヒロ61298号」だったのです。

それから二人は恋に堕ちて云々〜と続くのですが、その先は壮大で切ない物語が繰り広げられますので、読んだことのない方は是非『火の鳥』全11巻+別巻をすべて読むことを強くおすすめします。

話を元に戻しますと、人間側の姿は何も変わらないけど、脳が変わると泥の塊にもトゲトゲした無機物にも見えたりするのです。つまり、私たちが見ている人間の姿も脳がそのように見せてるだけで本当のところは分からない、という設定がここにはあります。

地球上の生物にとってこの星は同じ星ですが、生物種が違えば見えている風景も当然違っているのでしょう。同じ人間でも、親しい人ですら同じ景色を前にして「まるで違う情景」を感じていたりするものです。

なので、支離滅裂かも知れませんが、「脳で創作していない生の本当の風景の姿を見てみたい」と思ってしまうのです。脳がないと見えないので無理なんだけど。

●脳がなくても見えるのか?

でも待てよ、植物に脳はない。植物は外の景色はまるで見えていないのだろうか? そんなこともない。まるで周囲が見えてるかのような「クラウン・シャイネス」という現象があります。
http://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/5/a/5a7ba1f6

『植物すげぇ!!木々の葉がお互いに譲り合った結果、空が割れたように見える「クラウン・シャイネス」現象とは?』
http://karapaia.com/archives/52200866.html


「これは樹冠が重なり合うことなく、空間を分け合う、多くの樹木が同時に成長した時にのみ起こる現象だそうだ。お互いの葉が重ならないように、『どうぞ、どうぞどうぞ』と譲り合いながら成長していく。この現象は1920年代から科学者により議論されていたが、いまだその理由は十分に解き明かされていない。」

これ、木々がコミュニケーションを取っているのは確かですよね。

一体どんな方法で? 素人が思い付くのは
1・やっぱり見えている(電磁波を感知している)
2・葉っぱから物質を放出して受け取っている(嗅覚みたいな)
3・葉っぱが揺れ擦れる時の音とか何らかの(超)音波を発して受け取っている(聴覚みたいな)
4・葉っぱが揺れる時の風を感知してる(触覚的な)
5・(気ってなんだか分からないけど)気を発して受け取っている(木だけに)

私が何分か考えて思い付いた、この中のどれかが正解だったら、もう解き明かされてますよね(笑

一体どんなメカニズムなのか、それが分かる日が近いうちに来ることを期待しましょう。

続けて植物の話を続けます。で、目の起源は植物になるらしいのです。
https://pbs.twimg.com/media/DpNC7HJUcAADose

「光合成をする遺伝子がプランクトンに移動して最初の“目”が誕生した!」そうである。

『動物の目の起源は、光を感知する植物プランクトンの遺伝子が動物に乗り移った「遺伝子の水平移行」 #又吉直樹のヘウレーカ』
https://togetter.com/li/1275554


光合成が目の起源ってのは、なんだか壮大な感じしますよね。

植物が電磁波を感知することは確かです。では、植物には世界が見えているのだろうか?

光を感じるセンサーがあっても、それらを描像する脳がないと「見える」とは呼べないのだろうか。そうすると脳のない植物に意識は芽生えそうにないが、どうもそんな気がしない。果たしてどうなんだろうか?

電磁波を感知する器官が目だとすると、皮膚だって太陽が当たったところだけ暑く感じるので、ちゃんと電磁波を感知してる。ってことは、皮膚もある意味「目」っぽい。私が世界と対峙する時、その風景を目玉だけで見ているわけではなく、全身の皮膚でも見ている。

本当は「全身で見て」「全身で聞いている」。世界は私の全身。

てことは、ひょっとしたら目の前に広がる風景は《私》ってことなのか?

