KNNエンパワーメントコラム Windows XP販売は2008年6月30日まで延長
── 神田敏晶 ──

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KNN神田です。

今年の1月30日からVistaを使いはじめて、八か月が経過した。同じノートパソコンを買い替えるならば、新OSをと思って初日で飛びついて、大後悔している……。

未だに某社のCMでは「エアロが使える!」と喜びながら、ウインドウを切り替えているが、まったく意味のないUIだと思う。ボクが「エアロ」のUIを使ったのは、最初にプレゼンで切り替える時にVISTAらしく「エフェクト」を見せたい時だけだった。


半透明になるファインダーは、ブラウザのキャプチャを撮影する時に、背景をきれいに「清掃」しなければならないし、愛用していたキャプチャソフトが使えなくなってしまって、Vista OS付属の「Snipping Tool」の機能で甘んじている。付属ソフトとしては機能不足だ。

一番困るのが、プリンタやスキャナ、Webカメラのドライバである。一世代前のデバイスが全滅になってしまった。Vistaのほとんどが、XP互換性モードで立ち上げているので、Vistaの意味がまったくない。

Vistaにしたことによって、ボクの場合、メリットは何もなく、デメリットだらけだ。ここまでデメリットだらけのOSも珍しい。

何度もVista搭載のLet's note W5をXPへと戻そうとトライしたが、ドライバがすでにXPでは動かないということで、泣く泣くVistaを使用している。

どうして、こんなVistaなるOSが世の中にでてきたのだろうか? マイクロソフトにとって、このVistaは社運をかけたプロジェクトだったのかもしれない。引退するゲイツ氏の置き土産だったのだろう。

Windows XPが普及するまでに約五年間。このOSも普及するまでに同じ時間を要すると、未来に向けて事業の継続性が約束されることとなる。グーグルのGmailが普及するのに、たったの三か月。この差は、今後のOSの衰勢を物語っているからこそ、VistaのようなWindowsXPのSP3的な製品で莫大な利益を上げなければならなかったんだと分析する。

もはやパッケージでOSを販売するというビジネスモデルは、VISTAが世界で最後のそれになろうとしていることだろう。

もし、Linux陣営がもっとパワフルにOSをビジネスに個人へと浸透させていたら、この業界は大きく変わっていたことだろう。そしてOEMメーカーも最初からブラウザとメールとオフィススイートが使えるLinuxマシンをもっと精力的に販売していれば、このVistaへのリプレイス市場に利益を上げられたと思う。

マイクロソフトとインテルに、メーカーが牛耳られていることがそもそもの問題だ。まるで、しばりのないのに勝手に、携帯キャリアとメーカーの関係になり下がってしまっている。

今からでも決して遅くない。ブラウザがしっかり走るOSであればいいのだから、Linuxマシンの標準的なものを安価で提供すべきだろう。

問題はドライバだ。むしろ、ありとあらゆるドライバを最初からプリインストールして、アップデートできる環境を構築するのは、それほど難しいわけではないだろう。

考えてみれば、マイクロソフトにいつも「認証されていないソフトウェア」と指摘されて、ドギマギしながらインストールする精神的に不安をともなうネガティブな環境よりも、自動的につながったデバイスを勝手に認証してもらいたいものだ。

しかし、ここにきて、Vistaに陰りが見え始めたようだ。
< http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/28/17021.html
>
WindowXPのOEMライセンス提供を、来年の1月末から2008年6月と、なんと五か月もの延長を発表したのだ。

本当に完成度が高く、アップグレードの意義のあるOSであれば、誰もがこぞって大喜びで新OSに変えていたのかもしれない。ところが、ボクは次のPCのOSはXPにしようと考えている。もはやVista OSに後悔している。

OSがVistaになってメタボリックのように重たくなり、メモリを2GBにしても以前の1GBのメモリのXPの方が快適という現象が起きている。まるで、これはダウングレードとしかいいようがない。

地球市民は、どれだけマイクロソフトに寄付すれば気がすむのだろうか? しかし、マイクロソフトも実はいろんなユニークな技術を生みだしている。最近の一押しは、Photosynthである。
< http://labs.live.com/photosynth/
>

写真を自動的に解析し、ひとつのオブジェクトにするなど、デモを見るだけでもとても秀逸だ。問題はリリース時期だ。マイクロソフトは、どうしてもビジネス化が見えないとなかなかスタートができない旧世代モデルの企業である。そして、参入時期をいつも誤ってしまう。

このPhotoSynthをいち早く公開し、いろんな人に使ってもらえるように開放できないのだろうか? 写真関連の機器メーカーなどと連携もできるはずだろう。もしくは、どこかの有名写真共有サイトを買収し、Corbisあたりと融合させることもできるはずだ。

OSとOfficeスイートとサポート契約のあるサーバーOSだけを販売していても、これ以上の繁栄は何も望めないのは明確だ。旧体制化した官僚システムといわざるをえない。

いくらマイクロソフトといえども、マーケティングではなく、技術で売っていかなければならない時代へ突入している。

ビル・ゲイツは、引退前の最後の仕事で、次のジェネレーションへ向けてのヴィジョンを明確に示し、引き継がせるべきであろう。それを、CSA(チーフ ソフトウェア アーキテクト)職のレイ・オジーが、実践しなければならない。

ロータス・ノーツの開発者であるレイ・オジーが、ネットワーク上でのさらなるサービス化で、OS会社からネットワーク会社へと、マイクロソフトの第二ステージを考えていくべきであろう。


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