[2997] 動画投稿サイト「○○を踊ってみた」の系譜

投稿:  著者:


《冷蔵庫にある家庭内動画留守番電話》

■アンビエントメディアの夜明け[14]
 冷蔵庫は家庭内の重要な情報ポータル!
 川井拓也

■クリエイター手抜きプロジェクト[266]Adobe Bridge CS3/CS4/CS5編
 画像をTableタグに変換する
 古籏一浩

■境界線の歩き方[01]
 動画投稿サイト「○○を踊ってみた」の系譜
 出渕亮一朗

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■アンビエントメディアの夜明け[14]
冷蔵庫は家庭内の重要な情報ポータル!

川井拓也
< https://bn.dgcr.com/archives/20110131140300.html
>
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家族持ちにとって、冷蔵庫は家庭内の重要な情報ポータルであるという表現には賛同してもらえるのではないでしょうか? 晩ご飯温めてね! とか週末親子参観あり! とか、学校からの連絡メモから買い物メモまで気がつくといろいろな情報が貼られていると思います。

冷蔵庫がその構造上鉄板でできており、マグネットがつくという特性もこのアフォーダンスを定着させたと言えます。かくいう我が家でも、新聞の切り抜きから最近の写真、特売情報、近所の祭りのお赤飯引換券まであらゆる雑多な情報が冷蔵庫に集約されています。

そんな冷蔵庫に着目して製品化されたユニークな製品があります。それがナカバヤシのムービーメモという製品です。これはマグネットがついたインターフォンのようなスタイルの製品で、液晶とカメラがあり、ボタンがいくつかついています。

使い方はとても簡単で、押すと「見る」「撮る」というメニューが現れます。「撮る」にすると録画ボタンが表示され、自分の顔が液晶に映ります。そこで家族の伝言を録画します。「今日は遅いから夕ごはんは外で食べてくるよ」とか「夜食あるから冷蔵庫から出してチンしてね!」とか、数10秒の動画を録画します。録画した内容はSDカードに保存されるので、カードの容量分いくらでも保存できます。「見る」を選ぶと、これらの録画ファイルが再生されるという仕組みです。

このムービーメモが面白いのは、それが冷蔵庫にマグネットで固定されているという一点に尽きます。ケータイでもiPhoneでもデジカメでも同じことが出来ます。ルールさえ作れば、ムービーメモを買わなくても同じことが出来るわけです。

でも、ルールだけ決めてこの新しい習慣が続くでしょうか? それは無理です。冷蔵庫にある家庭内動画留守番電話だからこそ、この新しい習慣が家族の記録として意味を持つのです。事実、我が家ではムービーメモを使い出してから何10本の動画クリップがここに録画されました。

30万画素程度の画質もよくないムービーですが、なにげない日常のコミュニケーションが蓄積されているので、見返すと不思議な気分になります。これは、これまでのデジカメやビデオカメラでは切り取れなかった領域の映像だからです。このムービーメモを発売しているのでが、フエルアルバム等で有名な紙のアルバムメーカーであるナカバヤシというのも面白い事実です。

過剰なまでなスペック競争でしのぎを削るデジカメとは、まったく別の発想で作られたナカバヤシのムービーメモ。6,980円は家族の思い出を残る新習慣としてはプライスレスと言えます。
< http://bit.ly/dQxXwW
>

【川井拓也 / Takuya Kawai】
mail:kawai@himanainu.jp twitter @himanainu_kawai

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■クリエイター手抜きプロジェクト[266]Adobe Bridge CS3/CS4/CS5編
画像をTableタグに変換する

古籏一浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20110131140200.html
>
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今回のネタも前回と同じく、画像をHTMLのTableタグに変換するスクリプトです。が、今回はAdobe製品の中で、もっともピクセル処理がやりやすいBridgeを使います。JavaScriptだとPhotoshopよりも高速で便利で、いろいろできます。Photoshopよりピクセル処理が得意というのは不思議ですが......。

Bridgeの場合は、new BitmapData() に選択した画像ファイルオブジェクトを指定するだけで、後は前回のスクリプトと変わりません。ただし、Bridgeでは文字列の連結(text+="abc"等)が異常に遅いのでsaveFile.write() を使って1行ごとファイルに直接書き出しています。