私はあなた。あなたは私。。。

そんな考えごとをしてると、気が付いたらスーパーでシュークリームを買っていたりするんです。でもちゃんと「20%引き」のを選んでるので、多分まだ大丈夫。(つづく)


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/飲酒復活】

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・武盾一郎
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◎アーティストとアートファンを繋ぐプラットフォーム「メセロ(mecelo)」に、私のページができました! 応援よろしくお願いします! インタビューもあります。
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インタビュー前半
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インタビュー後半
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◎装丁画を担当しています! 『星野智幸コレクション・全四巻』(人文書院)
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星野智幸コレクションIV フロウ
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■LIFE is 日々一歩(108)[コラム]
『声優・中村悠一が語る ~表現者として~』レポート

森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20191029110200.html

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こんにちは、森和恵です。日帰りで横浜まで《推し活》してきた翌日で、お尻が痛いです(新幹線とイベントで座りっぱなし)。

それはそうと、技術書典7で頒布した本の通頒をしております。WordPress×Dreamweaver本が人気のようで、うれしいです。どうぞよろしくお願いします。
https://r360study.booth.pm/


※同人の世界では、頒布本を通販することを《通頒(つうぶん。通信頒布の略)》と言うそうです。最近知って「ほ~」となりました。

さて、今回は、参加したセミナー『声優・中村悠一が語る~表現者として~』のレポートをお届けします。

中村悠一さんは、わたしの大好きな声優さんの一人です。

アニメだと《マクロスフロンティアのアルト》や《おそ松さんのカラ松》、今期クールだと《PSYCHO-PASS3の炯・ミハイル・イグナトフ》や《バビロンの正崎善》、吹き替えだと《アベンジャースのキャプテン・アメリカ》を演じていらっしゃいます。

http://www.sigma7.co.jp/profile/m_51.html


出演する作品の数も多く人気も非常に高い声優さんで、ご出演のイベントが開催されるとなると……まずチケットがとれません(号泣)。

わたしも機会があるだけ果敢にチャレンジし、「お席がご準備できませんでした(落選の意)」という悔しいメッセージをなんどとなく受け取ってきました。

ある夏の日。裏アカのTwitterタイムラインをふと見てみると、こんなツイートを発見しました。



チケットは先着順らしく、その場ですぐクレジットカードを切って申し込みました(その間5分)。

無事にお席は確保でき、浮かれまくりました。やった! 1時間半もたっぷりとお話を伺うことが出来る! と舞い上がったものです。



午前11時頃にツイートがあり、わたしが申し込んだのが午後3時半。情報が告知されてから、5時間程度で申し込みをしたのだから、さぞかしよい席だろうと思いきや……177番。後ろから2列目という結果でした。

でも、普段ならお席が準備されないのが当たり前の世界。幸せをかみしめながら、大阪から横浜まで新幹線日帰りで、超おめかしして、参加してきました。

NHKカルチャーセンターの講義ということで、200名近く集まった参加者の方々も、落ち着いた服装で静かな物腰でした。教養(カルチャー)溢れんばかりの雰囲気の中、セミナーが始まりました。

後ろの席だったので、お顔はほとんど拝見することが叶いませんでしたが、その分、よいお声とお話に集中することができました(プロジェクターにお顔を映してくださって、セミナー運営のNHKカルチャーさんには本当に感謝です)。

お話の内容をそのまま書いてしまうと、別の機会に受講される方のネタバレにもなりかねないので、ノート20ページ以上にわたる講義ノートから、私が勉強になったと思う事柄を、主観を交えてまとめようと思います。

※これから書くことをそのまま中村さんがお話ししたわけではなく、前後をつなげて「たぶんこういうことが言いたかったのでは?」という推察を交えております。ご了承のほどを。

《 役を演じる上で大切にしていること 》

中村さんはオーディションの段階で、受ける役を研究し、演技プランを作り込んで挑みます。

オーディションで合格すれば、自分の演技プランが見初められたということになるので、現場に入ってからもあらかじめ立てたプランで演じるのだそうです。

しかし、現場に立って実際に作品を作っていく過程で、その演技プランがよりブラッシュアップされ、固まっていくと語られました。

○作品は、役者・スタッフ・プロデューサーなどの、チームで作り上げていくもの。自分ひとりで作るのではないので、うまく回るように場を見て、和音を奏でるように自分の役割を探っていく。

○オーディションのときと違い、役者同士で演じあったときに作品全体のバランスをみて、演技プランの微調整が必要になる。

○その時々で与えられた情報はかぎられていて、見えない部分は演者自身が探って想像し、生み出すもの。最初の役作りは声優の裁量に任されることが多い。情報が少ないのは、スタッフが意地悪で教えないのではなく、スタッフの思惑や意図があったり、役者がどう出てくるのかを見てスタッフの想像を超えてくるのを待ってたりすることもある。

……など、現場での作品作りの様子をうかがう中で、中村さんご自身が、チームで協業しながら自分も出し、作品を作っていくのを本当に楽しく感じていらっしゃるのがわかりました。

