御社のページ単価はいくらですか?
── 神田敏晶 ──

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KNN神田です。

パイナップルカンパニーのCOOとしての業務も一ヶ月を経過し、ようやくサイクルに慣れはじめた頃です。

WEB制作の業務の部分では、コンサルティング・パートを担当したりしているのですが、日々WEB制作の現場で、疑問を抱くことは非常に多いのです。実際の制作の現場を見ることで、WEBについてまだまだ勉強する必要性を感じさせられます。

朝、いきなり電話がかかってきて、名前も名乗られず、「御社のページ単価はいくらですか?」みたいな電話です。また、口頭でいきなりURLを伝えられ、その場で「この程度のWEBはいくらでできるか?」と聞かれます。

ついついページを見ている自分もそうなのですが、こんな電話を受けてしまったことを後悔しながら、「ページ単価と突然言われても、何ページを想定して考えて思っておられるのかも、しかもそんなにページ数が果たして必要なのかも検討しなければなりませんし、失礼ですが、URLにあるこのようなサイトはお作りしていないのです…」とお断りさせていただきました。

ページ単価といわれても、ページ単位で仕事をしていないので即答はできません…。また無意味なカート・システムも…。

WEBの世界で、いつからか、ページ単価という謎の価格体系が浸透しているようでもあります。安いところでは1000円以下というところも。学生でもできるパートであれば、数百円でもページ制作単価は可能であると思います。高校生のいいアルバイトが、いまやサイト制作というのも現実でしょう。大学時代のサイト制作アルバイトから起業しているベンチャーも数多くあります。そのうち、中学生や小学生がアルバイトでサイト制作に励みだすかもしれませんね。

結果として、ページ単価をはじくにしても、お客様のWEBでやりたい事のニーズを分析する必要性があります。「こんな感じのサイトにしたい…」というリクエストをよく受けますが、これは「藤原紀香のような髪型にしてください」と変わらないリクエストかもしれません。カットであれば数ヶ月あれば元に戻って、違うカットを楽しむことができるのですがWEBサイトでは、そうはいきません。

むしろ、なぜ藤原紀香のようにしたいのかの心理的な側面を知る必要があるのです。春だからイメージを変えたかったり、海外旅行に行くとか、変化を求めている相手の心を読み取る必要があります。まだWEBの方が、女性が髪型を変えたい理由よりも明確にヒアリングできるチャンスがあるので、クライアントが望む"真"の理由と目的をキャッチできれば仕事の大半は終わったといっても過言ではないでしょう。

あとは、その変えたい理由と目的を達成するのに、企画とスペックと予算とスケジュールを調整する作業を経て、はじめて概算見積もりが出せ、結果としてそこからページ単価を算出するという結果となります。

なので、ページ数が少なければページが数百万になったり、データーベースであれば数十円になったりという計算になってしまいます。これでは、ほとんどサイト制作コストを見極める手段とはいえません。

10数年前に、広告・マーケッター時代に請負型でクライアントを担当していた記憶をたどりながら、お客様のニーズ分析と海外取材の両方を受け持つ日々です。企業がWEBサイトを構築する理由はさまざまではありますが、5年前と比較して、その重要性に気づいているところは非常に増えてきております。

まだまだe-Businessの言葉に踊らされているばかりのところもありますが、依頼のほとんどが、現在のWEBサイトでの不都合な点なので、考え方を整理するだけでも解決の方向性は見えてくるようです。

単なる印刷物の会社案内をアップしていた時代から、広報・宣伝ツール、販売促進ツール、営業ツール、在庫管理、仕入れ先開拓、売り先開拓、調査・マーケティング、顧客嗜好の変化、顧客コミュニティ、アフリエイト、アグリゲーション、さまざまな展開をWEBは見せはじめています。

ページ単価の後にくるのが、WEBの企画上のスペックです。高額商品にショッピングカートがなぜ必要なのか? メールマガジンを発行する理由は? 掲示板を立ててメンテナンスがフルに可能なのか? いろんな企画上のスペックを検討する必要があります。

さらに、制作した後のサイトをどうやって広めていくかというところも案外考えてられないようです。プロモーションやPR・広告なしでサイトにトラフィック数を集めるには、タコベルのミールキャンペーンのような企画をやらなければなりません。
http://4.18.84.31/3company/2business/mir4.htm


フランス料理を食べてワインに金をかけないのでは、その醍醐味が味わえません。しかし、安くていいワインを選ぶことは十分に可能なのです。海外のサイトが予算の半分をプロモーションに費やしているのは、使いすぎといえますが、日本でももう少しサイトのプロモーションに費やすか、もしくはメディアが騒ぎ出すようなセンセーショナルな話題が必要かも知れません。

さてさて、新学期も始まり、最新のテクノロジーをキャッチアップする日と日本のe-Businesssを構築する地道な日に、今週からは新たに"空手"という新しいメタファーをフィーチャーすることになりました。

濱村デスク、よろしくお願いします! 押忍!

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