ちなみに文字数にもよりますが、文字列で連結した後で書き出すよりも、10倍では済まないほどの速度差があります。つまり、ファイルに書いた方が文字列連結で最後に書き出すよりも、10倍から100倍近く高速だという事です。

もし、Bridgeで文字列処理を行うようなスクリプトを作成する場合には、実行速度の差には注意する必要があります(扱う文字数が少ない場合には高速みたいです)。


// Bridgeで開いた画像をtableタグに変換
function pixelToTable(){
for (var y=0; y<docObj.height; y++) {
saveFile.write('<tr>');
$.writeln(y);
for (var x=0; x<docObj.width; x++){
var rgb = new Color(docObj.getPixel(x,y));
var R = rgb.red.toString(16);
var G = rgb.green.toString(16);
var B = rgb.blue.toString(16);
if (R.length < 2){ R = "0" + R; }
if (G.length < 2){ G = "0" + G; }
if (B.length < 2){ B = "0" + B; }
saveFile.write('<td style="background-color:#'+R+G+B+'"></td>');
}
saveFile.write('</tr>');
}
}
// 保存ファイル選択
var saveFile, docObj;
(function(){
var imgFile = File.openDialog("変換する画像ファイルを選択してください");
if (!imgFile){ return; }
docObj = new BitmapData(imgFile);
saveFile = File.saveDialog("保存するHTMLファイル名を入力してください");
if (!saveFile) { return; }
var flag = saveFile.open("w");
if (!flag){ alert("ファイルが開けません"); }
var s = (new Date()).getTime();
saveFile.write('<!DOCTYPE html><head><title>pixeltable</title></head><body>');
saveFile.write('<table style="border:0px solid black;border-collapse: collapse;">');
pixelToTable();
var e = (new Date()).getTime();
var time = Math.round((e - s) / 1000);
saveFile.write('</table></body></html>');
alert("HTMLファイルの作成が終了しました。変換にかかった時間:"+time+"秒");
})();


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
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コミPo! がバージョンアップされて、さらに便利に。という事で空いた時間で漫画作成......。

・コミPo!(v1.20に!)
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■境界線の歩き方[01]
動画投稿サイト「○○を踊ってみた」の系譜

出渕亮一朗
< https://bn.dgcr.com/archives/20110131140100.html
>
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今回から、「境界線の歩き方」というテーマタイトルでデジクリに書かせていただきます。境界とは、サブカルチャー、現実と妄想、科学とトンデモ、クロスオーバージャンル、未来予測...なんかです。

今回のサブお題目は「縁起」です。

縁起とは仏教思想から来ており、すべてのことは何か原因があって起こり、それがまた次に影響していくということで、まあ明らかに宇宙の真理のひとつである。「縁起が悪い」とは、何か悪い兆候があると、よくない事がおこるのではないかと考えるということだ。

そういう訳でここに至るには、またいろんな事があったのだが、とにかく私はその時、YouTubeでAKB48の曲、Begginerのダンスカバーを見ていたところから始める。

そこにあった画像レスポンスを何気なく見てみた。それは、ケルシー(KimonoTime)というイギリスの18才の女の子のダンスカバー映像だった。それはなにやらパワーがあり衝撃的だった。彼女の他のダンス映像も見ていったのだが、どれも、「ルカルカ★ナイトフィーバー」など、日本語の曲を踊っていることや、ダンスの元気さや彼女のキャラの明るさ、自宅の一室で撮影した映像の編集がとても魅力的だった。また、どれも最後に日本式の深い一礼をしているので、どうやらこのスタイルの原型がありそうだった。

以下、知っている方にはいまさらの話ばかりだと思うのですが、私の探索を順にたどっていきたいと思います。

調べていくと、日本のみならず、世界中で女の子を中心とした「ルカルカ」等の曲の「○○を踊ってみた」とタイトルの付けられたダンスカバー映像が、数多くアップされているのを見つけた。いずれも、数千から数万の高ヒット数だ。

そのうち、愛川こずえ(xxxayu3)というダンサーに行きついた。当時たぶん高校生だった彼女の、自宅の一室で撮影したダンス映像、「ルカルカ★ナイトフィーバーを踊ってみた」(2009/7/2公開)は、現在(2011/1)YouTubeで250万ヒットを超えており、ここで、このダンスの彼女のオリジナル振り付けを公開していたのだ。その他、「ストロボナイツを踊ってみた」(2009/11/3公開)も彼女の振り付けのようだ。

