アナログステージ[32]選択肢はひとつだけじゃない
── べちおサマンサ ──

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コンニチハ、べちおです。本格的な春が近づいてきました。花見の準備はできましたか? 「本格的な夏」や、「本格的な冬」という言葉はよく耳にするが、「本格的な秋」と「本格的な春」は影が薄い。そのくせ、日本人には大好評な季節である。春が近づいてきたということは、ワタクシの大嫌いな真夏の準備段階。あぁ...いまからイヤになるぅ...。

●効率向上が見えてきた

さてさて、出向から2ヶ月が経過したわけですが、以前綴ったロケーション管理が定着してきて、すべての作業において効率が上がってきたのが分かります。途中、細かいところが抜けがちだったのですが、「ここをきちんとやらないとやっている意味がない」と徹底させたのが功を奏した。

数字的な結果は来月にならないと見えてこないが、先月、今月の発注段階で約30%のコストダウンができている。中小企業といえど、30%のコストダウンはかなり大きい。それだけ過剰在庫もあったということにもなるが......。

間に合わせで作った管理用データベースを、きちんとしたものへ作り直そうと、いろいろ探した結果、オープンソースのCompiereをチョイスしてみた。
・中小企業向けOSS ERP - Compiere
< http://www.compiere-japan.com/
>



Compiere自体を使ったことはないのですが、あれこれ探していて、ERP(Enterprise Resource Planning)の取り纏めなどが容易かなぁ...と。加えて、オープンソースというのが嬉しい。余計なものは省けるし、既存アプリにみられる「使わないお節介」も要らなくなる。また、ロケーション管理などのSCM(Supply Chain Management)も一括して管理できる点に着目。デジクリの読者様には、あまり馴染みがない言葉かもしれませんが、SCMの中でも何種類かに分類されていたりします。

・ユーザが仕様を提出し、それに伴って在庫部品(新規発注もあるけど)から組立てを始めるCTO(Configure to Order)
・ある程度の段階まで作りこんでおき、ユーザからの発注で製品として完成させるBTO((Build to Order)
・受注があってから生産計画などを決め、それから各部品などの手配を行い、揃った時点で製作を始めるMTS(Make to Stock)

大まかに上記のように3分類するのですが、出向先の会社は、受注を受けてからの生産(製造)になるので、MTSに分類される。ニュアンスは多少異なるが、MTSとCTOの中間のようなポジションなのかもしれない。微妙だ。

余談になるけど、いまのパソコンメーカなどは、ほとんどBTOで生産が行われていたりする。DELLが先陣をきって成功したビジネスモデルといったほうが馴染みがあるかもしれません。「完成品在庫を持たなくて済む」というのは、当時では画期的な手法で、仕様変更やニーズが変化しても不良在庫というリスクを背負うことが殆どない。

またMTSのように受注があってから仕込むと、どうしてもリードタイム(納期)が長くなってしまいがちですが、BTOの場合だと、途中まで仕掛けてあるので、リードタイムの短縮に繋がったり。DELLなどのパソコンメーカに限ったことではないが、これがかなり重要で、待つのが嫌いな人には、大変ありがたい仕組みになっていたりする。どうしても今すぐ欲しい! って人はショップで買うけど...。

●「基本」が崩れているとダメ

Compiereのほうに話を戻すまえに、もう少しだけ。今度はウチの会社になってしまいますが、ベンダーさん(とくにいま出向している会社などの制御コントロールを製作しているところ)には、制御回路図や構成図面のほかに、BOM(Bill Of Materials)という部品構成表も渡している。

ベンダーさんは回路図とBOMを参照しながら各部品の手配などを行うわけですが、BOMの管理がうまくできていないと、さまざまな弊害をもたらすことになる。これは、こっち側(ウチの会社)の問題でもあるが、設計者がBOMを適当に作成してしまうと、そのまま間違った構成で製品が出来上がってくる。

ベンダーさんが製作途中で、仕様ミスに気がついて指摘してくれるときは助かるが、分からずにそのまま製作してしまうと、相当な痛手を負う。単純にコントロールが動かない。とあれば原因の特定が容易だが、動作はしているんだけど、なにかおかしい... となると、それはもう大変。動かすために構成されている部品の点数が相当数あるため、コントロールを含め、該当する部品ひとつひとつを辿っていかなければならない。ものすごいタイムロスだ。