『アフレコの現場が好きで、作品の中で生きることが好き』と語られていましたが、演じることが大好きでこの仕事に就いたのが、本当によく伝わりました。

アフレコ現場を『役者とスタッフの発表会』と表現していた中村さん。チームで協業しながら、よい作品を作り上げることに情熱を注がれているんだなと思いました。

ふと、私自身を思い返すと、ひとりで完結する仕事ばかりをしてきたように思います。

今回のお話を聞き、私はたくさんの人でひとつの仕事をするような経験を経ていないので、思慮が足らずに薄っぺらな人間なのだなと感じました。

機会があれば、チームで協業するような仕事もしてみたいと思います。

《 これから声優になる人へのアドバイス 》

○声を張る役が多く副鼻腔炎を煩ってしまい、それが原因で思った声の出ない時期がある。後々になって思うのは、自分を守るのは自分しかないので、ケアをしっかりすることが大切だと思う。無理をして仕事をしない、ジムに行くなどして体幹を作るなどを心がけた方がよい。

○オーディションに合格するのは『運』。役にあった人間か、まわりとのバランスはどうか、話題性・集客性があるかなど、実力以外の要因で決まることが多い。そんな中で、役者の本領であるお芝居を当たり前に出来るようになって、さらに『+α』をつける必要がある。

○役を単に演じるだけではなく「あの人が演じたから、××がよかったよね」と言われるような、僕だからできることを考えて仕事をしてきた。それに加えて最近は、イベントなどで個人としての人間性を出すことも増えたので、人としてのパーソナリティ・特徴を出すことも必要だと思う。

○自分は『ネガティブでポジティブ』。すぐ悪い方向に考えが及ぶけど、自分の中で消化して、すぐに次に行くようにしている。ストレスをずっと持ち続けないように。

○いろんなことを見聞きして自分に取り入れ、リソースを増やしておく。いざというときに「わたしは××ができます!」と言えるように、セールスポイントをハッキリさせておく。

お話を伺うなか、これは声優さんへのアドバイスというだけでなく、仕事人として生きていくためのアドバイスだなと感じました。

中村さんはもうじき40歳だそうで、私より10歳ぐらい年下なのですが、思慮深く考えてひとつひとつのお仕事をされ、今日があり、成功されたんだなと感じました。

見習うところがたくさんありすぎてどうしよう? と焦りますが、仕事の姿勢をできるだけ正していきたいなと思いました。

こうして1時間半の時間はあっという間に過ぎました。

イベントなどでお話しされる中村さんは軽口が多くて、真剣なお話を避ける感じに見受けられていたのですが、今回はすごく真剣なお話が聞けたように思います。

インタビュー形式で行われた今回のセミナーですが、質問される度に目線を上にしつつ熟考されて、静かに話し始めるのが印象的でした。

考えが固まって話し始めると、身振り手振りも増えて熱く話されている感じが、仕事人としての中村さんの素の考えがうかがえたようでした。

最後のあいさつで、起立して、会場全体を見渡すように話してくれたのが、後ろの方でお顔が見えなかったファンの気持ちをくんでくれたようで、すごく嬉しかったです。

その際、真剣な話をしたのが照れくさく感じてしまわれたのか、少しはにかんだ感じだったのを見て、私を含め、その場にいた人の心をつかんで離さなかったのも書き加えたいと思います(余計なことかもしれませんが、ホントに幸せな気分になりました)。

いちファンとしてのセミナーへの参加でしたが、仕事人として自分の姿勢を振り返る点が多く見つかり、大変勉強になりました。ありがとうございました。

……話はまだまだ尽きませんが、今回はこの辺で。いやぁ、推し活はホントにいいものですね。

ではまた、次回お目にかかりましょう!
(^^)


【森 和恵 r360studio ウェブ系インストラクター】
mail:r360studio@gmail.com
サイト:http://r360studio.com/



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■晴耕雨読[55]
1990年代のCG・影像制作を振り返る

福間晴耕
https://bn.dgcr.com/archives/20191029110300.html

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むかし関わった会社がきれいさっぱりなくなってたり、当時は業界内では誰もが知っていたことが、今では誰も覚えてなかったりしてることに気がついたので、もう古参のCG業界人しか覚えていない話を、備忘録代わりに残しておこうと思う。

