アンビエントメディアの夜明け[14]冷蔵庫は家庭内の重要な情報ポータル!
── 川井拓也 ──

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家族持ちにとって、冷蔵庫は家庭内の重要な情報ポータルであるという表現には賛同してもらえるのではないでしょうか? 晩ご飯温めてね! とか週末親子参観あり! とか、学校からの連絡メモから買い物メモまで気がつくといろいろな情報が貼られていると思います。

冷蔵庫がその構造上鉄板でできており、マグネットがつくという特性もこのアフォーダンスを定着させたと言えます。かくいう我が家でも、新聞の切り抜きから最近の写真、特売情報、近所の祭りのお赤飯引換券まであらゆる雑多な情報が冷蔵庫に集約されています。

そんな冷蔵庫に着目して製品化されたユニークな製品があります。それがナカバヤシのムービーメモという製品です。これはマグネットがついたインターフォンのようなスタイルの製品で、液晶とカメラがあり、ボタンがいくつかついています。



使い方はとても簡単で、押すと「見る」「撮る」というメニューが現れます。「撮る」にすると録画ボタンが表示され、自分の顔が液晶に映ります。そこで家族の伝言を録画します。「今日は遅いから夕ごはんは外で食べてくるよ」とか「夜食あるから冷蔵庫から出してチンしてね!」とか、数10秒の動画を録画します。録画した内容はSDカードに保存されるので、カードの容量分いくらでも保存できます。「見る」を選ぶと、これらの録画ファイルが再生されるという仕組みです。

このムービーメモが面白いのは、それが冷蔵庫にマグネットで固定されているという一点に尽きます。ケータイでもiPhoneでもデジカメでも同じことが出来ます。ルールさえ作れば、ムービーメモを買わなくても同じことが出来るわけです。

でも、ルールだけ決めてこの新しい習慣が続くでしょうか? それは無理です。冷蔵庫にある家庭内動画留守番電話だからこそ、この新しい習慣が家族の記録として意味を持つのです。事実、我が家ではムービーメモを使い出してから何10本の動画クリップがここに録画されました。

30万画素程度の画質もよくないムービーですが、なにげない日常のコミュニケーションが蓄積されているので、見返すと不思議な気分になります。これは、これまでのデジカメやビデオカメラでは切り取れなかった領域の映像だからです。このムービーメモを発売しているのでが、フエルアルバム等で有名な紙のアルバムメーカーであるナカバヤシというのも面白い事実です。

過剰なまでなスペック競争でしのぎを削るデジカメとは、まったく別の発想で作られたナカバヤシのムービーメモ。6,980円は家族の思い出を残る新習慣としてはプライスレスと言えます。
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【川井拓也 / Takuya Kawai】
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