アナログステージ[101]課金と上手に付き合うためのワン、ツー、スリー
── べちおサマンサ ──

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コテコテのゲーマーだったオイラですが、家ゲーはおろか、ゲーセンで遊ぶことも限りなくゼロになってきている。6、7年前は時間があればゲーセンでバーチャやビートマニア系のゲームで遊んでいたりしたものだが、通っていたゲーセンが閉店したのと同時にゲーム離れした。

今ではたまーに、ムスメ彼氏が家に遊びにきたりするとき、みんなで晩ご飯を済ませたあと、ガヤガヤとムスコの部屋でマリオカートで盛り上がるくらい。

こうやってテキストだけを読んでいると、和気藹々とした理想な家庭生活のように感じるが、そうではない。ゲーム開始から時間が経つにつれ、酸素濃度が薄くなった、ドス黒い空気がムスコの部屋の天井を渦巻いてくるのだ。

マリオ系のゲームはムスコが腹立つくらいに強いので、やっているうちにつまらなくなる。あの手この手卑怯な手を使って勝ちをもぎ取ろうとするが、まったく歯が立たない。

手加減をしないムスコを横に、悶々としているオイラをムスメ彼氏が接待プレーで中和作業。パパ、大人気なさが全開だが気にしない。ここで大切なポイントが、オイラは負けず嫌いではない。

バーチャやスト系(ストリートファイターシリーズ)でボコボコにして鬱憤を晴らすという手もあるが、数年前にカミさんにジョイスティックを全部捨てられてしまったので、本体付属コントローラーでやるしかない。それはダメだ。




格ゲーは、ゲーセンでやろうが自宅でやろうが、シビアなレバーとボタン操作が要求され、それを満足させてこそのゲーム。「ガチャ押しエンジョイプレー」なら話は別だけれど、パッドコントローラーで波動拳を出すのはオイラには至難の技。

ドス黒い渦の中心で放電活動が始まり、いつ落雷してもおかしくない状況を察知してか、ムスメが「みんなで桃鉄(桃太郎電鉄)かいたスト(いただきストリート)やろうよ」と空気清浄機の役目をするが、桃鉄といたストこそ、最後に大炎上するゲームはない。

やり始めは楽しいんですよ。間違いなく。「このエリアは協力しようゼ」とかいたって平穏な空気。それがゲーム中盤に差し掛かってくると、「協力しようぜ」が「チ、邪魔だなオイ」に変わっていき、エリア独占目前になると、「5倍買いするか」となり、本当に5倍買いした瞬間に着火。

最後には「もう絶対にやらない」と物件や株の投げ売りしてゲーム脱落するムスコの大炎上劇が見られ、パパは「ざまぁwww」とニヤニヤ大騒ぎ。マリオカートの鬱憤を見事に晴らし、ムスメとムスメ彼氏は沈黙のままムスコの部屋から出て行く。

●ソフト1本分の課金くらいはアリ?

とまぁ、こんな具合にダラダラ書いていると終わりが見えなくなるので、本題。ゲーム離れしているのは間違いなかったのだが、LINE POPで再びゲームを愉しむようになった。端末はゲーム機からiPhone(iPad)に変わったけど、移動中にそこそこ楽しめるのはご存知のとおり。

「無料でここまで遊ばせてもらって悪いなぁ」と思いつつも、とくに課金するほど熱中するわけでもなかった。LINEゲーはコンティニュー課金なので、別に課金してゲーム回数を消化するほど興味はなく、時間回復で遊べば良いくらいだった。それがパズドラ(パズル&ドラゴンズ)でいよいよ課金に手を染めようとしている。

課金したくなる要素はレアガチャ引きではなく、テクニカルダンジョンでの曜日イベントのスタミナ回復。メタドラと進化素材調達がとくかく必死になる。ムスコから「課金したら負け組」と嘲笑されていたが、レベルが上がるにつれてイベント時のスタミナ回復要求は高まるばかり。

課金したら負け組にならないためというか、オヤジの威厳を保つために課金するのを我慢してきたが、課金するための言い訳を考えてみた。

・「タダでここまで遊ばせてもらうのも申し訳ないから、少しだけメーカに寄付という気持ちで課金してみる」という、偽善者チックな態度で課金する

・「課金してこそ大人の娯楽」と余裕を見せつけ、金の力で大人の威厳を光らせる

・「負け組みでいいよ別に、そもそも何に負けるのかよく分からないし」と真っ向に開き直ってみる

という言い訳を考えてみたのだが、今までゲームカセットにしろCD-ROMにしろ買ってきて遊んでいたわけだし、ゲーセンでも1回100円入れて遊んでいたわけだ。通信料うぬんは別として、実質タダでゲームやることが当たりまえの時代になりつつある。

