このところ、雨ばかりです。梅雨なのでしかたないのですが、今年は4月から天候不順で、ほとんど星を眺める機会がありませんでした。ただ、星の観測ができたとしても、以前書いたとおり、「極軸合わせ」がうまく行かないことには観測の醍醐味もほとんど味わえません。極軸合わせとは、北極星を基準として赤道義の軸を正確に合わせる行為で、特に天体写真を撮る場合には観測前には必ず行わなければならないのです。
しかし、中途半端なベランダウオッチャーである僕は、自宅で北極星が見えないからといって、遠征にまで出かけたりしないのです。あくまでベランダで、という前提で始めた観測ですので、なんとかそこはこだわっていました……というより、現地まで重たい望遠鏡を運ぶのが単に億劫なだけなのですが……。
北極星の見えないベランダでも極軸を合わせる方法はありますが、非常に手間のかかる作業で、かなりの熟練を要します。毎回星を見る度に、1時間も2時間もかけてその作業をする気にもなれず……結局、勘を頼りに極軸合わせをしたことにして、毎回納得のいかない観測結果にうんざりしていたのです……今までは。
しかし、中途半端なベランダウオッチャーである僕は、自宅で北極星が見えないからといって、遠征にまで出かけたりしないのです。あくまでベランダで、という前提で始めた観測ですので、なんとかそこはこだわっていました……というより、現地まで重たい望遠鏡を運ぶのが単に億劫なだけなのですが……。
北極星の見えないベランダでも極軸を合わせる方法はありますが、非常に手間のかかる作業で、かなりの熟練を要します。毎回星を見る度に、1時間も2時間もかけてその作業をする気にもなれず……結局、勘を頼りに極軸合わせをしたことにして、毎回納得のいかない観測結果にうんざりしていたのです……今までは。
そういったフラストレーションが先日一気に高まり、気がついたら望遠鏡の「買い換えモード」はいっていました。
アマチュア天文家の多くは、観測対象に合わせて、望遠鏡や赤道儀を何種類も持っていたりします。しかし、そのためには何百万円もの投資が必要で、結果多くの天文家は「機材地獄」に陥っているそうです。
機材は上を見ればキリがありません。しかし、ネットで検索すると、まるで図鑑に載っているうような綺麗な天体写真を撮られている方もいます。そのような写真を目の当たりにすると、よりよい機材でよりよい写真を撮りたい、という願望が抑えられなくなるんでしょうね。もちろん、そのような方々は、勉強も怠らないわけで、高度な専門知識があって初めてハイクオリティな機材を扱えるのだと思います。
僕も当然、良い機材がほしいという願望はありますが、かといって何百万円もの投資はできません。ですので、新しい望遠鏡を買いたい、と思った時はどうしても「買い換え」になってしまうのです。
今までの古い望遠鏡を売る方法は、とりあえず二つ。一つは望遠鏡ショップに下取りしてもらう方法、二つめはネットオークションに出す方法です。
まず、下取り価格をざっと出してもらいました。すると、購入金額のなんと1/5ほどでしか買い取ってくれない、ということでこの方法は却下。結局いくらになるかはわかりませんでしたが、オークションに出すことにしました。幸いにも(?)僕はベランダ専門の観測者です。ですので、望遠鏡は非常に綺麗な状態を保っていました。
結果、落札価格は購入価格の半額弱で、下取りをお願いした場合に比べて約二倍の値が付きました。今の時代、下取りというシステムはあまり意味を持たなくなって来ているのかもしれませんね。
新しい望遠鏡としての条件は以下の通りです。
1)北極星が見えなくても方角と軸合わせができる。
2)観測準備が短時間で済む。
3)自動導入装置が付いている。
4)GPSが付いている。
このような条件を満たす望遠鏡として目を付けたのが、Meade社のLX90GPS-20という望遠鏡です。
< http://www.nexyzbb.ne.jp/%7Epeppy_atsushi/digi_cre/08_06_23_boenkyo.html