学生時代からのことなので、自分がCGに関わり始めたのはずいぶん昔になる。当時(1990年代)は、個人でもようやく影像制作用のソフトに手が届くようになりつつあり、これまで数千万かけて機材を揃えなければできなかったCGやビデオ編集が、個人でもできるようになるのではと騒がれた頃だった。

当時、テレビではフジテレビ系列で「ウゴウゴルーガ」という番組が放送され、このCG部分がパソコン(アミーガ)によって作られていたことは、業界人やCGを趣味でやっていた人達に衝撃を与えたものだった。

当時の自分の日記を振り返ると「これでようやく個人でCG製作ができる時代が来た。これで一人で映画を作ったり、(これまでプロダクションレベルでしかできなかった)影像制作の仕事を、個人でできるようになるに違いない」と語っているのに、自分でちょっと驚かされる。

そう、当時は皆バラ色の未来を夢見ていたのだ。バラ色の未来と言えば、作り手側もそうだった。1994年にはちょうどPlayStaionが発売され、CGを作れる人間は引っ張りだこの状態だった。そして日本初の多くのソフトは全世界に売り出されていた。

当然、自分もPlayStationのゲーム開発に加わって、「自分の作ったものが全世界でプレイされる」のを夢見ていた。当時の自分の労働時間を振り返ってみると、どうしてこんなペースで働けたのか判らない程だった。

なにせPlayStationのゲーム開発をしながら、雑誌の連載を抱え、更には個人でも影像制作の仕事を受けて、更に個人でプロモーションビデオまでも作っていたのだ。

テンションが高かったのはゲーム業界だけではなかった。今では信じられないかも知れないが、当時はまだCGソフトも多くのソフトが乱立し、そのいくつかは日本で開発されたものだった。

まだどのハードやソフトが勝ち組になるか、誰にも判らない時代だったのだ。そして、それは開発する環境側も、ソフトを遊ぶためのプラットフォームも同様だった。

ゲームやTV・映画以外も同じだった。まだバブルの余韻があったことから、建築シミレーション用の影像の需要が高まりつつあり、また多くの建築事務所がちょうどCAD・CGを導入しようとしていたからだ。そして、当然ながらCAD・CGソフトでも、多くの国産メーカーが参入を計っていた。

あれから20年近くが過ぎた。当時、同じ業界で働いていた人達の多くは、Webやスマートフォンなどの新しい仕事に移ったり、元の業界へと戻っていって、半分以上も残っていない。

当時、精力的に働いていた人達も働き過ぎのせいか、体を壊して引退したり、亡くなったりしてしまった。そして、当時設立された会社もまた、倒産したり吸収合併されてなくなった所もある。CGソフト会社の多くもAutoDeskに吸収され、今はAutoDeskの一人勝ち状態になっている。

仕事としてのCGは寂しくなってしまったが、VRoidやNMM(ニコニコムービーメーカー)コンテストなど、個人のCG製作はむしろこれからが盛況だ。願わくば、これが仕事としてのCGに繋がってくれればと思っている。


【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/


HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。


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編集後記(10/29)

●偏屈BOOK案内:ジェイソン・モーガン
「アメリカン・バカデミズム 『反日』の本丸アメリカを撃て!」

表紙カバーも刺激的だ。〈「『反日』は韓国・中国だけじゃない!」「アメリカのバカども(リベラル)が「反日」をつくりだす諸悪の根源である〉。バカデミズムという言葉は、当然、造語である。大学の思想・学問の特徴を表す言葉にアカデミズム(academism)がある。最初の一文字を変えるとバカデミズム。アメリカの大学のバカ(愚か)な思想・学問、という意味を込めている。

あらゆる伝統、歴史、常識などを拒んで、自分の頭の中で空想した“ファンタジー”の世界を、実際に存在している世の中に書き写そうとすることこそアメリカン・バカディズムなのだ。その考えに逆らうものは絶対に許さない、とんでもなく偏った非常に危険な考え方である。現実から逃避して自分の頭の中に勝手に組み立てた世界に住もうとする、一種の精神病だ。これが蔓延している。

筆者は長年、アメリカン・バカデミズムの陣内で暮らし、日本人が想像しているアメリカの学会、学問、大学の様子とは180度違うとんでもない状況に陥っている現状を毎日見てきた。もはや笑っている場合ではないと、その実態を暴露する彼は、麗澤大学外国語学部准教授、歴史学者、日本史研究者である。

