KNNエンパワーメントコラム 次世代ウェブはテレパシー志向
── 神田敏晶 ──

投稿:  著者:


KNN神田です。

twitter.com や tumblr.com の登場によって、いくつかの次世代のウェブトレンドが見えてきたようだ。

twitter.com が今年になって爆発的な普及をなした理由はなんだろう? それは、プログラマーたちがこぞって便利なアプリケーションを開発はじめたからだ。すべてはAPIが公開されていることによって、さまざまなウェブアプリケーションが開発され、それをさらにギークな人たちがマッシュアップを繰り返し、新たなアプリケーションとして登場してきた。

そして、次に反応するのが、ブロガーである。技術系のギークが牽引するだけではなく、文系ブロガーがそれを日常レベルの技術とし翻訳することによって、一般のブログ読者が反応する。そして、一般のブログ読者が使い始めることによって、新たな自分の知人を招待し、さらに広がるという展開であった。


基本的には、一般の人は、SNSを自分で判断し、そのサービスに登録することをあまりおこなわない。必ず、誰かからの招待や信頼するメディアやブロガーの紹介をもとに登録しているようである。mixiの普及の要因は知人やコミュニティからのバイラルのみであった。

twitter.com のサービスは、とりたてて革新的な技術サービスではない。誰もが一度は考えたことのあるサービスであろう。しかし、そのサービスの仕組みをAPIとして公開しているところに非常に意味がある。実質的にサービスが完成されてからではなく、初期段階から、公開していた。

APIを公開することによって誰もが、サードパーティーとしての参画を可能とし、ユーザーを共有できるところにギーク層への普及を促進させた。そして、さらにたくさんのユーザーが参加することによってのバイラル効果がまきおこった。それを伝達したのは、メディアではなく、ブロガーたちであった。こうして集まった集合知は、新たな社会サービスへと変革しようとしているのだ。

米国のSNS friendster.com が登場した時、orkut.comやmixi、GREEそして、myspace.com が同時にインスパイアされて同時期に同系統のSNSの開発をスタートしている。ネット上の新しいアイデアは、一瞬にして世界で共有されているのだ。

twitter.com のユニークな点は、APIを公開していることによってのユーザーの共有化である。ユーザーをサードパーティーと共有することによってのさらなる高度化したサービスを付加することができる。すでに地図や写真や携帯と密接にリンクしている。今後は、広告や動画、リアルな場所、公共機関などと連動するということはたやすく想像できる。

すでにtwitter.com にインスパイアされたサービスが世界中で展開されている。mixiやmyspace.com に続く企業も登場することだろう。

今までのインターネットのサービスは、ウェブ、ブログ、メールと常に非同期にすることによっての、便利さを打ち出していた。しかし、twitter.com は同期型だ。「同期」のしくみを持ち込んだところが特徴だ。さらに人間関係にも、非同期性を持ちこんでいるところに着目したい。

IMなどの同期型も多かったが、常に他人と社会との対峙による同期までも求められていた。しかし、twitter.com は「What are you doing?」というコンセプトによって、自分のプレゼンス(状態)を公開するだけでよくなった。知人や他者に対して、心情的な同期をコミットメントする必要性がないので、非常にゆるやかに自分の状態のみを公表することができるようになっている。つまり、同期はしているが勝手な日記というフォーマットだ。

mixiも知人のみに対して、「mixi日記」という公開の場を設けており、何か月も前の発言を見ることができる。しかし、twitter.com は二時間前の情報を探すことすら難しい。ゆるやかに同期している、数分前の現在がいちばん重要なコンテンツとなっている。

しかも、それは予算をかけられてつくられた番組でも、コミュニティでもない。日常の知人の普通の行動の一片である。知人の行動を通じて、自分が疑似体験できることが一番のコンテンツなのかもしれない。いや、むしろ、それはテレパシーの感覚に近づいている。

ウェブのマッシュアップと携帯によって、人類は「テレパシー」の感覚を取り戻そうとしているのかもしれない。


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