[0837] 御社のページ単価はいくらですか?

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0837    2001/04/09.Mon発行
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 <回転寿司になりませんかねー>

■デジクリトーク
 御社のページ単価はいくらですか?
 神田敏晶

■デジクリトーク <投稿>
 Webデザインとはお寿司なんです説
 内藤あんも

■展覧会案内
 藤井啓誌デジタルイラストレーション展「Sketch」

■展覧会案内
 ウイリアム・モリスの「ケルムスコット・プレス」全完本



■デジクリトーク
御社のページ単価はいくらですか?

神田敏晶
https://bn.dgcr.com/archives/20010409110100.html
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KNN神田です。

パイナップルカンパニーのCOOとしての業務も一ヶ月を経過し、ようやくサイ
クルに慣れはじめた頃です。

WEB制作の業務の部分では、コンサルティング・パートを担当したりしている
のですが、日々WEB制作の現場で、疑問を抱くことは非常に多いのです。実際
の制作の現場を見ることで、WEBについてまだまだ勉強する必要性を感じさせ
られます。

朝、いきなり電話がかかってきて、名前も名乗られず、「御社のページ単価は
いくらですか?」みたいな電話です。また、口頭でいきなりURLを伝えられ、
その場で「この程度のWEBはいくらでできるか?」と聞かれます。

ついついページを見ている自分もそうなのですが、こんな電話を受けてしまっ
たことを後悔しながら、「ページ単価と突然言われても、何ページを想定して
考えて思っておられるのかも、しかもそんなにページ数が果たして必要なのか
も検討しなければなりませんし、失礼ですが、URLにあるこのようなサイトは
お作りしていないのです…」とお断りさせていただきました。

ページ単価といわれても、ページ単位で仕事をしていないので即答はできませ
ん…。また無意味なカート・システムも…。

WEBの世界で、いつからか、ページ単価という謎の価格体系が浸透しているよ
うでもあります。安いところでは1000円以下というところも。学生でもできる
パートであれば、数百円でもページ制作単価は可能であると思います。高校生
のいいアルバイトが、いまやサイト制作というのも現実でしょう。大学時代の
サイト制作アルバイトから起業しているベンチャーも数多くあります。そのう
ち、中学生や小学生がアルバイトでサイト制作に励みだすかもしれませんね。

結果として、ページ単価をはじくにしても、お客様のWEBでやりたい事のニー
ズを分析する必要性があります。「こんな感じのサイトにしたい…」というリ
クエストをよく受けますが、これは「藤原紀香のような髪型にしてください」
と変わらないリクエストかもしれません。カットであれば数ヶ月あれば元に戻
って、違うカットを楽しむことができるのですがWEBサイトでは、そうはいき
ません。

むしろ、なぜ藤原紀香のようにしたいのかの心理的な側面を知る必要があるの
です。春だからイメージを変えたかったり、海外旅行に行くとか、変化を求め
ている相手の心を読み取る必要があります。まだWEBの方が、女性が髪型を変
えたい理由よりも明確にヒアリングできるチャンスがあるので、クライアント
が望む"真"の理由と目的をキャッチできれば仕事の大半は終わったといっても
過言ではないでしょう。

あとは、その変えたい理由と目的を達成するのに、企画とスペックと予算とス
ケジュールを調整する作業を経て、はじめて概算見積もりが出せ、結果として
そこからページ単価を算出するという結果となります。

なので、ページ数が少なければページが数百万になったり、データーベースで
あれば数十円になったりという計算になってしまいます。これでは、ほとんど
サイト制作コストを見極める手段とはいえません。

10数年前に、広告・マーケッター時代に請負型でクライアントを担当していた
記憶をたどりながら、お客様のニーズ分析と海外取材の両方を受け持つ日々で
す。企業がWEBサイトを構築する理由はさまざまではありますが、5年前と比較
して、その重要性に気づいているところは非常に増えてきております。

まだまだe-Businessの言葉に踊らされているばかりのところもありますが、依
頼のほとんどが、現在のWEBサイトでの不都合な点なので、考え方を整理する
だけでも解決の方向性は見えてくるようです。

単なる印刷物の会社案内をアップしていた時代から、広報・宣伝ツール、販売
促進ツール、営業ツール、在庫管理、仕入れ先開拓、売り先開拓、調査・マー
ケティング、顧客嗜好の変化、顧客コミュニティ、アフリエイト、アグリゲー
ション、さまざまな展開をWEBは見せはじめています。

ページ単価の後にくるのが、WEBの企画上のスペックです。高額商品にショッ
ピングカートがなぜ必要なのか? メールマガジンを発行する理由は? 掲示
板を立ててメンテナンスがフルに可能なのか? いろんな企画上のスペックを
検討する必要があります。