>
なんだかズングリムックリですね。商品名最後の20というのは「20cm径」という意味で、今まで使っていたビクセンED81Sの「8.1cm径」に比べるとかなりの口径アップです。しかし、実は望遠鏡の種類が全く違うのです。
望遠鏡は大きく分けると三種類に分かれます。
1)屈折式望遠鏡(レンズで光を屈折させ、接眼レンズへ集約する)
2)反射式望遠鏡(凹面鏡に光を反射させ、鏡筒側面の穴より接眼レンズへ集
約する)
3)カセグレン式望遠鏡(凹面鏡、凸面鏡で光を反射し、中央の穴より接眼レ
ンズへ集約する)
※厳密にはもっと多くの種類がありますが、代表的なものに絞りました。
それで、LX90シリーズはと言うと、カセグレン式望遠鏡に属します。つまり二枚の反射鏡を使って星像を拡大するという方法ですね。レンズを使う屈折式に比べて、低価格で大口径を得られ、倍率を期待できるので惑星などの観測に向いていると言われています。
しかしその分デメリットもあるのですが……(Meade社のLX90はシュミット・カセグレンと呼ばれ、シュミカセと短縮されることもあります)反射望遠鏡は一枚の鏡で反射させますが、シュミカセは二枚の鏡に反射させるので、その分短い筒で長い焦点距離を得られます。このズングリムックリな体型はそういった理由からなんですね。
ここでLX90GPS-20のメリットとデメリットを紹介します。
◎メリット
1)赤道儀式と違い、経緯台式なので、回転軸が単純でわかりやすい。(赤道
儀オプションもある)
2)各種センサー、GPS付きなので、三脚の向きにかかわらず、自動で方位、角
度、水平を合わせてくれる。
3)自動導入(オートスター)付きなので、コントローラーから天体名を選ぶ
だけで、望遠鏡がその方向を向いてくれる。
4)パーツがオールインワンなので、三脚に望遠鏡を乗せるだけで、組み立て
完了。
◎デメリット
1)30分〜1時間かけて、外気に慣らさないと、筒内の対流が原因でまともな星
像を得られない。
2)光軸がずれると調整が大変?
3)経緯台式は赤道儀式に比べて追尾精度が落ちる。
4)駆動モーターの音がうるさい。
5)屈折式に比べて、星像がシャープでない。
まず、赤道儀と経緯台の違いを説明しますと、赤道儀は北極星を中心とした「天球の回転」に軸を合わせているので、極軸さえ正確に合わせれば、一軸のモーターだけで星を追尾できます。しかし、経緯台の軸は「地表の水平」を基準としているので、天球の回転とは根本的に異なる軸で回転しています。なので、上下左右の二軸モーターを常に動かしながら、コンピュータで無理矢理天球の動きに合わせているのです。その分経緯台は、赤道儀に比べて追尾精度が落ちます。
ただ、赤道儀は傾いた状態で望遠鏡を動かすので、直感的に動く方向を把握しづらいのに対し、経緯台は上下左右という動きだけなので、理解しやすいのです(僕は3Dソフトで作品を作っていますが、その際に軸のモードを意識します。望遠鏡の動きは3Dの作業をワールド軸で行うのか、ローカル軸で行うのかという違いと似ていますね)
実際、梅雨の晴れ間に月と木星を観測してみました。その流れを順に追ってみます。
まず、三脚を広げます。そこにファインダーの軸を合わせた状態のLX90GPS-20を載せ、ネジで留めます。組み立てはこれで完了。次にオートスターの電源を入れると、自動で方位と水平を合わせてくれます。続いて「アライメント」という作業に入りますが、これは望遠鏡の導入精度を上げるためのもので、現在見える「基準星」を二個導入し、その都度望遠鏡が星を捉えるよう、微調整します。基準星も望遠鏡が自動で選んでくれるので、作業としてはちゃんと星が望遠鏡内に見えているかどうかを確認し、ずれていれば微調整するぐらいです。
アライメント自体は数分で終了します。これで準備OK……モータードライブによる星の追尾もすでに始まっています。後は、コントローラーで観測したい天体名を選んでGo Toボタンを押すだけです。