ボランティア運営ならタダでいいのかもしれないが、会社の人が動いてリリースしているということは、当然、人件費や開発費などの金が少なからず掛かっている。
有料アプリで金を稼ぐか、無料アプリで課金にするかは会社の判断だけれど、無料アプリで間口を開いて、興味もった人からお金をいただくというのは、一番良い方法じゃないかな。

以前、写真アプリのコラムを書いたときも、いい(面白い)アプリって、ユーザが面白いと判断したらお金を払うし、それなりの価値があると判断しているはず。ただ、ゲームアプリでの課金の場合、ゲームに終わりがなければ、投資金も終わりがなくなるわけで、課金の金額やタイミングを冷静にみなければいけない。

その判断というか区別がつかない子どもたちが、バカスカと課金して社会問題にまでなっている背景もあるけれど、親が「○○円までならいいよ、でも一回で全部使うのではなく、本当に必要なときだけ」とアナウンスしてあげ、ゲームソフトを買うときの値段くらいまで許してあげるような理解は必要かも。

親も子どもがどんなゲームで遊んでいるのかを知っていると、子どもとのコミュニケーションもとり易く、「ココ! ここで魔法石欲しくなるよね」と子どもにも伝わって、上手なお買い物ができるようになる。

子どもが「どんどん課金したら強くなるのは当たりまえ!」というような遊びかたを覚えるのは、そのゲーム本来の面白さを失なってしまうし、子どもにも損だ。親の投資が切れても、自分の少ないお小遣いで長く遊べる方法を教えてやることができるのも、親ならでは。学校の友達からも、もちろんいろいろな情報が入ってくるだろうけれど。

ゲームに限らずほかの遊びでも、自分のお小遣い範囲で楽しむコツをぜひ。オイラは5000円までなら課金しようかな...... と、ムスコに打診してみます。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
NDA拘束員であり、本当の横浜を探しているヒト。ぶら撮り散歩師。
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まとめはコチラ→< http://start.io/bachio
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△▼過酒雑記──今日の酒は明日の肥し 「100回記念その2」▼△

●先週の続き)デジクリに寄稿するようになった経緯は、mixiで「アナログクリエイターズ」というデジクリのパロディを書いて遊んでいたら、ケバヤシ(G/H@セーラー服おじさん)さんがオイラを柴田編集長に紹介してくれたのがきっかけ。記念すべき第1回目は、2008年10月7日。

・アナログステージ[1]新連載:金をお金で買う
< https://bn.dgcr.com/archives/20081007140400.html
>

まさか連載になるとは予想もしていなかったので、コラムの内容をどの方向で書いていくかは、まったく定まっていなかった(いまも定まっていないようなもんだけれど)。カチカチのデジタルネタは、ほかライターさんにお任せして、自分がしっかり出せるフィールドとなると、『デジタルの裏でニヤニヤしているアナログ』が一番自分らしさを出せると自己結論。

『自分の声』をデジクリで出したくなかったので、独りチャット形式というスタンスでいこうと始めたのが、腹肥商事シリーズ。腹肥商事だけだとキャラが飽きてくるのと、こっち業界の際どい情事をギリギリ書けるようにと出したのが、博士と助手シリーズ。

しかし、ネタがそうそう続くわけではく、途中からNDA(秘守義務)の縛りが強くなってしまったので、博士と助手シリーズはあっけなく沈没。腹肥商事もキャラが面白くなくなってきたので、本格的な脳内チャットを投入。これが書いていて面白いんだ。デジクリの原稿書いているなかで、一番楽しんで書いている。

●ちょうど連載開始と同時に本業が多忙になり、デジクリへの寄稿も10回かそこらでコケるかな? という不安を抱きながらスタートさせた。時間に追われながらも原稿を落としたのは一回だけ。あの日のことはよく憶えている。あの時は原稿を書き始めようかなって時に、ラボ(仕事場)のガス警報機が検知して通報連絡がまわり、慌てて飛び出したんだっけ。結局は検知エラーで大事には至らなかったんだけど、びっくりしたなぁ (続く

@Dyrell6502さん、@iKaz888さん、@kubo_naojiさん、@KILLINGFLOOR108さん、@mikoパパ、お祝いコメントありがとうございます! もう、嬉しい。