伊豆高原へいらっしゃい[3]「スターゲイト」を見よう!
── 松林あつし ──

投稿:  著者:


スターゲイト SG-1 シーズン8 DVD ザ・コンプリートボックス先日、伊豆高原での天体観測について書きましたが、実は僕、天文好きが高じて宇宙物のSFドラマも大好きなのです。当然、CGを仕事としているので、それらのSFXにも興味はあります……しかし、なんと言ってもその醍醐味は、未知の分野をフィクションという形の壮大で魅力的なシナリオで表現し、我々の想像力をかき立ててくれるところにあります。

今回はその中でも、アメリカのテレビドラマ「スターゲイト」を取り上げてみたいと思います。ちょっと、コアすぎました? まあ、少しでもSFに興味のある方は、少々お付き合いください。


実は、僕にはSFを楽しく見る基準があります。あくまで主観ですが、以下のようなシナリオや設定上の妥協点が目立つ場合、すぐ興ざめして見る気が失せるのです。
1)科学的な基礎を完全に無視した設定
2)シナリオの整合性が欠けている
3)初めて訪れた星で、エイリアンや住人が英語をしゃべっている
4)初めて訪れた星で、いきなり宇宙服(ヘルメットなど)を着けずに歩く
5)アメリカ人が地球を救って、最後に感動が訪れるというシナリオ

この基準で見ると、かの有名な「アルマゲドン」などは、地球を救うためにスペースシャトルを二機並べて、同時に発射した時点で「あ〜あ……」ってなってしまうわけです(そんな打ち上げ方、あり得ませんから……)。

それで、今回のテーマ「スターゲイト」はどうか、と言いますと……実は非常につっこみどころは多いのです。しかし、それらを打ち消すだけの、綿密なシナリオと壮大さは他のSFを凌駕しています。さらに、このシリーズは元々映画「スターゲイト」の続編として描かれており、そのTVドラマは、放送回数SF部門で歴代1位という超長寿番組なのです。今やシーズン1〜シーズン10まで10年に及ぶ大河SFとなっています。さらにさらに、本筋からスピンオフした「アトランティス」シリーズもAXN(スカパーチャンネル)にてシーズン2を放送中です(2008年には北米でStargate Universeというシリーズが放送されるそうで、新たなスピンオフでしょうか)。

簡単にストーリーを説明します。

<映画:スターゲイト>
1928年、エジプトの遺跡で巨大なリングが見つかる。近年になって、それが宇宙のいたる所をワームホールで繋いでいる「ゲート」であることが判明。導き出されたアドレス先に調査団を送るべく、アメリカは極秘裏にトラベラーチームを結成し、異星アビドゥスへと旅立つ。しかし、その先で待っていたのは、古代エジプト時代に地球から奴隷として連れてこられたアビドゥス人と、ゴアウルドと呼ばれる種族の支配者「ラー」だった。

<ドラマ:スターゲイトSG1>
あれから一年。アメリカの軍事基地地下深くに眠っていたスターゲイトが動き出し、突然ゴアウルドの支配階級の一人、アポフィスが現れ、物語は再び動き出す。アビドゥスに残っていたダニエル・ジャクソン博士の妻シャーレが誘拐され、ゴアウルドの幼生を埋め込まれてしまう。シャーレを救うべくダニエルはSG1のメンバーとなり、SGチームはゴアウルドと戦いながら、銀河に満ちている異星人や、古代にスターゲイトで異星に連れて行かれた、人間の子孫達との交流を図り、文化や知識を学んでいく。

時には異文化の科学力を搾取しようとする政府の秘密組織NIDに邪魔をされながらも、ゲイトアドレスを増やしていき、冒険の範囲をどんどん広げていく。他文明との交流や戦いの中から、銀河の四大知性体種族である、アスガード、ノックス、ファーリング、エンシェントの秘密を解明していく。SG1においては、アスガードとの繋がりや同盟関係が強調されている。SG1シリーズ後期ではアスガードからの技術提供で亜光速航行(ワープ)が可能な大型宇宙船を建造し、一気にスタートレック的な様相を呈し始める。

南極で第二のスターゲイトが発見された事を発端に、エンシェントを求めて他の銀河への旅を始めた人類をモチーフにした「スターゲイト・アトランティス」も、同時進行で描かれている。SG1とアトランティスは話が時々リンクする。

