伊豆高原へいらっしゃい[25]リフォーム補助で外壁塗り替え
── 松林あつし ──

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先日、家の外壁を塗り替えました。うちは中古で購入した住宅ですが、もうすぐ築20年を迎えます。今のところ、これと言って深刻な不具合もなく、去年の台風の直撃にも耐えましたので、当分大きなリフォームは必要ないかと思っていたのですが、壁だけは、かなり痛んでいたようです。

建築当時の壁は、二階部分が「ボード貼り」、一階部分が「吹き付け塗装」だったようですが、その後、前のオーナーが全体に塗料を塗ったようです。長年住んでいるご近所さんの話では、7〜8年前に一度塗装をしていたとの事ですが、その割には痛みが激しい……西側は元の色がわからないほど色あせていますし、全体的に粉を吹いたように塗料が剥がれてきています。

家が傷む最大の要因は、水の浸入による柱の腐食やシロアリなどによる柱の破損が主なものですが、どちらにしても、雨水の流入が最も気をつけなければならない事ではないでしょうか。



雨水の流入経路としては、屋根、壁、床下が考えられます。屋根は引っ越して来た時にスレートの塗り替えをやりました。床下は地形的に洪水による浸入は考えにくいし、地下水の染み出しなどもありません。しかし、壁は……塗料が所々剥げ、粉を吹いて痛んでいる状況です。いつ水が染みこんで来るとも限りません。

どこかの建築会社が「家は壁だ」とTVCMしていますね。屋根の雨漏りは比較的気がつきやすいのですが、壁からの染みこみは気がつきにくいのです。気がついた時には柱が腐り、手遅れという事にもなりかねません。

ただ、いずれは壁の塗り替えをやらなければ、とは思っていたのですが、それが今年になるとは思ってもみませんでした。別に急を要する事態が発生した訳ではないのです。実は今年、伊東市では「住宅リフォーム振興助成金」なるものの希望者を募集していたのです。

簡単に言えばリフォーム補助ですね(これも、来年度予算のために、余った国からの補助金は全部使っちまおう! 的なものかな……?)。まあ、くれると言うものは貰わなければ損、というのは世の常で、僕も応募をしてみたところ、当選したのが塗り替えに踏み切った大きな要因だったのです。

当選確率がどのくらいだったかはわかりません。60〜70人ほどの希望者が商工会議所の一室に集められ、ベタなやり方ですが、確実な「ガラポン」での抽選です。全予算は500万円……人それぞれ補助を受ける金額が違うので「何名までで締め切りです」とは決められないようです。

まず、席順をクジで決め、その順番でガラポンを回します。それぞれの申請金額(最大で10万円)を一人一人計算し、予算一杯になった時点で「おしまい」という事らしいです。ですので、席順によっては、自分の番が来ないうちに落選が決定する可能性もあります。

幸い僕の席は真ん中あたりだったので、ガラポンを回す事ができました。そして「当たり!」。結局、一巡してもまだ予算に余裕があったので、ハズレの人が最初から引き直しになりました。僕はその時点で帰ったので、当選確率がどのくらいだったかは、わからないのです。

先だって目星を付けていた塗装業者には、見積もりだけやってもらい、「リフォーム補助に当選したらお願いする」と言ってありました。当選の翌々日……業者から電話があり「松林さん、おめでとうごさいます」って、何で知ってるの? どうやら、他のお宅からも依頼を受けており、クジ引き代行を行っていたようです。業者の担当者が会場にいたんですね。

この業者選びも悩ましいところで、安いから良いというわけでもありません。事実、前のオーナーの塗装はひどいものでした。養生(マスキング)もちゃんとできてないし、あちこち塗料がはみ出しています。何より、数年でこの痛みとは、どんな塗料を使ったのか……。

また、半年ほど前には、飛び込みの業者が「お宅の壁、やばいですよ! 塗り替えた方がいい……」って突然やって来ましたが、名刺も見せなければ、車に会社名も書いてない……そんな業者信じられるか!

一番良いのは、ご近所で実績があり、評判も良い所です。幸い、数ヶ月前に近所の屋根を塗装していた業者が良いらしい、という情報をもらいました。試しに、ベランダの手摺りの塗装を3万円でやってもらいましたが、綺麗なもんです。それもそのはず……そこは「超高耐候性高分子塗料」なるものを自社開発し、それに対して20年保証を行っているほど自信を持っている会社でした。

さらに、見積もりから契約に至るまでの流れがしっかりしており、信頼できます。実は、このあたりに限らず、田舎の施工業者、リフォーム業者、造園業者は「ドンブリ勘定」でいい加減な所が多いのです。

事実、最初のリフォーム業者は見積もりは出すものの「これもしましょうか?あれもしましょうか?」と調子の良いことを言い、請求額は見積もりを20万円もオーバーしていましたし、造園業者も終わってみれば5万円のオーバーでした。

今まで、リフォームや造園で契約書を交わした事もなく、田舎ではこんなものか、って思っていたのです。しかし、今回の塗装業者は契約書だけでなく、20年の保証書もあります。細かい内容まできっちりしており、見積書通りの請求額でした。

実際、作業内容を毎日見ていましたが、下塗りは2回、本塗りの20年保証塗料も、堅牢なもので、長持ちしそうです。今回、まったく値引きを要求しなかったためか「おまけ」として、ベランダの樹脂塗装もやってくれました。オマケのふりして、後で請求する他の業者とは違って、本当に無料の塗装で、その割には綺麗な仕上がりに驚きました。ただ、オマケだけあって、下請けには負担をかけられないのか、営業の兄ちゃんが自分で塗っていたのが、ちょっと可哀想になりましたが……。

せっかく買った家です、あと40年はしっかり立っていてもらわなければ困ります。そのためには数年に一度は点検補修を行って行く必要があります。これは持ち家に限らず、マンションもそうです。マンションの場合、平均築10年ほどで大規模修繕の時期がやってきます。そのために積み立てを行っている所もあるでしょうし、臨時徴収の形で一世帯何十万というお金を集めたりする事もあります。逆にそれをやらなければ、資産価値はどんどん低下してしまいます。

持ち家の場合は、それらを自分の判断でやらなければならず、何も考えなければ、ある日突然、補修のために何百万円もの出費を余儀なくされるかも知れません。そうならないためにも、保険や年金と同じように、「修繕積み立て」を行っていく必要があるのでしょうね(うちはまだやっていませんが)。

今回の外壁塗装でちょっと残念だったのは、養生(マスキング)をする場所を綿密に打ち合わせしとけば良かった、という点です。完了してみれば、換気扇の傘や、配線、エアコンのパイプまですべて同じ塗料で上から塗られていたのです。まるで、家のプラモデルを丸ごとスプレーで塗装したかのようなチープさが漂います。パイプ類と換気扇の傘は養生してもらって、塗らないように言うべきでした。

それと、色! まるでDIC色見本のような分厚い見本帳から選んだのですが、薄くちょっと沈んだグリーンを選んだつもりが、出来てみれば「エメラルドグリーン!!」こんな色の家、近所にないぞ! 勤めていたキャラクター製作会社で散々パステルカラーを使ってきたという性(さが)でしょうか……無意識にあま〜い色を選んでしまったようです( >o< )。

どれもこれも後の祭り……まあ、かわいくて良いではないか……

【まつばやし・あつし】イラストレーター・CGクリエーター
< http://www.atsushi-m.com/
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pine4980@art.email.ne.jp