以上の作業はわずか数分で終わるので、今までのED81Sに比べると、気が抜けるほど準備は簡単になりました。それに望遠鏡が自動で星を探す様は、まるでミニチュア天文台を操作しているような感覚で、気持ちいいです(モーター音がかなりするので、深夜の観測は近所迷惑かも)。
では、今まで使っていたED81Sの場合、観測までの作業はどうかと言いますと……
1)三脚を準備し、赤道儀を乗せる。
2)赤道儀の極軸が正確に北を向くよう、三脚を動かして調整。
4)ファインダー軸を合わせた状態の望遠鏡を載せる。
5)バランスウエイト軸をはめ込み、ウエイトを取り付け。
6)バッテリーやコントローラーの取り付け。
7)観測したい天体をファインダーを覗きながら探し、望遠鏡内へ導入。
8)しばらくその天体を観測し、赤道儀の追尾が正確かどうか確かめる。
9)星がずれて行く場合は、何度も三脚を微調整し、星が視野から動かなくな
るまで繰り返す。
とまあ、大変な作業をしなければならないわけです。場合によっては、観測を始めるまで40〜50分かかる場合もあります。さらにほとんどの場合、北極星が見えない状況では追尾精度は極めて悪く、あっという間に星は視野から外れるのです。
それに比べて、LX90GPS-20は数分の作業でそれらのすべてをやってくれます。「赤道儀で手動合わせをしなければ勉強にならない」と言う人もいますが、機材の使い方を習得するのが目的ではなく、星の観測が目的なわけですから、便利な利器がある以上、それを使わない手はありません。
さて、観測結果ですが、写真は月の直焦点撮影と木星の拡大撮影です。
< http://www.nexyzbb.ne.jp/%7Epeppy_atsushi/digi_cre/08_06_23_moon.html
>
月は薄雲がかかっていた割には、空気の揺らぎも少なく綺麗に撮れたのではないでしょうか。木星は空気の揺らぎも大きく、ピントも合わなかったので残念な結果ですが、よく見ると微妙に縞模様は確認できます。また、追尾精度ですが、星を捉えて一時間半ほど放置しましたが、ずれは月の半径ほどの角度でした。高精度のアライメントを行えば、もっと追尾精度は上がるでしょう(北向きの観測では精度は著しく落ちるらしいのですが)。
梅雨が明けたら、本格的な観測を始めるつもりです。目指すは星雲、星団、銀河系外銀河……観測準備が単純化されたことで、遠征も視野に入れていきたいと思います(腰痛との戦いになりそうですが)。
余談ですが、以下の「Mitaka」のサイトを是非ご覧ください(三鷹国立天文台の関連サイトです)。
< http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/
>
星の観測は、ともすれば天球に貼り付けられた星を、平面的に捉えてしまいがちですが、星々は宇宙空間に壮大なスケールで立体配置されています。ここでは、その大きさと距離と立体感を感覚的に体感できるソフトを無料で配布しています。日本から飛び立ち、月の軌道、太陽系、銀河、銀河団、宇宙の果てまで実際のスケールとそのリアルさを体感しながら、一気に宇宙旅行ができます。ちょっとした天体シミュレーションソフトですが、これほどのものを無料で配布しているのは驚きです。しかも、オープンソースですので、ユーザーによるMac版に改変されたものもあるようです。
長雨のこの季節、せめてバーチャルな宇宙旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエイター
< http://www.atsushi-m.com/
>
pine4980@art.email.ne.jp
アマチュア天文家の多くは、観測対象に合わせて、望遠鏡や赤道儀を何種類も持っていたりします。しかし、そのためには何百万円もの投資が必要で、結果多くの天文家は「機材地獄」に陥っているそうです。
