KNNエンパワーメントコラム 政治とカネとメディア
── 神田敏晶 ──

投稿:  著者:


KNN神田です。

安倍改造組閣がスタートしてから、一週間も経たないうちに閣僚の不祥事が次々と見つかっている。遠藤農相も今日辞任する。また空いたポストに新たな政治家をはめこむ。するとまたメディアは、新たなアラ捜し…。もはや、まったく"身体検査"でパスできるクリーンな政治家を探すほうが難しいということも、国民に浸透してきたころだろう。彼らは慣例的に何も疑わずに、いままでそうやって金をつくってきたのだから、今さらクリーングしても仕方がない。

明確な「癒着」とまではいえないまでも、政治資金団体を通じての献金のしくみがある限り、政治とカネの話はなくならない。また、道理と法律だと、法律で公開する必要がないものは公開しないという選択で法律を盾にしてしまうのも、信頼性をますます壊してしまっている。いつまでカネの話はくすぶり続けるだろうか? 領収書などの小さな問題ではなく、政党に流れる企業献金のほうがもっと問題を含んでいるとボクは考えている。


いくら合法であったとしても、政党に献金(寄付)する側が企業であれば、何のためにそうしているのかはとっても明確だ。企業は見返りを望まない慈善事業をしていないことだけは、誰がみても明確だ。しかも、企業が政党団体へ献金する額面に応じて税金が控除されるからさらにタチが悪くなる。まるで、税金が引かれる前に、政党が税金分をピンハネしているという構図だ。

政党は、どこの企業からいくら献金を受けているのかを明確にウェブサイトにディスクロージャーすれば、一番話はスッキリする。今、政党がサイトで資金関連のディスクローズをするのが一番、国民に対して真摯な態度につながることだろう。

また、国民には政党だけではなく企業の選択肢が増え、こんな政党に献金している企業だから、この会社の製品は買わないことにしよう! とか、この銀行はさっさと解約しよう! なんてことも、サービスや製品の購入の際に参考になることだろう。

つまり献金の報告書を、選挙管理委員会に提出するだけでなく、上場企業と同様に、広く国民に、報告書をディスクロージャーすべきなのである。

それらのほとんどは、国には報告され、独立行政法人国立印刷局の「官報」で報じられている…。ネットにもある。
< http://kanpou.npb.go.jp/
>

しかし、なぜか一週間たつとデータは消され、稚拙な、しかも月額504円の定額サービスとして提供されている。
体験版はこちら
< http://kanpou.npb.go.jp/html/taiken/trial/menu.html
>

どうしようもなく、暗い気持ちになってきたぞ…。

これらは当然、税金でまかなわれている。いわば、納税者はこんなサービスに税金を使われた上、こんなユーザー不在のサービスを利用しなければならない。Googleで検索可能にするとか、APIを提供すべきだろう。国民に官の動きを広く伝えるための「官報」がまったく機能していない。

しかし、インターネット時代、官報以外でもいろんな各政党の資金管理団体の顔は見えてきている。

*自民党のお財布

[政治資金団体]
財団法人 国民政治協会
< http://www.kokuseikyo.or.jp/
>
収支報告
< http://www.kokuseikyo.or.jp/gyoumu/h18.html
>
29.7億円の寄付がわかる
役員一覧
< http://www.kokuseikyo.or.jp/gaiyou/yakuin.html
>
こんな企業が役員だ
評議員一覧
< http://www.kokuseikyo.or.jp/gaiyou/hyougiin.html
>
地域企業と密着しているのがわかる
リンク先
< http://www.kokuseikyo.or.jp/link.html
>
経団連(社団法人日本経済団体連合会)
日本商工会議所
経済同友会

*民主党のお財布

[政治資金団体]国民改革協議会
< http://www.dpj.or.jp/sub_link/kenkin/gaiyou.html
>
平成17年度収支報告
< http://www.dpj.or.jp/sub_link/kenkin/h17.html
>
製薬会社の献金が多いことがわかる

むしろ、政党交付金
< http://ja.wikipedia.org/w/index.php?oldid=14353799
>
という、国民1人あたり年間250円支払っている約319億4000万円の税金が、議員数に応じて各政党に山分けされる。

本来は、この交付金で運用できるコンパクトな政党にすべきなのである。もしくは、バイアスがかかるので、一切献金を受けないというのもひとつのスタンスだろう。

ボクは今回、参議院議員になることができなかったが、選挙の候補者がいれば政治団体が作れることを赤城大臣のニュースを調べていて知った。公示前にA4書類3枚にハンコを押すだけで、いとも簡単に政治資金管理団体「神田敏晶後援会」を作ることができた。こんなに簡単にできてしまっていいの?…と思うほどだ。

落選しても後援会は政治活動の地盤として残るのだから不思議な話だ。また、寄付には税金がかからないというのも、民間の経済感覚ではありえない。

ボクの場合、企業から献金を受けることはできないが、個人からは一年間で150万円まで献金を受けることができる。しかも、献金した方には税金控除の特典がある。

来るべき衆議院選には、10名そろって、事前に申請すれば、政党団体の政治資金管理団体も、簡単にできてしまうのかもしれない? こんな部分の法律こそが、ボクはおかしいと思う。国民はそんなことを一切知らないだろうし、政治家だけが知っている鋼の錬金術だ。だって、自分の会社から献金が可能である。はっきりいって、これはマネーロンダリングの温床そのもの。

いくら政治家個人への献金が禁止されても、政党支部や政党の政治資金管理団体、パーティー、応援会などの、ぬけ道は今までいくらでも利用されている。また、議員一人に割り当てられる通信費も月額100万円という金額も使いきるのが大変なために(かといって、使わない手はないので)領収書の使いまわしが発生するのは、制度そのものに問題があるからだ。

故・松岡大臣にいたっては、農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」の発注工事(林道工事)を請け負っていた業者が、松岡農水相の政治資金団体に多額の献金をしていたことが明るみになった。

赤城大臣にいたっては、意味不明な「ばんそうこう」で歴史に名を残すこととなったが、事務所経費の問題で領収書を見せるよりも、更迭を最後に選んだ。結果として、自民党に対しての国民の信頼感をなくし、参議院選大敗の一因となった。大臣の座よりも、大事な「領収書」って存在するのだろうか?

政治の業界こそ、上場企業以上にディスクローズされなければならない。つまり、政治家というのは、人間の「上場」と同じだ。現在の非公開制であれば、国民はハイリスク・ノーリターンな税金という名の「強制的な株券」の取引をさせられているにすぎない。だから国民と政治との「市場」はまったく成立していないのだ。

どの政党が健全に自分の税金を活用してくれるのか? その情報を新聞やテレビの「ばんそうこう報道」や「領収書問題」「賭けゴルフ」「議員の不倫」の中から抽出するのは至難の業だろう。マスメディアもそろそろ、国民の立場に立った良識ある報道を考えるべきだろう。

いや、むしろもうメディアではなく、「東証」や「ジャスダック」の株式市場のような数値化された税金の使われ方を、指数で評価ができないものだろうか?

現在の情報にはバイアスがかかりすぎている。政治の世界をオープンソース化するにはまだまだ時間がかかりそうだ。


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