晴耕雨読[13]デザイナーでも当たり前の共同作業のルールについての話
── 福間晴耕 ──

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久しぶりにデザイナー向けの話題を書いてみたい。たまには、デジクリらしく。

今回は若手デザイナー、その中でも特に企業などの組織内で働く人向けにあたり前のことを書いてみようと思う。

自分は長年フリーランスでやってきて、今でも一応立場上はフリーで仕事もしているのだが、主な仕事がリアルタイム系3DCGということもあり、殆どのケースで他の社員に混じって契約先の仕事場で一緒に働くスタイルだった。

その中で仕事の内容や職場が変わっても、毎回必ず言われることがある。それは、他の人から見てもどんな状況で、どんな状態なのか、分かるようにするというものだ。具体的には以下のような感じである。




・ファイル名は決められたルールに従う。もしルールがないときでも、第三者が見てなんだか分かる名前にする。

・ファイル名に自由に名前をつけるときも、なるべく汎用的なルールに従う。例えば大文字の数字は使わない。ソートをかけた時に、ちゃんと時間もしくはバージョン順に並ぶようにするなど。

・成果物だけでなく、作業データもきちんと保存し、もし後で修正があった時にすぐに直せるようにしておく。

・万が一、急に休んだり、仕事を離れて別の人が引き継ぐ時にも、見た人が分かるるような状態にしておく。

・上に書いたことを実現するための、データの整理と分類を心がける。

・バージョンの管理は、最終データなのか、作業中なのか、仮なのか、分かるようにする。

・ファイル名に英語を使うときは、一応辞書を引こう。今ではファイル名に日本語も使えるケースが多いものの、相変わらずいろんな事情でファイル名はアルファベットと半角数字のみしか使えないという場合も少なくない。

英語を使うときは、億劫でもちゃんと辞書を引くことをお勧めする。恥ずかしい話だが、自分のケースでは物を引っ掛けるフックのつもりで、f*ckと四文字ワードを書いてしまい。危うく大問題になるところだった事もある。

・最近ではネットワーク環境が増えてきたので、データが「どこ」にあるかにも注意する。ネットワーク環境は会社ごとにルールが違うので、それに従うにしても。

よくある事故で、自分のパソコンに保存したつもりがネットワーク先だったり、逆にネットワーク先のデータだったので、気づいたら消えていたというケースをよく聞くからだ。

まあこういったごく当たり前のことなのだが、不思議なことにどんな仕事先に行っても、これらをくどく言われることはあってもあまり守られてないことが多いのである。

自分が大昔に大学で学んだ頃は、まだデジタルが黎明期だったこともあり、あまりこの手のことを習ったことはないのだが、もしかしたら今でもそうなのだろうか。

自分の場合は、以前ゲーム会社で直接プログラマーの方と作業していたこともあり、自分の作ったデータが見た目だけでなく、ファイル名も含めて直接ゲームソフトに組み込まれて、プログラムで制御される環境だった。

そのため、特に厳しく指示されたので意識するようにしているが、これは別にゲームに限らず殆どの共同作業で大事なことだと思うのだ。

そんなわけで、もし読者の方でこれから業界に入ろうとしている人は、スキルやポートフォリオの他にも、こうしたことも頭の隅に入れておくことをおすすめしたい。


【福間晴耕/デザイナー】
フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
< http://fukuma.way-nifty.com/
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HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったのでインテリアを見たりするのも好きかもしれない。