さらに、制作した後のサイトをどうやって広めていくかというところも案外考
えてられないようです。プロモーションやPR・広告なしでサイトにトラフィッ
ク数を集めるには、タコベルのミールキャンペーンのような企画をやらなけれ
ばなりません。
http://4.18.84.31/3company/2business/mir4.htm

フランス料理を食べてワインに金をかけないのでは、その醍醐味が味わえませ
ん。しかし、安くていいワインを選ぶことは十分に可能なのです。海外のサイ
トが予算の半分をプロモーションに費やしているのは、使いすぎといえますが、
日本でももう少しサイトのプロモーションに費やすか、もしくはメディアが騒
ぎ出すようなセンセーショナルな話題が必要かも知れません。

さてさて、新学期も始まり、最新のテクノロジーをキャッチアップする日と日
本のe-Businesssを構築する地道な日に、今週からは新たに"空手"という新し
いメタファーをフィーチャーすることになりました。

濱村デスク、よろしくお願いします! 押忍!

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mailto:knn@rr.iij4u.or.jp

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■デジクリトーク <投稿>
Webデザインとはお寿司なんです説

内藤あんも
https://bn.dgcr.com/archives/20010409110200.html
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去年P-Nuts展のリレー連載で登場させていただいた、内藤あんもと申します。
(今年も開催するようですので、その節はよろしくお願いいたします。)

今回は、「日刊デジクリ[#834] Webデザイナーの憂鬱」を読んで共感し、投
稿することにしました。

いちおーフリーという立場で、自宅でWebデザインやHTMLコーディング、FLASH
ムービーの制作等をして日々の糧を得ています。

主婦ではないので(♂です)、そういったイメージでというのはないのですが、
どうもWebデザインはカンタンにできるというイメージが広まりつつあるよう
で、悲しい言葉を聞くコトがあります。

そんな時に、おいらのする例え話があります。たまに成功するコトもあります
ので、気に入ってくれる方がいらっしゃいましたら使ってみて下さい。

その名も、「Webデザインとはお寿司なんです説」です!!

金額を告げて(見積りを見て)「高いですねぇ~。こんなにするんですかぁ~」
などと言われます。まあこれは別にいいんですが、さらに「 知り合いに頼ん
だら、タダで作ってくれますよー。最近はダレでも作れるって言うじゃないで
すかー」などと追い討ちをかける人がいます(Webに明るくない人ほど、こー
ゆーコトを言います)。

この人は、自分の仕事に誇りがないんだな~。
あったら人の仕事をこんな風に言えないだろーに。
と、ちょっと悲しくなりつつ話し始めます。

「お寿司は好きですか?」と聞くと大抵の方は、「好きですよ」と答えます。
※「嫌いです」と言われると、話が終わってしまいます。注意しましょう。

何を言い出すんだ? という顔をされるので、「あのですねー。Webデザイン
というのは、お寿司と一緒なんですよ」と切り出します。

「確かに、誰でも作れると言うのは本当です。今日あなたがソフトと素材集に
参考書の一冊でも買って帰って、一月も頑張ればそれなりにカタチにはなると
思いますよ」

興味を持ってくれそう(話を聞いてくれそう)な場合、たたみかけます。

「でもそれは、近所のスーパーで材料を買って来て家庭で作る手巻き寿司なん
ですよ」

「知り合いがタダで作ってくれるモノというのは、料理上手な親戚のおばちゃ
んが作ってくれる太巻きなんですね」

「で、お金を払って食べるにしても、コンビニの弁当コーナーにもあれば、
持ち帰り専門店や回転寿司から、銀座の超高級店まであるワケです」
(行ったコトないですケド)

「つまり、どんなWebサイトにするかというのは、お客様をどんなお寿司でお
もてなしするのか? というコトなんです。仲間内でワイワイやるなら手巻き
寿司もいいですし、チョットしたお客様なら地元のお寿司屋さんから出前を取
ったり、大きな商談だったりしたら銀座でとかってなりますよね? それと同
じコトなんです」

そして、「ちなみにこのお値段は、地元の商店街にある回っていないお寿司屋
さんくらいです。それなりに修行した職人さんが握ってるんだけど、それほど
高くないという。そりゃあ、回転寿司とかと比べたら高いですけどね」と、し
めます。

後は相手次第です。納得してくれる人もいれば、納得しかねる表情で「回転寿
司になりませんかねー」と言い出す人もいます。

納得してもらえた場合でも金額については、“社内で検討”されちゃう場合が
ほとんどなんですけどね。(しかも通らない...苦笑)