機材は上を見ればキリがありません。しかし、ネットで検索すると、まるで図鑑に載っているうような綺麗な天体写真を撮られている方もいます。そのような写真を目の当たりにすると、よりよい機材でよりよい写真を撮りたい、という願望が抑えられなくなるんでしょうね。もちろん、そのような方々は、勉強も怠らないわけで、高度な専門知識があって初めてハイクオリティな機材を扱えるのだと思います。
僕も当然、良い機材がほしいという願望はありますが、かといって何百万円もの投資はできません。ですので、新しい望遠鏡を買いたい、と思った時はどうしても「買い換え」になってしまうのです。
今までの古い望遠鏡を売る方法は、とりあえず二つ。一つは望遠鏡ショップに下取りしてもらう方法、二つめはネットオークションに出す方法です。
まず、下取り価格をざっと出してもらいました。すると、購入金額のなんと1/5ほどでしか買い取ってくれない、ということでこの方法は却下。結局いくらになるかはわかりませんでしたが、オークションに出すことにしました。幸いにも(?)僕はベランダ専門の観測者です。ですので、望遠鏡は非常に綺麗な状態を保っていました。
結果、落札価格は購入価格の半額弱で、下取りをお願いした場合に比べて約二倍の値が付きました。今の時代、下取りというシステムはあまり意味を持たなくなって来ているのかもしれませんね。
新しい望遠鏡としての条件は以下の通りです。
1)北極星が見えなくても方角と軸合わせができる。
2)観測準備が短時間で済む。
3)自動導入装置が付いている。
4)GPSが付いている。
このような条件を満たす望遠鏡として目を付けたのが、Meade社のLX90GPS-20という望遠鏡です。
< http://www.nexyzbb.ne.jp/%7Epeppy_atsushi/digi_cre/08_06_23_boenkyo.html
>
なんだかズングリムックリですね。商品名最後の20というのは「20cm径」という意味で、今まで使っていたビクセンED81Sの「8.1cm径」に比べるとかなりの口径アップです。しかし、実は望遠鏡の種類が全く違うのです。
望遠鏡は大きく分けると三種類に分かれます。
1)屈折式望遠鏡(レンズで光を屈折させ、接眼レンズへ集約する)
2)反射式望遠鏡(凹面鏡に光を反射させ、鏡筒側面の穴より接眼レンズへ集
約する)
3)カセグレン式望遠鏡(凹面鏡、凸面鏡で光を反射し、中央の穴より接眼レ
ンズへ集約する)
※厳密にはもっと多くの種類がありますが、代表的なものに絞りました。
それで、LX90シリーズはと言うと、カセグレン式望遠鏡に属します。つまり二枚の反射鏡を使って星像を拡大するという方法ですね。レンズを使う屈折式に比べて、低価格で大口径を得られ、倍率を期待できるので惑星などの観測に向いていると言われています。
しかしその分デメリットもあるのですが……(Meade社のLX90はシュミット・カセグレンと呼ばれ、シュミカセと短縮されることもあります)反射望遠鏡は一枚の鏡で反射させますが、シュミカセは二枚の鏡に反射させるので、その分短い筒で長い焦点距離を得られます。このズングリムックリな体型はそういった理由からなんですね。
ここでLX90GPS-20のメリットとデメリットを紹介します。
◎メリット
1)赤道儀式と違い、経緯台式なので、回転軸が単純でわかりやすい。(赤道
儀オプションもある)
2)各種センサー、GPS付きなので、三脚の向きにかかわらず、自動で方位、角
度、水平を合わせてくれる。
3)自動導入(オートスター)付きなので、コントローラーから天体名を選ぶ
だけで、望遠鏡がその方向を向いてくれる。
4)パーツがオールインワンなので、三脚に望遠鏡を乗せるだけで、組み立て
完了。
◎デメリット
1)30分〜1時間かけて、外気に慣らさないと、筒内の対流が原因でまともな星
像を得られない。
2)光軸がずれると調整が大変?
