デジタルちゃいろ[22]アーティストが電気スナッパーの夢を追いかける、のか?
── browneyes ──

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つい先日、深く考えもせずに我がiPhone4をiOS6にアップデートしたのですが、アップデート様子見している友人たちの関心の的は地図。Google Mapと決別したiOS6の地図の不評は薄々聞いていたものの、予想を遥かに上回るすごい地図ですね、これは。

スターバックス駅にマクドナルド駅、パチンコガンダム駅...。ワタシ自身に多少なりとも縁のある土地でも何かないかと探してみたら、配偶者の郷里の釧路湿原が、広大な湖となってて、湿原と湿原に注ぐ川の区別がまるでない。地図ばっかりはGoogle Mapに戻してくれないかなぁ...。

●街撮り関連記事ウォッチで浮上してきた「アート」

前々からGoogle MapのStreet View、俗称「ストビュー」での偶発的なおもしろショットまとめなどは見かけていましたが、どうも最近はストビューがアートに昇華されつつあるようです。

写真周りのお勉強方々、いわゆるドキュメンタリー写真やストリートフォトグラフィーに関して注目されている記事を極力ウォッチするようにしているのですが、ここ数か月、「street」というキーワードにつられるかの如く、ストビューについての記事が増えてきたのですよね。

何故最近になって記事が増えだしたのかは定かではありませんが、実際は去年くらいからそういう流れはあるようです。実際のアーティストさんや写真家さんの手で「ストビューアート」なる展覧会など、が開催されていたり、去年のWorld Press Photoでは、一部門でストビュー写真で入賞、なんていうコトもあったのですね。

□アートになった『Googleストリート・ビュー』(WIRED) - goo ニュース
└< http://j.mp/OP34MW
>

しかも今や一人や二人ではない模様。...というか、今回取り上げておきながらこういうのもナンですが、ホントに結構膨大な量のストビューアート記事があるので実際、個人的には既に食傷気味とも言える程。




●8万キロ、20ペタバイトの写真から

未だに我が家周辺は主要な国道しか来てくれてないストビューカーですが、どうやら今年の6月時点で8万キロ、20ペタバイトのストリート写真を撮影しているそうです。

とか言ってもまるでピンと来ないですが、下記の記事によると月まで10往復だそうです。ググる先生に地球の外周を教えていただいたところ、ざっくり4万キロだそうで、あぁ、じゃあ、月まで5往復が地球1周分の距離なのか〜...って、もはやストビューとは全く関係ない計算ですね、そこは...。

ペタバイトってテラバイトの次でしたっけ? 1024テラバイト...。えーっと、今は1TBのHDDを2つ程使ってるけど(プラス500GBひとつ)、これの1024倍の、えーっと、20倍...でいいのかしら。それってどうやって格納してるんだろうか。ペタバイトなHDDなんて、さすがにまだ...ないよね?(既に計算で頭がショートしてる)

□Google Street View Has Snapped 20 Petabytes of Street Photos
└< http://j.mp/SghcxT
>

●人力編集というアート?

そんな膨大なストビューカーの撮った写真から、それはもう色んなアーティストさんが色んな切り口でストビューのアートを発表している、らしい。

上述のとおりで既に個人的には食傷気味なので深掘りはしてないし、そもそも有名どころですら写真家さんやアーティストさんの名前も体系的に把握できていないので「あのヒトがこんなのを」みたいな解説も出来ないのだが、ワタシ自身の目に飛び込んだ(=呼ばれた)ものをかいつまんで紹介するとざっと下記のとおり。

□street view: a series of unfortunate events MICHAEL WOLF |
PHOTOGRAPHY | HONGKONG (World Press Photo入賞者)
└< http://j.mp/NKHnfv
>
□MoMA | New Photography 2011 | Doug Rickard (展覧会)
└< http://j.mp/UpXXj8
>
□The Nine Eyes of Google Street View - we make money not art (展覧会)
└< http://j.mp/QwLZDm
>
□Jon Rafman (上記記事の展覧会のプロジェクト公式Tumblr)
└< http://j.mp/UGgkTL
>
□Google Street View Photography | Funofart - The Best Photography Site
└< http://j.mp/Sg7Yli
>
□You Never Knew Google's Street View Was This Beautiful | WebProNews
└< http://j.mp/PcjH10
>

