最近自宅兼事務所を、都心から離れた自然豊かな場所に移転した。理由は、広い空が好き、山の見える場所が好き、緑に囲まれて暮らしたい、できれば車の騒音は聞きたくない、、などなど。
私はフリーランスのデザイナーとして、ウェブを中心とするグラフィックデザインや、企業および大学で講師をしている。それらのほとんどは、東京都内の企業からいただいている仕事である。そのような仕事をしている私が、都心から離れても移転前と変わらずに仕事を続けられるのだろうか。目下実験中である。
私はフリーランスのデザイナーとして、ウェブを中心とするグラフィックデザインや、企業および大学で講師をしている。それらのほとんどは、東京都内の企業からいただいている仕事である。そのような仕事をしている私が、都心から離れても移転前と変わらずに仕事を続けられるのだろうか。目下実験中である。
移転前は埼玉県所沢市に住んでいた。充分田舎だと言う方も多いが、都内には駅まで歩く時間も含めて40分くらいで出られる場所である。仕事の打ち合わせには一時間くらいで行けないとなぁ、、と思っていたのだ。
だが私の仕事をよく考えると、慣れている相手とはメールのやり取りが殆どで、それほど会う事はない。新規の仕事が始まる時、最初だけ会って打ち合わせをし、その後はメールか電話。これが殆どなのだ。
定期的な講師の仕事はあるが、それを含めても都内にでるのは週平均二回である。それも今直ぐにでも打ち合わせに行かなければならない、という仕事はまずない。これならもっと田舎でも大丈夫だと思った。
田舎暮らしはたっての希望であったが、ひとつだけ条件があった。優れたネット環境である。データのやり取りは殆どがネットを使っており、特に近年は100MB程度のデータもネットでやり取りしている。しかし、それに一時間もかかってしまうのでは仕事に差し支えがあるので、ある程度速いネット環境だけは必要であった。
住みたいエリアはほぼ決まっていたので、調べたところ一応ADSLは可能な地域であった為、移転を決断できた(のち、引越までの間にケーブルTVのインターネットも開通し、現在はかなり快適なネット環境である)。
前置きが長くなったが、なんだかんだで今年の4月から田舎暮らしが始まった。田舎、田舎と言っているが、どのあたりかというと、埼玉県の西側で平地から山地に変わる境目あたり。奥武蔵といわれている場所。
最寄り駅までは歩いて30分くらい。電車は一時間に二本。駅から都内には一時間強かかる。通勤に二時間かけているサラリーマンも多いと聞くので、特に田舎ではないのかもしれない。
しかし田舎の香りはかなりする。家に居て聞こえる音は、鳥のさえずり、犬の鳴き声、風の音のみで、車や人の声は殆ど聞こえない。庭にはキジをはじめとする、色々な鳥が来る。名前を知らない植物や虫がたくさんいる。すぐ近くに山が見える。駅まで歩く30分の間にすれ違う人は二〜三人。私は充分田舎だと思っている。
住み始めてまだ二ヶ月くらいであるが、私にとっては欠点より利点の方がはるかに多い。
【利点】
・とにかく空気がきれい。排気ガスの匂いはまったくしない。
・気分転換効率が良い。長時間パソコンに向かっていても、30分くらい外にでるだけでかなりリラックスできる。
・人がやさしい。すれ違う人は挨拶をする。これはとても気持ちがよい。今までは隣に住んでいる人もよく知らなかった。
・野菜がおいしい。自分の家でも野菜をつくり始めた。近所の農家の人が野菜をわけてくれる。穫りたての野菜はびっくりするくらい美味しい。
・健康に良い。駅までの距離が長いのは欠点かと思っていたが、歩かないわけにはいかないので歩く。日頃の農作業も加わって、二ヶ月間で体脂肪率が5%も下がった。
【欠点】
・以前より交通費がかかる。なるべく打ち合わせは同じ日に集めるようにして対応しているが、Suicaの減りはかなり早い。
・終電が早くなった。飲み会を今までより約一時間早く退散する必要がある。さもないとタクシーになる。
欠点は主に交通関係であるが、都心へは週二回程度なので、それほどたいした問題にはなっていない。仕事も今までと変わらず、現状では減ってはいない。これはやはりネットのお陰だとつくづく思う。十数年前に移転していたとしたら、かなり仕事に差し支えがあっただろう。この自然豊かな環境で、自分の好きな仕事ができ、とても贅沢な思いができるのは本当にネットあればこそなのだ。
複数の人と同じ場所で共同作業をする会社組織は、人が集まりやすい都心にオフィスを持つのはわかるが、フリーランスの場合は、ある程度場所もフリーで大丈夫と思い始めている。仕事は人と人との関係が大切なので、まったく会わずに仕事ができるかというと、まだ難しい面もあるが、これも時間の問題なのかもしれない。ネットは嫌な面も多くあるが、仕事という面で見ると、とても良い時代に生きていると思う。
さて、この二か月間の実験結果では「成功」だといえる。今後この実験は長期に渡って(たぶん生涯?)続けることになると思うが、状況は機会があれば、また報告したいと思う。
【小笠原たけし/CGクリエータ】oga@graphic-art.com