3)経緯台式は赤道儀式に比べて追尾精度が落ちる。
4)駆動モーターの音がうるさい。
5)屈折式に比べて、星像がシャープでない。
まず、赤道儀と経緯台の違いを説明しますと、赤道儀は北極星を中心とした「天球の回転」に軸を合わせているので、極軸さえ正確に合わせれば、一軸のモーターだけで星を追尾できます。しかし、経緯台の軸は「地表の水平」を基準としているので、天球の回転とは根本的に異なる軸で回転しています。なので、上下左右の二軸モーターを常に動かしながら、コンピュータで無理矢理天球の動きに合わせているのです。その分経緯台は、赤道儀に比べて追尾精度が落ちます。
ただ、赤道儀は傾いた状態で望遠鏡を動かすので、直感的に動く方向を把握しづらいのに対し、経緯台は上下左右という動きだけなので、理解しやすいのです(僕は3Dソフトで作品を作っていますが、その際に軸のモードを意識します。望遠鏡の動きは3Dの作業をワールド軸で行うのか、ローカル軸で行うのかという違いと似ていますね)
実際、梅雨の晴れ間に月と木星を観測してみました。その流れを順に追ってみます。
まず、三脚を広げます。そこにファインダーの軸を合わせた状態のLX90GPS-20を載せ、ネジで留めます。組み立てはこれで完了。次にオートスターの電源を入れると、自動で方位と水平を合わせてくれます。続いて「アライメント」という作業に入りますが、これは望遠鏡の導入精度を上げるためのもので、現在見える「基準星」を二個導入し、その都度望遠鏡が星を捉えるよう、微調整します。基準星も望遠鏡が自動で選んでくれるので、作業としてはちゃんと星が望遠鏡内に見えているかどうかを確認し、ずれていれば微調整するぐらいです。
アライメント自体は数分で終了します。これで準備OK……モータードライブによる星の追尾もすでに始まっています。後は、コントローラーで観測したい天体名を選んでGo Toボタンを押すだけです。
以上の作業はわずか数分で終わるので、今までのED81Sに比べると、気が抜けるほど準備は簡単になりました。それに望遠鏡が自動で星を探す様は、まるでミニチュア天文台を操作しているような感覚で、気持ちいいです(モーター音がかなりするので、深夜の観測は近所迷惑かも)。
では、今まで使っていたED81Sの場合、観測までの作業はどうかと言いますと……
1)三脚を準備し、赤道儀を乗せる。
2)赤道儀の極軸が正確に北を向くよう、三脚を動かして調整。
4)ファインダー軸を合わせた状態の望遠鏡を載せる。
5)バランスウエイト軸をはめ込み、ウエイトを取り付け。
6)バッテリーやコントローラーの取り付け。
7)観測したい天体をファインダーを覗きながら探し、望遠鏡内へ導入。
8)しばらくその天体を観測し、赤道儀の追尾が正確かどうか確かめる。
9)星がずれて行く場合は、何度も三脚を微調整し、星が視野から動かなくな
るまで繰り返す。
とまあ、大変な作業をしなければならないわけです。場合によっては、観測を始めるまで40〜50分かかる場合もあります。さらにほとんどの場合、北極星が見えない状況では追尾精度は極めて悪く、あっという間に星は視野から外れるのです。
それに比べて、LX90GPS-20は数分の作業でそれらのすべてをやってくれます。「赤道儀で手動合わせをしなければ勉強にならない」と言う人もいますが、機材の使い方を習得するのが目的ではなく、星の観測が目的なわけですから、便利な利器がある以上、それを使わない手はありません。
さて、観測結果ですが、写真は月の直焦点撮影と木星の拡大撮影です。
< http://www.nexyzbb.ne.jp/%7Epeppy_atsushi/digi_cre/08_06_23_moon.html
>
月は薄雲がかかっていた割には、空気の揺らぎも少なく綺麗に撮れたのではないでしょうか。木星は空気の揺らぎも大きく、ピントも合わなかったので残念な結果ですが、よく見ると微妙に縞模様は確認できます。また、追尾精度ですが、星を捉えて一時間半ほど放置しましたが、ずれは月の半径ほどの角度でした。高精度のアライメントを行えば、もっと追尾精度は上がるでしょう(北向きの観測では精度は著しく落ちるらしいのですが)。
梅雨が明けたら、本格的な観測を始めるつもりです。目指すは星雲、星団、銀河系外銀河……観測準備が単純化されたことで、遠征も視野に入れていきたいと思います(腰痛との戦いになりそうですが)。
余談ですが、以下の「Mitaka」のサイトを是非ご覧ください(三鷹国立天文台の関連サイトです)。
< http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/
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星の観測は、ともすれば天球に貼り付けられた星を、平面的に捉えてしまいがちですが、星々は宇宙空間に壮大なスケールで立体配置されています。ここでは、その大きさと距離と立体感を感覚的に体感できるソフトを無料で配布しています。日本から飛び立ち、月の軌道、太陽系、銀河、銀河団、宇宙の果てまで実際のスケールとそのリアルさを体感しながら、一気に宇宙旅行ができます。ちょっとした天体シミュレーションソフトですが、これほどのものを無料で配布しているのは驚きです。しかも、オープンソースですので、ユーザーによるMac版に改変されたものもあるようです。
長雨のこの季節、せめてバーチャルな宇宙旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエイター
< http://www.atsushi-m.com/
>
pine4980@art.email.ne.jp