【内藤あんも】 自称生きる化石
今年もP-Nuts展に出展予定。でもまだ何にも考えていない。やばいぞ。
<http://www.anmo.to/>

P-Nuts展
http://www.p-nuts.net/

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■展覧会案内
藤井啓誌デジタルイラストレーション展「Sketch」
http://homepage.mac.com/hfujii/
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「東京をデジタルカメラとマウスでスケッチしてみたら。」
NHK教育テレビで放映中「あなたのパートナー」のタイトルイラストの制作等
で活躍しているイラストレーター藤井啓誌が、自身の住んでいる街東京をコン
ピュータのマウスを自在に操って表現した作品展を開催する。そのポップでヒ
ューマンな作風は、普段見慣れた街を新鮮に感じさせている。Webサイトでも
展覧会の作品の一部や、ギャラリーの地図がみられる。
 
会期 4月24日(火)~29日(日)12時~19時(最終日18時)
会場 表参道の同潤会アパート内「ギャラリー80」入場無料
   東京都渋谷区神宮前4-12-2-103 TEL.03-3408-2982
   JR原宿駅より徒歩10分、地下鉄表参道駅より5分。オリエンタルバザー
   向かい。

・ふじいひろし hfujii@mac.com
ディジタル・イメージ会員。JAGDA会員。CGクリエイターズ年鑑、ディジタル
イメージ作品集、玄光社イラストレーションファイル等に作品収録。今までの
仕事、著書「だいすきです」パルコ出版刊、テレビ(NHK「今夜もあなたのパ
ートナー」オープニング、ロッテ)雑誌表紙(日経ネットナビ、プチタンファ
ン、ビックコミックゴールド、週刊東洋経済、ケイコとまなぶ、別冊ピア、ポ
パイ、ユリイカ等)ポスター(JTB,松下電器、ANA、ソニー、劇団四季、花王、
等)雑誌広告(ツムラ、味の素、松下電器、等)カレンダー(NTTファシリテ
ィーズ、アドビweb、パルコ)

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■展覧会案内
ウイリアム・モリスの「ケルムスコット・プレス」全完本
http://www.morisawa.co.jp/gallery/MOTS/motsj.html
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会期 4月10日(火)~ 5月31日(木)10時~18時 日祝休 4/29~ 5/6休館
会場 モリサワ・タイポグラフィ・スペース
   東京都新宿区下宮比町2-27モリサワビル1F Tel.03-3267-1231

モリサワコレクションが所蔵するウイリアム・モリスの「ケルムスコット・プ
レス」全完本を展示。 19世紀末にイギリスのウイリアム・モリスが「理想の
書物」の実現をめざして設立した「ケルムスコット・プレス」。そこから生み
出された書物群は、現在もなお世界でもっとも美しい印刷芸術と評価されてい
る。 この展示では、世界の三大美書のひとつといわれる「チョーサア著作集」
をはじめ、試し刷りを含む53タイトル66冊のすべての刊本と、バーン=ジョー
ンズ、ウイリアム・モリスの下絵等を一堂に公開する(5年ぶりに2度目の公開
展示)。

初日の10日には記念講演会とオープニング・パーティが開催される。
・記念講演会
日時 4月10日 16:00~17:30
会場 モリサワビル9Fホール(先着70名)
講師 高宮利行
テーマ 21世紀に受け継がれるモリス「理想の書物の精神」
・オープニング・パーティ 17:30~19:00

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■編集後記(04/09)
・昨日はぽかぽかいい陽気なので、仕事を放りだして自転車で散歩に出た。浦
和の須原屋に行ったら、まだ開店前だった(ばかだね~)。新刊をチェックし
てから、ブックオフに行った。この商売は出版業界にとっていろいろ問題を投
げかけていて、わたしも好きじゃないが、とりあえずユーザーとしては便利だ。
めあてのマンガが見つからないので100円均一の書棚を覗くと、どうしてこれ
を100円で売るのかというたぐいが続々。この店で売れ残りがこの棚に来るの
だ。買いましたよ、トンデモ本を。新刊では買うのをちゅうちょするような。
ユダヤ陰謀説系が2冊、貞子系、クトゥルー系、ゴジラ系。そして手塚治虫と
爆笑問題の非トンデモも。計8750円を735円で。ご機嫌で帰宅。  (柴田)

・井上さんのデジクリトークでを読んでうなずく。会社を作れば信用してくれ
るだろう、という裏に、だから会社として動いている人達は信用なくすような
ことしないでね、というのがある。webは素人でも作れるからこそ、企業はち
ゃんとデザイナーに発注して欲しいのだ。予算がない、というクライアントは、
結局のところwebを信じてないんすよね。出した分を取り戻すくらいの気合い
で取り組んでほしい。素人が作れるからこそ、ちゃんとしたデザイナーに頼ま
ないと。概して、資金投入の多いところほど、会議の準備や市場調査なども完
璧で、納期に余裕があって、完成後にごねたりはしない。ページを入れ替えろ
だの、イメージと違うなどと二転三転することはない。担当者も必死だから。
発注時に完成図は出来上がっているし、こちらとのすり合わせも出来ている。
要求されることは多いけれど、他の仕事断ってでも専念できるから、いいもの
ができるし、立場としてやりやすい。つづく。       (hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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