機器間を接続しているケーブル類も、汎用のケーブルではなく、仕様に沿ったカスタムオーダー品なので、そっちも疑わなければいけなくなる。お恥ずかしい話、結構あるんですよ...ケーブルの設計ミスが。ワタクシがソフトの部署からハード開発へ移ってから殆どなくなりましたが、完全になくなったわけでもないのが実情。

スタッフが描いた図面や組図、BOMなどをベンダーさんへ提出するまえに、血眼まではいかないが、かなりチェックは入れる。しかし、一日に出図されてくる量が、とにかくハンパじゃない。すべてを隅々まで検図してはいるが、どうしても見落とすこともある。今は出向中ではあるが、ワタクシの検印がないとリリースできないので、夜中に目をショボショボさせてチェックしているのだ。頑張れ、べちおくん。

加えて、以前にも少し触れましたが、ウチの会社はパーツナンバーで管理されているので、一回登録されて正式リリースされると、変更を出す手続きが非常にこの上なく、もう、イヤ! ってくらい面倒。できれば避けたいのだ。部署間が険悪になる要因も、ここにあったりする。責任のなすりつけなんですけどね、アハハ。

●BOMの構成を理解しないと先に進まない

BOMの管理も然ることながら、ベンダーさんは、BOMの構成も理解できないと先に進まない現状がある。というのも、単に部品表一覧としてだけなら難しいことはないのですが、ここからツリー式に子ども、孫と部品が連鎖されることがある。いまいち伝わり難いかもしれないが、仮に「デジクリCTRL」という制御コントロールがあったとしよう。

デジクリCTRLは、A・B・Cと3点の部品で構成されているとして、「A」という部品は、a/b/c/d/eという5点の部品から構成されている部品、「B」は、f/g/hの3点から構成されているが、「f」は、1/2/3/4から構成されている...というように、「デジクリCTRL」だけを見ても、デジクリCTRLを構成されるBOM、その中に使用されている「A」のBOM、「B」のBOMの中に「f」のBOMが連なる......というような、なんとも複雑怪奇なリストになることが多い。

仕様提出する側の管理も当然ながら、受ける側もこれらを把握しないと、製品として完成しないのだ。どうにか改善したい要素ではあるものの、とりあえずは、出荷した後のメンテナンスなどを考慮すると、最善な方法であることには間違いない。けど、受けるベンダーさんは面倒この上ないはず。

検査段階でも、耐久試験はもちろん、メーカ推奨の交換時期(バックアップ用の電池など)をすべて書面化し、故障した場合の症状別に、対応方法と交換部品などをリスト化し、サービスや資材などへ登録しておくのだ。このとき、ある程度のワークフローも作成しておくので、故障などの問い合わせで対応に困ることは少ない。

そこで! 受注から生産、BOM、在庫など管理を容易にするためにCompiereが出てくるわけですが、眠くなってきてしまったので、Compiereの話はまた今度ということでご勘弁ください、すみません。

と、最近感じていることが、いまはウチの会社のやり方で進めているのですが、果たして、ここの会社には合っているのか悩んでいたりします。従業員たちからクレームきたり反感を買っているわけではないのですが、この会社に合う別な方法......、生産管理方式があるのではないかと思いはじめていたり。とりあえずいまは、基礎を作っている段階なので、そこが固まってから、一番最適な方法を見つけられればいいなぁ......。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマであり、ナノテク業界の技術開発屋(出向中)
< http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/
>
< http://twitter.com/bachiosamansa
> ←フォローしても役に立ちません

・と、デジクリとはかけ離れた内容になってしまいましたが、こんな感じで皆さんが使っているパソコンや携帯電話や家電やらの主要部品が開発されていたりします/といっても、ウチがその部品を作っているわけではありませんけど/で、ウチは何をやっているんだ? というと、メーカさんが諸々を開発研究するための装置を開発していたりするのです/おっと、その先は......内緒♪/って別に勿体ぶっているわけではありませんが、聞いても面白くないと思うので....../今回は読み難くいうえに意味不明な話でスミマセン

・記憶に残っている2週間の出来事→忙しくて何も記憶に残ってないです。また休みがなかったです→ムスメが高校推薦で入学。おめでとう!→ムスコが彼女を隠している気がする→つくリゾに嵌り中。面白い。