《ここアナクリ研究所は、まつばら博士と助手の小松カヲリ、二人で運営される自称・国内最先端の研究所だ》
「カヲリクン! 見たまえ、いまだかつてないデザイン、最新の技術を結合させた携帯電話が完成したぞ!」
「やりましたね博士、おめでとうございます!」
「これが完成された携帯電話じゃ。」
「……。博士、このコップが電話なんですか?」
「うむ、いかにも。糸電話のようで懐かしいじゃろ?」
「どう見ても、ただのコップにしか見えないのですが……。」
「カヲリクン、キミは何年助手を務めているのだね、キミのその目はホラ穴か? なんちってー、なんちってー、ゲハゲハゲハ。」
「それより博士、巨大掲示板のスレタイのようなタイトルは、どうにかならないんですか?」
「うむ、大人の世界には知らなくてもいいことが沢山あるのじゃ。」
《博士が開発したコップのような形をした最新鋭の携帯電話は、どうやらただの電話ではないようですが、その驚く機能とは……》
「カヲリクン! 見たまえ、いまだかつてないデザイン、最新の技術を結合させた携帯電話が完成したぞ!」
「やりましたね博士、おめでとうございます!」
「これが完成された携帯電話じゃ。」
「……。博士、このコップが電話なんですか?」
「うむ、いかにも。糸電話のようで懐かしいじゃろ?」
「どう見ても、ただのコップにしか見えないのですが……。」
「カヲリクン、キミは何年助手を務めているのだね、キミのその目はホラ穴か? なんちってー、なんちってー、ゲハゲハゲハ。」
「それより博士、巨大掲示板のスレタイのようなタイトルは、どうにかならないんですか?」
「うむ、大人の世界には知らなくてもいいことが沢山あるのじゃ。」
《博士が開発したコップのような形をした最新鋭の携帯電話は、どうやらただの電話ではないようですが、その驚く機能とは……》
「この携帯電話は、全て自動音声認識によって操ることができる優れものじゃ。電話をかけるときも、相手先の番号を喋れば発信できる。試しに……090〜○×△□……はっしん!」
「は、はっしん? なんですかその掛け声?」
「誤作動防止で、はっしん! といわないとかけられない仕組み。オチャメじゃろ。」
「もの凄く恥ずかしいですね。」
「日本の携帯にはなくてはならないカメラ機能も最高峰じゃ。なんと、20メガピクセルの大型CCD搭載で、ワシが独自に開発したCMOSセンサーを搭載しておる。そのへんのデジイチ(デジタル一眼レフ)より高性能じゃ。しかも、長時間の動画もバッチリ。」
「なんか、無駄に機能がすごいですね……。」
「どれ、試しに撮ってみよう。この底の部分全部がレンズじゃ。はい、撮りますヨー、笑って〜、ハイ、チーズ♪」
「博士、ハイ、チーズ♪ を言わないと撮れない仕組みですか?」
「そうじゃ、誤作動防止のためじゃ。ナウいじゃろ。」
《使うにはちょっと恥ずかしい様子の携帯電話ですが、機能は充実してそうです。しかし、なぜコップの形をしているのでしょう》
「でも、なんでコップ形状なんですか?」
「わしが子供の頃の遊びといったら(中略)、それこそビー玉や(中略)、糸電話なんぞ本当に楽しい遊びじゃった。その糸電話の魅力を再現したのが、この電話最大の目玉、ヒソヒソ機能じゃ。Bluetoothを使って、糸電話のようにヒソヒソ話しをして遊べる。毎日仕事に追われても、子供心を思い出させてくれる、和み系のアイテムとしてリラクゼーション効果を発揮するのじゃ。それに今の携帯電話のデザインを見たまえ。どのキャリア、どこのメーカも同じようなデザインばかりで、代わり映えしないものばかりじゃないか。」
「まぁ、確かにそうですね。」
「結局は、工業デザイナーがデザインしたものを成形して塗装しているだけだから、デザインよりも機能を充実させることで、メーカ間の差別化を図っているのじゃよ。もう記事がリリースされてるから話しても大丈夫だと思うが、来年発売される携帯電話で、P社がM社のデザインそのままを発売するじゃろ?あれはじゃな、P社が、」
「は、は、博士! それは喋っちゃマズいですよ、絶対に問題になってデジクリに連載されなくなってしまいます!」
「不味いかな。」
「確実にマズいです。文章の冒険はやめておきましょう!」