私の推定であるが、もともと彼女はプロのダンサーではなく、当然、安室奈美恵や倖田來未レベルではなく、また、ダンスのインストラクターのレベルでもない。たぶん趣味で好きなダンスをまねて踊っていたか、もしかしたら、どこかでダンスやガールズヒップホップの基礎をかじっていたかもしれない。

しかし、それがゆえに彼女の元気いっぱいのダンスは覚えれば踊れそうで、私も踊ってみたい! という気持ちを見る人に起こさせるのだろう。踊りを覚えようとすると映像を何度も見ることになる。人によっては数十回、もしかすると百回以上見る人もいるだろう。彼女の映像のヒット数はイコール見た人数ではなく、こういうリピーターのからくりもあると思う。

こうして、世界中で女の子を中心に、「ルカルカ★ナイトフィーバー」や、「メグメグ★ファイヤーエンドレスナイト」、「ストロボナイツ」といったダンスカバーを、それぞれのお国柄の出た自宅や、思い思いの庭や公園で、時にはコスプレをして「踊ってみた」という映像がアップされ続けている。

日本の元気な女の子の始めた遊びが世界中に広まって、世界中の女の子が踊りだしてしまうという何とも楽しいシーンが広がって来ているのである。

ところで、愛川こずえさんのダンススタイルは何に入るのだろう? これも私の考えであるのだが、彼女のオリジナルというよりは、日本のアイドルの振り付けによく使われるスタイルで、パラパラとガールズヒップホップを合わせた感じだと思う。

パラパラは何かというと、これも諸説があると思うが、私は特に腕と手指の形に初めから最後まで振付が入った、手を大切にしたダンスだと思う。この辺は、インド舞踊〜インドネシア舞踊〜琉球舞踊〜日本舞踊と続く伝統が半無意識的に入っているのではなかろうか。この種のダンスを見るとき、一度手の形だけに注目して見ていただければわかると思う。

対してヒップホップは体幹、つまり、頭〜背骨〜腰〜足を結ぶラインを自由に曲げて大きなリズムを刻むことを基本としていて、手は体についてくるものであり、特に意図される所以外は手指の形は重要でなく、そこはダンサーにまかせられるダンスだと思う。

比較的単純なパラパラの振りに、ガールズヒップホップのダイナミックさをミックスすることにより、より見て楽しい踊って楽しいダンスとなり、これも世界で受けている一因だと思う。

なお、愛川こずえさんは、現在、いとくとら(いくら)さんといった動画ダンスサイトでの人気者と共にDANCEROIDというダンスグループを作って活躍中である。

さて、曲の「ルカルカ★ナイトフィーバー」であるが、これは、実谷ななさんによるボーカルカバーということである。さらにその原曲は、VOCALOID、巡音ルカを使った、samfree氏のオリジナル曲である。

VOCALOIDは、ご存知のように、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社によるYAMAHAの音声合成技術をベースにした、バーチャル・ボーカリスト作成ソフト、「初音ミク」等を指している。

ニコニコ動画サイト等を通して、このソフトを使った数多くの曲が匿名のクリエーター達により公開されてきている。例えば「メグメグ★ファイヤーエンドレスナイト」もまた、samfree氏による曲である。

さらに、水色の長いツインテールがトレードマークの初音ミクキャラクターを、アニメ風3Dで踊らせる映像を作成することができるフリーソフト、MikuMikuDanceが、樋口優さんにより2008/2/24に公開された。モデル作成は「あにまさ」さん。このソフトは大ヒットし、数多くのそれで作成されたダンス映像がアップされた。

このソフトは、3Dモデルをボーンによりアニメ付けする。足にはインバースキネマティックスも入っている。2D的な表情やリップシンクも付けられる。描画はいわゆるトーンシェーダーで、3Dであるのにアニメのような2Dに見える。ムービーを見ると髪やネクタイに物理シミュレーションが入っているように見えるが、これは作成者の努力のようである。

確かにこのソフトを使えば比較的簡単にアニメーションを作れるようだが、指の関節のひとつひとつにまでキーフレームを入れてダンスのアニメーションを作成をしているのは、アニメーターの努力と執念の賜物といってよい。こうしてできあがった、初音ミクのCGキャラクターによるダンス映像のひとつが、「ルカルカ★ナイトフィーバー」なんかのパラパラ風ダンスだった。