写真については、撮って出し至上主義の方も存在するので一概には言えませんけど、シャッターを押すという行為は写真表現の初期のほんの一部の作業であって、作品として完成させるのには撮影後のセレクションや現像が最も大切で大変な作業だ、と、言われもしたし、真面目にやればやるほど、実際そんな気がしてたりもします。

先月見学させていただいたドキュメンタリー写真のワークショップの最終選考会の場では、生徒さん達の作品を通じて何度か、写真家と編集者が別の場合に起きがちなコミュニケーションの齟齬や、逆に写真家と編集者を別立てにした方がよい場合の理由についての話題がレビューの際に出てきていて、非常に興味深く聞かせて戴きました。写真作家的作品と報道系との大きな違いを、人の作品を通じて概念的に薄々理解出来た気がします。

そういう目線で考えると、これらのストビューアートな写真というのは、撮り手は無機質なストビューカー。取り手の思い入れも作家根性も皆無な上に、状況に応じて「撮らない」という判断すらしない、良くも悪くも非情で冷徹。そんな撮り手に淡々と撮られた写真を、作品として成立させるのは編集者以外いない。

いや、ちょっと待て。そのフローはよいにしろ、例えば既に没した有名写真家の回顧展があるとして、それでもそれは通常、あくまで撮り手の名前の展覧会であって、編集者の名前が先に立つ写真展なんて、少なくともワタシは見たことがない。報道写真の雑誌掲載の際にも、編集者が表に出るなんてあまり聞いたことがない。業界で名の通った名編集者、みたいなのがいたとしても、それは業界内やマニアの間の事であって、表に出ることは通常ない...よね?

...なんて屁理屈をこねたところで、今のところこれらの「アート」は実質、アーティストによる編集(セレクション)という「アート」であり「ニューフォトグラフィー」なるものの一種として既に産声を上げている。

そもそものソースがストビューなので、今後の拡張性には限界もありそうな気もしますが、当面は新機軸コンセプトみたいなところでもう暫くは続くんでしょうかね。そのうち監視カメラフォトグラフィーとかも出てくるのかもしれない、既にあっても驚かないけど。

件の、ストビューでWorld Press Photo入賞の頃に早速、ストビューのスクリーンショットは「写真」なのか「盗用」なのか、といった議論もあったようですが、その後がどうなってるのかまでは下の記事内でもカバーしてませんね。どうなってるんだろう。

□Street View Screenshots: Photography or Plagiarism?
└< http://j.mp/TpDIXS
>

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■今回のどこかの国の音楽

□Balkan Beat Box "War Again"
└< http://j.mp/OTaMjo
>

やー、大失敗しました! せっかく9月の頭に数年ぶりの来日だったのに、その前に紹介しなかっただなんて!(自分が行けないもんだから悔しくて避けがちで、ここで紹介する事すら思いつかなかった...)

既に日本でもワールドミュージック好きには結構有名...なんじゃないかしら。アメリカ拠点のイスラエル人3人組。拠点がアメリカということもあってか、ワタシのストライクゾーンの土着臭というよりはだいぶオサレな都会風。ステージではMacも駆使しつつ、サウンド自体もいい具合のバルカンなブラスと、レゲエやダブなどがいい具合のチャンポンで入り混じります。

一番大好きなのは下記の曲。これは前から音や映像の悪いライブ動画しかないのですよね...。5〜6年前の来日の際にはテンション上がりすぎで、客席でお行儀悪くしすぎて会場のお兄さんに叱られました。ごめんなさい。

□Balkan Beat Box "Hermetico"
└< http://j.mp/Ra4jEL
>

【browneyes】 dc@browneyes.in
日常スナップ撮り続けてます。アパレル屋→本屋→キャスティング屋→ウェブ屋(←いまここ)しつつなんでも屋。
□立ち寄り先一覧 < http://start.io/browneyes
>
□デジタルちゃいろ:今回のどこかの国の音楽プレイリストまとめ
└< http://j.mp/xA0gHF
>

前回の後記にチラリと書いていたヨット乗船の予定日、その日に限り目いっぱいの大雨で順延。そして前々回(かな?)の後記にチラリと書いていた山籠りをしていた若かりし友人も下山。色々夏が終わった感をひしひしと感じる週末が明けました...って、そりゃもう10月が鼻の先ですもんね。

この週末のメインイベントは代々木のナマステ・インディア。今年は友人たちとまったりと楽しみました。初日最後のステージ演目のカラリパヤットにすっかり魅了されてしまいました。