私が執筆している本「プロがこっそり教えるウェブ制作術 改訂第2版(ソフトバンク クリエイティブ)」の台湾版が発売されることになり、サンプルが届いた。日本語版と付き合わせてみると面白い。「ピクセル→像素」「ネットワーク→網路」これはわかりやすい。「デザイナー→設計師」なるほど、もっと修行しなければ。「CSS→串接式様式表」カスケードの意味を再認識した。
サイト:< http://www.graphic-art.com/
>
だが私の仕事をよく考えると、慣れている相手とはメールのやり取りが殆どで、それほど会う事はない。新規の仕事が始まる時、最初だけ会って打ち合わせをし、その後はメールか電話。これが殆どなのだ。
定期的な講師の仕事はあるが、それを含めても都内にでるのは週平均二回である。それも今直ぐにでも打ち合わせに行かなければならない、という仕事はまずない。これならもっと田舎でも大丈夫だと思った。
田舎暮らしはたっての希望であったが、ひとつだけ条件があった。優れたネット環境である。データのやり取りは殆どがネットを使っており、特に近年は100MB程度のデータもネットでやり取りしている。しかし、それに一時間もかかってしまうのでは仕事に差し支えがあるので、ある程度速いネット環境だけは必要であった。
住みたいエリアはほぼ決まっていたので、調べたところ一応ADSLは可能な地域であった為、移転を決断できた(のち、引越までの間にケーブルTVのインターネットも開通し、現在はかなり快適なネット環境である)。
前置きが長くなったが、なんだかんだで今年の4月から田舎暮らしが始まった。田舎、田舎と言っているが、どのあたりかというと、埼玉県の西側で平地から山地に変わる境目あたり。奥武蔵といわれている場所。
最寄り駅までは歩いて30分くらい。電車は一時間に二本。駅から都内には一時間強かかる。通勤に二時間かけているサラリーマンも多いと聞くので、特に田舎ではないのかもしれない。
しかし田舎の香りはかなりする。家に居て聞こえる音は、鳥のさえずり、犬の鳴き声、風の音のみで、車や人の声は殆ど聞こえない。庭にはキジをはじめとする、色々な鳥が来る。名前を知らない植物や虫がたくさんいる。すぐ近くに山が見える。駅まで歩く30分の間にすれ違う人は二〜三人。私は充分田舎だと思っている。
住み始めてまだ二ヶ月くらいであるが、私にとっては欠点より利点の方がはるかに多い。
【利点】
・とにかく空気がきれい。排気ガスの匂いはまったくしない。
・気分転換効率が良い。長時間パソコンに向かっていても、30分くらい外にでるだけでかなりリラックスできる。
・人がやさしい。すれ違う人は挨拶をする。これはとても気持ちがよい。今までは隣に住んでいる人もよく知らなかった。
・野菜がおいしい。自分の家でも野菜をつくり始めた。近所の農家の人が野菜をわけてくれる。穫りたての野菜はびっくりするくらい美味しい。
・健康に良い。駅までの距離が長いのは欠点かと思っていたが、歩かないわけにはいかないので歩く。日頃の農作業も加わって、二ヶ月間で体脂肪率が5%も下がった。
【欠点】
・以前より交通費がかかる。なるべく打ち合わせは同じ日に集めるようにして対応しているが、Suicaの減りはかなり早い。
・終電が早くなった。飲み会を今までより約一時間早く退散する必要がある。さもないとタクシーになる。
欠点は主に交通関係であるが、都心へは週二回程度なので、それほどたいした問題にはなっていない。仕事も今までと変わらず、現状では減ってはいない。これはやはりネットのお陰だとつくづく思う。十数年前に移転していたとしたら、かなり仕事に差し支えがあっただろう。この自然豊かな環境で、自分の好きな仕事ができ、とても贅沢な思いができるのは本当にネットあればこそなのだ。
複数の人と同じ場所で共同作業をする会社組織は、人が集まりやすい都心にオフィスを持つのはわかるが、フリーランスの場合は、ある程度場所もフリーで大丈夫と思い始めている。仕事は人と人との関係が大切なので、まったく会わずに仕事ができるかというと、まだ難しい面もあるが、これも時間の問題なのかもしれない。ネットは嫌な面も多くあるが、仕事という面で見ると、とても良い時代に生きていると思う。
さて、この二か月間の実験結果では「成功」だといえる。今後この実験は長期に渡って(たぶん生涯?)続けることになると思うが、状況は機会があれば、また報告したいと思う。
【小笠原たけし/CGクリエータ】oga@graphic-art.com
私が執筆している本「プロがこっそり教えるウェブ制作術 改訂第2版(ソフトバンク クリエイティブ)」の台湾版が発売されることになり、サンプルが届いた。日本語版と付き合わせてみると面白い。「ピクセル→像素」「ネットワーク→網路」これはわかりやすい。「デザイナー→設計師」なるほど、もっと修行しなければ。「CSS→串接式様式表」カスケードの意味を再認識した。
サイト:< http://www.graphic-art.com/
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