このシナリオのおもしろいところは、古代文明の多くは異星人によって形成され、その時、人類の多くが奴隷として銀河中にばらまかれた……結果、今現在、人類の子孫が多くの星系でそれぞれの文明を築いている、という点です。つまり、今銀河に溢れている異星人の多くは「人間の子孫」……つまり、そこは元から人間が生存可能な環境が揃っている星であり、そして、住人の多くが過去の地球の英語圏から連れて来られた人々、という前提で考えると、宇宙服もなしにいきなり異星へ降り立つのも、訪問先の星で住人が英語をしゃべるのも、納得(?)いくのです(すごいこじつけですが)。

それと、注目すべき点は、アメリカのSFドラマにありがちな、「地球人=アメリカ人」という図式を崩し、地球には多くの種族がおり、それぞれ文化や考え方が違うという前提で物語が進んでいるところです。もちろん、最初はアメリカ軍の中の一部の組織が関わる「極秘プロジェクト」として出発する訳ですが、ストーリーが銀河全体に及び、なおかつそのプロジェクトのおかげで、世界が知らないところで、地球が度々破滅の危機にみまわれだすと、整合性を取るために他の国も巻き込んだシナリオにせざるを得なかったという感じでしょうか(残念な事に、その他の国々には日本は含まれません。それどころか、日本人は一切出てこない)。

そして、シナリオもさることながらドラマの最大魅力は、そのテーマ性が多岐にわたっている点です。盛り込まれているテーマとして、思い付くだけでも、科学、文化、宗教、神、古代史、戦争、精神世界、恋愛、宇宙人、政府の陰謀、パラレルワールド、タイムスリップ、ゾンビ(生き返り)、バイオハザード、アンドロイド、悟りなど……う〜ん、つまり、何でもありって事ですね。しかし、このごった煮のような世界観でありながら、根底にあるストーリーが揺らがないところがすごい!

また、何でもありと言えば、このシリーズは数多くの名作SFからインスパイアされている、と言えるのです。まず、何はともあれSFの王道「スタートレック」です。アメリカ軍が極秘に異星人から提供を受けた技術で建造した宇宙船は、形こそ違え、エンタープライズそのものです。戦闘シーンは「スター・ウォーズ」、ワームホールでの移動手段は「コンタクト」、政府の秘密組織が絡むサスペンスは「Xファイル」、そして、根底に流れる"エンシェント(数百万年前に地球で文明を築いた謎の種族)のエネルギー体への昇華(悟り的進化)"はまさに「2001年宇宙の旅」のテーマでもあります。

キャストとしては、主人公のオニール大佐にリチャード・ディーン・アンダーソン(映画ではカート・ラッセル)、ダニエル・ジャクソン博士にマイケル・シャンクス(映画ではジェームズ・スペイダー)が演じています。その他、ドラマで新たに加わった、サマンサ・カーター大尉(後に少佐>中佐)のアマンダ・タッピング、正義に目覚めた異星人ティルクにクリストファー・ジャッジを配役し、ストーリーに柔軟性とおもしろさを加えています。

とりわけ、アマンダ・タッピングはドラマの人気を支える重要なヒロインではないでしょうか。なんと言っても現在42歳でありながらキュートで魅力的だ!実は、アメリカのSFドラマの出演者は、他のSFドラマにも多数出演しており、その関連作を見て、「あのドラマの主人公の人が、この作品ではこれか!」なんて楽しみ方もできます。

まだまだ、書きたいことは山ほどありますが、紙面(?)の都合で、このあたりまでとします。

でも、もし近所のレンタルDVDショップに「スターゲイト」を置いていなかったら、どうすれば見られるのでしょうか。DVDを全部買いそろえていたのでは20万円以上のお金がかかります。そこで僕の方法を紹介しますと……まず、出たばかりのシリーズを新品で購入し、全エピソードを見終わったら、ネットオークションに出します。もし、その売買差額が5000円だとすると、1シーズン8枚(22話)ですから、1枚のDVDを625円で見ることができる計算になります。(あくまで、オークションですので、自己責任で)

ぜひ、「スターゲイト」を沢山の方に見てもらって、"ゲイトの輪"を広げたいですね。

・AXN「スターゲイト」ページ
< http://www.axn.co.jp/stargate/index.html
>

[まつばやし・あつし]mail@atsushi-m.com
イラストレーター・CGクリエーター
< http://www.atsushi-m.com/
>

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by G-Tools , 2007/11/22