KNNエンパワーメントコラム 深夜特急で喉の渇きと戦う
── 神田敏晶 ──

投稿:  著者:


KNN神田です。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)昔、沢木耕太郎さんの「深夜特急」
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E5%A4%9C%E7%89%B9%E6%80%A5
>
の逆ルートを攻めたことがあるので、この言葉には妙な親近感がある。

今は、ブルートレインの銀河という「深夜急行」で、東京に向かっているところだ。いつもは新幹線で、2時間30分で走りぬける光景がまったく違って見える。まるで外国を走っているかのような錯覚に陥る。


寝台急行「銀河」物語 [キャンブックス]寝台急行銀河
< http://www.din.or.jp/%7Ea-aoki/night_train/ginga.html
>
に乗って、紺碧の車窓を眺めながら、イーモバイル中である。

また、この日は3月で廃線になるのと、何やら赤い電車が青い列車をひく(謎?)という特別な車両だそうで、どの駅にもてっちゃん大集合の電車ということで、なにやら得をした気分。

入口あたりをうろついていたら、ホームの端で長いズームカメラを持つ人たちが、イライラしていた。「申し訳ありません」と頭を下げたが、あとでよく考えたら、こちらは乗客なんだから、謝る必要なかったと思った。

……というのも、新大阪駅発21:18の最終の新幹線に乗り遅れてしまったからである。いつものように深夜バスにと思ったけれども、夜の23:30に消灯されて朝の6:00まで眠り続けるというのは、1時や2時に夕ごはんを食する生活人にはもう拷問に近い。さらに重い荷物があるのと、ブルートレインなる寝台車で東京まで、体を伸ばして寝て行けるという列車があることを携帯で知り、生まれてはじめて、日本の寝台車に乗ることとなった。

ヨーロッパを放浪するときは、ユーレイルパスで寝台をよく利用していたが、日本の寝台にはなんと「浴衣」が用意されている。世界でもこんな親切なサービスは日本だけだろう。サービス提供者側も、一枚布とヒモだけですむのだから、パジャマを提供するよりは便利だろう。

新大阪に遅れて到着した寝台車に、食べ物などは中で買えばいいやと思って、食料を買わずに乗り込んだのが、地獄のはじまりであった。

新大阪をスタートしてから、京都を過ぎ、そろそろ喉が渇いてきたので、社内の自販機をと思いきや、そんなものはどこにもなく、もちろん売り子さんも夜行なので存在しない。停車駅の自販機で買えばと思えば、雪で遅れているので、ちっとも停車時間がない。

到着駅では、電車の付近を横切ると、カメラを持った鉄ちゃんがにらんでいるし、うー、のどが渇いて死にそうだ! 車内は暖房で乾燥中!

車掌さんに聞いても、がまんしていただくしかありませんね…と言われながらも、車掌さんの飲んでいる缶コーヒーがとてもうらやましい…。

乗客に飲み物を売ってもらおうとすると、2人ほどに声をかけたけど、そっけなく「ありません」と断られる。なんとも情けない状況だ。たかだか120円のお茶を、こちらは1000円だしてもほしいと言っているのに。たしかに1000円札を握りしめて、飲料を分けてほしいと言われては、こわかったかもしれない。

しかたなしに、洗面所で「飲料ではありません」と書かれた水を飲んで癒すことになる。「飲料ではない」という文字の残像が脳裏に残りながら、のど元をすぎる液体なのに、喉の乾きが癒される。人間はやはり水で作られていると感じる。

お金があっても、水ひとつ自由にならないというのは、なんだか、セカンドライフで不便な乗り物に乗っているかのような体験だ。

しかし、つ、つらい……。ネット環境があっても、ちっとも喉の渇きをいやしてくれそうにもない。きっと、餓死寸前の時でもこうやって日記を更新しているんだろうなぁ……。

こんなにのどが渇いて苦しいのは、中学の時のクラブのようだ。ボクらの時代は、「水を飲むとバテるから飲むな!」と言われてバテていたっけ。

日本の食品自給率が39%となり、危機感が増しているが、寝台車の中で、自給率がここまで要求されているとは夢にも思わなかった……。

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