今のアメリカには、かつてあった批判精神がなくなった。あるのは自分の意見や思想に反するものへの、言葉や力による直接的な暴力、攻撃だけだ。ブラックジョークの冗談が通じない、知識の乏しいバカ学生ばかりになった。その原因は30年ほど前から大きく取り上げられるようになった、ポリティカル・コレクトネス(PC:性別、人種・民族・宗教などに基づく差別や偏見を防ぐ目的で政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用すること)である。

諸説あるが筆者が調べたところ、おおもとは文化マルクス主義のようで、PCという言葉自体は、おそらくスターリンの発明だろう。党の意志に沿う政治的発言がPCである。それ以外の発言は攻撃対象になり、今アメリカはPCが吹き荒れている。PCが一般市民の意識に入ってきたのはクリントン大統領が登場した頃で、それから英語自体が変わってきた。純粋な英語が使えなくなったのだ。

英語で背の低い人を short と言うが、それは失礼だということで vertically challenged と言うようになった、ってホンマかいな。和訳すると「垂直方向に努力を要する人」となる。「背が低い」のは縦的な障害というわけだ。その言い方こそ差別だろうが。「こうした『運動』は英語自体を歪める政治的な考え方で、言葉狩り、思想狩りといえるでしょう。純粋な英語を使えなくなっているのが、アメリカの現状なのです」。大学が言葉狩りの拠点になっている。

筆者は州立ウィスコンシン大学の大学院に入学する前に、自分の意見を述べたことで、リベラルとは相容れない「札付き」になった。大学丸ごと、洗脳機関になっていたからだ。実はアメリカの大学で一番怖いのはレズビアンだという。ゲイはまだ穏やかに話し合いができるが、レズビアンは感情的かつ好戦的な人が多く、本当に怖い思いをした。それがアメリカの大学の現実だという。

ハーバード大学ロースクールはアメリカのトップ=世界のトップレベルだが、性犯罪に関する法律の授業中に「レイプ」「性的暴行」といった言葉を使うなと学生に注文される。「性犯罪に関するあらゆる言葉を使わないでくれ」とまで言うんだから、君らはなにを学習しに大学に来ているんだ。法律を学ぶのに必要な言葉が使えない法学部なんて。学生はここまでおかしくなっている。

イェール大学の某教授夫妻は左翼だが、二人を取り囲んで脅す学生達も左翼だ。「真実に基づいてディベートしましょう」と言っているのに、学生たちは「お前らはこの大学から出たほうがいいぞ。さもないと身の保証はできない」と激昂している。大学の職員も学生も人の話に耳を傾けない。アメリカに留学希望の日本の優秀な学生たちよ、この本読んで考え直した方がいいぞ。続く(柴田)

ジェイソン・モーガン「アメリカン・バカディミズム 『反日』の本丸アメリカ
を撃て!」2019 育鵬社 扶桑社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07WZR3TX6/dgcrcom-22/



●裏アカ楽しそう……。/「セールスポイントをハッキリさせておく」。勉強になります。/福間さんのハードワークすぎますっ。

/「れもん、よむもん!」の続き。山田詠美さんは、はるなさんのこの連載を読んでいて、ある時自分の本が紹介されたことに驚き、その内容に涙されたそう。解説を引き受けられたのはそういう経緯があったからなのね。何これ、私も泣く。

「ぼくは勉強ができない」を久しぶりに手に取った。「ぼくは思うのだ。どんなに成績が良くて、りっぱなことを言えるような人物でも、その人が変な顔で女にもてなかったらずい分と虚しいような気がする」という一文で、自分の持つ価値観がガラガラと音を立てて崩れていったのを覚えている。

「人々に無垢だと思われているものは、たいてい、無垢であるための加工をほどこされているのだ」「白いシャツは、白い色を塗られているから白いのだ」「純粋な少女は、そこに価値があると仕込まれているから純粋でいられるのだ」という文章にも衝撃を受けた。まわりにそんなこと言う人なんていない。

その後、詠美さんの他の本を読み、大人の階段を上ったような気がする(笑)。とはいえ、記憶力に乏しいので、いままた読み返したら、違うところが印象に残るのかもなぁ。続く。(hammer.mule)

れもん、よむもん!
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07GZR273K/dgcrcom-22/

老眼の方にはKindle版をおすすめします……

ぼくは勉強ができない
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00Y0A8TZY/dgcrcom-22/