また、「踊ってみた」という動画投稿は、そもそも、YouTubeが始まったころから、人気TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の主題歌「ハレ晴レユカイ」を自室で踊ってみたもの等の映像投稿がなされてきた系譜がある。

このCGキャラクターによる「ルカルカ」のダンス映像を見た愛川こずえさんが、自分のオリジナル振付を作って「踊ってみた」として、画像アップしてみようと思い立ったのだろう。

愛川こずえさんの振り付け映像がアップされた後、またすぐに、MikuMikuDanceで彼女の振り付けをトレースしたCGキャラクターによる映像がアップされている。

なお、ベッキー・クルーエルというイギリスの少女が「踊ってみた」映像で日本で有名になり、ロッテのCM等で起用されていたということもこの探索中に知った。愛川こずえさんの「ルカルカ★ナイトフィーバー」が世界基準となり、ベッキー、ケルシーといった海外の多くの女の子も含めて、そのダンス映像が国内外から今でも動画サイトへのアップが続いているのだ。

こうして、インターネット上で世界中の実際に顔を合わせたことがない数多くのクリエイター達が出会い、次から次へと影響し合って連鎖反応のように、どんどんといろいろなものができてきているのだ。それはまさに縁起の原理そのものといってよい。

さて、次はいったいどんなものが生まれてくるのだろう?

【出渕亮一朗】ryoichiro.debuchi(a)gmail.com
コンピューターグラフィックス、インタラクティブアート分野のアーティストグラフィックス分野のプログラマー
< http://www.debuchi.com
>

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■編集後記(1/31)

・いま困っているというか、戸惑っているのはわたしの背が縮んでいるという厳粛なる事実である。一番背が高かったとき(の自称)に比べると、ここ数年で4〜5cmくらい低くなっているようだ。メタボ健診でそのことが発覚して、妻に訴えたら「じつは2〜3年前から、昔にくらべて目の位置が下がって来ているのに気がついていた」と告げるではないか。以前はかなり見上げていたのに、最近はあまり見上げずに視線が合うらしい。そういえば見下ろすわたしも、妻の目が近くなったと感じる。たまたま昨日の新聞の健康欄に「若い頃に比べ身長が低くなった」という70歳女性のQがあった。「加齢とともに誰しも多少は猫背になり、また椎間板が薄くなるため、ある程度は低くなるのが普通です。しかし、このくらいの年齢の女性は骨粗しょう症である場合が多く」とAがあった。骨粗しょう症は女性がなるものとばかり思い込んでいた"そういうことには疎い"(笑)わたしだったが、調べてみたら男にもあると分かった。まさかねえ、そんな歳でもないし...、いやーな感じ。一日中椅子に座りモニタに向かって10数年の生活が、体にいいわけがないものなあ。次第に縮んでいく......「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」はおもしろかったけど。(柴田)

・28日が誕生日だった。何年か前に登録し、開店休業中(月に一度アクセスするかどうか)のFacebookのウォールにおめでとうメッセージが。めっちゃ嬉しい。なんだろう、こういうのマメじゃないし、あまり気にしたことなかったから、こんなに嬉しいものなんだと。SNS関係では登録しても誕生日は公開しないようにしている、というか、出すなら年まで公開、出さないなら年月日全て非公開というものばかりで、年齢のわりには何も残せてないよなぁと思っているので、出すのは恥ずかしい。Facebookも最初はそうだったような気がするのだが、何かのきっかけで設定変更している時に、年は非公開にできることを知って、へぇと公開してたよ。/エジプトをはじめ、各地の革命がFacebookやTwitterがきっかけと知り、驚いた。そのためにネット遮断されるという話を聞くと、凄いインフラ(ITで言うところの)を毎日、いや寝ている時以外、一日中使っているのだなぁと改めて思った。パソコン通信はやっていた。1993年〜1994年頃だったか、インターネットを知った時、まだテキストベースでしかアクセスできなかったけど、目の前がぱぁーっと開けたような、何これスゴイコワイ、と驚いたことを思い出したよ。モザイクにネスケ。AOLの入会ディスクを海外から取り寄せたりしたよ。(hammer.mule)