「うむ、この携帯電話の外面は、全て有機ELを加工してある。電話帳やメールなどの表示も、すべてここに表示される。テレビもほら、キレイに映るじゃろ? 外面全部がディスプレイになっておるから、ホラ、スーパーワイドスクリーンじゃ。映画館を持ち歩いてる感じじゃろ? 欲しくならんか?」
「はっしん! とか、ハイ、チーズ♪ とかなくなれば……。」
「メール作成も、そのまま喋りかけるだけで、自動的に文章が作成される。絵文字を挿入したい場合は、『はーと』とか『ぷんぷん』とか言えばOKじゃ。3Gのような失敗はせんよ、フェフェ。」
「やはり、メールを送る場合は……」
「そうしん!」
「………。」
「それと、コイツの凄いところはまだある。この先端に付いているリング、このリングの部分が記録メディアになっておるのじゃ。」
「凄い! このリングがメモリになっているんですか?」
「そうじゃ。なにもSDカードやコンパクトフラッシュのような、カードタイプばかりがメモリとは限らないぞ。実際にはどのような形状でも作ることは可能なんじゃ。ウエハーの蒸着構造を変えれば、あらゆる素材に蒸着させることも可能なんじゃよ。ただ、工程上、素材の形状上で影ができる部分の精度を出すのが難しいことと、まったく汎用性・互換性がないので、とにかく需要がない。」
「博士、そんなことを不特定多数の読者さんたちに喋ってしまって、大丈夫なんですか?」
「ちゃんと喋っていい範囲はウィーペリアで調べてあるから問題ない。」
「ウィキペデイアですよ、博士。ところで、バッテリーはどうなっているんですか? 見た感じ、バッテリーが付いているようには見えませんが……」
「さすがカヲリクン、いいところに気が付いたねぇ! バッテリーはこれじゃ。」
《レンズ周りに装着されているリングを外す、まつばら教授。バッテリーもリング形状になっているのでしょうか》
「ほれ、これがバッテリーじゃ。軽いじゃろ。リチウムポリマー電池を使うことによって、形状の自由度と軽量で長時間の稼動を得ておる。バッテリーの周りに付いているのはシリコン系のセル(ソーラーパネル)じゃ。外出先でのバッテリー切れの心配はいらん。蛍光灯の明かり程度でも充電される。」
「博士、これは画期的というより、すごいですね!」
「メーカのセカンドベンダーは嫌がりそうじゃがな。」
「またそうやって、読者様に分からない話をする…。」
「完全防水で熱にも強いので、中央の空間にコーヒー注いで、飲みながら通話も大丈夫じゃ。ただ、コーヒーを飲んでいる音は丸聞こえじゃが。」
「聞いてるほうは、素晴らしく嫌ですね。」
「この中央の空間は、飲み物を注いだり、ヒソヒソ機能を楽しむ以外にも、モードを切り替えてこうやって中央の空間を覗くと……底のレンズを活用して望遠鏡にもなる優れモノじゃ。望遠鏡モードにする場合は、『覗き見発動!』と言えば、自動的に切り替わる。ほれ、やってみるか?」
「その掛け声とか、どうにかならないんですか?」
「話ついでに、有機ELを活用したシャツも発売されているが、有機ELを用いた、もっと凄いシャツも考えたのじゃよ。その話は、そのうち登場するデジタルファッションアドバイザーの、ポコはるみ先生に任せるとして、この携帯電話とELシャツを腹肥商事から発売させてもらおう。」
「博士、何気に連載登場キャラの連携プレーが見事ですね。」
「そういえば先日、腹肥商事に電話したら、女性オペレーターが何かアナウンスしていたのぉ。」
──次回、腹肥商事が大変なことに。
【べちおサマンサ】 pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマーと、秘密でいっぱいのナノテク業界の開発設計屋。
・本職を訊かれると、内容を説明するのに大変な時間を要する。説明が下手なこともあるが、簡単に説明し難い仕事で、○○屋と簡易的に云えない不便さにもどかしさを感じます。傍から見ると、どうやってもサラリーマンには見えないらしいので、これからは脳内クリエイターと自称していこうかと思ってます。といっても、本当にただのサラリーマンです。自由度は高いけど。
・忘年会ラッシュが始まりました。お体、ご自愛ください。
WEB SITE < http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/
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