買物王子の家づくり[13]施主の自覚
── 石原 強 ──

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家のプランが固まって、ついに着工まで漕ぎ着けました。入居予定の12月に完成するためには、もうこれ以上は遅らせられません。今なら7月末で打ち切られる住宅エコポイントの申請もギリギリで間に合いそう。いよいよ自分達の家が現実になっていくのは楽しみです。

●着工前は地鎮祭

最初の行事は地鎮祭です。建物を建てる前に、その土地の神様に、土地を利用することに許しを得る儀式です。お供え物をし、祝詞をあげ、お払いをして浄め、施主が初めてその土地に鍬(くわ)や鋤(すき)を入れるのです。

工事の無事を祈る儀式でもあり、建築に関わっている友人も「やらない現場は、なんか起こることが多いんだよね」と言っていた。決して信心深い方ではないのだけど、こういった儀式は好きです。おそらく二度やるチャンスは巡ってこないので、この機会にぜひ体験したい。

日程は7月末の大安吉日の午前中を選びました。手配はオオハラさんにお願いしました。儀式を執り行なう神主さんは、近くの「幡ヶ谷氷川神社」から来ていただくことになりました。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/氷川神社_(渋谷区本町)
>

準備が整ったと安心したのも束の間、妻の祖母が急に亡くなって、同じ日に告別式が行われることになりました。こんな時に限って、喜ばしいこと、悲しいことが重なってしまうのです。スケジュール上、すぐに着工しなければならないので延期もできません。妻と次男ワタルは告別式に出席となりました。



当日は、あいにく小雨がぱらつく曇り空です。オオハラさんがテントを準備していました。注連縄も張られて準備が進んでいました。私と長男カケル、Boo-Hoo-Woo.comミヤケさん、建築家フルヤさん、構造設計ヨコヤマさん、大原工務所オオハラさん、それに現場監督のキクチさんが参加しました。

神主さんが到着して、祭壇の準備が整うと儀式がはじまりました。「修跋(しゅうばつ)」のお祓いから始まります。「降神(こうしん)」は神様をお迎えする儀式です。お祓いをして神妙な気持ちになりました。粛々と式は進みます。

地鎮祭って意外と蚊が多い、とネットのブログで読んでいたけど、虫除けをするのを忘れてしまった。儀式の途中でカケルのほおに蚊がとまっているのを見つけて、おもいきり叩いてしまいました。

「地鎮(じちん)」は、施主の出番もあってちょっと緊張します。最初は「刈初(かりぞめ)」。」フルヤさんが木でできた鎌で、きれいに円錐形に盛った砂山の上にある草を刈ります。二番目は「穿初(うがちぞめ)」施主の出番です。息子と一緒に、「エイ! エイ!」と掛け声をかけて、砂の山に鍬を入れます。最後は「土均(つちならし)」、オオハラさんが鋤を持って山を崩しました。

儀式が終了して、最後が「直来(なおらい)」、お神酒で乾杯です。そのまま地面に撒いてもいいと言われたけど、長男カケルは、あっという間に飲み干していました。感想を聞いたら「ノドに来た」みたいです。

地鎮祭は滞りなく終了しました。時間にして20分くらい。神主さんにお礼をして「初穂料」をお渡ししました。これで安全に工事が進むといいな。

●思ったよりも小さく見える

地鎮祭が終わった後に、現場監督のキクチさんと一緒に隣家へ挨拶にまわりました。着工前の挨拶は、工務店だけの場合もあるみたいだけど、隣家にどんな人が住んでいるのかも知っておきたい。

といっても、両隣はまだ家がないので、北側の道を挟んで向かいの家、南東側にある家の2軒だけです。手土産を持ってご挨拶。「工事でご迷惑をおかけします、よろしくお願いします」と伝えると「まあまあ、若い施主さんですね」と笑顔で返された。そんなことはないと思ったけど、まあいいか。

さて、祭壇も片付いて、改めて足下の自分の土地を見回してみます。地面には、これから建てる家の外周を示す「地縄」が張ってあります。図面を思い浮かべながら、玄関がこのあたり、キッチンが真ん中で、リビング、ここからは庭なんだ、と考えながら見ていきました。

ところが、思いのほか小さい感じがします。リビングだって大股一歩で跨げてしまいそうな幅しかない。確かに土地は細長い「うなぎの寝床」です。狭くてハウスメーカーでは対応できないという制限から、オリジナルの設計に取り組んだのだけど、こんなに狭いと出来上がる家が心配になってきます。

ちょっと気落ちして「なんか、すごく小さく感じる」と言ったら、ミヤケさんに「この時が一番小さく見えるんですよ、この間オープンハウスで見てもらった建坪5坪の家なんて、本当に大丈夫かと思うくらい狭かったんです。でも、出来上がると、部屋は普通にみえたでしょう? 同じようにちゃんと広くみえますよ」との返答。そんなもんなのかな。

7区画ある土地は、東端から順に工事が進んでいます。1軒目は、既に完成して住んでいる、2軒目は内装工事中、3軒目は基礎が終わったところ、4軒目は基礎工事中、5軒目がうちで、地鎮祭を済ませたところ。西側の2区画は、まだ手付かずで背の高い雑草が生えています。みごとに建築工程の見本みたいな現場風景です。

翌日から地盤改良のための杭工事がスタートします。これまで、いまひとつ「施主さん」といわれてもピンとこなかったけど、地鎮祭を終えて、気持ちも新たになりました。これから自分の家が産まれる様子を見届けたい。早く工事が見たいとワクワクしています。施主の自覚が芽生えてきた気がします。

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
Boo-Hoo-Woo.comのウェブサイトに模型と図面が紹介されました。
< http://boo-hoo-woo.com/housing/portfolio/pjt_originaldesign/it_house/
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冷静な説明文を読んでいると、なんだか他人の家みたいな気がするな。
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